Q.色々縛っといて減点は酷くね?
A.事情を知らないHUCからの減点だから多少は仕方ない。知ってたら100点満点だった。
Q.あの後森岸は耳郎に怒られたの?
A.少し嫉妬というか独占欲は出ていたが怒られてはいない。その後は前回の後書きの通りのやり取り。
Q.もしかして回復役についての感覚麻痺してる?
A.してる。というか耳郎以外のA組は欠損部位の回復とか失った臓器の再生までできる事を把握していないので麻痺してるとも言い難い。耳郎はバッチリ麻痺してるのでリカバリーガールは森岸より凄いんだろうなあと思っている。
世間ってのは五割のまともな人間と三割のギリギリ、そしてどうしようもない二割の人間でできている。
まともな人間ってのは自分がどの程度の人間なのかをよく理解し、分相応に生きていられる連中の事だ。
ギリギリの人間は少し危うい。分不相応の在り方を望み、
どうしようもない奴ってのは俺のような人間を言う。分不相応を望んで失敗して、それでもまだ自分に何かあるんじゃないかと期待してしまう大馬鹿野郎。
窓の外を眺めりゃ歩いているのは五割と三割。一本のアメスピと観察から始まるクソみてえな一日に比べりゃ誰だってまともだろうよ。
神野区の戦いでオールマイトが引退してから半月。テレビもネットも不安という火種に薪を焚べるような井戸端会議を垂れ流している。
画面の中ではキャスターがデータへの反論を述べている。お前は違うな、認めてやるよ宮城キャスター。認めねえ。
『偏にオールマイトという存在が大きくなりすぎた……大き過ぎて見えなくなっていましたよね』
『あー……』
連中の言う不安を覚える人間……一般市民にとって最も大きな変化といえばアレしかない。絶対の頂点に勝ち逃げされ、繰り上げでNo.1の座に就いたヒーロー……エンデヴァー。世間の不安の大部分は今、彼の両肩にのしかかっている。
キャスターらの議論から街角インタビューに切り替わった映像の中では何も考えていなさそうなサラリーマンが無責任にオールマイトとエンデヴァーを比べている。ここまでくりゃいっそ哀れだ。
エンデヴァーは一言で言い表すと、荒い。俺から見りゃ凡人が必死こいて超人のフリをしている。超人さ。
渇望していた不相応の地位を不可抗力で得てしまった。彼にとっても不幸な話さ。
「……行くか」
無責任な聴衆はヒーローの弱体化だのなんだのと好き勝手に騒ぎ立てる。ただでさえ不可抗力で得たNo.1の地位に就いた挙句、弱体化の象徴扱いされるなんざ俺なら真っ平御免だ。
まあ言いてえことは分かる。弱体化ってのは純粋なパワーとか個性の出力の話じゃない。あのキャスターはよく分かってる、心の話だ。パワーの話さ。
「うるさい……黙ってろ……!」
オールマイトのアレ……『私が来た』っつうセリフ。普通に生きてる奴らにゃ心強いんだろうが、そうじゃねえ連中には死刑宣告にも等しい呪いの言葉だ。
自分に誠実な連中、欲望に正直な連中。もう『私が来た』って聞こえてこねえならそりゃあ好き勝手し始める。
今だってそう。俺の目の前でコンビニからレジを分捕った阿呆が出てきた。明らかに手馴れてねえな。焦りと興奮で周りがろくに見えてねえ。
「あはははムリ! ムリ! やっちゃったから! もうやっちゃったから!!」
「おのれ昼間っからよくも堂々と!」
個性を持て余した人間に魔が差して、それをヒーローが食い止める。それがいつもの光景。
しかしここからはいつもと少し違う光景になった。
敵と呼ぶにもバカバカしいような犯罪者を止めようとしたヒーローの後頭部を仲間のチンピラが鉄パイプでぶん殴った。
カウンターごと引き抜いたレジを抱えた異形型の男の行く先には軽トラと、如何にもといった風貌の男が二人。荷台に機械を放り込むと倒れ伏したヒーローを嘲笑うように名乗りをあげた。
「ハッハハハ残念だったなヒーロー! 俺達ゃ一人じゃあねえんだよ!」
「チーム"レザボアドッグス"! よく覚えておけ!」
