魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 ちょっと遅れたけど許して……何でもはしないけど許して……






6.バッドマスコミニュケイション

 

 

 

 雄英高校はいつも注目を浴びる立場にある。

 

 現代において最高峰のヒーロー科というのはマスコミにとって垂涎の代物であり、また市民達にとってもこれ以上ない娯楽の一つでもある、

 

 故に、マスコミへの対応には慣れきっている……はずだったのだが。

 

 

 

 

「……今日は一段と多いな」

「だねぇ……」

 

 

 

 

 その雄英でさえ排除しきれない、少々品の悪い記者がこれ程までに集っているのはとても珍しい。

 

 何人かの生徒が捕まっているのを気だるげに見つめながら、耳郎と森岸はため息をついた。

 

 

 記者が集う原因はオールマイト。

 

 元々撮れ高の塊であったNo.1ヒーローが、同じく撮れ高の塊である最高峰のヒーロー科がある高校で教鞭を執ることになった。

 

 そりゃあもうお零れに預かりたい方々は必死こいて肩を組みに来る。美味しい所だけチューチューしたい連中がアポも取らずに押しかけてくる。これもうヴィランだろ。

 

 なんならバッサリとカットされていたが入学式の日も対人戦闘訓練の日もいた。もっと言うならその前からいるやつもいた。

 

 雄英としてはさっさとお帰り願いたいのだが、撮れ高に飢えた記者と言えども不法行為を犯していないのであれば強硬手段に出ることもできない。

 ある意味ヒーローという肩書きが故に勝てない存在。相澤を筆頭に教師達もウンザリしていた。

 

 

 で、その記者達が目をつけたのは生徒、それもこういった対応に慣れていないであろう新入生。

 

 要は教師をしているオールマイトの情報が欲しいので、彼の授業を受けたことがあれば誰だっていいようだ。カスかな?

 

 

「日毎に増えてるような気もする……詠士、またアレお願い」

「おう……【ステルス】、そんで【レムオル】」

 

 

 三日目ともなれば生徒側にも慣れる者が出てくる。詠士は気配を消す【ステルス】と認識阻害の【レムオル】を自分と耳郎に使い、一度も声をかけられることなく記者の群れをすり抜けていく。

 

 

「ついでに何人か名前記録しとくか」

「バレない?」

「バレないバレない。写真撮るだけだし」

 

 

 その途中で目に付いた会社名、或いは記者の名前を撮影。まさか撮りに来た奴が撮られるのは許せない、なんて言わないだろう? とでも言いたげな悪い顔の森岸。ヒーロー志望とは思えない顔である。

 

 だいたい10人ちょっとの記者を撮影した後、二人は校門前に着くと【魔法】を解いた。周囲からすればいきなり二人が現れたようにしか見えないが、人が多い現状ではそれに気づける者もいない。

 

 その後痴れ者が踏み込もうとしてセンサーが反応し、仮称雄英バリアーが発動して記者を完全にシャットアウトしていた。あの、まだ登校できてない生徒は大丈夫なんですか?

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 やあ。何故か相澤先生からヤベー奴を見るような目で見られるようになった森岸だ。

 

 初日から除籍がかかった個性把握テスト、二日目にはビルをぶっ壊すような同級生らと対人戦闘訓練。三日目ともなれば何かくるのかちょっと警戒しつつある。

 

 

「さて、ホームルームの本題だ。急で悪いが今日は君らに……」

 

 

 とか思ってたらほら来た。今度はなんじゃい。

 

 

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

「「「学校っぽいの来たああああ!!!」」」

 

 

 うわびっくりした。何事。響香もか。

 

 

 ……まあ普通科なら単なる雑務の押し付け合いになるけど、ヒーロー科だと集団を導く素地……トップヒーローに求められる能力を鍛えられるって認識なんだろうけど。

 

 俺? 俺はいいかな。俺は俺にリーダー的な素質がないのは分かってるし。

 

 あ、いつの間にか投票形式になってた。じゃあ……真面目そうだし飯田で。

 

 

 

 

 

「じゃあ委員長緑谷、副委員長八百万だ」

 

 

 

 …………何で? あんまり言うのも失礼だけど、緑谷リーダー職向いてなくないか? 多分参謀とかの方が向いてると思うぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よろしいのでは? だからこそ、今のうちにリーダーとしての素養を身につける訓練をしているという見方もありますし」

「んー……そういう見方もあるか」

「オイラが委員長になってたら女子のスカート短くしてやったのによ! お前もオイラに投票してくれよ!」

「校則変えられる程の権限はないと思うぞ」

 

 

 現在昼休み。対人戦闘訓練の縁で八百万さんと峰田を昼食に誘い、学食に来ている。峰田お前頭ん中ピンクかよ。ブドウみたいな頭してんのに。

 

 

 緑谷に票が集まったのは昨日の戦闘訓練で爆豪相手に啖呵を切った度胸を買われてのものだろう。しかし逆に言えばそれだけで信用を勝ち取ったということでもある。

 

 これもある意味では超人社会の弊害か? 力を示すことが信用されるのに一番手っ取り早いってのもなんだかなあ……。

 

 いや考えすぎか。まだ三日目だし、判断材料も少なかったからな。何かしら強い印象を残した奴に目が向くのは当然っちゃ当然か。

 

 

