魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.【アタカンタ】強すぎじゃない?
 A.持続の短さとインターバルで調整が入ってる。あと本人の読みと相手の攻撃力依存なので強いかどうかは森岸次第。

 Q.【アタカンタ】貫通って可能なの?
 A.ぶっちゃけ無理。攻撃にドンピシャで合わせられたら問答無用で跳ね返される。

 Q.オールマイトでも無理?
 A.オールマイトでも貫通は不可能。でも神野の描写的に一発や二発くらいなら跳ね返されてもそのまま殴り勝てるから関係ないと思う。



 《お詫びと訂正──4/13 19:16より記載》

 感想欄にいくつかのご指摘を頂き、改めて読み返した所前回までの主人公との主張や行動と食い違う部分が目立ったので一部文章を変更させていただきました。

 こちらの文章は次回前書きにも記載します。

 出したものを引っ込めるような行いですがご理解の程よろしくお願いします。






20.体育祭閉幕

 

 

 

 どれだけ楽しく激しい祭りであっても、必ず終わりの時がくる。

 

 雄英体育祭1年の部も然り。

 

 敵の襲撃を乗り越えたという将来性抜群の話題から始まった注目も、いざ終わってみればご覧の通り。

 同率3位を含めたトップ3の顔触れは全てA組。他科は下馬評を覆すに至らず、A組は一時的な注目から確かな期待へと変えて見せた。

 

 そんな栄えある成績を残した彼らを称えながら、体育祭の幕が降りるのだ。

 

 

「それではこれより! 表彰式に移ります!」

 

 

「うわ……何あれ……」

「治療された瞬間にリベンジ挑もうとして拘束されたらしい」

「森岸の【魔法】付きらしいぜ」

 

 

 

「……オホン、彼らに拍手を!!」

 

 

 だから目を逸らすなミッドナイト。目の前で鎖ガッシャンガッシャンしてる爆豪から逃げるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決勝戦直後のこと。派手なカウンター……カウンター? まあとにかく分からん殺しの反射によって場外へと吹っ飛ばされた爆豪はすぐに回復が行われた。

 

 想定外だったのは爆豪の意識があったこと。どうも【爆破】の個性の持ち主ということもあるのか、自身の必殺技である【榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)】をそっくりそのまま返されたというのに重傷とまではいかなかった様子。

 

 しかし周囲の人間は爆豪は気絶しているとばかり思っていたものだから、起きていると分かっていれば絶対近づけなかった森岸に回復を頼んだ。頼んで、しまった。

 

 

 ──負けたまま終われっかァ!!

 

 

 と、元気いっぱい殺る気満々の第一声をぶちかました爆豪。ギョッとしている森岸に爆撃──なんてことはせず、リベンジマッチすんぞゴラァ!! と喚き散らす。何で微妙に正々堂々としとるんだお前は。

 

 当然そんな事が許されるはずもなく、即座に教師達が取り押さえにかかる。ついでに森岸もそっと触れて【ヘナトス】を使用。あっという間に爆豪は取り押さえられた。

 

 

 

 で、今にも比喩抜きで爆発しそうな爆豪を何とか拘束し、表彰台へと連行したのがつい先程のこと。2位の姿か……? これが……。

 

 尚、3位決定戦がない為に3位の台には轟と常闇の2人が立っているのだが、ドン引きしている常闇と俯いたまま静かな轟と対照的な様子だ。

 

 色々思うところはあれど進行を務めなければならないミッドナイト。何とか咳払いで誤魔化しつつメダル授与へと進む。

 

 

「今年メダルを贈呈するのは……勿論この人!!」

 

 

 

「私が!!」

「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」

     「メダルを持ってきたァ!!」

 

 

 

「……!」

「被った……」

 

 

 ……とりあえず、メダル授与だ。

 

 まずは3位の2人。常闇と轟に銅メダルがかけられる。それとオールマイトからの褒め言葉と、アドバイスも。

 

 

