魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.あの二人そのうち寮でおっぱじめたりしない?
 A.流石にしない……と思いたい。

 Q.性欲とかないんか?
 A.普通にある。あの時は安心感とか幸福感が上回ってそんな気分にならなかっただけ。

 Q.初期のメタ・ストライクどんだけヤバいの?
 A.神野のAFOが防げないくらいの威力。速度と硬度と重さのせいで防ぎようがない。







49.爆弾発言

 

 

 

 圧縮訓練初日が終わった日の夜。ハイツアライアンス共同スペースには再び女子達が集まっていた。

 

 理由など聞くまでもない。彼女達の注目を集めている耳郎……とその隣にいる森岸を見れば一発で分かるだろう。

 

 

「というわけで第二回アオハル尋問会を開催します」

「第二回早かったなあ……」

「第三回やる気満々じゃん」

「それお茶子ちゃんも言ってたわ」

 

 

 そうです。昨日の顛末を聞きたくて聞きたくて仕方ない女子達による尋問会です。もうちょっと柔らかい言い方に変えない? 尋問て。

 

 

 昨晩、耳郎はそのまま告白に行くとは言っていたものの本当に行ったのかを確認した女子は一人もおらず、訓練の休憩中に本当に告白しに行ったのかを尋ねていた。

 

 すると耳郎はあっけらかんと「行ったよ?」とだけ言うものだから全員が仰天した。え、マジであの後行ったの? と。

 

 詳しく聞き出したいところだったが、その前に訓練が再開してしまい今の今まで聞けずじまい。モヤモヤしていた女子達は時折エクトプラズムや相澤から集中しろと怒られていた。

 

 そしてようやく自由時間を得た彼女達は耳郎を捕まえ、ついでに風呂上がりの森岸も捕まえて昨日の事を聞き出そうとしている。

 

 

「で、どうなったの!? どこまでいったの!!?」

「怖い怖い怖い。そんな勢いで迫られても話しにくいだけだから」

「そ、そうですわ芦戸さん! あまり詮索するものではありませんよ!」

「でも百ちゃんも聞きたいからいるわけよね」

「うっ……まあ、はい……」

 

 

 やはりというかフられた可能性なんて一ミリも考慮していない様子。芦戸は食い気味に二人へと尋ねた。

 

 その様子に少し気圧されたのか、森岸も耳郎もやや……というかドン引き。相談したこともあって隠す気はないけれど、流石に120%で詰められたら話す気もなくなる。

 

 ひとまず興奮している芦戸を宥めつつ、まず告白の結果から話すことにした。

 

 

「とりあえず……付き合うことになった」

「ふおおおおお!!」

「おお……! おめでとう!」

「わ、わー! わー!」

「お茶子ちゃんせめて言語は捨てないで」

 

 

 結果だけでこの盛り上がりである。そろそろ先生に怒られそうな声量になってるけど大丈夫そう?

 

 

「それでもあんまり変わらないよ。精々スキンシップにキスが増えたくらい」

「ききき、キス!? したの!?」

「ちょ、芦戸うるさい」

「まあまあまあ……!」

「今度は百ちゃんの語彙力がなくなっちゃったわ」

 

 

 補足のつもりなのか森岸がそう告げると、まさかそこまで教えてくれるとは思わなかったのか芦戸が動揺。いい加減喧しくなってきたので耳郎が【イヤホンジャック】で頭を叩いた。

 

 とはいえそこは思春期の女子。恋愛脳という程ではないが友人の恋バナ程楽しいものはないわけで。ブレーキはかけつつも昨日何があったのかを聞くことにした。

 

 

「どんな感じで告白したの?」

「こう、向かい合った状態で普通に好き、って……」

「おお……ストレートや……」

「で、森岸くんはどう答えたの!?」

「ほぼ反射で『え、俺も好き』って返してた」

「強い」

「照れとか一ミリもなさそうね」

 

 

 押し倒した状態で、という言葉は飲み込んだ模様。正しい判断である。

 

