Q.イナサと轟の衝突が早まったのは何故?
A.ただのバタフライエフェクト。森岸が呼び止めようとして少し移動が遅くなったからイナサと移動先が噛み合った。
Q.爆豪ちょっと強くなってね?
A.森岸による回復前提でオーバーワークしてたから原作よりちょっとだけ強い。色々技の習得が早まっているのもその為。
Q.個性の覚醒の方向性弄れるって言った?
A.三回目の覚醒かつ【魔法】開発の経験があったからできる芸当。普通はまずできないし思いつきもしない。
1,540人からなる大混戦。個性とボールが飛び交う戦場も終わりを迎える。
出る杭だった雄英が勝ち抜けた後、その矛先はバラバラに散っていった。取れる所で取らなければ勝てないと判断し、また雄英に並ぶエリート校でありながら個性不明の士傑高校を避けるように立ち回っていた。
それでもエリートはエリート。士傑高校は爆豪に倒された肉倉を除き全員が通過。同じく傑物学園高校も全員が通過し、それから数分後に定員100名の通過が通達された。
『えー、100人の皆さん。これ、ご覧下さい』
「フィールドだ」
「何すんだろ?」
喜んだのも束の間。待機室に設置されていたモニターについ先程まで一次試験が行われていたフィールドが映し出された。
そして次の瞬間──フィールドが爆発した。
あまりにも脈絡のない光景に受験生達もフリーズ。こら轟、爆豪の方を見るんじゃない。彼はまだやってないから。
呆然としている彼らに説明が続く。
次の試験がラストであり、その内容は救助演習。爆破させたフィールドを被災現場に見立て
しかし救助演習と言うのなら救助される対象が必要になるはずだ。爆破していた以上試験官を予め配置する事もできないだろうし、どうするつもりなのか……という疑問は口に出される前に解決されていた。
「む……人がいる……?」
「え、ああ!? 老人と子供!? 危ねえだろ何やってんだ!?」
『彼らはあらゆる訓練において今、引っ張りだこの
爆破されたフィールドに姿を見せたのは子供から老人まで様々な年代の要救助者達。彼らは『Help・Us・Company』という要救助者を演じるプロだ。その頭文字を取って通称『
二次試験では彼らの救助演習を行い、救助活動をポイントで採点。演習終了時点で基準値を超えていれば合格となる。
『試験開始は10分後になりますのでその間にトイレとか行っておいてくださいねー……』
疲労と眠気を隠さない通達が終わり、10分が与えられる。最初の方で勝ち抜けできた雄英生達は十分休んでいるのだが、最後の方に条件を達成した受験生達には貴重な休み時間だろう。
さて、一次試験でゴッソリと減った受験生達。1,540人の競争を勝ち抜いた後ということもあり今はどこかホッとしている様子。
各校ごとに固まって雑談や相談をしていると、士傑高校が雄英の一団へと近づき代表のように毛原が爆豪へと話しかけていた。
「爆豪君。そちらに肉倉……糸目の男が来なかったか?」
「……ああ、ノした」
「やはりか……! 色々と無礼を働いたと思う。気を悪くしただろう」
全身からモサモサの毛を生やした毛原が言うには、肉倉は価値基準を押し付ける節があるという。彼とのやり取りを思い返した爆豪も何となく理解はしていたようで首肯を返した。
「雄英とは良い関係を築き上げていきたいんだ。すまなかったね」
「……おう」
「時間を取ってくれてありがとう。それでは……」
「ちょっと待て」
どうやら律儀に謝罪をしに来ただけらしい。爆豪も今は噛み付く気がないのか一言だけ返してその場は終わる……はずだったのだが、轟が呼び止めた。
毛量で表情すらも分からない毛原や話を聞いてい無さそうなギャルギャルしい女子は足を止め、あれ程喧しかったイナサは不気味なほど静かに立ち止まった。
「何か?」
「そっちの坊主の奴聞きたいことがあって……少しいいか?」
「夜嵐に? そう言えば夜嵐……一次試験の時何処で戦っていたんだ?」
「…………」
