魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.コードネームなんか元ネタあるの?
 A.森岸の見た目はドラクエⅢとⅥの主人公達を足して二で割ったような見た目という設定があり、それぞれのデフォルトネームの組み合わせ。

 アルス(Ⅲリメイク版)+レック(Ⅵ)=レックス

 ついでにⅤの勇者の名前でもあります。

 Q.【魔法】要素ないけどいいの?
 A.憧れがオールマイトの脳筋だから大丈夫。

 Q.この時点でインゲニウム継がなきゃよくね?
 A.真面目な飯田君はお兄さんの頼みを無視できなかったのです。あとお兄さんもヒーロー殺し案件は長引くと思ってたんです。





22.あなたの指名はどこから?

 

 

 

 ドタバタヒーロー名考案&ドラフト指名の見せ合いが終わった放課後。指名がなかった緑谷は雄英側で用意していた四十名のヒーロー事務所の事を考えていた。

 

 雄英から探しただけあって事務所の特色も様々。敵退治は勿論のこと、事故や災害対応においても水難だったり火災だったりと得意分野は大きく異なる。

 今の自分には何が足りていないのかを考え、それを学べる事務所を探そう……と思考回路にリソースを割き過ぎたのがいけなかった。

 

 ガラ、と教室の引き戸に手をかけ帰路につこうとし──目の前にオールマイトが現れた。

 

 

「わわ私が独特の姿勢で来た!!」

「ひゃっ!? どど、どうしたんですかそんなに慌てて……」

 

 

 90度のお辞儀をしながら顔を上げた状態でスライドのように登場。独特を通り越して『何その挙動……?』という疑問しか出てこないんですが。

 

 一体何事かと問うてみるとひとまず一緒に来いという。今度はどんな内緒話をするつもりなのだろうか。

 

 

「……君に指名が来ている。それも、二つ」

「え!? 本当ですか!?」

「ああ……片方はかつて雄英で一年間だけ教師をしていた、私の担任だった……グラントリノという方だ」

「グラン、トリノ……」

 

 

 曰く、オールマイトより一つ前の後継者……七代目にあたる【ワン・フォー・オール】所有者の盟友。それがグラントリノ。

 

 そんなに凄い人が! と喜ぶ緑谷に対し、オールマイトはどうにも冷や汗を隠せていない。

 

 

 ……これは後に知らされる話なのだが、オールマイトもまたグラントリノに鍛えられていた。

 

 問題はそのやり方。器としての身体はできていたからと、ひたすら実戦訓練を繰り返して血反吐と胃の内容物を吐かせまくっていたのだ。

 

 敢えてかつての名前を出して指名をしてきたということはそういうことだろう。

 

 オールマイトは己の指導力不足を自覚していることもあり、かつてのスパルタ教育っぷりを思い出して震える足を止められない様子。弟子はもう不安と恐怖でいっぱいだ。

 

 何とか空気を変えようと緑谷はもうひとつの指名について尋ねた。

 

 

「お、オールマイト! もう片方はどこから……?」

「ん……ああ、そういえば言ってなかったね。こちらは何故君に来たのか分からないが……レディ・ナガンからだよ」

「なっ……!? れ、レディ・ナガンですか!?」

「いや本当に何で来たんだろうね……? 相澤君達も首を傾げていたよ」

 

 

 そのもうひとつは、レディ・ナガン。このヒーロー飽和社会をして遠距離最強(・・・・・)と言わしめる実力者。

 

 

 レディ・ナガンが何故緑谷を指名したのかが誰にも分からない。だって誰がどう見てもナガンの事務所と緑谷に共通点がないんだもの。

 

 それに彼女はある日突然休業を発表し、いつの間にかひょっこり復帰していた事がある。かと思えば何やら新顔のサイドキックを増やしたという噂もあるとか。

 

 そうした点も踏まえて今の雄英はレディ・ナガンの事をあまり把握できておらず、この突然の指名にも困惑しているのが現状だ。

 

 

「相澤君も『行く分には止めない』とは言っていたが……今回はグラントリノを優先して欲しいかな」

「は、はい……」

 

 