 あまりにもあっさりとした告白過ぎて『え、本当にそれで終わったの?』と芦戸が尋ねるけれど、本当にそれで終わった以上どうしようもない。

 

 一応添い寝だとかハグだとか彼女達の興味を引きそうな事もあったけれど、本人達にとってはいつもの事でしかない為話題にも上がらない。

 

 しかし話題に上がったキスについては質問が来る。詳細を! とまではいかずともどんな気分だったのか、と葉隠が尋ねた。

 

 

「まあ……嬉しかった、としか」

「関係性が明確に進んだなあ、くらいの感想しか……ウチはハグとかの方が心音聞けるしそっちのがスキンシップとしては好きかな」

「意外と淡白な反応かと思ったら別の惚気が出てきた件について」

「リアクション追いつかないんやけど……」

 

 

 意外とそうでもないのか……と思ったところにとんでもない爆弾が投げ込まれた。コーヒーの風味皆殺しみたいな甘さの惚気である。砂藤の【シュガードープ】3日くらい保ちそう。

 

 ハグ……はまだいいとして心音って何? というか普段からそんなことしてたの? もしかして自分達が思ってるよりずっとイチャついてたりする?

 

 ちょっと聞きたいことが増えた、というか前提から確認し直す必要があるかもしれない。質問の方向性を変えて昔からどういう関係だったのかを聞くことにした。

 

 

「君たちはいったいどんな風に過ごしていたのかね??」

「何その喋り方……」

「えっと、その、ハグとか以外に何かしてたの?」

「んー……そういうヤツだと添い寝とか?」

「ここにミッドナイト先生がいたら鼻血出してたんじゃないかしら」

 

 

 具体的には小学一年生の頃に友人になってからそんな感じである。

 

 出かける時は普通に手を繋ぐしいい事があったら抱き合って喜ぶ。どちらかが眠たそうにしていれば膝枕なり添い寝なりするし、特に理由がなくても後ろから抱きついたり膝の上に座ったりする程度の仲だったとか。あの、何で付き合ってなかったんですか?

 

 

「それで何で付き合ってなかったの??? その関係持ったまま他の人と恋愛する可能性あったの???」

「全然あったと思うよ?」

「今は無理だけど……昔のウチなら別に気にしなかったかも」

「二人とも絶ッッッッ対おかしいからね!!?!?」

「嘘でしょ……そんなんやってたのにただの幼馴染で終われたん……?」

 

 

 何だコイツら。いや本当に何だコイツら。なんかもう恋人とかそんな言葉で言い表せない関係な気がしてきた。女子達なんか半分パニック状態である。

 

 とはいえそれは流石に過去の話であり仮定でしかない。付き合い始めた以上はそんな考えすら出てこないだろう。

 

 

 それならどうして二人はそんなに距離が近かったの? と尋ねられると二人はこう話した。

 

 小学生の頃の森岸は誰とでもスキンシップを好むタイプだったらしく、小学校で最初の友達となった耳郎とよく手を繋いだりしていたという。

 

 それに耳郎は驚いたり恥ずかしがったりしていたものの、妙に気が合うものだから段々スキンシップにも慣れ始めて互いにまったく気にしなくなっていった。

 

 しかし時が経つに連れて周囲は異性との触れ合いを恥ずかしがったりするようになっていく。思春期を迎える子供にありがちなよくある話だ。

 

 ところが森岸と耳郎の間にそうした照れ臭さや恥ずかしさは微塵も生まれず、それどころかしない方が違和感があるようになっていった。

 慣れというものもあるがそれ以上に手を繋いだりハグをしたりするとやたら落ち着くし心がポカポカするしで止める理由がなかった。

 

 それからしばらくして、付き合ってもない男女の距離としてこれは適切ではないと知った……が、その時には既に手遅れ。

 

 

「何をするにしても詠士がいる前提で考えるようになってたし、多分ずっと一緒にいるんだろうなあって思うようになってた」

「もう家族単位で仲良くなってたし、誰に何言われても別に恥ずかしくもなけりゃ照れくさくもなかったしな」

「「「「「………………」」」」」

「どしたの?」

「いや……もう、おなかいっぱい……」

 