「常闇少年おめでとう!」

「もったいなきお言葉……」

「ただ! 相性差を覆すには個性に頼りきりじゃあダメだね。もっと地力を鍛えれば取れる択も増えるよ!」

 

「轟少年も、おめでとう!」

「……はい」

「炎……何か、いいキッカケでもあったかい?」

「……緑谷戦でキッカケをもらって、森岸に追い詰められて……少し、吹っ切れました」

「……」

「ただ……俺だけじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないものがまだある」

 

 

 それから2位。猛獣の如く荒ぶる爆豪は正直オールマイトでもちょっと怖い。どれだけ強くても猛犬注意の表示に怖くなるのと同じ心理かもしれない。

 

 とはいえご丁寧に手枷足枷に加えて口枷まで着けられたままではあんまりだ。恐る恐る外してみれば特に吠えるでも放送禁止用語を吐くでもなく、歯を食いしばってオールマイトを睨みつけた。

 

 

「えーっと……爆豪少年? とりあえずおめでとう……と言いたいんだけど、不服そうだね」

「っ……たりめーだろ……! あんな宣誓しといてこんな結果、満足できっかァ!!」

 

 

 その辺は自業自得では? と言いたい所だが、あれも自分なりに自分自身への発破をかけたかっただけだろう。

 トップを目指しどこまでもストイックにひた走る姿勢には感服だが、それはそれとして表彰式中くらいはTPOを考えて欲しいのが大人である。

 

 それに結果は結果。この先爆豪が何度誰に勝利しようとも、今日この日の体育祭の結果は覆らない。百の勝利も千の功績も、たった一つの黒星を消してはくれないのだ。

 

 

「受け取っとけよ! 傷として、忘れぬよう!」

「ンな半端いらねェって言ってんだろうが!!」

「まあまあ……」

 

 

 頑なに銀メダルの受け取りを拒絶する爆豪だが、ただでさえ拘束されているのにNo.1ヒーローのパワーに勝てるはずもなく。

 最後には半ば無理やり首にかけられ、鈍く輝くメダルを忌々しそうに睨んでいた。

 

 

 そして最後。未だ底知れぬ手札の森岸。堂々たる仁王立ちでオールマイトを待ち構えていた。

 

 

「……すんごい堂々としてるね! 森岸少年、おめでとう!!」

「あざっす!」

 

 

 どこか沈んだ様子の3位達と論外の2位と比べてあまりにも健全な笑顔。うーん、いい顔してやがる。

 

 オールマイトからすれば返しても返し切れぬ恩がある恩人であり、同時に将来が楽しみな(末恐ろしい)生徒。いつものアメリカンな笑みを浮かべながら口を開き──どこから褒めてやればいいものか一瞬言葉に詰まった。

 

 とりあえず濁しつつ楽しみだね! 的な方向でいこう。そう決めたオールマイトは今度こそ話し始めた。

 

 

「いやはや……あれだけの激闘を制して尚、まだ君の底が見えないとはね! どうか驕ることなく精進してくれ!」

「そりゃあもう、頑張りますよ。俺の目標は貴方みたいな最強なんですから!」

「ふふ、待ってるよ!」

 

 

 ちょっといい感じに締められたんじゃないだろうか、と自画自賛のオールマイト。ヒーローとしては超一流でもこういうところは三流らしい。

 

 一応、オールマイトを目指しているという優勝者とオールマイトの硬い抱擁は体育祭の締めとしては十分な説得力を持っていたらしい。ミッドナイト先生もこれには「ふふふ……青春!」とご満悦な様子。

 

 

「さァ! 今回は彼らだったけども、この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!」

 

「ご覧頂いた通り! 競い、高め合い! 更にその先へと登っていくその姿!! 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!」

 

 

 他でもない、オールマイトからの言葉。オールマイトも人である以上、いつかは必ず限界が訪れる。

 

 その時、日本は平和の象徴を失ったと見るのか。それとも──次世代へと託されたと受け取るのか。まだ誰にも分からない。

 

