魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.トガと荼毘は互いのこと把握してるの?
 A.してない。互いに互いのことを『よく分からないヤベー奴』と認識している。

 Q.敵連合に潜入してるスパイって他にもいるの?
 A.現状は荼毘とトガの二人だけ。

 Q.トガの過去話しないの?
 A.ちょっと想定より合宿編が長くなりそうなので後でやります。やる時は多分一話丸々使わないくらいの長さになると思う。






39.繝代Ν繝励Φ繝?

 

 

 

 各地で混乱と戦闘が巻き起こっている中、誰もが心配していたのは森の中に取り残されているであろう生徒達だ。

 

 誰にも状況が把握できておらず、マンダレイの【テレパス】も一方通行。交戦中なのかガスで身動きが取れなくなっているのか、それどころか生死さえ不明な状態。プロヒーロー達の焦りは加速するばかり。

 

 唯一生徒達と共にいるはずのラグドールも同じ。通信機を持っているのは分かっているのに、マンダレイの【テレパス】への返答もない。

 

 全員が一刻も早く向かいたい森の奥で何が起こっていたのか。

 

 

 

 

 

 時は少し遡り、スピナーとマグネが奇襲をしかける前。その時には既に敵は動いていた。

 

 

「このガスなんなんだろうなマジで……」

B組(そっち)の個性……なわけないか。脅かすにしてもやり過ぎだし」

「そもそもこんな個性の奴いねェよ! 八百万と森岸がいなかったら俺らもヤバかったんだぞ!」

「落ち着くにゃん。近くに敵がいる可能性があるんだからなるべく静かに……」

 

 

 突然発生した有毒ガスに対し八百万はガスマスクを、森岸は【キアリー】を使用し生徒達を救出。またラグドールの【サーチ】もあって近辺にいた生徒全員との合流が叶っていた。

 

 その数二十二人。なんとこの場に雄英のヒーロー科一年生の半分以上が集まっている。

 

 人数の多さ故に移動は遅く、また夜の暗さとガスによる視界の悪さ……何より『どこかに敵が潜んでいるかもしれない』という暗鬼への疑心が歩みを鈍らせていた。

 

 

 しかし猶予も少ない。如何にガスマスクと【魔法】があっても時間が経てばいずれ限界が来る。タイムリミットを迎える前に最低でもガスの中から抜け出さなければならない。

 

 警戒を強めたままゆっくりと確実に、ラグドールの引率の元合宿所を目指して移動していたその時。

 

 

 

 

 

 

 

「おや……僕の為にわざわざ集まっててくれたのかな?」

 

 

 

 

 

 

 空気が濁った。

 

 途方もない威圧感と恐怖。善性を持つ者であれば嫌でも感じ取れてしまう、あまりにも邪悪な気配。

 

 黒いモヤの中からなんでもないように、日常で見かける人々と何ら変わらない立ち振る舞いの魔王が降り立った。

 

 

「っあ……!?」

「前々からいい個性だと思っててね……丁度いいしこの機会に貰おうと思って(・・・・・・・)来たんだ……」

 

 

 誰のものなのかも分からない嗚咽。逃げなければという理性と、動いたら死ぬと喚く本能の狭間に立たされた生徒達は誰も動けない。

 

 普通のスーツの上。首元を管塗れの何かで覆い隠し、骸骨を思わせる真っ黒なフルフェイスメットを被ったそれはゆっくりと近づいてくる。

 

 そして彼の手が誰かに触れようとした時、森岸はソレを唱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───【パルプンテ】!!!」

 

 

 

 

 

 ほんの一瞬。コンマ数秒にも満たない僅かな間、世界は呼吸を忘れた。

 

 

 

「ひっ……!?」

「何あれ……」

 

 

 

 目の前の魔王をも凌駕してあまりある邪悪の気配。黒いモヤなどではない、一切の光を通さぬであろう深淵の如き闇が空に広がった。

 

 場を支配していた魔王でさえ足を止め手を引き戻し、闇を見上げたまま硬直していた。

 

 今何が起こっているのか、全てを把握できているのは森岸ただ一人だけ。森岸は舌打ち混じりにこう呟いた。

 

 

「現状だとまだマシな方か……!」

 

 

 誰も闇から目を逸らせない。見るべきではないと生存本能が警鐘を鳴らしているのに、強すぎる存在感に目を奪われてしまっていた。

 

 

 そしてそれ(・・)は現れた。

 

 

