魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

46 / 57



 Q.コイツら距離感どうなってんの?
 A.着替え中とかお風呂とかに鉢合わせしても「あ、ごめん」で済む程度。その後若干赤面するくらい。

 Q.それもうヤってるよね?
 A.ヤってない。ちなみに今ヤると耳郎がドロッドロに依存するようになる。

 Q.森岸がトガに血を吸わせてるシーンあったっけ?
 A.まだ出てないです。そのうち本編で触れる情報を先に出してました。

 Q.エンデヴァーさんの反応はどっち?
 A.あれはオールマイト引退の方。オブセスについては燈矢に似てるけど仮に生きていたとしてあの火事で無傷なわけないし……的な感じでまだ気づきそうにない。






46.家庭訪問のお時間

 

 

 

 たった一夜で大きく変わった神野事件。敵連合リーダーの逮捕に半ば都市伝説扱いされていた魔王オール・フォー・ワンの逮捕。

 

 更に長らくNo.1ヒーローとして君臨してきたオールマイトの引退表明……これからの超常社会はどうなるのかとあちこちで不安の声が上がり始めていた。

 

 中でも注目が集まっているのは雄英高校。未来ある生徒をみすみすと攫われてしまった事と、元を辿ればオールマイトを狙って起こった事件である事を理由に批判意見が噴き出していた。

 

 

「皆不安なのさ。だからこそ今度は我々で紡ぎ、強くしていかなきゃならない……君が繋ぎ止めてくれたヒーローへの信頼をね」

「……あの一件で気付かされました。貴方一人に背負わせてしまっていたこと、背負わせていたものの大きさ」

 

 

 校長室にて根津校長が決意を語り、ブラドキングがオールマイトに敬意を示した。

 

 思えばオールマイトとて一人の人間。そのたった一人の人間に一国の平和を背負わせるなど酷にも程があるだろう。

 

 今回の件……敵連合については解決したものの、これからは安全になったと言い切れるほど雄英も愚かではない。

 前例ができてしまった以上、どこかで第二、第三の敵連合が現れてもおかしくはないのだ。

 

 ならばこそ、これからは生徒達をより強固に守り育てなければならない。これまでと同じ対応で理解してもらえるはずがない。

 

 

「私とブラドはB組へ、オールマイトとイレイザーヘッドはA組へ……」

 

 

「よろしくね。家庭訪問(・・・・)

 

 

 そう言って根津が取り出したプリントに記載されていたのは保護者らへ向けた『雄英高校全寮制導入検討』の通知書だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「…………森岸の家……だよな」

「あってますね」

「そうだよな。俺ちゃんと表札見てインターホン押したもんな」

 

 

 敵の襲撃に備える為の全寮制導入の説明、それからこれまでの敵の襲撃を許していた不手際の謝罪を行う家庭訪問。

 中でも特に謝罪しなければならないのは森岸家。唯一の誘拐被害者となってしまった森岸詠士の保護者の方々だった。

 

 2、3発くらい殴られても文句は言えないだろうと、少し深呼吸をしてインターホンを押してみれば……中から出てきたのはその森岸詠士ともう一人、耳郎響香だった。

 

 それも一緒に出てきたのではなく、いや一緒に出てきてはいるんだけどもね? 何で家の中で手を繋いだ状態で出てきたんですかね。

 

 

「……何でいるんだお前」

「詠士が無事に帰ってきて嬉しかったので」

「顔色ひとつ変えずに言い切るな。反応に困る」

「あ、先生。響香ん家のご両親もいますよ」

「家族公認かよ」

 

 

 余計に反応に困る情報が追加された。オールマイトは困ったように微笑んでいる。笑っとんちゃうぞ脳筋。

 

 

 何かもう別の意味で帰りたくなってきた相澤だが、流石にこればかりは逃げる訳にはいかない。もう一度覚悟を決めて今度こそ家の中へと上がる。

 

 中には森岸が告げた通り、森岸の両親と耳郎の両親が待ち構えていた。片や父親が相澤を睨みつけており、片や困ったように顔を見合せている。

 

 ひとまず一度挨拶をし、そして謝罪。それから彼らに促されてソファへと腰を下ろした。

 

 

