魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.隠密能力なら求められるのでは?
 A.同じ騎馬に葉隠ちゃんがいたので『まさかあの子……他人も透明にできるのか!?』といらぬ誤解を与える可能性が高く、どちらにせよ森岸には注目がいかない。

 Q.心操くんカワイソス……
 A.多分再登場してくれるので応援してあげてね。

 Q.上鳴がアホになった時【ホイミ】と【インテ】どっちの方が効果あるの?
 A.どちらかと言えば【ホイミ】で、麻痺を治す【魔法】が一番効果がある。





15.結局最後は戦闘力

 

 

 

『ヘイガイズ!! アァユゥレディ!?』

 

『色々やってきましたが!! 結局これだぜガチンコ勝負!!』

 

『頼れるのは己のみ! ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ! わかるよな!!』

 

『心・技・体に知恵知識!! 総動員して駆け上がれ!』

 

 

 セメントスによって作られた無骨な舞台。そこには遮るものは何も無く、正に真っ向勝負でいけと言わんばかりの作りとなっていた。

 

 ここまでは戦闘能力がなくても勝ち上がることができた。しかし最終種目だけは違う。目の前の相手に勝つだけの戦闘能力を示さなければならない。確かな実力を持っていなければならない。

 

 勝利条件は三つ。相手を行動不能にする、もしくは場外に落とす……そして『まいった』と言わせる。

 負傷は全てリカバリーガール──と森岸──によって治療される為、命に関わるレベルにならない限りは何をしてもOKとされている。

 

 

 

『一回戦!! 成績の割に何だその顔! ヒーロー科、緑谷出久!!』

 

『ごめんお前騎馬戦の時どこにいた!? 同じくヒーロー科、砂藤力道!!』

 

 

「あれやっぱ見えてなかったのか……凄いな【魔法】」

「や、やっぱり森岸くんがやってたんだね……」

「ああ……ま、今はそんな事はどうでもいいだろ」

 

 

 そして一回戦第一試合。糖分を摂取することでパワーアップする【シュガードープ】の砂藤力道と、ご存知【ワン・フォー・オール】によるパワー対決のような組み合わせ。

 

 違いがあるとすれば補給さえすれば安定している砂藤に対し、爆発力はあれど制御は未だ不安定な部分が多い緑谷……といったところだろう。

 

 現時点では間違いなく砂藤が有利。それを緑谷はどうやって覆すのかを注目されているカードだ。

 

 

 

 

『レディィィ……START!!』

 

 

「っしゃ、いくぞォ!!」

「っ──!」

 

 

 開始の合図が響く。次の瞬間、砂藤の体が膨れ上がる。パンプアップというやつだろう。

 

 固く握りしめた砂藤の拳が振り下ろされ、緑谷は咄嗟に大きく横っ飛びで回避。外れたパンチはそのままセメント製のステージに叩きつけられ、蜘蛛の巣状の亀裂を走らせた。

 

 

「やっぱり……! 速攻狙いか!」

「おおよ! 持久力にゃまだ課題があるからな!」

 

 

 あまりにも思い切りのいい攻撃。その理由は個性の持続力にある。

 

 彼の【シュガードープ】は糖分をエネルギーとする関係上、緑谷よりも早く限界を迎える。

 糖分10gに対して三分間。ステージに上がってからは糖分を摂取したようには見えなかったので、それよりももっと短い時間しか残されていない。

 

 制限時間まで耐えさえすれば確実に緑谷が勝つ。逆に制限時間までに緑谷を倒さなければ砂藤に勝ち目はなくなる。

 

 故に全力の速攻。力いっぱい拳を振るい、何とか一撃を入れさえすればそれでいいという脳筋スタイルで攻め立てている。

 

 だが──

 

 

「──【フルカウル】……!」

「ぐ……!」

 

 

 緑谷とて以前より成長している。個性に頼らない素の身体能力であればとっくに追いつかれていた連続攻撃も、【フルカウル】を発動すれば余裕を持って避けられる。

 

