魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.ま た お 前 か
 A.私だ。というか感想欄見ると結構バレてたっぽくて驚いた。トンチキ要素はちょっと(当社比)しか入れてないのにどうして……?

 Q.【崩壊】食らったら死んでた?
 A.この時点の【崩壊】だと無限【ホイミ】で対抗できるので死なない。

 Q.何故森岸に?
 A.本作だと緑谷と死柄木の間にあまり因縁ができてない。USJではイレイザーヘッドにやられたし保須では緑谷何もしてないからね。仕方ないね。







林間合宿
33.合宿最初の試練


 

 

 

 敵連合リーダー死柄木弔との遭遇。彼が去った直後に耳郎が通報し、ショッピングモールは一時的に閉鎖された。

 

 区内のヒーローや警官らによって緊急捜査が行われたものの、死柄木弔の姿はどこにもなかった。おそらくUSJにて確認された【ワープゲート】によって移動したと思われる。

 

 直接の被害者にして唯一死柄木弔の顔を見た森岸詠士は警察署にて事情聴取中。彼の人相や会話内容等についてを聞かれていた。

 

 

「ふむ……聞く限りでは連中も一枚岩ではないようだな。それに思想がない……か」

「はい。死柄木本人も気づいてなかったみたいな反応で……呆然としてたというか」

 

 

 引っかかるのは死柄木弔との問答。脅迫だとか思想語りではなく、純粋に分からないことを尋ねていたという態度。

 

 雄英襲撃に保須事件。どちらか一つでも暴れたいだけの敵が引き起こせる規模ではない。脳無だってそうだ。力に溺れたチンピラ崩れが所有していい存在じゃない。

 

 未熟で目的も思想も持たぬ子供大人。なのに【ワープゲート】の個性といい脳無といい、明らかに身の丈を超えた力を持ってしまっている。

 

 

「……うん、とりあえずありがとう森岸くん」

「あ、はい……」

「そう落ち込まなくていいよ。むしろ賞賛すべきだ。自分と市民の命を握られながらよく冷静でいられた。普通ならパニックを起こしてもおかしくなかったんだから」

 

 

 あの場で捕えられなかったことを悔やんでいるのか、どこか元気がない森岸に塚内という刑事は励ましの言葉を送った。

 得体の知れない敵に首を掴まれた状況下で至って冷静に振る舞い、誰一人として犠牲を出すことなく終わったのだ。賞賛こそすれ罵倒する謂れはない。

 

 だがそうではなかった。森岸は悔やんでいないわけではないけれど、それ以上に強い疑問がずっと頭の中を占領していた。

 

 

(……最後のあの表情。随分昔に似たような表情をした奴を見たことある気がするんだよな)

 

 

 自分だけでは答えの出ない疑問が頭の中で渦巻いているような……『何故』と『どうして』以外の言葉が出てこない幼子のような表情。

 

 そうやって正体不明の既視感に首を傾げながら事情聴取を終えた森岸は、迎えに来た両親と共に自宅へと帰って行った。

 

 

 

 この一件により雄英は更に敵の動きを警戒し、例年使用していた合宿先を急遽キャンセル。行き先は当日まで明かさない事となった。

 

 今回は偶然の遭遇だったけれど、次が狙っての遭遇でないという保証は無い。何より死柄木弔のUSJでの発言……オールマイトを殺すという言葉を信じるのであれば必ず次があるはずだ。

 

 始まる前から不穏な空気が流れているけれど、合宿をキャンセルすることは無い。敵の活性化を危惧するのであれば尚のこと早急に力を付けてもらわなければならない。

 

 悪意と殺意に触れてきた前期は幕を閉じ、林間合宿の日が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「え? A組補習いるの? つまり赤点取った人がいるってこと!? ええ!? おかしくない!? おかしくない!? A組はB組よりずっと優秀なはずなのにィ!? あれれれれェ!!?」

 

「やめろバカ」

「アフンッ」

「ごめんな」

 