 疑問は残るけれど、今は【ワン・フォー・オール】が最優先。レディ・ナガンには悪いが今回はグラントリノを選ぶ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 時は流れ職場体験当日。

 悩んでいた少年少女も既に決断を済ませ、これからどんな体験が待ち受けているのかに胸を踊らせている。

 

 移動は新幹線。中には九州まで移動する者もおり、雄英ならではのフットワークの軽さはまさに全国規模。コスチュームを抱えて西へ東へと見聞を広めに行く。

 

 

 その中に一人。不安そうに見つめられる飯田天哉。

 

 彼の職場体験先はマニュアルというヒーロー事務所で、先日のヒーロー殺しによるインゲニウム襲撃が起こった保須市に向かうことになる。

 

 緑谷と麗日からすれば気が気でない。まさかヒーロー殺しを探し出して復讐しようとでもしているんじゃないだろうかと、言葉にはせずとも心配されている。

 

 

(視線が痛い……! 間違いなく心配してくれている……心が痛い……!!)

 

 

 尚、当人は別ベクトルで悩んでいる模様。違うんです、復讐なんて考えてなくってぇ……ただ兄がどんなところで仕事してるのか知りたいだけでして……。

 

 などと背中に刺さる視線に罪悪感を抱えつつ、なんなら心配そうに声までかけられてしまったものだから逃げるように去ってしまった。誤解が加速するだろその挙動。

 

 

 一方森岸。先に移動した耳郎を見送り、自分も移動を始めようか……としていたところなのだが。

 

 彼の足には何故か血涙を流しながらくっついている峰田が。流石に【もぎもぎ】を使ってはいないけれど、こういう時ばかりはやたら引き剥がしにくいのはなんなんだお前。

 

 

「お前も結局オイラと同じ穴の狢じゃねェかよォ……! ぬァンでお前には指名が来てオイラには来なかったんだあ……!?」

「そういうところだろ! つか離れろ!?」

「くそぅ、土産話持ってこなかったら許さねェからな!」

「……除籍されたいのかお前」

 

 

 そのうちブラックリスト入りすんぞお前。相澤の捕縛布に絡め取られ、ベリッと引き剥がされる峰田。マジの血涙にドン引きである。

 

 峰田にアイアンクローを喰らわせつつ、相澤は視線を森岸に向ける。

 

 

「お前も早く行け。待たせると向こうから跳んで来かねないぞ」

「まあ……みたいですね」

「彼女は事務所もサイドキックもない変わったヒーローだが……だからこそ学ぶことは多くある。さっさと行ってこい」

 

 

 相澤のアドバイスと峰田の悲鳴を受け取り、森岸も新幹線へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 事務所がないので現地集合、と指示を出され新幹線で1時間。東京のど真ん中で彼女は待っていた。

 

 

「おうよく来たな! 待ちくたびれたぜ!!」

「予定時間より数分早いくらいですよ……?」

「そんだけ楽しみにしてたんだよ! いやあ、競争率高ェと思ってたからラッキーだな!」

「はあ……えと、お世話になります。よろしくお願いします」

 

 

 健康的な小麦色の肌に輝くような白い髪。ルベライトの如き赤い瞳が真っ直ぐに森岸を見つめていた。

 

 

 

ミルコ(・・・)さん」

「おう!」

 

 

 ヒーロービルボードチャート上半期第8位。ラビットヒーロー・ミルコは楽しそうに笑った。

 

 

 

 

「で、こっちから指名しといてなんだが何しに来たんだ?」

「ええ……?」

 

 

 自己紹介も終わったところで早速ミルコは質問をぶつけていた。指名しといてそれはないだろ。

 

 ただこれは言い方が悪かっただけ。彼女の質問の意図をだいぶ頑張って汲み取ると──

 

 『君はこの私の下でどんな事を学びたくて、どんなヒーローになりたくてここに来たのか教えてくれないかな?』

 

 ──というものになる。分かるわけないだろ。

 

 それでも何となく何を聞かれたのかくらいは汲み取れたらしく、森岸は少し言いにくそうに口を開いた。

 

 

「曖昧な目的なんですけど……強くなりたくて来ました」

「……へえ?」

 