 けれど今日。何も無いということにはならないと証明して見せた。新たな芽は育っているぞと、世界に見せつけた。

 

 ルーキーの誕生を喜ぶ者、ライバルが生まれる可能性を危惧する者。次世代への期待を膨らませる者、現実的な思考を働かせる者。観客やプロヒーローの反応は十人十色。

 

 一つだけ確実なのは、ヒーローの意志は途絶えないということだ。

 

 

「てな感じでね! 最後に一言!! 皆さんご唱和ください! せーの!!」

 

 

 

『Plu「お疲れ様でした!!!」ltra!!!』

 

 

 

 

 ……それと、オールマイトが思ったよりポンでコツなことも。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで体育祭も終わりまして。今日と明日は休みになりました。やったぜ。

 

 にしてもやっぱ雄英体育祭の影響力って凄いのな。下校途中からもう色んな人に声をかけられた。早くない? 皆さん仕事だったり学校だったりするんじゃないの? 休みだって? そっかあ……。

 

 体育祭当日は家に帰ったら響香のご両親とうちの両親が勢揃いで待っており、何かを言う前に『おめでとー!!』に埋め尽くされた。勢いが凄かった。

 

 そういや俺らにとっては学校行事になるんだけど、世間には国民的な祭典で優勝した超有名人になってるのか。今更自覚したわ。

 そりゃあ高らかに『今日は良いとこに食べに行こう!』とか言うわけだ。焼肉美味かったっす。

 

 それでも体育祭で疲れていたらしく、家に着いた時には響香は既に寝息を立てていた。何故か響香のご両親から部屋まで運んであげて欲しいと言われたのは何だったんだろうか。軽いからいいけども。

 

 

 そして今日はその体育祭の翌日で休みの日。体育祭2年と3年の部の録画を見よう……と、思っていたのだが。

 

 いきなり相澤先生から電話がかかってきた。それも朝早くに。

 

 何事ですか? と尋ねてみると頼みたいことがある、と。まあ録画した映像は逃げないので言われた通り制服を着て雄英高校まで来てみると。

 

 

「来たか。来て早々悪いが、また移動だ」

「へ?」

「今から保須市の病院に行く」

「病院?」

 

 

 相澤先生……と、リカバリーガール。病院? てか保須市って、俺らが体育祭やってる間にヒーロー殺しが出た所では?

 

 そんな危険な所に何しに行くんです? と聞いてみると、車の中で視線をこちらに向けないまま相澤先生は話し始めた。

 

 

「……飯田の話は聞いたよな? 飯田のお兄さん──ターボヒーロー・インゲニウムの件」

「ああ……はい」

「"ヒーロー殺し"ステインに襲撃され、現在は下半身麻痺の状態にあるという」

「…………まさか俺に治してくれ(・・・・・)ってことですか?」

 

 

 おいマジか。無言はやめてよ相澤先生。こういう時の無言は基本的に肯定と同じでしょ。

 

 

 先に言っておくと、多分治せる。オールマイトを治せたのだからインゲニウムも治せるはずだ。

 

 とはいえ、治せるからといって片っ端から治していいものかという疑問もある。

 

 そりゃあ俺の【ホイミ】やら【ベホイミ】やらは恐らく不治の病さえ回復という概念で上書きしてしまえる。

 だがそんなことをすれば医療に携わる人は職を失うし、一人を治したら他の全員も治さなければ不公平だという奴が必ず出てくる。

 

 加えてオールマイトの時と異なり、今回の一件は世間に知られてしまっている。普通にネットニュースでも出回ってしまっている事件を翌日に『なんか無事でした』と軽く覆せるのか?

