Q.青山の両親はどうなったの?
A.根津校長がお話()したので無罪放免。それはそれとして雄英から色々と厳重注意された。怒ったヒーローマジ怖い。
Q.雄英の戦力どんなもん?
A.森岸の【魔法】マシマシのほぼ全盛期超えオールマイトとか、原作開始時点のオールマイト並までいけるようになったイレイザーヘッドとかが出てくる。しかも無限に回復する。
Q.公安委員会の反応はどんなもん?
A.気持ちは分かるけどそのまま黙ってて欲しかった。というか今それどころじゃないから頼む、後にしてくれ。
青山の件、そして緑谷と【ワン・フォー・オール】……当然ながら誰一人として青山も緑谷も責める者はおらず、1年A組21名はそのまま2年生に上がれそうだ。
その後はどういう流れでそうなったのか、何故かカミングアウト大会に発展した。
まず最初に口を開いたのは爆豪。普段の態度から透けていたが、中学までは同級生らと共に緑谷を虐めていたらしい。
当人の心境をざっくり要約すると『無個性なのに俺よりヒーローに向いているのを認めたくなかった』というものだった。それに付け加えて『自分を勘定に入れない緑谷が不気味で気持ち悪かった』とも。
まあ、緑谷のアレは美徳通り越して狂気に片足突っ込んでる所はあると思う。アイツ死にかけたりしてても爆豪助けに行かなきゃとか言うし。
プライドが高い爆豪からは考えられない、取り繕う気もない謝罪には驚いた。特に緑谷に謝るなんて絶対ないと思ってたから。
緑谷としてはそもそも気にしてない……というより、理解が追いついてないのかもしれない。だって第一声が「かっちゃんが……謝った……!?」だったし。
いつもの爆豪ならそこからブチ切れて『どういう意味だテメェ』みたいな怒り方をするんだろうけど、その時ばかりは「……日頃の行いだわな」と自嘲していた。お前……丸くなっ……てはないか。考えてみたらつい最近除籍されてたわ。
沈んだ空気に耐えられなかったのか、或いはどうにかして雰囲気を変えようと頑張ったのか。切島が意を決して口を開いた。
「お、俺は中学ん時……女子達が敵に脅されてる時に動けなかった事があってさ……」
「あー……あれかあ……」
何でも下校中に明らかに一般人ではない様子の男にヒーロー事務所の場所を尋ねられていたらしく、ヒーローを目指す者として動かなきゃいけなかった時に恐怖で動けなかったそうだ。
もちろんその時の切島が動けなかったから悪い……なんてことはないんだろうけれど。切島にとっては自分の弱さを戒めるように脳裏に焼き付いているのだろう。
で、そこから雄英に来るまでの失敗談や過去話が連鎖した。
障子の地元の闇深い『異形型差別』の話に始まり、口田のお父さんがお母さんを庇っていたという話。轟なんかはエンデヴァーの個性婚すら暴露していたし、何とか絞り出したらしい上鳴なんか『中学の時に告って玉砕した』なんて話をしていた。
後半になるにつれてカミングアウトは段々くだらないというか笑い話が混じるようになり、最終的にはシリアスな空気なんてどこにも残ってなかった。
ついでに響香と付き合ってることをカミングアウトしたのだが、案の定峰田がキレた。
「何抜け駆けしてんだお前ェ───!!」
「あれ抜け駆けなのかな?」
「スターターピストルと同時にゴールしただけよ」
「むしろそれまで付き合ってなかったの???」
先に相談を受けていた女子達は特に反応なし。だが今初めて知った上鳴なんかは物凄く不思議そうにこちらを見つめていた。全寮制になってから付き合い出したんだが、何がそんなに不思議なのだろうか。
ただまあ、やはりというか……爆豪とか瀬呂のような勘のいい一部の男子は気づいていたらしい。後は直接話した轟も特には驚いていなかった。
「くそぅ……オイラだってリア充になりてぇよ……!!」
「そんな態度でそんな事言ってるうちは一生無理では?」
「ぐふっ」
「耳郎ちゃんがトドメを刺した!」
「かわいそ……うでも何でもないな」
それはそれとして今の峰田の態度を見て付き合いたいという女子はいないだろう。もしいたら心配で【ベホマ】使うわ。
いい感じにオチもついたところでその場は解散。一先ず青山の対応はしばらくは別行動、その後については追って連絡するとの事。
あ、そういやそのオール・フォー・ワンもタルタロスで弱ってるとか言ってなかったっけ。ホークスが愉快そうに話していたと思うが。
何かオリジナルの【オール・フォー・ワン】が死滅した事で影響がどうこう……とか言ってたような。
◇
異能解放軍、そしてオール・フォー・ワンの残党は潰えた。
皮肉なことに、彼らが事を起こそうとしたが為にこの国の膿は絞り出された。ひっそりと牙を研いでいた悪が消えた事により、オールマイトの引退発表から悪化していた治安もまた少しずつ元に戻っていっている。
故に、彼は釈放された。
「……つっても何をどうすりゃいいんだ俺」
「それも含めての話し合いだよ転孤少年」
