魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 評価バーが赤くなっててびっくりした。なんだこれは……たまげたなぁ……。頑張って書いてくね。





4.戦闘訓練でも【魔法】っぽさゼロ

 

 

 

「ヒ……ヒーローチーム、WIN(勝利)!」

 

 

 WINちゃうやろ。勝ちも負けもない混沌じゃろがい。

 

 

 

 えー……第一戦。ヒーローチームが緑谷と麗日さん、ヴィランチームが飯田と爆豪のペア。

 

 結論から言うとヒーローチームが酷い方法で勝利を収めた。

 

 まず最初に爆豪が単独で奇襲をしかけ、これを緑谷が受け止めた。その間に麗日さんに先行してもらったものの、飯田のぎこちなさを見て吹き出してしまい見つかった。

 

 それから爆豪が周囲の被害ガン無視の大技をぶっぱなし、流石にオールマイトが『次それ使ったら強制終了な!』とストップをかけた。

 それならばと爆豪は純粋な殴り合いに移行。手のひらから【爆破】する何かを作り出しているらしい個性を存分に使いこなし、緑谷を追い詰めていった。

 

 しかし最後の最後。トドメのつもりと思われる右の大振りを構えた二人が正面からぶつかる──と思われたその時、緑谷は超パワーを爆豪ではなく真上に向けて放った。

 

 ビル全体を縦にぶち抜く一撃は丁度真上にいた麗日さんと飯田の間まで届き、床と柱を破壊。触れた物を【無重力】にする彼女によって柱が振り抜かれ、跳ね上がった瓦礫を打ち放った。

 

 飯田が動揺した瞬間に麗日さんも跳躍。瓦礫の弾幕に紛れながら『核兵器』に触れてルール上の勝利を勝ち取った。

 

 

 今からはその戦いから講評をする時間になるのだが……。

 

 

 

「まあつっても……今戦のベストは飯田少年だけどな!」

「なな!?」

「そりゃそうだろ……」

 

 

 何で当人が一番驚いてるんだよ。状況設定とか色々言われてたでしょうが。

 

 

「何故だろうな〜? わかる人!」

「はい、オールマイト先生」

 

 

 八百万さん。さっきまで話してたから分かるけどこの人滅茶苦茶頭いいよな。

 

 

 まず飯田が状況設定……『核兵器』を手にしたヴィランであることを最も理解していたからだ。

 

 普通に考えて『核兵器』がある場所で緑谷や爆豪がしていたような大規模攻撃は論外。下手すりゃ自分達諸共全てが台無しになっていた。

 

 加えて麗日さんの最後の攻撃も『核兵器』を想定したのならまず有り得ない選択肢。ついでに訓練中なんだから笑っちゃダメでしょとも。

 

 

「爆豪さんの独断専行も褒められたものではありませんでしたが……あのような個性でしたら『核兵器』の近くでは満足に戦えなかった、と思えば間違いとも言えませんが……そうした理由ではなさそうでしたし」

「……」

 

 

 それらと比較した際、飯田だけが唯一『核兵器』の争奪戦を想定した動きをしていた、と。

 

 

「ま……まあ飯田少年も固すぎる節はあったりするわけだが……まあ……正解だよ……!」

 

 

 オールマイト滅茶苦茶『やっべ全部言われた!』って顔してるじゃん。言うことなくなって絞り出したみたいなコメントしか出てないし。

 

 

 

 第一戦でビルが使い物にならなくなったので場所を変えて第二戦。次は障子と轟がヒーローチーム、尾白と葉隠さんがヴィランチーム。

 

 どんな戦いになるかな──……って思ってたんだけど、今回も今回で大味勝負だった。

 

 開始と同時に轟がビル全体を凍結させた。うん、比喩じゃなくガチで。当然中にいた尾白や葉隠さんは足元が凍りついて動けるはずもなく。

 

 足の皮を人質に悠々と『核兵器』にタッチして勝利。その後は熱を放出して解凍。まさかの冷気と熱気を操るというヤベー個性持ちだと判明した。

 

 

 

 そして第三戦。ヴィランチームに俺と峰田、八百万さんが選ばれた。相手のヒーローチームは……げ。

 

 

「響香かぁ……」

「そういえば森岸さん、耳郎さんと親しいようですが……」

「ああ幼馴染だよ。小学校くらいからの」

「ちっ、勝ち組野郎がよォ……!」

 

 

 どうした峰田。

 

 

「では響香さんの個性も?」

「把握してる。【イヤホンジャック】は自身の心音を音の衝撃波として放てるし、プラグを壁に刺したりすれば索敵にも使える」

「おお……思ったより詳細に把握してんな」

「……代わりに向こうにも俺の個性は筒抜けだけどな」

 

