Q.緑谷達はセーフ?
A.勿論有罪、没収、死k……とまではいかないけどめちゃくちゃ怒られる。オールマイトからも怒られる。
Q.ホークス過労死寸前だったりする?
A.そこに【ベホマ】できる奴がいるから過労死はしないよ!精神の方はどうしようもないけどね!
Q.森岸の画風ってもしかして……?
A.元ネタ風になってます。
リ・デストロと雄英生四人の睨み合い。第二ラウンドの口火を切ったのは緑谷だった。
バチリ、と緑谷の全身をエネルギーが駆け巡る。【ワン・フォー・オール:フルカウル】の割合は未だ50%前後だが、その上から森岸の【スピオキルト】が改めてかけられたことで一時的なものだが【擬似100%】へと到達する。
先のオールマイトをなぞるように緑谷の姿がブレる。違いがあるとすればオールマイトと違い移動の起こりが見えた事と、有り余る身体能力のコントロール力。
辛うじて目視できたリ・デストロは反射的に生き残った右腕を大きく薙ぎ払った。緑谷の正確な位置など把握していない。とにかく近づかれなければ何でもいいというよう、水平に振り抜かれる。
【フルカウル擬似100%】に対し、リ・デストロはパワードスーツ込で【ストレス200%】。大幅に強化された一撃は余波すらヒーローを吹き飛ばしかねない威力があった。
「っと! 無駄に範囲攻撃撒き散らしてんじゃねえよ!」
「ぐ……!?」
しかし強化されているのはリ・デストロだけではない。【魔法】によって自分自身を強化した森岸の蹴りが余波を撒き散らす寸前で割り込んだ。
裏拳での薙ぎ払いに後ろ回し蹴りが衝突する。【アストロン】へ叩きつけた時に比べれば損傷は少ない。それでも全くの無傷とはならず、中途半端なところで打撃を止められた為に体を硬直させてしまう。
そんな分かりやすい隙を見逃してくれるほど爆豪は優しくはなかった。
「【
「ぐわっ!? 視界が……!」
「今ので理解した! テメェのそのアーマー、パワー以外はろくにサポートされてねェな!?」
緑谷が真っ先に動いたのは何も緑谷が最も早く動き出したからではない。爆豪は一瞬、見に回っていた。
腹立たしい事ではあるが、今の自分だけではリ・デストロには勝てないと理解した。だからこそ、観察し、分析し、隙を突いた。
あれだけのパワーを持っていながら緑谷の速度を目で追えず、森岸が割り込んできた時には目を見開いて驚いていた。
つまり【クレストロ】にはリ・デストロの視覚をサポートする機能はない。少なくとも爆豪はそう判断を下した。
視界が強烈な閃光に焼かれる。どれ程強靭な肉体を持っていようとも目だけは防げない。どこぞの『どうせ治せるし』とか考えてるイカレポンチでもなければ誰だって動揺する。
痛みを訴える目元を思わず押さえてしまうと、ただでさえ片腕が砕かれたパワードスーツ。バランスを崩しかけた巨体が僅かに傾いた。
そこへ届いたのは追撃……ではなく地を這う冷気。砕かれて凸凹になっていた地面が瞬く間に氷に覆われる。
「なっ!?」
「畳み掛けろ!」
下手人は轟。体勢が崩れかけたところへ足元を凍らせることで立て直すことを許さず、それどころか足を滑らせ崩れたバランスのままその場に倒れ込ませた。
今更パワードスーツの重みや可動域制限で立てない、なんてことはない。しかしこの四人を前にしてそれはあまりにも致命的な一瞬。
リ・デストロの視界に映ったのは拳を固く握り締めた緑谷の姿。全身に迸るエネルギーがスパークを起こし、数秒後の末路を雄弁に語っている。
「【デトロイト・スマッシュ】!!」
「ぐ、おおおっ!?」
平和の象徴より受け継がれた力が叩きつけられる。崩れた体勢のまま、致命傷を避ける為に構えられた防御の上から、思い切り。
リ・デストロは吐血しながらも驚愕を隠せずにいた。アーマー越しの目は丸く見開かれ、信じられないものを見るような目を向けていた。
(馬鹿な!? この短時間で何があった!? 威力が跳ね上がっている!)
