Q.転孤はどういう扱いになるの?
A.エリちゃんと似たような感じ。そこに監視が加わる。事情を知るサー・ナイトアイやグラントリノが顔を出したり先生をしたりするようになったとか。
Q.校長大丈夫そう?
A.【ベホマ】があるから過労死はしないのでセーフ。後に見るに見かねた森岸が眠らせる為の【魔法】を開発した。
出会いと別れの季節、春。卒業式というイベントは後者……この雄英高校にて三年の間苦楽を共にした友人達と別れ、それぞれの道を歩んでいく一つの契機。
ビッグ3と呼ばれていたヒーロー科の三人や、雄英文化祭のミスコンを二連覇していたサポート科の女子も皆平等に、雄英高校を巣立っていく。
さしもの雄英高校と言えど、卒業式という人生の一大イベントは厳かに───なるはずもなく。
思い出してみて欲しい、この一年の間に行われた学校行事の数々を。
まず入学式。本来であれば高校生活の第一歩となるはずだった行事は、相澤の独断によって開催された個性把握テストが優先されて不参加となっていた。
それからUSJで敵の襲撃に遭うも体育祭を敢行。そこでは入試に使われたロボットやらデカい穴ぼこやら……挙句の果てに地雷原が用意されていた。加減ってご存知?
期末テストに強化合宿、仮免取得に文化祭と退屈とは縁遠いイベントの数々。どれもこれも『自由と言っても限度があるのでは?』と思わされるものばかりだった。
ならば当然、卒業式もそうなるわけで。
『続きまして、卒業証書授与カモンッ!!』
「卒業式って……こんなんだっけ……?」
「絶対違う」
「泣きイベントじゃないのかよ!」
卒業生が卒業証書を受け取る為に上がるステージの横にもう一つ。クソデカスピーカーを始めとした音響機器の中でデカデカと書かれた『祝』の文字を背景に、DJブースで全力を尽くしているプレゼントマイクの姿があった。
卒業式とDJが同時に存在する事などあっていいのだろうか。しかし先生達はともかく、二年生や卒業生が動揺していなかったりノリノリだったりするのを見るにあっていいのかもしれない。
でも一年生達は想像していた卒業式の様相とまるで違うものだから困惑しっぱなし。普通なら静かにしろと怒られそうなものだが、気持ちは理解してくれているのか生温い視線だけが向けられる。
「……俺らの時もこれなの?」
「先輩達の反応的に多分そうだろ」
「流石雄英というかなんというか……入学から卒業まで常識が通用しねえな」
ビッグ3の一人である波動ねじれが壇上で卒業証書を掲げると、彼女のファンだったのだろう、在校生の席から『おめでとう』と『寂しい』が入り交じった悲鳴が爆発した。
その後も卒業証書授与は続き、ついでにコール&レスポンスも響く。なんなら校長から直々に『もっとBPM上げてこう』とリクエストまで飛んでいる。卒業式をなんだと思ってるんだ。
なのに律儀に在校生からの送辞があったり、卒業生からの答辞があったりする。何で?
卒業生代表は通形ミリオ。絶対なんかやる! と警戒していた彼らに返ってきたのは死ぬほど真面目な切り出しだった。お前こそなんかやれよ、と誰からかヤジが飛んでいた。
しかしミリオは至って真面目に答辞を語る。緊張など欠片もなくにこやかに、そして真剣に口を動かす。そして──
「私達は今日、スタートするのです! 在校生の皆さん!」
その言葉の直後、ミリオの身体がステージの中へとすり抜けていく。更にステージ背景の壁紙に亀裂が走った次の瞬間。
「じゃあね!!!」
「「「イェェエエイ!!!」」」
「「「えええええええ!!?」」」
【透過】解除によってステージから飛び出すミリオ。そしてそれに続くよう、壁をぶち破りながら現れたのはアンパ〇マン号……ではなく、文化祭のミスコンでも使われていた絢爛崎美々美の顔が全面に押し出されたキャタピラ式装甲車。
最後の最後まで騒がしいまま雄英の卒業式は幕を閉じた。
ちなみにここまでの流れ全部雄英高校の卒業式の伝統だったりする。嘘でしょ?