 

 開幕十割やめてもらえます? 場面転換したとはいえシリアスな空気返してくれよ。

 

 合宿先への移動は学内バスを使う為、A組B組が同じ場所に集まっていた。

 体育祭で辛酸を舐めさせられた物間は口を開かずにはいられなかったようで、A組を見るなりイキイキとした様子で煽り高速詠唱を行っていた。

 

 しかしB組全体がA組を嫌悪しているかと言うとそうでもなく、今しがた物間に首トンした拳藤を始めとした女子達や男子達も……というか物間以外は特にそういう態度を取っていたりはしない。じゃあ物間はなんなんだよ。

 

 

 和やかな雰囲気で会話をしていたものの、時間が惜しいと相澤に促されバスに乗車。期末テストやらなんやらで不安もあった林間合宿だが、いざ移動が始まるとバス内はガヤガヤと楽しそうに騒がしくなっていた。

 

 

「一時間後に一回止まる。その後はしばらく……まぁ、いいか」

 

 

 いつもなら一睨みで黙らせていた相澤も今くらいはいいかと口を閉じた。

 

 どうせワイワイと騒げるのも今のうちだけだ、と。

 

 

 

 それから大体一時間後。停止したバスから降りた場所はパーキングエリア……ではなく、何も無い山道の途中。

 

 落下防止のフェンスがあるだけでそれ以外には何も無い。ただ遠くまで青々とした景色が広がるばかりだ。

 

 

「何だここ? パーキングじゃなくね?」

「アレ? B組は?」

「お、おしっこ……」

 

 

 何かおかしい。口々に疑問を唱える彼らに相澤は答えない。

 

 

「よーうイレイザー!!」

「ご無沙汰してます」

 

 

 その代わりに聞こえたのは弾むような口調の声。誰? という疑問が湧くよりも早く彼女達は口を開いた。

 

 

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」

 

 

 

 ジャーン! とでも言いたげな顔のヒーロー二人、ピクシーボブマンダレイが決めポーズを見せつけていた。

 

 彼女達は四人組のヒーローワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのメンバー。他にラグドールというヒーローがいるのだが、この場にはいないらしい。

 

 そしてもう一人。誰かの子供なのかムスッとした少年が冷めた目で二人を見ていた。

 

 

「今回お世話になるプロヒーロー、プッシーキャッツのみなさんだ」

「連名事務所を構える4名1チームのヒーロー集団! 山岳救助等を得意とするベテランチームだよ! キャリアは今年でもう12年にもな──」

「心は18ィ!!」

「へぶ!」

 

 

 それは流石に無理があろうと思われますぞピクシーボブ。マンダレイですら苦笑いだ。

 

 

「森岸、お前ちょっとこっち来い」

「? はい」

「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」

「遠っ!?」

「え、どの山?」

 

 

 そのマンダレイはフェンスの向こう側。緑が一面に広がる景色の方を指さしてそう言った。

 

 では何故こんな中途半端な場所でバスを停めたのか? もうこの時点で彼らは嫌な予感がしていた。先生方が言っている事が理解できない時は決まって理解したくない、受け入れ難いことを言っている時なのだ。

 

 

「今は午前9時半……早ければ12時前後かしらん」

「ダメだ……おい……」

「戻ろう!?」

「バスに戻れ! 早く!」

 

 

 少しは勘が良くなってきたらしい。けれどあの相澤がその程度で回避できる程甘い試練を用意するはずがなかった。

 

 

 

「悪いね諸君。合宿はもう、始まってる」

 

 

 

 微塵も悪いと思ってなさそうな相澤の声。彼らの視界の端でピクシーボブが地面に手をついているのが見えた時点でもう手遅れだった。

 

 土が、地面そのものが波打った。まるで逆流する土砂崩れのような土の流れがA組を押し流した。

 

 

「私有地につき個性の使用は自由! 今から3時間、自分の足で施設までおいでませ!」

 

「この……『魔獣の森』を抜けて!」

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「しかし無茶苦茶なスケジュールだねイレイザー」

「まぁ通常2年前期から修得予定のものを前倒しで取らせるつもりで来たのでどうしても無茶は出ます」

 

 

 ……あのー。

 

 

「緊急時における個性行使の限定許可証。ヒーロー活動認可資格……その仮免。敵が活性化し始めた今、1年生(彼ら)にも自衛の術が必要だ」

「ふふ、だいぶ期待してるんだね。今年の1年には」

 

 

 もしもーし?