 

 まあ要約すると『ずっと一緒に生きてきたからずっと一緒でいるのが当たり前になってる』というわけだ。これで付き合わないのは無理だって絶対。

 

 二人は互いに好意を隠す気ゼロ。おそらく誰かから好きなの? と聞かれたら率直に好きだよ? と返すくらいには開けっぴろげである。

 

 

「アオハル過剰供給……いや、これはそもそもアオハルだったのか……?」

「うん……なんかもう、お幸せに……」

「これが恋愛なのですね……!」

「百ちゃん、これは多分ちゃう。これ基準にしたらアカンヤツ」

「ケロ。そんなに想いあってて羨ましいくらいね」

「……もう帰っていい?」

 

 

 尋問していたつもりが情報量に押し潰されるという稀有な体験をした女子達だった。

 

 その後二人が自室に戻る前に一度ハグを交わしていたものだからまた驚かされていたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 圧縮訓練二日目。画面外で緑谷が足でスマッシュを放つようになったり爆豪が【徹甲弾(A.Pショット)】を習得していたりする頃。

 

 森岸はまた相澤の胃をぶっ壊しにかかっていた。そろそろゼリー飲料と胃薬がデフォルトになりそう。

 

 

「……すまん、もう一度言ってくれるか」

「あ、はい。えっと……また個性が覚醒しました(・・・・・・・・・・・)

 

 

 できれば聞き間違いであって欲しかったが、聞き間違いではなかった。相澤は目元を手で覆い天を仰ぐと、数秒してから森岸に向き直った。

 

 

 個性に"覚醒"という具体的なステップや名称は存在しない。これは森岸が突然個性の許容上限や性能が飛躍的に成長する現象の事をそう呼んでいるだけだ。

 

 そして森岸曰く、今回で三回目(・・・)。つまり過去にも二度個性の覚醒を体験していたということになる。

 

 

「……順を追って話せ。まず一回目と二回目の覚醒で何が変わった」

「はい。一回目の時は【魔法】の合成ができるようになりました。いつも使ってる【スピオキルト】みたいな感じですね」

「ああ、あの色々効果を混ぜたヤツか……それで二回目は?」

「二回目で【魔法】の維持できる時間と個数が増えました。それまでは多くて10個くらいだったんですけど、覚醒以降はどれだけやっても特に問題なくなりました」

「…………そうか」

 

 

 もうこの時点でいやな予感しかしない。じゃあ三回目の覚醒で何ができるようになったというのか。できれば本当に聞きたくないのだが、教師としての責務故に相澤に逃げ道はない。ため息を一つ吐いてから相澤は尋ねた。

 

 

「今回の覚醒で一度に複数人に【魔法】を使えるようになりました」

「………………そうきたか」

 

 

 今回森岸が獲得した能力は全体魔法(・・・・)。これまではどれほど強力な効果であっても一度にかけられる人数は一人ずつであり、複数人に使用したければ一人一人かけて回る必要があった。

 

 それが覚醒した事により複数人に同時に【魔法】が使用可能となった。一人一人にかけて回るのではなく周囲にいる者に任意で【魔法】が使えるようになったのだ。

 

 

 ということで実験のお時間。相澤だけだと分からないので暇そうにしていたプレゼントマイクと先輩命令で連れてき(道連れにし)た13号の二人を加えて【魔法】を使うことに。

 

 

「それじゃいきますよ?【バイシオン】」

「む……」

「お、なんかきたな」

「むむむ? これは……パワーが強化されてるんでしたっけ。どれどれ……」

 

 

 本当にかかっているのかを確かめようと13号が近くのコンクリートブロックに手をかけると、到底持てるはずもなかった塊をヒョイと持ち上げてしまった。

 

 ここまでは【バイキルト】でも可能。ではプレゼントマイクや相澤はどうか?