「あと何でオールマイトがいんだよ」
「第三者を挟まないと嫌だと言ったのは貴方でしょう?」
「挟めてねえよ。むしろ俺が潰されそうなんだけど。つか何でこんなに元気なんだよ衰えて引退したんじゃねえのかよ」
死柄木弔──改め、志村転孤。【ワン・フォー・オール】の歴代継承者に名を連ねたヒーロー……志村菜奈の孫。そしてオール・フォー・ワンの下で敵連合のリーダーとして担ぎあげられていた者。
ヒーロー公安委員会としてはそのままタルタロスに閉じ込めておきたい程の爆弾だった。何せ『ヒーローの孫』と『敵連合のリーダー』という肩書きを同時に持っているのだ、何かの火種になってしまうのは目に見えていた。
それに待ったをかけたのがオールマイト。自身の師である志村菜奈の孫となれば黙って見ていられるはずもなく、公安委員会に情状酌量の余地があると訴えかけた。
これが名も無きヒーロー……それこそグラントリノであればまともに取り合ったりはしないだろう。しかしそこは平和の象徴。如何に公安委員会といえど、どちらの権力が強いかなど言うまでもない。
というか最悪平和の象徴がグーを握っただけで何も言えなくなる。総動員すれば相討ちくらいは叶うかも知れないが、その後の事を考えるとそんな馬鹿な真似はできない。
結局オールマイトにそう請われた時点で公安委員会の答えなど一つしかなく、オール・フォー・ワンの残党もほとんどが綺麗さっぱり消えた今、志村転孤を入れる檻などどこにもなかった。
しかし志村転孤20歳。オール・フォー・ワンの下で敵としての英才教育を受けただけで、社会経験など全く無い。資格もなければ学歴もなく、そのまま社会に放逐してもまた敵に逆戻りしかねない。
大いに悩んだ公安委員会とタルタロス職員。何を思ったのかオールマイトを呼び出して三者面談を開始。そうはならんやろ。
社会経験どころかまともに学校に通ったこともないのだから、将来設計なんてしてるはずもない。釈放でーすと言われてもどうやって生きていけばいいのかも分からない。
ならばとオールマイトはこう提案した。
「なら、いっそ一度ちゃんと勉強してみるかい?」
「勉強?」
予想外の提案をされた転孤はどこか間抜けな様子でオウム返ししてしまった。
ぶっちゃけると、志村転孤の学力は小学生並である。現代人らしく、ゲームやらネットやらで漢字の読みかたや変な知識くらいは身についているものの、四則演算に小数点だの分数だのが加わると固まってしまうような状況だ。
それについては立ち会っている公安の人物も把握しており、散々たる解答用紙を思い出したのか『まあ確かに……』という表情だ。
「一番いいのはちゃんと学校に行く事なんだけど……今から小中高と段階を踏んでいくわけにもいかないし」
「……それなら雄英でいいのでは?」
「えっ」
「それは流石に私の一存では決められないなあ……提案はしてみるけども」
公安の男はそのまま続けてとんでもない提案をしたものだから転孤がフリーズした。出頭して釈放されたとはいえ敵連合リーダーだぞ? 襲撃してきた奴を襲撃した所に通わせるとかマジで言ってる? という顔。それはそう。
勿論懸念は幾つもある。例えば転孤がまた敵に逆戻りした時の被害だとか、敵の内通者になるとか。というか懸念しかない。
自分ですらこのくらいは思いつくのに何を真面目に考えてるんだコイツらは、というのが彼の感想だ。
「それを自分から言った時点でしないだろう、君」
「いやする気はねえけど……いいのかそれで」
「何回貴方の事を調べたと思ってるんですか。オール・フォー・ワンの仕込みも何も見当たらなかったのですから、全ては貴方次第ですよ」
だが思い出して欲しい。形は違えど公安もタルタロスもヒーローも、根底にあるのは人助けがしたいという善意だ。
目の前に迷子のような顔で不安を抱えている人がいたら手を差し伸べたくなるような者ばかり。それは相手が元敵であっても変わらない。
「君がそれを望むのなら、私も校長にかけあってみるよ。なあに、こう見えて土下座は結構得意でね」
「そんなこと知りたくなかったぜオールマイト」
「いいですか志村転孤さん。大人は立場がある人ほど土下座が得意になっていくものです」
「もっと知りたくねえ真実が出てきたんだが。これタルタロスん中にいた方が幸せだったパターンじゃねえだろうな」
「…………」
「…………」
「そこで黙んなよ! ますます不安になんだろうが!?」
まるで魔法のような奇跡の上に成り立った騒がしいやり取りの中、志村転孤はようやく自分の人生を歩き出していた。
オールマイト『というわけなんですけど』
根津「いいよ!」
オールマイト『あっさり!?』
相澤「違います。今目がギンギラギンになってるんでおかしくなってるんですよ」
オールマイト『色々ごめんなさい!』
根津「何をそんなに謝るんだい?ハハッ☆」
相澤「校長それはマズイです本当に」
次回から締めに向けてのエピローグ編に入ります。