 言葉では表しようもない、とてつもなく恐ろしい気配が闇を引き裂き、彼らを睨みつけた。

 

 

 

「──────っ!!?」

 

 

 

 次の瞬間には、全員が走り出していた。ギリギリのところで残った理性によって散開することはなく、一心不乱に合宿所を目指して。

 

 それは魔王とて例外ではない。生徒達よりも僅かに遅れて逃げの一手を選んだ。選ばされた。

 どこかへと語りかけるように黒霧の名を呼び、展開された黒いモヤへと転がり込むように逃げていった。

 

 

 もうそこには誰も残ってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「相澤先生!」

「っ、森岸か!? お前今までどこに……」

 

 

 荼毘(オブセス)と別れ生徒の救出に向かおうとしていた相澤を呼び止めたのは暗闇から飛び出した森岸だった。

 彼だけではない。森岸の後から走ってきた為か、息を切らしている生徒達とラグドールもまた五体満足。誰一人として犠牲者も負傷者もなく戻ってきたらしい。

 

 一体何が、と聞こうとして相澤は訝しげな顔をした。

 

 

「ラグドール……? ラグドール!」

「ぅ……?」

「……すんません。アレ(・・)使ったんで今、皆意識が曖昧なんです」

「アレを……!? アレを使わなきゃならない奴と遭遇したのか……!?」

 

 

 森岸曰く一番ヤバイ魔法(・・・・・・・)──【パルプンテ】を使わなければならない程の敵。相澤の脳裏を荼毘の警告が過ぎる。

 

 ムーンフィッシュ? それともマスキュラー? どちらにせよ最悪レベルの敵と遭遇したのならばその選択も納得せざるを得なかった。

 

 しかしこれで全員ではない。この場にいるのは二十二人だけ。補習によって合宿所にいた六名を除くと、あと十三人が未だ戻ってきていない。

 

 

「他の奴らは見なかったのか?」

「逃げる時は皆錯乱してたので、誘導でそれどころじゃなくて……あ、でも八百万さんがB組の鉄哲と一度合流していたと言ってました」

「一度……? また別れたのか?」

「聞いた話では『ガスの発生源を叩きに行く』と言っていたとか……」

「無謀な事を……!」

 

 

 まだ交戦の指示は出していない。これからマンダレイの元へ向かい、彼女の【テレパス】で一斉に指示を出してもらうつもりで相澤は移動していた。

 

 しかし指示を出す前から交戦しようとしているのは流石にマズイ。特にあのガスの中で視界も悪い中、どんな個性かも分からない敵を目指すなんて。

 

 何にせよ意識朦朧としている大人数を抱えたまま立ち止まるのはよくない。ここにいる生徒たちだけでも一度安全な場所に連れ戻しておきたい。

 

 

「……とにかくお前らは一旦合宿所に戻って──」

「先生!」

「! 緑──……お前、またやったな?」

「腕……てか洸太君? どこに……」

 

 

 そう指示を出そうとして、再び相澤に声がかけられた。今度は誰だ、と声の方へ視線を向ければ明らかに大怪我をしたという様相の緑谷が洸太を背負って立っていた。

 

 

「大変なんです……! 伝えなきゃいけないことがたくさんあるんです……けど、とりあえずマンダレイに伝えなきゃ──」

「その前に森岸……治してやれ」

「はい。うわ……酷い怪我だな……【ベホマ】」

 

 

 緑谷の負傷を治療し、改めて話を聞こうとする……が、何やら焦っているのかすぐにでも走り出してしまいそうな危うさがあった。

 

 恐らく引き摺ってまで連れ戻しても、目を盗んで飛び出してしまう。相澤は眉間に皺を寄せ、苦虫を噛み潰したような顔で緑谷にこう告げた。

 

 

「……洸太君と他の連中は俺が合宿所まで連れていく。だから緑谷……それと森岸」

「!」

「マンダレイにこう伝えろ。『交戦を許可すると【テレパス】で伝えてくれ』と……あともう一つ『爆豪勝己が狙われている』と」

「っ……はいっ!」

「森岸は緑谷が無茶しないよう見てくれ。頼むぞ」

「はい」

 

 

 本当なら自分が動きたい。だが機動力や対応力を考慮した時、最も適した人物は森岸になる。加えて止まりそうにもない緑谷。

 

 ならばいっそ森岸に手綱を握らせた方がマシだ。何より同級生からの言葉ならば緑谷も少しは冷静に受け止めてくれるはずだと、相澤はそう信じるしかなかった。

 

 