 

 

「うわ、本当にかかってる。俺でもこれ重くないもん」

「【バイキルト】の感覚を覚えているからわかる。俺にもかかっているな。しかしこれは……」

 

 

 二人にも効果アリ。本当に一度に複数人への【魔法】使用が可能になったらしい。しかし相澤は少し怪訝そうな顔で森岸に視線を向けた。

 

 

「ああ、やっぱりそうなりましたか……」

「ん? なんかあったのか?」

「……【バイキルト】ほどの強化じゃない」

「え?」

「【バイキルト】より効果が低くなっている」

 

 

 かつてのパワーが強化された感覚と比較し、相澤は違和感を覚えていた。そしてそれは正しく、複数人を対象にした為か強化率が低くなっていたのだ。

 

 どうしても【魔法】が分散してしまう都合上、本来の強化の半分程度の性能になってしまうらしい。一応重ねがけは可能なので然程問題にはならなそうではある。

 

 ちなみにこれまでの単体を対象とした強化が3倍ならば全体を対象とした強化は約1.7倍くらいとなっている。

 

 

「んで【スクルト】【ピオリム】に……ああ、あと【ベホマラー】もありますね」

「一遍にするなよ……」

「ひゃんっ!? 森岸リスナーの回復魔法なんかゾワゾワすんなやっぱ!」

「んうっ……い、いきなりはやめてくださいよもう!」

「あ、すんません」

 

 

 やっぱり女性のリアクションだけは若干色っぽくなるらしい。ありがとうございます。

 

 尚、本人は気づいているのかいないのか、これにより更に支援役としての適性が増していたりする。いいのかそれで。

 

 

「必殺技とは全然関係ないかもしれませんが、一応報告だけしておきました」

「ああ……ん? 待て森岸」

「はい?」

 

 

 どうやら森岸が伝えておきたかったことはそれだけだったようで、報告が済んだ森岸は圧縮訓練に戻ろうとしたのだが……それを相澤が止めた。

 

 先程森岸はこれで三回目の覚醒になる、と話していた。おそらくは個性伸ばしと命の危機が近い時期に起こった結果の覚醒だろうと相澤はあたりをつけていたのだが、そうなると疑問が残る。

 

 これまでの覚醒……一回目と二回目の覚醒はどういう状況で起こったのかが分からないのだ。

 

 それも本人によれば一回目は小学生の頃で、二回目は中学生になったばかりの頃。ヒーロー科でもないのに何故そんなタイミングで覚醒が起こったのか?

 

 

「ああ……それはアレです。どうも【パルプンテ】を使ったのが影響してるみたいです」

「アレがか?」

「はい。最初に【パルプンテ】を作った時はその時習得していた【魔法】を混ぜられるようになってやぶれかぶれで使ったんで」

 

 

 二回目も同じ。とある理由で【パルプンテ】を使用し、その効果によって自分が追い詰められた(・・・・・・・・・・)為に覚醒したという。

 

 

「……前にTDLで使った時は何ともなかったんじゃないのか」

「あの時出た効果は割と穏当だったんで……」

「アレでか……!?」

 

 

 実はアレよりヤバいのが二つあります。森岸がそう言うと今度こそ相澤は胃のあたりを抑えて呻き声を漏らした。

 

 

 






 ──小・中学校の二人ってどうでした?


男子T「ずっと双子だと思ってた」
男子S「それな。もしくはバカップル」
男子N「てぇてぇでした」

女子H「滅茶苦茶羨ましかった」
女子O「もう茶化す気にもならなかったよね」
女子A「ふおお!あのお二方ですな!まず幼馴染というから幼稚園からかと思っていたらなんと小学校からと知って驚かされましたとも!だって初日から凄く仲良くなってたんですよ!?なのにいつもゼロ距離!男と女のはずなのに微塵も下心がないあまりにもてぇてぇが過ぎる光景がいつも拝めててウヒョオオオオ!はっ、失礼しました!それからですねあのお二方──(以降5時間ほど熱弁が続く)




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