赤信号、皆で渡れば怖くない……だったか。自分一人では度胸が足りない連中が徒党を組み、計画的に行動する奴らが目立ち始めた。
タバコを咥えたままぼんやりと彼らが去る姿を眺めていると、不意に着信が入る。この電話にかけてくるような奴は限られているが……ああ、アイツか。
「っと……なんだよ
『久しぶりだな。そっちこそどうなんだ?』
「わからん。俺には俺が元気なのかわからない」
『そうか難儀だな』
裏社会の仲介人、義爛からの電話。俺は……ってか敵連合はほぼ解散したようなものだって知っているはずなんだが、それでも時折こうして俺に電話を寄越す。
だが裏社会の有象無象はあまり把握していないのか未だに敵連合を持ち上げているらしく、ここ最近はスーツやアイテムの闇市場が活性化してるとかなんとか。
「そりゃ良かった。良くねえ!!っ、黙ってろ……クソ……! で!? 何の用だ俺も忙しいんだ。暇だよ」
『あー……死柄木以外の敵連合はこの先どうすんのか聞きたかったんだが、ヤバそうだな?』
「決まったぜ!! まだ決まってねえ……勝手に喋るな!!」
『……だいぶキてるな。無理はすんなよ』
ああクソ……ダメだ、包まねえと……裂ける。分裂しちまう……! マスクを……っ!
ふぅ……少し落ち着いた。
今、元敵連合だった奴らは迷ってる。死柄木弔がそうしたように、俺達も一度精算すべきなんじゃないかと思っている。
でも勇気が出ない。一度堕ちた人間に社会はそう優しくないんだ。何もかもを失った人間のクセに、僅かに手元に残ったものを手放したくないんだ。
「大の大人が何人も揃って……小さなコンビニのレジを盗むだけ?」
「変だろう……普通これだけ集まればもう少し大きな目的を持つものだろう……?」
「病気だよ、お前ら。病気は治さなきゃあ……」
……そんな俺でも自分よりイカれた連中を見ると少しくらい考える。ありゃヤベェ、って。
ペストマスクっていったか? 嘴みてえな形のマスクをつけた連中がさっきのレザボアドッグスと名乗っていた奴らの軽トラを燃やしながら、そんな事を呟いていた。
おそらくリーダー格と思われる、唯一目が見えている男……オーバーホールと呼ばれたソイツは心底不思議そうにレザボアドッグスだったものを見つめて、そのうちあっさりと去っていった。
「……どうしよっ……かな!?」
ああいうのに目をつけられる前に自首した方がまだ穏便に終わるかもしんない。真面目に自首も視野に入れとくか……。
◇
「…………すまん、もう一回言ってくれるか」
仮免試験が終わったその日の夜。本来ならば消灯時間であり生徒達は自室に戻っていなければならない時間。
ハイツアライアンスの相澤の部屋に二人の生徒が来訪していた。
彼らの言葉を一言一句間違えずに復唱できる自信はある。しかし仮免試験もあって疲れきった相澤の脳はどうにも言葉の意味を咀嚼できていないようで、勇気を出してくれた二人には申し訳ないがもう一度言ってくれ、と返した。
「俺達付き合うようになったんですけど……校則とか大丈夫ですかね?」
「一応調べてみて、特に該当する綱目がなかったんですが……その、念の為確認した方がいいかなと……」
「…………ちょっと待ってろ。確認する」
もうお分かりだろう。生徒二人とは森岸と耳郎である。
仮免試験の際、森岸はケミィとの会話である懸念を抱いていた。
──ウチの学校今時異性交遊禁止。
元々引っかかっている事ではあったが、雄英と双璧を成す士傑高校では校則で異性交遊が禁止されている、と。
では雄英はどうだろうか。
少なくとも検索したり生徒手帳を見た限りでは異性交遊について言及する項目は特になく、この時点で校則違反らしい校則違反はしていないと言えるだろう。
しかし安心はできない。何故なら初日に相澤がこう言っていた。『雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り』と。『生徒の如何は先生の自由』だと。