「頼んだぞ!」

「「はい!」」

 

 

 言葉は託した。生徒達は託された。二人はマンダレイ達の元へと駆け出し、相澤は洸太を抱え意識朦朧としている生徒達と共に合宿所へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 そして視点は広場へと戻る。

 

 スピナー&マグネ対マンダレイ&ピクシーボブ&虎。人数差は彼女達に有利に働いているものの、あと少しが詰めきれない。

 

 ピクシーボブの【土流】であれば一息に埋めてしまえるのだが、そうはさせないと敵達はマンダレイや虎と距離を取らないようにして巻き添えを狙っていた。

 かといって彼女達の方から距離を取ればピクシーボブが狙われる。どちらかが倒れるまでの膠着状態が続いていた。

 

 

「あーんもう! 近い!」

「ぬうっ……(我のキャットコンバットを読んだ動きを……強い……!)」

 

「しつこい……!」

「しつこいのはお前だニセ者! とっととシュクセーされちまえ!」

 

 

 そう言ってスピナーが凶器を振り上げた瞬間、乱入者が現れた。

 

 

 

「させ……ないっ!」

「なあっ!?」

 

「強引なオカマはモテねェぞ!」

「ぎゃっ!?」

 

 

 刃物を無理やりに束ねていた剣を緑谷のドロップキックが破壊し、虎と殴りあっていたマグネの体に森岸の回し蹴りが突き刺さった。

 

 まるで意趣返しの一撃。不意の一撃は敵達に致命的な痛打となり、スピナーは武器を失いマグネは無視できないダメージを負った。

 

 

「マンダレイ! 洸太くん、無事です!」

「君……!」

「それと相澤先生からの伝言です! 【テレパス】で伝えて!」

 

 

 相澤の伝言……戦闘許可を出すことと、爆豪が狙われている事を【テレパス】で伝達して欲しい。緑谷の言葉にマンダレイは頷き、即座に個性を使用した。

 

 これで緑谷の役割は終了。後は合宿所に戻り、全てをプロヒーローに任せるしかない……のだけれど。

 

 相澤の想定はある意味で正しく、しかし足りていなかった。

 

 

「ちょ、おい! 緑谷どこ行く気だ!?」

「かっちゃんを救けに行く……!」

「馬鹿、待て! おい!」

 

 

 少しでも早く、という森岸の判断がここに来て足を引っ張った。緑谷と自分に【ピオラ】をかけていたせいで【フルカウル】もあった緑谷の加速に一瞬置いていかれたのだ。

 

 あまりにも無謀。しかし引き留めようにも森の中へと先に駆け込まれてしまった。

 

 

「ンのっ……! マンダレイ! 俺、緑谷連れ戻してきます!」

「あ、ちょっと!?」

「それと【スピオキルト】! 虎さんとマンダレイに渡しときます!」

 

 

 彼に付与した【ピオラ】を解いても【フルカウル】がある以上すぐには追いつけない。森岸は青筋を浮かべながら緑谷を追って森へと入っていった。

 

 

 

 

 






・パルプンテ

 何が起こるか分からない魔法。Ⅱから登場しⅦまで使用する事ができた。それ以降の作品では設定こそあるものの味方が使う事はなくなった。

 本作では繝峨Λ繧ッ繧ィ譛ャ邱ィ縺ョ繝ゥ繧ケ繝懊せ縲∬」上?繧ケ縺ョ荳ュ縺九i繝ゥ繝ウ繝?Β縺ァ荳?ス薙r蜿ャ蝟壹☆繧九→縺?≧蜉ケ譫懊?蠕薙∴繧九%縺ィ縺ッ縺ァ縺阪★謨ー遘貞セ後↓縺ッ豸医∴縺ヲ縺励∪縺?′縲∝悸蛟堤噪縺ェ螽∝悸諢溘→諱先?縺ォ譎偵&繧梧」ョ蟯ク莉・螟悶?莠コ髢薙?豁」豌励r螟ア縺??縺呈ヱ縺?h縺?↓縺ェ繧九?

 尚、他にもいくつかの効果が存在する。



AFO「死ぬかと思った……!」
Dr「そんな事ある?」
黒霧「貴方程の方が……?」
AFO「あれはアカン。本当にヤバい」


森岸「まあ咄嗟に使ってあれならええか」
ラグドール「」
生徒's「」
耳郎「わァ……! ァ……!」
森岸「よーしよしもういないからなー。もう怖いのいないから大丈夫だぞー」



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