何だかんだで書き始めてから1ヶ月が経ちました。いつも読んでいただきありがとうございます。
Q.【インテ】で頭良くなるの?
A.情報処理能力が上がるので記憶力が良くなるし頭が冴えるようになる……が、それも元の能力値次第なので人による。
Q.【インテ】解けたら忘れちゃうの?
A.すぐには忘れない。その代わりしばらく酷い頭痛に悩まされる事になる。
Q.耳郎と一緒に勉強してた件について詳しく!
A.家がご近所さんで二人とも雄英を目指していたので勉強会をやっていた事があり、特に何も起こっていない。いつも通り(本人談)だったそうです。
学内バスが散っていく。それぞれの行先は雄英に複数存在する訓練場のどこか。
遠のいていくバスの中には対戦相手のプロヒーロー教師と運転手、それから事前に決定されていたA組の二人チーム。
その場に残ったのは『出張保健室』と書かれたテントと森岸のみ。
「なんでやねーん……」
オノマトペで表すのならばガーン、とかチーンとかそういう雰囲気。よもや同級生ではなく教師から仲間はずれにされると思っていなかった森岸はションボリとしていた。
少し時は遡り、演習試験の組み合わせについて会議を開いていた頃。
大体の組み合わせが決まりつつある中、ああでもないこうでもないと意見が飛び交っている生徒が一人だけいた。
「だあああ! まじで何なんだよ森岸リスナーは!? 誰と組ませても誰と戦わせても大して変わんねーじゃん!」
「どうやっても無難に終わるかあっさり終わるかにしかなりそうにないわね……かといって対策をガチガチにするには教師一人じゃ足りないし……」
「優秀過ギテ悩ム日ガ来ルトハナ」
森岸詠士。【魔法】により誰と組ませても弱点が帳消しになり、誰と戦わせても最終的には似たような回答を出されてしまう生徒。
テストと銘打ってはいるものの、その実態は各々に合わせた課題をぶつけるという目的がある。
例えば緑谷と爆豪はその仲の悪さを克服させる為、二人の方針が確実に食い違うであろうオールマイトをぶつける事にしている。
切島と砂藤であれば継続戦闘力。パワーと防御とわかりやすい強みを持つ二人だが、どちらの個性も長くは続かないという弱点がある。故に絶え間なく攻撃を続けられるセメントスをあてがわれる。
では森岸には課題がないのか? と言われるとそれは違う。しかし今回のテスト形式とはあまりにも相性が悪い……いや良すぎる。
「爆豪とか飯田みたいな近接型と組ませたらそれこそ【魔法】で強くなって向かってくるしなあ……」
「かといって轟君や上鳴君のような中遠距離型と組ませても頑丈かつ強力な前衛ができるし……」
「麗日少女や葉隠少女のような戦闘向けではない個性持ちならば……変わらないか。彼が引き付けて一発を通される可能性が高い」
森岸の強みはいくらでもあるが、そのうちの一つとして『状況に応じて不足している役割を埋めることができる』というものがある。
これが誰と組ませても強い理由。無数の【魔法】が不足している穴を埋めてしまうのだ。
敵に勝つパワーがなくとも、敵を振り切るスピードがなくとも、敵の攻撃を耐える防御力がなくとも。足りない部分を強引に補ってそのまま突き抜けてしまう。
なら一人だけ一対一で教師と戦わせるか? という案も出たが、その場合相手になるのは【魔法】を無効化できる相澤しかいないだろうとなるのだが……。
「アイツ【魔法】抜きでも結構強いぞ。放課後に何度か模擬戦をしていたが、10回中2回くらいは俺でも負ける」
「え、強くね?」
「相澤君が鈍ってるってことはないだろうし……ホント凄いわねあの子」
「それはともかく……放課後に何度もやっていることを期末テストでやるのは少し勿体ない。別の案はないか?」
既に何度も戦っている相澤としてはあまり気が進まない。期末テストというあまりない機会なのだからいつもとは違うことをしたい、と相澤は主張した。