何かあったらしい。毛原は一瞬でそれを察すると返事のないイナサに声をかけ、試験前に蟠りは解消しておけと話し合うように促した。
一方森岸。一次試験では士傑高校よりも傑物学園高校との接触が多かったこともあり、士傑の受験生達とは特に関わるつもりがなかった様だが。
「ヤバ驚嘆。マジモン生で見るとマジガタイ良くね」
「体育祭のカメラ微妙に遠いからね。割とよく言われるよ」
「マ? でもそれマイナしてもビミョーに雰チ*1してるっていうか……ロート*2のレンメン*3マジヤバくねって感じ」
「急についていけなくなった。何語だ今の」
「? 日本語」
「そっかあ……」
轟に呼び止められた時に目が合った士傑の女子、現見ケミィに絡まれていた。
整った顔立ちに艶やかな唇。長い金髪を揺らし胸の谷間を見せびらかすようなボディスーツを着た彼女は見た目に違わずギャルギャルしく、独特の言葉遣いで話しかけている。
最初のうちは森岸も何となくニュアンスは理解できていた様だが、急にアクセルを踏まれたのか2、3個程意味がわからない言葉が出てきて困惑している。ロートとかレンメンって何よマジで。
ちなみにレンメンとはケミィに取って恋愛対象になる男性を指す言葉らしい。おっと修羅場か?
「……んー、でも森岸はダメそ。縁ってか勝ち目ナシよりのナシっぽい。超シャコタン」
「何の話だ本当に……」
「ウチの学校今時異性交遊禁止。マジ渇望」
「……俺今惚れられて諦められてたの?」
と、思ったが何かを察したケミィはあっさりと引き下がった。
どうも士傑高校では異性交遊……まあざっくり言うと色恋沙汰を明確に禁止しているらしく、花の女子高生であるケミィとしては刺激が足りないようだ。
そこへ仮免試験があったものだから他校にロートなレンメンいないかなあとちょっと期待していると、体育祭でカッコよかった森岸を見つけたものだからバイブスブチアゲだったご様子。
少し話は変わるが、ケミィは自身の見目の良さをある程度自覚している。男から見たこの面と身体は魅力的に見えていると知っている。
で、胸元がざっくり開いたコスチュームのまま森岸に話しかけて見たものの、胸も尻もまるで興味を示さなかったのだ。
「…………枯れてる?」
「なんてこと言うんだ」
「だって皆ここ見るし。森岸はそういうのキョム?」
「あるにはあるけど初対面で一対一で話してるのに見るわけないって……見たいっちゃ見たいけどね」
「ヤバ正直でウケる」
あるにはあったらしい。鋼の意思がなければガン見していた模様。峰田なら最初から最後までガン見してたぞ。
まさかそんな事を真正面から言われるとは思わなかったのかケミィは思わずケラケラと笑ってしまう。そして同時に少しだけ惜しがっていた。
「いーなー。森岸みたいな彼氏欲しー」
「俺は売り切れてるんで頑張って探してくれ。ケミィならちゃんといい人見つかるでしょ」
「ぴえん」
さて、ごく自然に恋バナ(?)をしていた森岸とケミィの二人だったが、それを見ていた耳郎はというと。
「…………むぅ」
「耳郎ちゃん無言で自分の胸をペタペタ触ってどうしたの?」
胸囲の、いや脅威の戦闘力差を突きつけられてほんのり拗ねていた。あら可愛い。
◇
そろそろ10分が経つ。ストレッチをしていたり個性の調子を確認していると、ジリリリリ、と警報が響き渡った。
突然の警報にビクリと肩を跳ねさせる者もいたが、続く放送を耳にして冷静さを取り戻す。
『敵による
「演習の
「え!? じゃあ……」
「始まるのか!」
一次試験同様、待機室の壁や天井が展開され受験生達が開放される。
『一人でも多くの命を救い出すこと!!』
『START!』
開始の合図とほぼ同時に100人のヒーロー候補が飛び出して行った。
まず最初に彼らが向かったのは一番近くの都市部ゾーン。高い建物が多かった為に瓦礫が多く、足場も見通しも悪い状況。
その場で森岸がまず最初にとった行動は、自己紹介だった。