 こうなると苦しいのは砂藤だ。当たれば勝てるが、当てられないが故に勝てない。もどかしさを抱えながらもそれ以外の選択肢を用意できなかった時点で、この戦いの勝敗は決まっていた。

 

 

「く…………『まいった』!」

「ふぅ……」

「クッソ……なんだよ緑谷急に育ちやがって! やるなあ!」

「うひぃっ!?」

 

 

 【シュガードープ】の制限時間を迎え、緑谷は好機と見て真っ向勝負に移行。個性が解けてしまったのだから殴り勝てるはずもなく、一撃を鳩尾に受けた後自ら降参を宣言した。

 

 まさか制限時間を枯らされるとは思わなかった砂藤。悔しいと同時に知らぬ間に成長していたクラスメイトを称賛し、背中をバシバシと叩いて笑っていた。

 

 

 ──緑谷出久。二回戦進出決定。

 

 

 

 

 

 続く第二試合。轟焦凍と瀬呂範太の試合。

 

 結論から言うと轟焦凍の勝利に終わった。問題はその試合内容。

 

 先の緑谷達とは打って変わって派手かつ速攻。瀬呂が【テープ】の個性で先手を取り、そのまま場外へと放り出すかと思われたその時。

 

 

 

 

「──悪ィな」

 

 

 

 

 たった一言、かつ一瞬。膨大な冷気が巨大な氷山を生み出した。

 

 その規模はまさに規格外。スタジアムの天井に空いていた大穴から顔を出した氷山は更に高くまで伸びており、スタジアムもう一つ分くらいの高さにもなっていた。

 

 観客席をも覆い隠さんばかりの超出力。彼と戦わなければならない生徒は勿論のこと、相澤を始めとした教師陣でさえ口をアングリと開けて呆然とするしかなかった。

 

 

 ──轟焦凍。二回戦進出決定。

 

 

 

 

 

 

 どうにかこうにか氷山を処理し終えて第三試合。

 

 未だ底が見えない数の手札を持つ男、森岸詠士。対するはぶっちゃけ放電以外の攻撃手段がほぼない上鳴電気。

 

 彼の個性をよく知る生徒や教師としては、どちらが勝つかではなく森岸がどう対応するのかが気になる組み合わせだ。

 そんな雰囲気を何となく感じ取っているのか上鳴はやや不満気。瀬呂に続くドンマイ枠にはなりたくないのだ。

 

 

『いくぜ第三試合! スパーキングキリングボーイ、ヒーロー科上鳴電気!!』

 

『対するは困ったらコイツに投げとけ! 騎馬戦の犯人、同じくヒーロー科森岸詠士!!』

 

 

「ちょ、犯人って何!? 俺何も悪いことしてませんよね!?」

「いや十分やってたろ……」

 

 

 やってました。ミッドナイトさんコイツです。

 

 

 少し話は変わるが、森岸は試合開始前に【魔法】を使ってはならないとミッドナイトから通達されている。

 

 別に森岸に限った話ではないのだが、試合が始まる前に個性を使用して諸々の準備をすることは禁止されている。

 例えば八百万百。彼女の個性【創造】で試合前に武器を手にしていれば没収される、或いは使った時点で反則扱いになる。

 

 森岸の【魔法】も同じ。試合開始前に【魔法】を使っていれば解除させ、途中で発覚した場合は反則負けとなる。

 

 

 そしてこのルールは上鳴にとってあまりにも嬉しい追い風になっている。

 

 というのも森岸はスロースターター……という程でもないが時間をかければかけるほど手がつけられなくなるタイプだ。

 どうしたって【魔法】による強化というステップを挟む必要がある為、他の個性と比較した場合一手遅れることになる。

 

 その一手。森岸のエンジンがかかる一手目で森岸を打倒せしめることが叶えば。第二試合の轟がしていたように、瞬殺という芸当を見せつけられる。

 

 

『レディィィ……!』

 

(いくぜ……瞬殺……!)