まあ要するに『校則違反ではないけど相澤先生が除籍処分にするかもしれない』と怖くなったわけだ。
二人の間にあった選択肢は二つ。このまま雄英での三年間隠し通すか、いっそ直接本人に確認しに行くか。
暫しの話し合いの後に二人が出した結論は後者。そもそも家庭訪問の件から二人が親しいことは知られていただろうし、隠すくらいなら大っぴらに相談しようとなったのだ。
しかし相澤、教師としてはまだそう長くないが生徒からこんな相談を持ちかけられたのは初めてである。努めて冷静に振る舞ってはいるが内心はしっちゃかめっちゃかになっている。
パソコンを叩いたり教師達のトークルームを開いたりする事三分。ようやく確認が取れた相澤は二人に向き直った。
「…………校則違反等にはあたらないらしい。あと、俺はそんな理由で除籍にしたりはしない」
「「ほっ……」」
「ただし、しないとは思うが
「あっはい」
「流石に学生寮でそんな気にはならないです……」
「だろうな。流石にそこまでいかれると除籍しなきゃならん」
雄英側の結論としては『別にいいけどまだ未成年だから……分かるよね?』というもの。相澤からは学業と訓練を疎かにせずラインを超えなきゃどうでもいい、との事。
ちなみに教師のトークルームではミッドナイトが大変ご乱心中。この短い時間でよくもまあそんな長文を連投できるものだと一周回って感心すら覚える。
ただ、この二人が付き合っても然程違和感はない。家庭訪問というかその前、入学当日からやたら距離が近かったし下の名前で呼びあってたし。
むしろアレで今の今まで付き合っていなかった事の方に驚かされている。
「あんまり聞くのもアレだが……最近の恋愛事情ってそんな感じなのか? 別に詳しいわけじゃないんだがあまりにも想像と違い過ぎるぞ」
「アレは俺らだけのデフォです」
「慣れって怖いですね」
「俺はお前らの方が怖いんだが……?」
よかった。流石にアレが恋愛の平均値ではなかった。じゃあお前らは何なんだよ。怖えーよ。
いや相澤も、というか教師全員森岸と耳郎が幼馴染である事は把握していたけども。まさかほぼ親公認でいつでもゴールできますみたいな距離感だとは誰も思っていなかった。他よりちょっと親しい友人くらいだと思っていた。
蓋を開けてみればこれだよ。何だこの入り込む余地の皆無っぷり。ネオジム磁石だってまだ付け入る隙あるだろ溶接でもしたんかお前ら。
「……まあいい。とにかく、それが原因で成績を落としたりしなきゃ構わん。後はお前達の方で多少自重してくれればそれでいい」
「はい」
「ありがとうございます夜遅くに」
「それが俺の仕事だからな。今日はもう寝ろ。仮免試験もあったんだから疲れて──……?」
とりあえず除籍だったり何かしらの処分が下ることはない。そう結論付けて話は終わる……はずだったのだが、またも受け入れ難い情報が飛び込んできた。
『オイ、イレイザーヘッド! オタクノ生徒ガグラウンドβニイルゾ! 監督不行届!!』
「えっ」
「…………マジかよ」
『マジマジ』
相澤は今度こそキレそうになった。
【あの二人について】
根津「学生らしく健全に、ね?」
相澤「……特に言うことはない」
マイク「うっはアオハルしてんなー! オメデトー!」
13号「わー! おめでとうございます!」
セメントス「まあだいぶ仲良かったからねえ」
オールマイト「え、そうなの!? お祝いとかしてあげた方がいいのかな!? やめといた方がいい? そっかあ……」
ここ最近二人のお陰でアオハル成分を大量摂取できてそこはかとなく調子が良かった所にとんでもないアオハル爆弾を投げ込まれた結果吸収しきれなかったアオハル成分を鼻から垂れ流しつつ白目を剥いて幸せそうな表情で眠っているように気絶しているミッドナイト「」
根津「し、死んでる……!?」
相澤「アオハル成分の
マイク「ほっといたら治りますよ」
根津「そうなの……? というかアオハル成分って何なのさ……?」