「……改めて、我々の不手際によりお子さんを危険に晒してしまったこと、深くお詫び申し上げます」

「…………」

「特に詠士君……敵に攫われてしまうという言い訳のしようもない失態を犯しました」

 

 

 最終的にはA組もB組も誰一人として欠けることはなく、また敵の爪痕も残ることなく終わることができた。

 

 しかしそれは結果論に過ぎない。もしかしたら誰かが死んでいたかもしれない……それだけでも雄英への信頼を失うには十分に過ぎる。

 

 家庭によっては雄英への通学を取りやめさせ、別の学校へ通わせる選択を取っても何もおかしくはない。今回の事件はそれだけの失態を犯している。

 

 

 今、相澤達が行っているのは謝罪であり、図々しい説得だ。

 

 敵の襲撃を何度も許し、その果てに生徒の誘拐まで起こってしまった。だというのに『雄英で守り育てます』と相澤達は言わなければならない。それが彼らの責任なのだから。

 

 守れなかったくせに、と言われても反論のしようがない。何故ならそれは事実だから。

 今できることはとにかく誠意を示し、もう一度機会を得るしかない。それが子供達の最善になることを信じて。

 

 

「……顔を上げてください」

「私達も話し合いました。この全寮制についてのお知らせを頂き、これからどうするべきか……どうしたいのか、と」

「…………」

「私達は、雄英を信じましょう……という結論になりました」

「……!」

 

 

 森岸家の返答は肯定だった。相澤は思わず弾かれたように顔を上げていた。

 

 

 全寮制の通知が来た時、森岸家(+耳郎)で話し合いが行われた。

 

 森岸は誘拐被害者。おそらく生徒達の中で最も雄英に文句を言う権利がある生徒だ。彼の意向によっては相澤も根津も引き留めることはできなかった。

 

 

 ──やめないよ。

 

 

 森岸の言葉は至ってシンプル。何度敵と戦うことになっても雄英を辞めるつもりはないと宣言した。

 

 

「うちの子、なんて言ったと思います?」

「……何と?」

「『雄英以上の環境がないんだから仕方ないじゃん』と……我が子ながらそれでいいのか? と思ったんですが……」

 

 

 森岸の主張はそれだけ。ヒーローを目指している以上、遅かれ早かれ敵と戦うことになるのは変わらないのだ。

 ならば少しでも力をつけられる環境にいたい、日本トップクラスのヒーロー科で強くなりたいと、森岸はそう言った。

 

 森岸の両親も『本人がそこまで望むのならば』とそれ以上否定することはなかった。

 

 森岸は昔からこうと決めたら中々曲げてくれない。だったら本人のしたいようにさせて、親である自分達はその背中を押してやろうと、そう思ったのだ。

 

 

「っ……ありがとう、ございます」

「いえいえ、こちらこそうちの息子をよろしくお願いします。ちょっと鍛錬狂いですが」

「お母様?? 我が子に向ける言葉ではないのでは??」

「黙らっしゃい鍛錬狂い」

「酷ェ!」

 

 

 ちょっと頷きそうになりつつも、今度は耳郎家の方へと向き直る。

 森岸家はこう言ってくれたが、耳郎家が同じ対応をするかはまた別だ。こちらを睨む耳郎の父親に対し真っ直ぐに目を見返す。

 

 ほんの数秒の沈黙の後、父親はゆっくりと口を開いた。

 

 

「正直な所……不安です。大事に至らなかったとはいえ一人娘が被害に遭った後、しれっと全寮制にしますって……」

「お父さんの仰る事はごもっともです。しかし……」

 

 

 ダメか。相澤は一瞬落ち込みながらも説得を続けようとして、父親の言葉に遮られた。

 

 

「なのに娘は嫌だって聞かないんですよ」

「……はい?」

「……詠士君と離れ離れになるのは嫌だ、って」

「…………」

 

 

 相澤は何も言えなかった。

 

 耳郎のソレは今回の誘拐被害から出たもの。幼馴染を失いたくないという不安を抱えてしまったが故の言葉だろう。

 その森岸はそれでも雄英に行きたいと言い、親もその事を認めた。

 

 しかし耳郎家は違う。耳郎は行きたいと言っていても親としては雄英じゃなくてもいいんじゃないか? と思うくらいに心配しているのだ。

 

