《お詫びと訂正》
感想欄にいくつかのご指摘を頂き、改めて読み返した所これまでの主人公との主張や行動と食い違う部分が目立ったので前回の一部文章を変更させていただきました。
出したものを引っ込めるような行いですがご理解の程よろしくお願いします。
Q.公安嫌い過ぎない?
A.アンチ・ヘイトのタグの矛先なので多少無理やりな所はある。ついでに言えば未成年にいきなりスカウトしに来るなという話でもある。
Q.オールマイト治したのに渋ったのなんで?
A.雄英内での話だから引き受けた。飯田兄は雄英の外での話なので『これ大丈夫なやつ?』と少し心配になった……ということにしておいてください。
21.コードネームって響きがもうカッコイイよね
体育祭から二日。代休を経てすっかり疲労も興奮も抜け落ちた生徒達に対し、体育祭の余熱は未だ世間を賑わせている。
一大イベントを乗り切った彼らはいつも通りのつもりで家を出て、体育祭の視聴者に声をかけられるまでそう時間はかからなかった。
中にはバスや電車の中で揉みくちゃにされかけた者もいたらしく、雨が降っていることもあってか校門に着いた時点で既に疲れたような顔をしている生徒が散見された。
注目を集めていた1年A組も例外ではなく、教室を覗いてみると登校中に何があったかを語り合っている様子。上鳴や瀬呂なんかは小学生から『ドンマイ』と言われたりしたそうだが……まあ、ドンマイ。
やや騒がしい朝だがそれも相澤が教室に入れば嘘のように静まり返る。すっかり調教されつつあるね君達。
「おはよう。いきなりだが今日のヒーロー情報学はちょっと特別なことをする」
「特別?」
「ああ。体育祭前にも話していた事に関わってくる」
「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」
「「「胸膨らむヤツきたああああ!!!」」」
コードネーム。それはヒーロー活動をする際に本名とは別に名乗る別の名称。
いつから始まったのか、何故名乗るようになったのか定かではないが、少なくとも現代社会においては個人情報の漏洩を防ぐ等の目的があるとされている。
そしてもう一つ。名が体を表すという言葉があるように、自身の理想像や能力由来の名前をつけることで世間に認知してもらう、或いは同業者に負けない知名度へと繋がる。
何故そんな大切なものをいきなり考案するのかと言うと、体育祭前から話されていた『プロからのドラフト指名』が関わってくるという。
これは言わばヒーローにおける内定のようなものであり、ドラフト指名が本格的になるのは2.、3年生になってからだ。
今年、つまり1年生の時点で届いたドラフト指名はそうした内定というより、貴方の将来に興味を持ちましたという意味合いの方が大きい。
「卒業までにその興味が削がれ、一方的にキャンセル……なんてことはよくある」
「大人は勝手だ……!」
「頂いた指名がそのまま自身のハードルになるんですね!」
「そう。それで、体育祭を経ての指名の集計結果がこうなった」
森岸…5,017
轟…3,981
爆豪…3,464
常闇…360
上鳴…301
飯田…272
八百万…108
耳郎…43
切島…42
麗日…20
瀬呂…14
砂藤…9
例年はもっと全体的にバラけている、とは相澤の談。しかし今年に限っては上位三名に特に注目が偏っていた。
二位の爆豪と三位の轟で指名数逆転してね? とか来ると思わなかったものだから前の席の人物をユサユサするとか。反応は様々。
一人で五千もの指名をもらった森岸はというと、然程嬉しそうではないようだ。
「森岸さんも轟さんもさすがですわね……」
「俺はほとんど親の話題ありきだろ」
「俺の方も【魔法】目的だろうしなあ……下手な所選ぶとサイドキック辞めさせてくれなさそうだし」
どうせ
そしてこれらの結果を踏まえた上で、指名の有無に関係なく職場体験に行ってもらうと相澤は話した。
USJの一件で体験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りのある訓練をしようということだ。
そして職場体験という形ではあるけれど、ヒーロー活動をするとなればコードネームが必要になるというわけで。
仮とは言え適当なものをつけるのはやめておけ、と相澤が忠告をしようとしたその時。
「地獄を見ちゃうよ!! この時の名が、世に認知されてそのままプロ名になってる人多いからね!」
「ミッドナイト!?」
「……まあそういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのはできん」
カツン! とヒール音を鳴らしてミッドナイトが割り込んだ。相澤は既に丸投げの構えに入りつつある。おい担任。
前の方からフリップが回され考案する時間が与えられる。一人悩む者や左右の同級生にどうしようかと相談したり、15分程の時間が経過した。
するとミッドナイトが突然こう告げたのだ。
「じゃ、そろそろできた人から発表してね!」
「「「!!?」」」
意外ッ! それは発表形式ッ!!