「俺の個性、自分以外のパワーとスピードを強化できます! この試験中くらいなら保つので今のうち受け取ってください!」
「雄英の……! 助かる!」
「俺の視界内に入った人に片っ端から配ります!【バイシオン】!【ピオリム】!」
100人中21人は雄英。つまり79人は森岸がどんな事をできるのか把握していない。その為自分が何をできるのか、何ができないのかを明確にする為に声を張り上げて手の内を晒さなければならない。
範囲内、一度で10名前後に強化を配れる森岸はまず全員のパワーとスピードを強化する事にした。瓦礫の撤去や傷病者の運搬を意識しての事だ。
また、彼の行動を見た他の受験生達も連鎖的に自分のできる事を明かしていく。瓦礫の撤去ができる、要救助者の場所を探せる等……個性も役割も様々。
強化を受け取った受験生から救助活動へと向かう。想像以上の効果に驚きながらも、これならいけると各々行動に移していく。
「なァんだよそれえ!! 減点だよォオ!!」
「っ!?」
早速緑谷達も要救助者を発見。泣き叫ぶ子供──の演技をしているHUC──に声をかけてみるも真正面からダメ出しを食らっていた。
「まず私が歩行可能かどうか確認しろよ! 呼吸の数もおかしいだろォ!? 頭部の出血もかなりの量だぞォ!? 仮免持ちなら被害者の状態は瞬時に判断して動くぞ!」
「っ……!」
そう。採点者はHUC。要救助者のプロの視点で受験生達の行動を採点し、時には目の前で行動の粗を指摘する。
彼に対する緑谷の対応は困惑しながらの質問。怖くて痛くて不安で堪らない要救助者に取るべき対応かと言われると、少なくとも褒められはしないだろう。
それを遠くから見ていた相澤は顔をしかめる……事はなく、仕方ないかといった様子でため息をついていた。
というのもここ最近の雄英は敵への対策もあって戦闘力の底上げを重視した訓練ばかり行ってきた。こうした救助活動においては他校より遅れている状況にある。
特に攻撃力が高い生徒ほどその傾向は大きく、戦う為の知識ばかりを詰め込んだ彼らはどうしても一歩目が遅くなる。
「それで言うと……森岸、アイツの判断は正しいな」
「ああ、あの皆を強化できるっていう……」
「アイツもそこまで救助活動の知識や経験があるわけじゃない。おそらく自分が冷静になる為にも一度足を止めて考える時間が欲しかったんだろう」
加えてこの演出のような大規模な被害が起きた際、要救助者に対して救助者の手は不足する。できる限り作業を効率化し、少しでも時間をかけないようにしなければならない。
人一人にはできることに限りがある以上、一人で全てをこなそうとすれば却って時間をロスしてしまう。
故に、自身の個性が対応可能な領分を理解し、周囲と役割分担しながらの連携が必須。だからこそ森岸がとった自己紹介という行動はある意味では正解と言える。
「……にしてもイレイザー」
「なんだ」
「あっちの子はいいのか? 何か今到底救助活動の現場で聞かないはずの言葉遣いが聞こえたんだけど」
その一方、Ms.ジョークが指し示した先。一次試験同様に独断で動いている爆豪とそれに着いていったらしい切島と上鳴。
彼らの元にフラフラと駆け寄ってきたHUCに対して爆豪が取った対応は「うるせえ自分で助かれ」と怒鳴るというもの。これは酷い。
「……何度言っても聞かないんだアイツは」
「ブハッ! イレイザーのそんな顔珍し! ウケる!」
ただでさえ救助活動には不安が残る雄英。そこにどう考えても救助活動に向いていない爆豪がいるせいで尚更相澤のため息は回数を増していくのだった。
耳郎「何か言うことは?」
森岸「あの人滅茶苦茶エロかった」
耳郎「素直か!」
森岸「でもあの格好はエロとしか言えなくない?」
耳郎「……否定できない」
森岸「雄英でもヤオモモとかそうじゃん?」
耳郎「それはそう。本当にそう」
八百万「流れ弾がこちらに!?」
森岸「いや本当にヤオモモも大概だと思う」
耳郎「マントか何かあった方がいいよ」
八百万「え、ええ……?」