それからもしばらくの間ウンウンと唸りながら考え続け、一時間ほど経った後にようやく結論が出せた教師たちだった。
そして現在。森岸はリカバリーガールと共にモニターで各個人の試験を見守っていた。
「おー……八百万さんと轟んとこクリアした」
「何だかんだ甘い男だねえ……」
最初の試験突破は八百万と轟。対戦相手はA組担任のイレイザーヘッド。
この演習試験のクリア条件は二つ。制限時間30分以内に『教師にハンドカフスをつける』か『どちらか一人がステージから脱出する』かのどちらかを達成すればいい。
教師側にはハンデとして体重の半分程の重りを身につけており、逃走だけではなく戦闘を視野に入れるように調整がなされている。
轟と八百万のペアは『ハンドカフスをつける』条件を達成していた。
どこか落ち込んだ様子で轟と共に行動していた八百万だったが、イレイザーが奇襲を仕掛けて轟をぐるぐる巻きにして宙吊りにしてからは動きが変わった。
閃光弾を【創造】して一度イレイザーの【抹消】を解除させ、距離を取りつつ視界から外れた瞬間に轟の氷結が発動。大氷壁によって今度こそ【抹消】が完全に途切れた。
その中で準備を整え、八百万が先行。黒い布を被って二人に見せかけた状態でイレイザーを釣り出し、壁の向こうで【創造】していた捕縛布らしきものを使い拘束。カフスを嵌めて無事にクリア条件を達成した。
「響香は……ああこりゃキツイな」
「分かるかい?」
「はい。響香は俺とよく特訓とか組手してたから知ってるんですが……同系統の個性で自分より出力が高い相手だとキツイ、と」
「ペアの子も同じ理由だろうねえ……ちょっと大きいだけの音や声じゃ掻き消されてしまう」
そして幼馴染。一目で分かる相性不利。明らかに出力が違いすぎる。
音という同じ事象を使う個性でありながら出力は雲泥の差。火炎放射器とライターを比較しているようなものだ。
【イヤホンジャック】にはプラグを直接刺して爆音を撃ち込むという方法もあるけれど、衝撃波すら撒き散らす超爆音を相手しながらどこまで近づけるか。
「……そんでシンプル強ボスのオールマイト」
「どう見てもやり過ぎだよ! まったく……」
どうしても視線を引き付けられるNo.1ヒーローの試験。そこに映っていたのは左腕を掴まれ吊り上げられている緑谷と、片足で地面に捩じ伏せられている爆豪の姿。
途中までは連携も協力もあったものではなく、逃走か戦闘かの方針さえ共有できていないように見えた。
それから緑谷が爆豪を殴って逃走。どういう会話があったのか次にオールマイトの前に出てきた時は爆豪のコスチュームである手榴弾のような篭手を緑谷が持っていた。
爆豪の篭手には【爆破】の元となるニトロのような汗を溜め込む機構があり、それを爆豪を囮にして緑谷が使うという作戦だった。
後は少しでもゴールに近づこうと走っていたのだが……気がついた時にはオールマイトに制圧されていた。
「……ここに戻ってくる時はそうとうボロボロになってそうだ」
「あんたがいて本当助かるよ。A組は……特に緑谷なんかはよく無茶してるからねえ」
「俺やリカバリーガールの【治癒】ありきで怪我されても困るんですけどね……」
森岸とてあまり人のことは言えないけれど、少なくとも自分の個性を前提としての無茶だ。緑谷の場合は他人の個性を前提としての無茶の為、状況によっては取り返しがつかないものになりかねない。
森岸も緑谷も『オールマイトのようなヒーローになりたい』という同じ願いがあるけれど、その歩みはまるで違う。
森岸が比較的安定した成長曲線を描くのに対し、緑谷の場合はガッタガタ。折れ線グラフにしたって限度があるだろうと言いたくなるほど。
その違いがどこから出てくるのかというと『どうせ治るから』という意識で行う無茶の差だ。