 

 

 

 

『START!!』

 

 

「先手必勝ォ!!」

「お?」

 

 

 上鳴が取った作戦は開幕ブッパ。時間経過で勝ちの目がなくなっていくのならば、始まった直後こそ最も勝つ可能性が高い。少なくとも上鳴はそう判断した。

 

 眩いスパークがステージを満たす。どこにも逃げ場はなく、また上鳴の許容量(キャパシティ)が許す限り放電は続く。

 ほんの一瞬耐えられる程度ではどうしようもない、電撃の広範囲飽和攻撃。頑丈さに秀でた切島でさえ耐えられるか危ういだろう。

 

 時間にして10秒。思考回路は反動でショート寸前。あと0.5秒長ければウェイウェイと鳴き声を上げていたであろう、ギリギリまで放電を続けた。

 

 

(どう、なった……?)

 

 

 有り得ないとは思うが、森岸が無事であったならばもう勝ち目はない。そう思いながらゆっくりと顔を上げると───

 

 

 

「──初手ワンパン狙い。判断は悪くないな」

「はぁ……!?」

「それだけに惜しい。残念ながら火力……いや電力不足だぜ上鳴」

 

 

 まるで堪えた様子のない、明らかにノーダメージの森岸が立っていた。

 

 

 かつて相澤にも語った話だが、森岸は誰に言われるでもなくアホみたいなトレーニングをずっと積み重ねてきた。

 

 時には限界まで【補助魔法】を持続させて蓄積した負荷を受け止めたり。時には死ぬ寸前まで【補助魔法】を重ねがけして身体を破裂させていたり。

 

 小学三年生から始まった日常的な殺人的トレーニングの結果、森岸は見た目よりもずっと打たれ強くなっているのだ。

 痛みにも疲労にも慣れてしまい、その気になれば手足を吹っ飛ばされても回復しながら戦って時間稼ぎをするくらいの芸当をこなせる程だ。

 

 コイツに勝ちたかったらなるべく初手で意識を刈り取らなきゃいけないのに、並大抵だと普通に耐えて反撃してくるバグみたいな挙動。それが森岸だ。

 

 

 上鳴からすればこんなに理不尽な話もない。最も勝つ可能性が高い作戦を取って、それでも全然勝てそうにないなんて。

 

 残念ながら上鳴。君の目の前にいるのは年単位で自殺みたいなトレーニングを繰り返した真性のイカレポンチだ。南無。

 

 

「一応放電されてる最中に【スカラ】と【ホイミ】も使ってたし……うん、問題なし」

「なん、じゃ……そりゃあ……」

「そんじゃあ、俺の勝ちってことで、な!」

 

 

 こうなってはどうしようもない。目の前でグルリと回る森岸を眺めることしかできず、無造作に放たれた回し蹴りに吹っ飛ばされて場外。

 

 まさかの個性ではない素の耐久力によって耐えられての敗北。そんなんありかよ、という上鳴の呟きは誰にも聞こえなかった。

 

 

「ウェーイ……」

 

『決まったあああ! 森岸詠士、2回戦進出決定!!』

 

 

 

 

 ちなみにその後、そのまま放置も可哀想なので【ホイミ】をかけてあげた模様。でもショートは据え置きなんだね。

 

 

 






 【森岸詠士の倒し方】

・その1…【魔法】が増える前に倒す。

 時間をかけるとどんどん強くなる。その前に速攻を仕掛けて倒そう! 初手で倒したい場合は複数ヒット技よりも一撃技を選ぼう! じゃないとダメージを受けてる最中に回復したり強化したりして普通に耐えられちゃうぞ!


上鳴「何このクソボス」
耳郎「アレでしょ。ムラっけオニ〇ーリ的な」
森岸「俺あそこまで酷くないでしょ」
上鳴「いや酷い」
森岸「(´・ω・`)」


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