 

 問題があるとすればそこ。響香は俺の個性の強みも弱点も知ってる。それを逆手に取れるかどうかは向こうのペアである上鳴次第だが、警戒しておくに越したことはない。

 

 ついでに俺の個性も二人に伝え、二人の個性も聞いておく。ふむふむ……八百万さんが【創造】で峰田が【もぎもぎ】か。

 

 

 

 ……これ勝ったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「……先に言っとくと、多分勝てない」

「はあ!?」

 

 

 上鳴には悪いけど、そうとしか言えない。これはもう純然たる事実でしかない。ウチか上鳴のどっちかが悪いとかじゃなく、ウチと上鳴の手札ではほぼ確実に勝てない。

 

 

「……そんなに強いの? アイツ」

「強いけど、それ以上にアイツがいる上で人数負けしてる(・・・・・・・・・・・・・・・)のがキツい」

 

 

 詠士は強いけど、詠士が最も輝くのはこうしたチーム戦だ。何より準備する時間を与えられているのがマズい。

 

 詠士の【魔法】は持続時間や対象の数といった制限こそあるものの、準備する時間があればそのうちの片方がなくなってしまう。

 更に言えば五分程度なら余裕で保ってしまうので今回においては持続時間さえも弱点にならない。

 

 現時点では入学したばかりということもあり、ウチらの強さは個性と個性の練度がそのまま勝敗に直結する程度でしかない。

 

 それを詠士の【魔法】があれば覆されてしまう。詠士によって強化された身体能力はちょっとした増強型個性と同じくらいまで引き上げられてしまう。

 

 

「ウチでも【バイキルト】貰ったら大人一人くらい投げ飛ばせるようになるし」

「思ったよりヤバいな!?」

「……だから正直、今回はほぼ勝てないと思う」

 

 

 可能性があるとすれば、あの二人が【魔法】で強化された状態に順応できないで自滅してくれるか、上鳴の広範囲攻撃で二人同時に落とせるかしかない。

 

 ……もっとも、それすら詠士の【魔法】によっては潰されてしまっているかもしれないが。

 

 

 とりあえず今回は【イヤホンジャック】で索敵しつつ、慎重に進んでいくしかない。少なくとも詠士には索敵の手段はないはずだし、なるべく接敵しないまま『核兵器』の近くまでいければ何とかなる。

 

 オールマイトの開始の合図が出たので、その作戦通りゆっくりと足を進めていく。ウチの説明に納得してくれたのか上鳴も緊張した面持ちで後を着いて来ている。

 

 

「……なあ」

「何?」

「森岸が使ってきそうな【魔法】って何がある?」

 

 

 ……さっきある程度説明したけど、言われてみればそれで全部じゃないな。とりあえずで【バイキルト】と【スカラ】と【ピオラ】はしてそうだけど。

 

 有り得そうなのは【インテ】か。あれを使うと少し感覚が鋭敏になり、情報処理能力が上がるけど……それで強化された八百万と峰田がどう変わるのかが想像もつかない。

 

 

「……少なくとも詠士本人は強化(それ)以外は使ってこないと思うし、全員で来ると思──来てる」

「え?」

「一個上。次の階に進む階段の前で待ち構えてる」

 

 

 一番して欲しくないことをされた。分断も何も無い、強化と人数差でゴリ押すつもりだ。

 

 同時に一番可能性があるパターンでもある。全員がいるなら上鳴の【帯電】で何とかなるかもしれない……というだけ。

 

 こうなったらもう、真っ向勝負するしかなさそうだ。

 

 それにさっきから詠士だと思うけど、滅茶苦茶足音鳴らされてる。来てるの分かってるからはよ来い、ってことなんだろうな。ムカつく。

 

 

「上鳴、腹括って」

「マジかよ……! クッソ、一発目くらい勝ちてー!」

 

 

 勿論こっちだってそう簡単にやられてやるつもりはない。できる限り足掻いて、少しでも可能性が見えたら突破してやる。

 

 意を決して階段を上がる。やはり聞こえた通り、三人とも次の階段の前で待ち構えているのが見えた。

 

 詠士と目が合うと、ニヤリと口の端を吊り上げて口を開いた。

 

 

「よう。早速だけど負けてもらうぜ」

「やってみなよ。やれるだけやってやるからさ!」

 

 

 ああもう、小細工をする暇もない! せめて上鳴も一撃を撃つタイミングさえなんとかできれば……!