 森岸が行くなら自分も行きたい。でもその森岸を危険に晒したのも雄英。耳郎家からすれば何とも言えない状況にあった。

 

 

 

「……そんな事言ってるけどオールマイトの戦い見て『こんなロックな人に教えてもらえるなんて……!』って泣いてたじゃん」

「何でバラしちゃうの!?」

「ええ……」

 

 

 尚、そんな感情は神野で戦うオールマイトを見て全部吹っ飛んだ模様。それでいいのかお父さん。

 

 ちなみに描写してなかったけど、耳郎のお父さんが話している間耳郎ちゃんはずっとジト目でお父さんの事を見ていた。多分『何厳格な父親演じようとしてんだオメー』的な感情である。

 

 

「……と、とにかく。今度こそうちの娘をしっかり守っていただきたい! お願いしますよ!」

「はい、必ず信頼にお応えします」

 

 

 もうちょっとシリアスな空気になると思っていたのに、どこかグダグダな空気のまま家庭訪問は終了。森岸と耳郎の雄英通学の継続が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 ある程度あちこちを回った後、次の家はオールマイト一人で向かうこととなった。

 

 何せA組は21名。日本各地から生徒が集まるだけに移動距離も凄まじいものになる為、オールマイトと相澤で別行動をする事にしたようだった。

 

 相澤の車を見送った後、オールマイトは家の方へと向き直る。その家の表札は『緑谷』……【ワン・フォー・オール】の後継者緑谷出久の家だ。

 

 インターホンを鳴らし名乗ると、ドアの奥からドタバタと慌てたような足音が二つ聞こえてくる。それから玄関が開かれると、明らかに緊張した様子の緑谷出久と母親が立っていた。

 

 

「は、初めまして……あっあっ、上がって下さい!」

「ええ、お邪魔します」

 

 

 何もそんなに緊張しなくても……と思いつつ家に上がるオールマイト。

 しかし廊下を歩いていると目につく自分のポスターや明らかに自分を意識したデザインのドアプレートを見て納得させられた。

 

 少し前を歩く二人は緊張からかどこかギクシャクしている。これだけ意識している有名人が来たとなれば当然の反応なのかもしれない。

 

 

「オオオオオオオオールマイトが家に……」

「お母さんオチツイテ……!」

 

 

 それはともかく動揺し過ぎではないだろうか。他のご家庭でもそれなりに緊張していることはあったが緑谷家ダントツなんだけど。

 

 産まれたての子鹿の如き震えの二人とようやくリビングに着くと、これまでと同じように謝罪と説明を始めた。

 

 

 結論から言うと緑谷家も全寮制について理解を示した。

 

 体育祭の映像や今回の件など不安はあるものの、少なくとも現時点で後遺症が残る程の怪我(・・・・・・・・・・)はしていない。

 本人も雄英に通い続けたいとハッキリ表明しており、むしろ雄英でなければ怪我の治療等が間に合わない可能性を説得していた。

 

 

「……出久は、貴方に憧れてます。貴方のようなヒーローになりたいと、そう思い続けています」

「…………」

「だからこそ……お願いします。命に代えてもではなく、ちゃんと生きて……守り育ててください」

「約束します」

 

 

 忘れていたわけではない。むしろよく分かっていた……いや、分かっていたつもりだったのかもしれない。

 

 オールマイトが己の後継者として見出した緑谷出久はまだ未熟。守り育てられるべき子供なのだ。

 プレッシャーをかけていたという自覚はあるし、それでも彼のことを守るつもりでいた事も確かだ。

 

 だが、それが彼の母親に伝わっていたのかと言われると……そうではなかった。息子から又聞きしただけでは不安も心配も解消されず、もしかしたら……と最悪の未来を想像していたのだろう。

 

 オールマイトは今までどれだけ不誠実な対応をしていたのかをようやく自覚する事ができた。

 

 

「……私の道は血生臭いものでした。だからこそ、彼に同じ道を歩ませぬよう横に立ち、共に歩んで行きたいと考えております」

「オールマイト……」

「……出久も、雄英で生活していくなら……分かってるね?」

「うん……!」

 

 

 

 

 そして雄英での新生活が幕を開ける。

 

 

 

 

 






相澤「今時の子供はああいう感じなのか……?」
オールマイト「流石に違うと思う」



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。