 

 いくら同級生の家族でプロヒーロー相手で、その指示を出したのがプロヒーローである先生方だとしてもだ。まだ資格も持っていない学生にそんな不安まみれの案件を寄越していいのだろうか。

 

 

「……ここだけの話、お前は公安(・・)に目をつけられている」

「────は?」

「そりゃそうさ。あんた、あのオールマイトを治しちゃったんだから」

「それは…………まあ」

 

 

 公安って……何かと陰謀論の的になったり黒い噂が絶えないっていう。いや多分陰謀論や噂じゃない事実もいくつかあるとは思うけども。

 

 確かにあの状態のオールマイトすら回復させられたという事実は公安にとっちゃ色んな意味で無視できないだろうよ。五年前の重傷を後遺症ごと治したしな。

 しかし目をつけられている? まるで俺が悪いことでもするんじゃないかと疑われているようであまり気分はよろしくない。

 

 

 なんて思っていると相澤先生が理由を教えてくれた。

 

 どちらかと言えば俺の【魔法】による利益より、俺の【魔法】が(ヴィラン)に利用されることの方が怖いのだと。

 故に公安としても俺に無差別かつ公平な回復等を要求するつもりはなく、経歴がハッキリしている人物──それこそヒーローのような者達限定で使って欲しいそうだ。

 

 

 ……つまりあれか。俺が一番嫌な『後方支援だけして欲しい』って事が言いたいわけか?

 

 だとしたら舐められてるなんてもんじゃないな。少なくとも俺は既に二度(・・・・)もお断りしたはずだが。

 

 

「今回の件はその試金石……加えてオールマイトの回復が唯一無二の奇跡ではないことを確認する為にもやって欲しいそうだ」

「私らとしては……何も、言えないねえ。特に私は、治せるなら治してあげて欲しい……それくらいしか言えないよ」

 

 

 クソ、これだから公安は。話がしたけりゃ俺に直接持ってくればいいものを、わざわざ回りくどい方法で人を仲介させて巻き込むんじゃねえよ。そんなんだからあの人やあの子も───

 

 

「……着いたぞ」

「あ、はい」

「さっきも言った通り、今回は公安からの依頼でもある。個性を使ったからと言って処罰されたりはしない」

 

 

 覚えてろよ公安。いつか俺がオールマイトレベルのトップクラスのヒーローになった日には仕返ししてやっからな。具体的には三日くらい【ヘナトス】かけっぱなしにして疲れやすくしてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで……これはどういう状況なんです?」

「……お前の兄が足が治ったことが嬉しすぎたみたいでな。喜びの感情とお礼をしなきゃという感情が混ざったらしい」

 

 

「ご、ごめーん!! 大丈夫か!?」

「いいから離れな! 今から治癒するって言ってんだろ!」

「は、はいぃい!!」

 

 

「……それでベッドから跳ね起きて【エンジン】まで使いながら森岸に飛びついてこのザマだ」

「兄が申し訳ありませんっ……!!」

 

 

 ねえ何で俺の後頭部から血が出てるの? 何で【エンジン】使ってまで飛びついてきたの??

 

 

 






 以下過去二回の公安とのやり取り。
 どっちも中学に上がったばかりの頃の出来事。


⬛︎⬛︎「こんな子供を公安にスカウトしてこいって? とうとう上はおかしくなっちまったのか?」
森岸「大変ですね」
⬛︎⬛︎「本当にな……決めた、あんな所にいられるか。私はもう降りる。ふざけやがって……」
森岸「その前に【ホイミ】あげますね」
⬛︎⬛︎「あっあっ肩凝りが消えあっあっ」
森岸「うわエッチだ」


●●「やあ。公安の勧誘蹴ったって?」
森岸「うわでた食らえ【ヘナトス】」
●●「躊躇ゼロ!? というか俺の前でサラッと個性の違法使用すんのやめて!?捕まえなきゃいけないじゃん!」
森岸「だって前の人から次来たらそうしてやれって」
●●「何吹き込んでるんだあの人……てか何今の」
森岸「パワーデバフ。あと疲れやすくなる」
●●「えっ」
森岸「ご飯食べてすぐ動けなくなるくらいには身体がダルくて重くなる。風呂を明日の朝に回したくなるくらいまでは確実に疲れるようになる」
●●「滅茶苦茶地味だけど普通に嫌な効果だな!?」




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