いやまあ最終的には人前で堂々と名乗るものなんだから恥ずかしがってちゃ話にならないというのは分かるけども。
それはそれとしていざ真剣に考えたコードネームの発表となれば度胸がいる。幼い頃のヒーローごっこのように躊躇いなく名乗るのは些か二の足を踏まされる。
そんな中、堂々と手を挙げたのは青山優雅。【ネビルレーザー】というヘソから出てくるレーザーを武器とする彼のコードネーム(仮)はなんなのか。
「輝きヒーロー"
「短文じゃねえか!?」
なんだその短文。一分一秒を争う現場で聞こえてきたら耳を疑うぞ。というか文字数制限とかないんですかミッドナイト。ない? そっかあ。
いいのかそれ……と困惑する生徒らに対しミッドナイトは冷静に「Iを取ってCan'tにした方が呼びやすいよ」と指摘。違うそうじゃない。もっとあるだろツッコミ所。
「じゃあ次アタシね! 強酸ヒーロー"エイリアンクイーン"!!」
「血が強酸性のアレを目指してるの!? やめときな!?」
おっとボケの第二波。まだ第一波すら処理し切れてないんですが。
流石にミッドナイトもクリーチャー映画から持ってくるのはやめとけとストップをかけてくれた。尚、他の生徒は他の生徒で大喜利みたいな雰囲気になったせいで自主的にストップ中。これはしゃーない。
アレな二人でスタートしたせいで次の発表者がとんでもない貧乏くじに化けてしまった。この空気で名乗りをあげる人物などどこにも──
「じゃあ次、私いいかしら」
「梅雨ちゃんさん!?」
「小学生の時から決めてたの。"
──
大喜利の空気がとっぱらわれてしまえば話は早い。梅雨ちゃんさんに続いて切島が『
決まった者から続々と発表は続く。
ヒアヒーロー・イヤホン=ジャック
触手ヒーロー・テンタコル
テーピンヒーロー・セロファン
武闘ヒーロー・テイルマン
甘味ヒーロー・シュガーマン
おそらく見た目から……
スタンガンヒーロー・チャージズマ
ステルスヒーロー・インビジブルガール
万物ヒーロー・クリエティ
名前そのまま……ショート
漆黒ヒーロー・ツクヨミ
モギタテヒーロー・グレープジュース
ふれあいヒーロー・アニマ
「爆殺王」
「そういうのはやめた方が良いわね」
急に論外が出てきた。あの、人助けの職業であるヒーローの名前ですよ? 『なんでだ!』と抗議してるところ悪いけどむしろどこがいいと思ったの?
また大喜利に空気が持っていかれるかと不安にもなったが、その後麗日による『ウラビティ』の発表でどうにか舵取りに成功。セーフ。
残りは再考を突きつけられた爆豪、そしてまだ未発表の緑谷と飯田と森岸の四人だ。
「んじゃ俺が」
「お、決まった?」
ならばと一人前に出たのは森岸。あの膨大な手札を一言で言い表す名をどう拵えたのか。
「万能ヒーロー・"レックス"!これでいきます」
「万能……まああなたくらい手札があればそう名乗っても許されるでしょうね。レックスは何か由来とかあるの?」
「ラテン語で『王』とか『支配者』って意味があるらしくて。最強目指すならこれかなと」
少々爆豪が睨んできているがまあ大丈夫だろう。やはり男子はいつになっても最強を目指すものらしい。
その後、飯田は物凄く葛藤を繰り返したらしい様相で『インゲニウム』を継ぐと発表。緑谷は蔑称として使われていた『デク』を肯定的に捉えてくれた人に応えたいという意思を示した。
残る爆豪はというと。
「爆殺卿!!」
「違うそうじゃない」
「まず殺すな」
……ミッドナイト先生頑張れ!
◇
コードネームの考案が終われば今度は職場体験先の選定か。指名がなかった人は学校の方でオファーしておいた事務所の方に行くらしいが、俺一人で五千件もあるんだよな……これ全部確認すんの?
とりあえず見覚え・聞き覚えのある事務所から確認してみるか。えーっと……うわっ。
「どしたの?」
「……ちょっと想像以上のビッグネーム揃いでビックリした」
「どれどれ……うわホントだ」
No.2のエンデヴァーから始まりエッジショットにクラスト、ヨロイムシャやらリューキュウやらミルコやら……まず知らない人はいないレベルがズラリ。
少し下の方でもワイルド・ワイルド・プッシーキャッツにシンリンカムイ……え、この中から一つだけ選べと? マジで?
一旦整理しよう。俺が求めるものはなんだ、将来どうなりたいのかを思い出そう…………あれ?
俺どんなヒーローになりたいんだっけ……?
「……なんかスゲー初歩的なところで躓いた。どうしよ」
「え、何。どしたの急に」
そういえば俺、サイドキックで終わりたくない! 以上のことあんまり考えてなかったな。オールマイトみたいな最強になりたい、くらいの曖昧な目標しかなかった。
何でそう思うようになったんだっけ? あの日から『サイドキックなんて嫌だ』と思い始めたのは覚えてるんだけど、それよりもっと前になんかあった気がする。
あれは確か───
「なあ森岸! お前宛の指名どっから来てるか見せてくれよ!」
「え、あ、おう……」
「あっ! コイツミルコからもリューキュウからも貰ってやがるぜ!! オイラなんか一つも来てないのに!」
「マジで!? うわ本当だ! いいなー!」
いきなり呼ばれたかと思えば騒がしいな。峰田はともかく上鳴には指名来てたんじゃないのか? 少ないからすぐ決まった? そうか。
それで、何の話だったか。そう、どこに職場体験しに行くか、だ。
戦闘力を伸ばしたいというのは勿論あるが、現状だとどうも行き詰まってる気がしている。トレーニング自体は身になってるけど、そこから先に行ってないというか。
それならいっそ今は割り切って戦闘とは別方面の能力を持っているヒーローのところにでも行ってみようか。もしくは普通にエンデヴァーとか。
「で、決まったの?」
「おう。とりあえずここにする」
天秤にかけてみても大して差はないし、それならこっちにしようかな。
緑谷「飯田くん……インゲニウムって……」
麗日「……今はそっとしといた方がいいと思うよ」
緑谷「……うん」
飯田(言えない……! 既に治ってるけどヒーロー殺しが再度襲撃してくるかもしれないから休業してるだけだなんて言えない……! インゲニウムの名前もヒーロー殺しが捕まるまで任されただけだなんて言えない……っ!!)
※割とすぐヒーロー殺しが捕まって頭を抱える事が確定している飯田君を温かい目で見守ってやってください。