「森岸さんはよろしかったのですか? 立候補されていなかったようですが……」

「俺はほら、リーダー適正ないし」

「なんだそりゃ?」

 

 

 単純に面倒くさいだけとも言う。もしくは指揮官やるくらいなら前衛でガンガン殴り込みたい。

 

 

 俺のリーダー事情はともかく、個人的には八百万さんの個性の方が気になる。戦闘訓練の時に概要は聞いたが、何をどこまでできるかまでは聞いてなかったからな。

 

 八百万さんの個性は【創造】といい、非生物であればどんなものでも創り出すことができる能力だという。

 

 

「その、八百万さんの個性の発動条件? 何を消費して創ってんのかなって」

「私ですか? 【創造】は分子構造を把握したものを脂質を消費して生み出してますわ」

「……ってことは、使えば使うほどそのおっぱいが萎──」

「【マホトーン】すげえな【創造】」

「…………? ………………!!? ……!!」

 

 

 言いたいことは分かるが本人に言うんじゃねえよ峰田。俺もちょっと考えちゃったけどさ。思わず沈黙させる【マホトーン】使っちまったじゃねえか。

 

 でも分子構造からか……本人の努力がなきゃ絶対使いこなせない個性だな。手段を選ばなきゃ一番ヤベー個性と言っても過言じゃないかもしれん。

 

 

「いえ、大きいものは創るのに時間がかかってしまいますし……脂質を補充する必要もありますから」

「かもしれないけどさ、アイデア次第じゃどうとでもなりそうじゃん? 例えば拳銃全部創らなくても必要な機構だけ再現すりゃいいわけだし」

「……詳しくお聞きしても?」

「え、うん」

 

 

 なにいきなり。

 

 

 まあ、できるかどうかはさておき……極端な話銃そのものを作らなくても、弾丸を撃ち出す機構さえ作れりゃそれで済むというだけのことで。

 

 使い捨てという考え方にはなるが一回こっきりでも求めていた役割を果たす物を次から次へと生み出せるのであればそりゃあ滅茶苦茶強いよなあ、と。

 

 

「だからほら、やりようによってはいくらでもコストカットできるし手数も増やせるんじゃないかって思ったわけ」

「……森岸さん、ありがとうございます」

「へ?」

「少し、試したいことができました」

 

 

 お、おう。そりゃよかった……ね?

 

 

 

 

 

 

 

 Woooooo!!!

 

 

 

 

 

 

「うわ、なになになに!?」

「これは……警報?」

「…………!!?」

 

 

 あ、ごめん峰田。【マホトーン】かけっぱなしだった。

 

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

「セキュリティ3?」

「……校舎内に誰かが侵入してきた、って意味らしい」

「ちょっ、それヤバイんじゃねえか!?」

 

 

 マジか。雄英に侵入って、余程のバカか? 下手な市街地よりヒーロー集まってる所に乗り込んでくるとか自首でもしに来たんか。

 

 あと峰田落ち着け。今動くと……ほらやっぱり。出入口の方がもう詰まってる。

 

 ヒーロー科だけなら冷静に動けるのかもしれんが、雄英高校は普通科や経営科といった学科もある。そこの生徒達はパニックを起こしても不思議じゃないだろう。

 

 かといってアレに巻き込まれなかったから何ができるってわけでもない。外側から声をかけて少しずつ冷静さを取り戻してもらうくらいしかできないな。

 

 

 

 

「大丈ー夫!!!」

 

 

「……お?」

「あら?」

「あれ……飯田じゃね?」

 

 

 何してんだ飯田……いや本当に何してんのお前?? 表示の上に器用に乗っかって……ああ麗日さんの個性で浮かして貰ったのか。よく思いつくな。

 

 

「ただのマスコミです!何もパニックになることはありません!!」

 

 

 ……は? マスコミ? あ、本当だ。窓の外にいるわアイツら。

 

 まさかアイツらあの勢いのままに侵入してきたってのか? いくらなんでもやり過ぎだろ。学校内でパニック起きるレベルのことしでかしてんじゃん。

 

 とりあえず飯田の呼び掛けもあって落ち着き始めたみたいだし、後で先生に朝撮った写真送っとくか。えーと……ん?

 

 

「どうしました?」

「いや……朝撮ったマスコミの写真なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「コイツだけ記者っぽくないな……なんだ? コイツ」

 

 

 ボロボロの黒いシャツに引っ掻いたように荒れた目の周り。明らかにまともには見えない男が一人写っていた。

 

 

 





・ステルス

 透明化する呪文。9では宝の地図攻略にほぼ必須だった。作品によっては呪文ではなく特技扱いだったりもする。
 本作品においては気配を消すだけ。透明化させると葉隠ちゃんの役割を分捕ってしまうからね。仕方ないね。


・レムオル

 上記のステルスに役割を持っていかれた呪文……かと思えばこちらは魔物には効果がなく、人間からのみ視認されなくなるという効果。ドラクエⅢの『きえさりそう』と同じ効果でもある。
 本作品においては認識阻害効果に。古い例えだが某キ〇さんの目を隠す能力的なやつ。

・マホトーン

 呪文を封じ込める呪文。耐性によってはまったく効かないこともあるので味方が使うと弱いのに敵が使うとやたら強い。
 本作品においては沈黙効果、喋ることを封じる効果になっている。本当にただそれだけ。個性によってはこれだけで完封できる。
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