魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.【トラマナ】色々と応用できそうですね。
 A.作者の人そこまで考えてなかった。皆凄いね……。

 Q.【トベルーラ】もうちょい鍛えようよ。
 A.実はある程度鍛えてコレ。習得直後は歩き始めた赤子くらい遅いし2秒で効果が切れてた。自分一人じゃ手に負えないと判断して放置してた。

 Q.雄英は【トベルーラ】対策しなかったの?
 A.そもそも森岸を基準に障害物を設定すると森岸以外突破できなくなるので諦めた。





13.コッソリかつゴッソリ

 

 

 

 俺達がゴールしてからしばらく経って、ようやく全員がスタジアムへと帰還した。

 

 個性を使い慣れてるヒーロー科やサポートアイテムを使えるサポート科はともかく、普通科や経営科なんかは息も絶え絶え。リタイアを選んだ生徒も少なくない。

 

 

「ようやく終了ね! それじゃあ結果をご覧なさい!」

 

 

 おっとミッドナイト先生いきなりですね。そんでモニターには42位までが映されてる……ってことは42位までが予選通過になるのか。

 

 …………あれ? 青山いなくね?

 

 チラッと後ろの方を見てみると、物凄い表情で腹を押さえている青山と目があった。ああ……お前個性使い過ぎると腹痛くなるんだっけ……後で【ベホイミ】してやるからな。

 

 

 青山はさておき、これからが本戦。あの障害物競走を越えてきた連中とどんなルールで戦う事になるのやら。

 

 と、思っていたらすぐに発表が始まった。話が早いな雄英。

 

 

「さて、第二種目よ! 私はもう知ってるけど──何かしら!!? 言ってるそばからー……!」

 

 

「『騎馬戦(コレ)』よ!!」

 

 

 

 騎馬戦……? 個人競技じゃないのか。ならその時点で俺有利だな。やったぜ。

 

 勝敗の決め方はポイント制らしい。さっきの障害物競走の順位に従って各自にポイントが振り分けられ、チームの組み合わせによって騎馬のポイントが変わる事になる。

 

 そのポイントは下から5ポイントずつ。42位は5ポイント、41位は10……と増えていく。2位の俺一人で205ポイントになるわけか。じゃあ緑谷でも210──

 

 

「そして……1位に与えられるポイントは」

 

 

10,000,000(一千万)!!!!」

 

 

 ──じゃなかった。ヤケクソみたいな点数になってた。

 

 これむしろ2位に収まってよかった説あるな。いくら俺の個性がチーム戦で破格でもあんなイカレポンチな点数持ってたら誰も組んでくれないだろうし。

 

 すまん緑谷。そんな目で見られても困る。というか俺にとっても格好の獲物になるんだぞ? 分かってる?

 

 

 それと追加のルール説明。

 

 騎馬が完成したらポイントの合計が表示されたハチマキを配布されるので装着。取ったハチマキも首から上に巻いて管理しろ、と。

 

 それからハチマキを取られたらアウト……にはならず、騎馬が崩れてもセーフ。騎馬を組み直して再挑戦可能。

 つまりどれだけ時間が経過してもフィールドにいる人数は変わらないのか。

 

 尚、悪質な崩し目的での攻撃なんかはレッドカード、一発退場になるそうだ。

 

 

「それじゃ、これより15分! チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

 

 

 結構短い。ちょ、とりあえず響香に声掛けよ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「「騎馬組んで! ……あれ?」」

 

 

 交渉開始から5秒。誰よりも早く森岸と耳郎のチームが成立した。判断が早い。

 

 一瞬キョトンとした顔で見合っていたものの、成立を理解した二人は一安心。ピシガシグッグッとよく分からない手遊びをしている。

 

 森岸が耳郎と組んだ理由は、この中で最も【魔法】による強化の感覚に慣れているから。そして付き合いの長さからだ。

 対する耳郎。彼女は森岸が味方になれば心強いというのは当然として、それと同時に森岸を敵に回したくないからという理由がある。

 

 森岸と組んだチームだけが森岸と戦わなくて済む。当たり前のことであり、耳郎にとって最も重要な事項だ。

 

 