 

 

「では引き続き頼みますピクシーボブ」

「くぅー! お任せ! 逆立ってきたァ!」

「あのちょっと??」

「どうした森岸」

 

 

 何で俺だけ免除されたんです?

 

 相澤先生から急に手招きされたから何かと思ったら、俺以外のA組全員下の森に落とされたんですが。またハブか? またハブられたのか?

 

 

「お前がいると訓練にならん。他の連中がお前ありきで考えるようになっても困る」

「そう言われると照れちゃいますぜ先生」

「いやあ一人だけスルーしろって言われた時は首を傾げたもんだけど……イレイザーにそこまで言わせるって君、相当だね?」

 

 

 それを言われると否定できないなあ。全員に一通りの強化を撒いてから疲れた端から回復させればありえないレベルの強行軍もできちゃうし。

 さっき言ってた魔獣とやらにもよるだろうけど、全く勝ち目のない化け物ってわけでもないだろうし。

 

 それにまず採らない択ではあるけど、俺一人なら【トベルーラ】とか【ピオラ】二重がけだとかで一足先に到着することだってできる。

 

 何が言いたいのかというと、今回の『魔獣の森』とは相性が良すぎて試練としての意味をなさないって事だ。勝利ではなく到達することが目的で、更に味方が多い状況なら流石に負ける要素がない。

 

 相澤先生としてもそうなるのが分かっているのだろう。だからわざわざ俺だけ別扱いにしたのか。

 

 

「まあそういう事だ。お前は一足先に合宿所で強化訓練な」

「はい。ところで……」

「ん?」

 

 

 さっきから気になってたけどそちらの少年はどなたのお子さんで? 何かすんごい睨まれてるんですけど。

 

 

「ああこの子ね。この子は私の従甥なの。ほら洸太、挨拶して」

「マンダレイの! やあ洸太くん。俺は──」

「ふんっ!」

「危なっ!?」

 

 

 何しようとしてんの!? 人様の、それも初対面の人の股間にグーパンしようとするんじゃねェ!? 俺じゃなかったらナッツクラッカー(比喩)してたぞマジで。

 

 仮にナッツクラッカーされても回復はできるけど……あの痛みは流石にゴメンだ。

 

 

「こら洸太!」

「……ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねえよ」

 

 

 あー……これは過去に何かあったヤツか。どうも反抗期とかそういうアレじゃなさそうだ。明らかに目付きが違う。

 

 

「……バスに乗れ。移動するぞ」

「あ、はい!」

 

 

 とりあえず今は……合宿のことを考えよう。ああいう顔した奴は下手に首突っ込むと拗れる可能性がある。

 

 A組の皆が魔獣の森とやらを無事に抜けて来られるよう祈っておこう。

 

 

 

 

 

「本当はバスを走って追いかけさせようとも思ったが、途中ではぐれて遭難されても面倒だからな」

「こっわ」

 

 

 できなくはないけどやめてください。

 

 

 

 






飯田「む、森岸君はどこだ!?」
上鳴「アイツいないとキツイぞおい!」
轟「……だからじゃねえか?」
耳郎「詠士だけ相澤先生に呼ばれてたもんね……」
砂藤「そういや手招きされてたな」
尾白「いないんじゃ仕方ない。俺達で頑張ろう」


峰田「」
瀬呂「おい無言でこっち来んな!?」
切島「そっちの物陰行けバカ!」
青山「その悟ったような顔やめよう☆」


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