森岸は日頃から10の負荷をかけては消化を繰り返し、緑谷は突発的に500の負荷をかけるものだから身体が保つはずもない。
「お……そうこう言ってるうちにクリアしましたね」
「あのバカ……どう見てもやり過ぎだよ。あのタフな爆豪が気を失ってるって、どれだけ痛めつけたんだか」
その緑谷も条件達成。最後の最後でオールマイトを殴りつけ、爆豪を抱えてゲートの向こう側へと倒れ込むように駆け抜けた。
しかしどう見ても満身創痍。リカバリーガールはプンスコした様子で三人が戻ってくるのを待っていた。
◇
峰田が条件をクリアしたタイミングで丁度タイムアップ。芦戸さんと上鳴、切島と砂藤がクリアできずに終了か。
こうして見ると先生方はよく考えてこの組み合わせにしてたんだなってのがよく分かる。何で条件を達成できなかったのかが一目瞭然というか。
「森岸、調子はどうだ」
「相澤先生。特に問題はないですよ? 体力的にも個性の方も消耗らしい消耗はしてませんし」
「ならいい。この後お前の試験だからな」
ああようやく俺の番か。まだ戻ってきてない人達はリカバリーガールが対応するらしい。
そんで、俺は誰と組んで誰と戦うんです?
「お前の相手は
「相澤先生と……って、ミッドナイト先生も?」
「流石にそのまま二対一にはしない。話を続けるぞ」
対戦相手は相澤先生とミッドナイト先生……なのだが、相澤先生は戦闘には参加せず【抹消】しているだけだという。
俺の勝利条件は『ステージからの脱出』か『ミッドナイト先生にハンドカフスをつける』の二つ。相澤先生にハンドカフスをつけても条件達成にはならないそうだ。
またミッドナイト先生を行動不能にしてハンドカフスを付けずに逃走した場合であっても、相澤先生は戦闘には参加しない。最後まで【抹消】をかけるだけだそうだ。
「……つまり【魔法】無しでミッドナイトに勝てってことですか?」
「俺の【抹消】から逃れて使う分には問題ない。ルールで使うなと言っているわけじゃないからな」
それはいいのか。この分だと俺の課題ってのは『【魔法】が使えない状況でどう立ち回るか』って所か?
しかし一つ疑問……というか気になる部分がある。
「【抹消】だと発動済みの【魔法】は消えないんですけどいいんですか?」
「構わん。スタート時点でお前を視認した状態で始めるからな」
「うわーいハードモードやんけ」
先生方俺だけ難易度高すぎやしませんか。それもう本当にヤバい敵とかにする対応じゃありませんか。
「他の案だと【魔法】縛り無しでオールマイトさんと一対一とかもあったぞ」
「そっちのがまだ何とかなりそうなんですが」
「……まだ何とかなるのか」
いやだって……ねえ? オールマイトを舐めてるとかそんなんじゃなくて、【魔法】さえあれば逃げ切るくらいは何とかなるし。
あ、そういや逃げ切るって方法もあるか。別にミッドナイト先生を倒さなきゃいけないというわけじゃないんだった。
演習会場は轟達と同じ住宅街でやるらしい。遮るものが多いエリアで一安心だ。
「それじゃバスに乗れ。ミッドナイトさんはもう向こうで待機してる」
「あ、了解です!」
……ん? ということは相澤先生、わざわざ俺のこと迎えに来てたのか? 何で?
【森岸についてどう思いますか?】
相澤「個性抜きで考えても優秀な生徒」
山田「珍しくイレイザーを振り回すおもしれー生徒」
13号「優しくていい子ですよ」
香山「耳郎さんとのアオハル感がいいわよね! あの親友以上恋人未満な距離感で信頼度MAXって感じの関係性マジ最高! なんというかお互いに性欲とか打算とかなく『この人だから』って感じで一緒にいるし多分どっちかが告白するまでもなくある日突然ストンと収まるべきところに収まってそうな雰囲気がしててあと(以下10,000文字超省略)