「ねえねえ! 私も入れてー!」

「あ、えーっと……葉隠! さん!」

「さん付けしなくていいよ! で、入れてくれる?」

「ウチは全然オッケーだけど、あと一人どうしよっか」

 

 

 そこに【透明化】の女子、葉隠透も合流。この時点で男女比1:2と峰田が血涙を流しそうなチームとなった。

 

 そうなると問題は役割分担。ほとんどその場のノリと勢いと仲の良さで集まった三人だが、誰を騎手にして何を請け負わせるべきか悩ましい。

 

 

「……あ」

「? どしたの?」

「多分最後の一人誰でもいいわ」

「え、何で?」

「ちょっといい事思いついた。一人連れてきてから話すわ」

 

 

 どうしようを繰り返していた所、急に森岸は何かを思いついた様子。困惑している二人を余所にどこかへ行ってしまった。

 

 そして戻ってきたかと思えば砂藤を引き連れていた。どうやら組む相手が見つからず困っていたらしい。

 

 それで何をどうするのかを改めて問うてみると、森岸はニヤッと笑って声を潜めた。

 

 

「まず騎手を響香、前に葉隠でいきたい」

「その心は?」

「なに、そう難しい話じゃない」

 

 

 

「誰とも戦わずに勝つだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森岸(205P)葉隠(20P)砂藤(135P)……そして騎手に耳郎(105P)。ハチマキに表示されたポイントは465。

 

 他の騎馬も既に組み上がっており、後は開始の合図を待つばかり。

 

 

「……緑谷めっちゃ見られてる」

「だね……特にあの二人(爆豪と轟)なんかはもう隠す気もなさそうだし……」

「ハチマキのポイント自体はウチらでも4番目に高いのに霞んじゃってるよ」

「1000万だから皆霞んでるだろ」

 

 

 注目の的となっているのはやはり1位の緑谷。常闇と麗日、そしてサポート科の女子である発目と組んだ騎馬は点数に反してあまりにも頼りなく映る。

 

 周囲の騎馬は最早緑谷しか見えてないのでは、というくらいに視線を向けており、開始直後から地獄絵図になるのが目に見えている。

 

 体育祭開幕前から闘志を滾らせていた爆豪や轟も似たようなもの。片や静かに闘志を滲ませ、片や獰猛な笑みを浮かべて今か今かとその時を待っている。

 

 

 

 

『さァ上げてけ鬨の声!! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 幕を開ける!!』

 

『いくぜ残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

 

『3!』

 

 

『2ィ!』

 

 

『1……!!』

 

 

 

『START!!!』

 

 

 

 そして幕が上がる──と、ほぼ同時に森岸らを除いた騎馬達が一斉に緑谷の元へと殺到した。

 

 それもそのはず、一千万のハチマキがあればその時点で勝ち抜けが確定する。勝利を望むのであればどうしても意識せざるを得ない存在なのだ。

 

 では何故森岸達はそれをスルーしているのかと言うと。

 

 

「はーい、そんじゃ【ステルス】に【レムオル】と、あと念の為【トラマナ】も配るぞー」

「……いやこれ本当酷いわ。他の人達に同情するくらい酷い」

「よーし! コッソリゴッソリやっちゃうぞー!」

「……これ俺いる?」

 

 

 そう。森岸が立てた作戦は至ってシンプル。気配を消して気取られないうちにハチマキを根こそぎ持っていくというもの。

 

 騎馬を組んだ状態であれば全員に【魔法】をかけるまでの時間を短縮可能。そこで【ステルス】と【レムオル】を使って存在感を極限まで薄める。

 加えて先の障害物競走で使用した【トラマナ】をかけ、個性で足場から崩されることがないようにしておく。

 

 後は【透明化】で見えない葉隠を前に置き、騎手を射程が長い【イヤホンジャック】の耳郎にすれば完成。

 

 ちなみに【ピオラ】も使用中。なので速くて気づかれないとかいう、どうみても盗賊みたいな挙動のタチが悪い騎馬となっている。

 

 

「よし、まず一回あそこのB組騎馬で試してみるか」

「バレない……んだよね?」

「前に校門に押しかけてたマスコミにバレなかったからいけるいける」

 

 