 

 

 真っ先に動き出したのは詠士。それに続いて峰田……だっけ? もこちらに向かってくる。やっぱり強化してるよね! 詠士はともかく、峰田も個性把握テストの時より速い!

 

 近接戦闘はウチだと不利になると判断したのか、上鳴が割って入る。バカ、お前は切り札なんだから個性まだ使わないでよ!?

 

 

「かかってこいやァ!」

「上等! まずは一発、受けてみろやァ!」

 

 

 よかった、流石にいきなり個性ブッパはしない……いや、これ後ろに私がいるからしてないだけだな。指向性を持たせるとかできないって言ってたし。

 

 でも、強化された詠士のパンチって結構重いけど大丈夫──「痛ってェ!?」──じゃないよね! 知ってた!

 

 ガードの上から殴られ、多分腕の骨にヒビでも入ったんじゃないだろうか。あれでも加減してるとは思うけど。

 

 痛みによろめいている上鳴を逃がさないとばかりに峰田が後ろから飛び出してくる。ちょ、マジでヤバいって!

 

 

「ハッハァー! 今のオイラは止められねェぞー!」

「ちょ、峰田でもこんな強くなんの!?」

「だから言ったじゃん! アイツの強化があるだけでヤバいって!」

 

 

 無理やり引っ張って後ろに下がるが、振り下ろされた蹴りが床に着弾。クモの巣状の亀裂が走り、足元すら不確かにされてしまう。

 

 わかっちゃいたけどあのパワーが増えるのキツイな! あんだけ速いと音波攻撃も当てられる気がしない!

 

 

「逃がさねェ! くらえオイラの【もぎもぎ】を!」

「おわっ!?」

「何!? 爆弾か何か!?」

 

 

 しまった! 上鳴に峰田の投擲が──何これ……? ただくっついてるだけというか、特に重たいわけでもない。爆発する気配もないし……あ、上鳴がすっ転んだ。引っ張り過ぎた。

 

 

「そいつは超くっつく! 体調にもよるが場合によっちゃ一日中くっついて離れなくなるぜ!」

「はあ!?」

「あ、終わったかも……」

 

 

 じゃあ、すっ転んだ上鳴はもう動けないも同然じゃん! ああもう、こうなったら上鳴を見捨てて突撃するしかない!

 

 一応最後に全力で放電してくれたら、一人くらい持っていけるかもしれない。なら今すべきことは上鳴から離れること! そうすれば上鳴が自爆覚悟でやってくれる……かもしれない。

 

 

「うわっ!? いきなり突っ込んできた!」

「やっべ、八百万さん頼んます!」

 

 

 そういや向こう三人だっけ。でももうそんな事気にしてられない。何とかしてこの場を切り抜けなきゃ人数差に押し潰される!

 

 もう八百万が対応できないことに賭けて全力で駆け抜け──

 

 

 

 

 

「──ではこちらを」

「へ?」

 

 

 

 すると彼女が何かを放り投げてきた。何だっけコレ。なんか見た事あるような気がする。このビー玉サイズのカラフルな玉って何だっけ?

 

 

「昔の玩具になります。火薬を使った花火の一種で、その名を──」

「……あっ!」

「──癇癪玉」

 

 

 それって確か、踏んづけたりするとデカい音がなるやつじゃ。

 

 

 

 

 

 パァンッ!!!!

 

 

 

 

 

「特別に少々火薬の量を増やし……あら?」

 

 

 ちょ、うるさすぎ、るって……ヤバ……いし、き……とぶ………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「み、耳イカれるかと思った……!」

「うわー……スピーカー使おうとしてたからプラグ伸ばしてたのか。これ耳のすぐ近くで鳴らされたのと同じだぜ」

「や、やり過ぎましたか……?」

「間違いなく」

 

 

『ねえ耳郎少女大丈夫だよね!? 鼓膜とか!』

 

 

 






 【元ネタ解説コーナー】


・インテ

 スピンオフ作品のモンスターズにて登場。かしこさのステータスを上昇させる呪文。複数に効果がある呪文だと【インテラ】になる。
 本編ではあまり意味がなかったかしこさのステータスだが、モンスターズだと呪文の効果が上がるので呪文がメインウェポンの場合これがあるとないとで全然違ってくる。
 本作品においては五感の強化と情報処理能力の向上という処理になった。これを耳郎に使うと索敵範囲がエグいぐらい広がる。




上鳴「……で、これ取れんの?」
峰田「時間が経てば」
上鳴「俺それまでこのまま?」
峰田「……ドンマイ」
上鳴「オォイ!?」

※芦戸に頼んで溶かしてもらいました。


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