既に何度か緑谷の拳を受けていたから分かる。緑谷の拳は確かに強い。強いが、防御を抜いてくる程ではなかった。
【クレストロ】の装甲に加え【ストレス】で強化された肉体。これらを抜いてリ・デストロにダメージを届かせるには不足していた。
それが一瞬でこの威力。身体を庇った右腕ごとリ・デストロの胸板へ重い痛みを届かせている。
疑問はすぐに氷解した。
「……! あの小僧か!」
痛打を受けてなおリ・デストロの目から闘志は消えなかった。
さっきまでと今の違いなど一つしかない。森岸がいるかどうか。
それと同時に理解した。ヒーロー達の異常な実力、想定外の戦力。その全てが目の前の子供一人が原因であると。
まともな思考の持ち主であればまずそんな結論には辿り着かない。だってそれが本当であれば、この戦場にいる無数のヒーロー全てがたった一人の個性によって支えられていることになる。
異能を鍛え研ぎ澄ませてきたリ・デストロであるからこそ理解し難く、しかしそれ以外の結論に辿り着けなかった。
どうあれリ・デストロがすべきことは一つ。たとえ何を失おうとも森岸を仕留める。それだけでこの絶望的な戦局を覆せる。そう判断したリ・デストロは軋む身体に鞭を打って緑谷を跳ね除ける。
「貴様さえ……貴様さえ消えればまだ戦える!! 革命は止まらん!!」
「ぐ……!? 森岸君!」
「お、気づいた?」
最早【クレストロ】は限界に近い。しかしリ・デストロに与えられたダメージは【ストレス】の燃料となって力を与える。
砕けたパワードスーツを感情で補い、折れそうになる足で必死に地面を踏み締めながら、今の己に出せる全てを拳に乗せた。
「我らが解放の礎となるがいい!!」
殺意と憤怒に満ちた一撃が森岸へと落とされ──
「【アタカンタ】」
「っ──!!? があああああああっ!!?!?」
その全てがそっくりそのままリ・デストロへと跳ね返された。
皮肉なことに確実な死を与える為、そして我武者羅に振り下ろした為に跳ね返ったエネルギーは全てリ・デストロの拳と遥か天高くへ向かった。その余波はリ・デストロ以外の何者も傷つけることもなく、空へと霧散していく。
貯めに貯めた恨みも怒りも、全てが跳ね返る。思想の下で振るってきた力がまるごとリ・デストロへと向かい、他人にそうしてきたように肉体が潰れる。
今度こそリ・デストロの足が止まる。先に砕かれた左腕よりも更に重傷となった右腕をダラリと垂らし、何が起きたのかも理解できぬまま。
それを成した森岸は冷たい眼差しでリ・デストロを見つめながら口を開いた。
「なに、が……っ……!?」
「俺さあ、ずっと聞きたいことがあったんだよね。異能解放軍……特に最高指導者らしいアンタに」
「っ……!?」
何を、という反抗の言葉さえ出ない。得体のしれない圧力を前に呼吸さえままならない。
ゾッとするほど冷めた目で射抜かれながら、森岸の言葉を待った。
「アンタらの理屈だと『生まれ持った異能を振るうことは自由であるべき』だったか?」
「……そうだ! 生まれ持った力を自由に振るって何が悪い!」
「だったらさあ……俺がお前らを倒す為に異能を使うのも自由だよな?」
「───それ、は」
それはある意味で、異能解放軍の理論に則った言葉だった。
ヒーローという個性使用許可……異能解放軍風に言えば『異能の行使を許された』者。それが当人の意思で
「本当はそんな高尚な考えじゃねえだろ? 本当にそう思ってるならもっと真っ当なやり方があるもんな」
「……」
「実際はこれだ。オールマイトにビビって隠れ続けて、そのオールマイトが消えたと見るやいなや勢いづくだけのチンピラ集団でしかない」
森岸はずっと疑問だった。超常社会の歴史に残るデストロの行いが。
人に振るえば容易く傷つけられる異能を正しく使い、人を助けられると示せばそれで良かった。人に向けて振るったからこそ、法はそれを認めなかった。
答え合わせはとっくに行われていた。
彼らは異能行使の自由を謳っていながら、その実求めているのは『自分達が横暴に振る舞っても逆らうものがいない世界』でしかないと。
そうでなければ潜伏する理由などない。それが真に人の為になると思っているのならば、人の為に働くオールマイトやヒーロー達を恐れる必要などなかった。
「アンタらの思想は所詮ジャイアニズムの類似品でしかない……まだステインの"英雄回帰"の方が説得力があったぜ」
「…………! 我らが思想をあのような一介の敵と比べるなァッ!!」
認めない、受け入れられないとリ・デストロは吠える。
しかしその言葉に説得力はなかった。既に格付けは済んでいた。
森岸は異能行使の自由に則り、己の意思でリ・デストロを倒す。リ・デストロにそれを否定するだけの力は残っていなかった。
森岸がリ・デストロにトドメを──刺すことはなく、背を向けて軽く言い放った。
「んじゃ、あとよろー」
「は?」
何を、という言葉は出なかった。
「【
その全てを爆豪の一撃が吹き飛ばしたが故に。
とっくに限界間近だったリ・デストロに耐えられるはずもない。【クレストロ】は砕け、肉体に満ちていた【ストレス】も解けた先でリ・デストロは意識を手放した。
「……やり過ぎじゃねえ?」
「テメェがくっちゃべってるのが悪い! 汗溜まって無駄に威力上がんだよ!!」
「あらー……溜めすぎたか。死んでないよな?」
「森岸が少し回復させたらいいんじゃねえか?」
「そうすっか。緑谷のソレで縛れたりしない?」
「あ、できるよ!」
森岸「うわ腕バッキバキじゃん」
爆豪「こっちなんか破裂してんぞ」
轟「……グロいな」
森岸「緑谷もこうなってた可能性あるんじゃね? ほら、最初の方全然制御できてなかったし」
緑谷「やめて!? 今凄くゾッとしたから!」