 まずは試運転。これで実は全然気づかれますでは話にならないのでなるべく動いていない騎馬を狙って試すことにした。

 

 出遅れたのかそれともわざとか。緑谷へと向かっていった騎馬の最後方にいたB組の男子、物間の頭にあるハチマキを器用に【イヤホンジャック】で絡め取り、ビリビリッ、というマジックテープの音を響かせて尚気づかれることはなかった。

 

 

「……うん、大丈夫そう」

「あんなに音してたのに気づけないのか……」

「気配遮断と認識阻害の合わせ技だからな。下手すりゃ目の前に突っ立っても気づかれないぞ」

「むぅ……私の面目が立たないじゃん!」

「完全な透明化じゃないから気づかれる時は気づかれるし……てか葉隠はもうちょい脱衣に抵抗を持ってくれ」

 

 

 結果は大成功。物間はどこを見ているのか余裕の笑みを絶やすことなく彼らではないどこかを見ていた。この数分後にようやく気づいた模様。

 

 

 ならば後は同じことを繰り返すだけ。

 

 緑谷に近づくと巻き込まれかねないのでなるべく距離を取り、また攻撃範囲が広い轟達も警戒しなければならない。

 

 その二チームにさえ警戒していれば森岸達に向かってくる騎馬はいない。すぐ横を物凄い形相の爆豪が飛んで行ったりどうみても一人で走ってるようにしか見えない障子が駆け抜けていったりするけどスルーしていく。

 

 

「今何ポイントだ?」

「あー……気にしなくてよさそう」

「へ?」

「今の時点でハチマキ持ってるの、ウチら以外に三チームしかいないっぽい」

「……マジ?」

「マジ」

 

 

 するといつの間にやら安全圏。この時点でハチマキを持っているのは緑谷チーム、爆豪チーム、轟チームと自分達だけとなっていた。

 

 被害者の方々も今になって何かおかしいと気づいたようだが、安全圏に入った森岸らはフィールドの隅っこで傍観の構え。これがすみっ〇ぐらしちゃんですか。

 

 そうなると彼らはハチマキを持っている騎馬へと向かうしかなく、ただでさえ一千万の争奪をしていた混戦が更にしっちゃかめっちゃかになっている。あ、峰田が吹っ飛ばされた。

 

 

 その光景を眺めていた四人だったが、一つどうしても気になることがある。それは唯一普通科で本戦に上がってきた彼の個性についてだ。

 

 

「……あの男子の個性、なんなんだろうね」

「普通科で障害物競走突破してるからなんか凄い個性だとは思うんだけど……何してるかわかんないや」

「多分声に起因するヤツだとは思う。それ以上はわからん」

 

 

 普通科の男子──心操人使の個性についてだ。

 

 障害物競走では28位でゴールしており、葉隠よりも上の順位を獲得している。

 

 その葉隠の個性は単に透明になるだけの個性であり、身体能力にはなんら影響を及ぼさない。

 じゃああの心操はどうなのかといえば、そもそも何をしてるか分からない。分かりやすい現象を引き起こしていない。

 

 先程から言葉による挑発を必死に繰り返していることから、少なくとも相手に何かしらのリアクションを返してもらわなければ発動できない個性の可能性が高いと思われる。

 しかし狙われているチームはそれどころじゃないのか、或いは個性の発動条件を見破られたのか完全に無視されてしまっている。

 

 

「っ……なんとか言えよ! 恵まれた人間にはわかんないだろ!? 誂え向きの個性に生まれて、望む場所へ行ける奴らにはよ!!」

「…………っ!!」

 

 

 一瞬。ほんの一瞬だけ緑谷が動揺したが、それだけ。飛び交う個性の中に埋もれて弾き出されてしまった。

 

 

「望む場所……か」

 

 

 

 

 

『TIME UP!!!』

 

 

 

 

 

 1位…轟・上鳴・飯田・八百万チーム

 

 2位…爆豪・切島・瀬呂・芦戸チーム

 

 3位…耳郎・森岸・葉隠・砂藤チーム

 

 4位…緑谷・常闇・麗日・発目チーム

 

 

 以上16名。彼らが最終種目へとコマを進めた。

 

 

 

 

 

 







青山「」
心操「」



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