 

 強くなりたい……という明瞭なようで曖昧な目的。それを聞いたミルコは耳をピンと立たせてニヤリと笑った。

 

 『強さ』とは無数にある。例えば〇〇(りょく)という言葉から考えた時、腕力と学力は全くの別物。権力と財力は似ているようで異なる。

 そして力の数だけ『強さ』は存在し、また同じ力であっても種類の違う『強さ』がある。

 

 森岸が求めているのはおそらく戦闘能力。ならば彼が望む『強さ』はなんなのか。

 

 

 

 

「俺の手で戦いたい、他人任せじゃなく俺自身で全部やりたい……全部引っ括めての『強さ』が欲しいです」

「っ……ははは、なんだそりゃ! いいな! 欲張りな奴は嫌いじゃない!!」

 

 

 あまりに荒唐無稽。言語レベルが上がっただけで内容はそこらの幼稚園児のごっこ遊びと何ら変わらない。

 

 要は『何でもできる最強になりたい』ということだ。

 

 呵々大笑しながら背中をバシバシと叩くミルコ。その反応は予想外だったのか森岸の方がキョトンとしていた。

 

 

「あん? なんだその顔。馬鹿にされるとでも思ってたか?」

「いや……その、勿体無いって言われるかと思ってたんで」

「はあ?」

 

 

 森岸が驚いたのは自分の理想像を肯定されたことについて。ミルコは眉をひそめて理由を尋ねる。

 

 

 これまで森岸はそうした夢を語った時、大抵の人間は『勿体無い』と返す事がほとんどだった。

 素人目に見ても分かる破格の支援向き個性なのだから当然の反応だろう。そうした人々の意見は間違いではない。

 

 事実、もし彼がNo.2ヒーローのエンデヴァーのサイドキックになっていれば、オールマイトを下しNo.1ヒーローとして君臨する未来も有り得た。

 

 雄英に入ってからは一度も言われたことがないけれど、それは自分から話していないからでしかない。

 いつか複数のプロヒーローに真っ向から夢を否定されたらどうしよう、という不安を抱えたまま今日を迎えている。

 

 それだけにミルコがアッサリと肯定するものだからかえって驚かされたのだ。

 

 

「……まあ分からんでもないな。サイドキックがいねえこのミルコさんでもお前はサイドキックに欲しいくらいだし」

「……」

「でも、それがお前を一番活かせる運用かと言われっと違う気がする」

「……え?」

「んー……クソ、言語化できねえ。何て言えばいいんだろうな?」

 

 

 先程までの豪快さから一転。目を閉じて唸りながらああでもないこうでもないと脳内辞書を捲ってそれらしい言葉を探し始めた。

 

 しばらくそうしていたが、結局答えは出なかったのか自身の頬を手で挟み込むように引っぱたいた。

 

 

「だああ! 考えても分からん! とりあえず移動すんぞ!」

「え、あ、はい!?」

「言ってたろ? 事務所ないって」

「それは聞いてますけど、何処に!?」

「お前の泊まる場所だよ。予約してっし金はこっち持ちだから気にすんな!」

 

 

 考えるのが面倒になったらしくミルコは強引に会話を打ち切り、タクシーを呼び止めた。

 

 分かってはいたがかなり忙しない職場体験になりそうな予感を感じ取りながら、森岸はミルコに引っ張られるままタクシーの中へと乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、ミルコさんも同じ部屋なの!?」

「あん? 悪いかよ」

「悪いでしょ! こう、色々と!」

「しょうがねぇだろ? 空いてるのが二人部屋しかなかったんだから」

「もしもし相澤先生? ミルコさんに食われそうなんですが」

「食わねぇよ!?」

『……初日から何してるんだお前』

 

 

 あのちょっとミルコさん???

 

 

 

 







森岸「意外と私服は可愛い系なんですね」
兎山「慣れるの早いなオイ」
森岸「個人的にはこっちのトップスにロングスカート合わせるといい感じに俺好みです」
兎山「リクエストまでしてくんのかお前」
森岸「通販ならこういうのとかありますけど」
兎山「お、いいなコレ」


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