三年生が卒業し、在校生は進級する。ヒーローに憧れ門を潜った一年生は二年生となり、少しもしないうちに先輩と呼ばれる立場になる。
教室も移動し、プレートには『2-A』の文字が輝いていた。そして教室の壇上に立っているのは新たな担任──……ではなく、見慣れた相澤消太の姿があった。
「例年なら担任は持ち上がりじゃないんだが……『問題児が多すぎて君にしか任せられない』と言われてしまってな。あと二年このままだ、よろしく」
「「「よかったァァ!!」」」
新しい先生もそれはそれで嬉しいけれど、とてもお世話になっている相澤がそのまま担任を続けるという嬉しい報せに歓喜の声が上がった。
しかし理由が理由なので素直に喜んでいいものなのだろうか。チラと視線が向けられた先にいるのは『今日だけは出ろ』と言われて出てきている爆豪と緑谷。謹慎ボーイズである。尚、轟は一足先に謹慎を終えている。
それに青山とか森岸とか、別方向で問題を抱えてる奴もいるし……とは相澤の談。
相澤としても勝手知ったる生徒相手ならば一々説明の手間がなくて助かる、くらいには安心している。ついでに問題児に監視の目を光らせやすくて助かる、とも。
「まあ見ての通り、A組21名のまま今日を迎えられて何よりだ。まだ処分を受けている最中の奴もいるが気にするな」
「ゔ……」
「それからもう一つ、B組に編入生がいる。言うまでもないかもしれんが、普通科から心操が編入した」
「やっぱりB組かあ」
それから心操。体育祭から諦めずに鍛錬を続けた結果、とうとうヒーロー科へ編入する事が叶っていた。
人数的な問題もあり心操はB組へ。おそらく物間の対抗心に乗っかったりして体育祭や対抗戦で明確な脅威になり得るだろう。
新たなライバルかつ仲間の誕生に再び歓喜の声が上がり、相澤の視線だけでピタッと静まり返る。
「ったく……それで話は変わるが、インターンについてだ。結論から言うと続けたい奴は続けて構わない」
「え、いいんですか?」
「ああ。異能解放軍やオール・フォー・ワンの残党が消えたのは良かったんだが……その分裏社会が荒れてきている」
相澤が語ったのは学徒動員であったインターンの取り扱いについて。
ひとまず雄英の方針としては『当人の意思に任せる』になったのだが、今度はヒーロー達の方から人手が足りないという泣き言が漏れ出しているという。
というのも、異能解放軍やオール・フォー・ワンという存在は良くも悪くも影響力が強かった。裏社会で名を上げると、そのどちらかに目をつけられる事もあって僅かながら抑止力にもなっていたそうだ。
それがどちらも纏めてゴッソリ消え失せたものだから、ここぞとばかりに抑圧から開放された敵が活性化しているらしく、小さな事件がポツポツと増えているのだ。
「情けない話、ヒーロー飽和社会と言われておきながらヒーローの手が足りていない。お前達の手を借りたいという事務所も増えている」
「そういえばヒーロー事務所の見直しとかもありましたね……」
加えて、異能解放軍の中にはヒーローもいた。その為ヒーロー公安委員会が一度全てのヒーロー事務所を監査し直すことにしたらしく、あまりに酷いところなんかは指導が入ったり最悪業務停止命令が出されたりしたとか。
それもあって今の社会は書類上の数字程の人手があるわけではなく、むしろタスクが増えた事もあって急激に人手不足になりつつある所すらあるという。
とはいえ彼らは学生。やりたくなければ断る権利はあるし、雄英としてもそんな理由で行かせるのは少し抵抗がある。
「お前らが気にすることじゃないし、お前らに責任はない。だからそういう話も出ているくらいに思っておいてくれ」
「はーい!」
「あ、強制じゃないんだ」
「
ちなみに強制的に手伝わせようとした公安の馬鹿は無事に撃沈させられた。もっとも、その人物も三徹くらいした末のソレらしいのであまり強くは言えなかった模様。
進級すれど何も変わらない、騒がしい日々が再び始まった。
──少し先のお話──
後輩A「あ!唯一除籍された先輩だ!」
爆豪「ぶっ殺すぞテメェ!?」
後輩B「馬鹿何いってんだお前!?すんませんマジで!」
森岸「ファーwwwww」
上鳴「後輩にまで弄られてやんのw」
切島「何一つ間違ってねえから何も言い返せてねえし」
爆豪「クソがァ……!!」