Q.冬美と耳郎って中の人一緒だったよね……まさかそういう事だったりします?
A.作者の人そこまで考えてないよ。感想で言われて気づいたくらいだもの。でも耳郎√じゃなかったらこっちとくっついてたという設定があったりする。
Q.森岸から見た冬美さんってどんな感じ?
A.普通に美人のいい人。それはそれとしてとんでもない事言い出したのでちょっとポンな人だとも思ってる。
Q.エンデヴァー個性婚させようとか思ってなかったっけ?
A.色々反省して改心しつつあるので止めた。かと思ったら冬美の方から迫り始めたので困惑しつつも流石に止めた。
「ごめんなさい……取り乱しました……」
ああ、うん。本当に取り乱してましたね。多分ですけどあなた歳下、それも高校生相手に脱ぎながら迫るような人じゃないでしょうに。
というか轟も燈矢も止めろよ。何をお姉さんの売り込みかけてんだ【ヘナトス】食らわすぞ。
どうも冬美さん、轟が初めて友人を連れてきた喜びと燈矢を助けてもらったお礼をしなきゃいけない使命感が混ざった結果、出力された行動がアレだったらしい。そうはならんやろ。
いくらなんでもお礼は身体で……なんてどこのエロゲーだよ。というかこのヒーロー飽和社会で一々そんな事されてたらオールマイトの子どもとか何万人になるんだよって話だ。
「あの、本当に気にしないでください。俺がやりたくてやったことなんで」
「しかしだな……」
「考えてもみてくださいよ。エンデヴァーは人の生命を救った後、その人からお礼にって大金渡されたりしたらどう思います?」
「む……」
そういうのはエンデヴァーが一番よく分かっていると思ってたんだが。いやこの人基本的に救ける側で救けられた事がないから分かってないのか?
ヒーロー殺しは否定していたが職業としてのヒーローってのは公務員という枠組みにある。国から個性使用の許可を、プロ免許を貰って活動しているのだから当然だ。
給料も歩合制でこそあるものの国から支払われている。人気が出てきたら副業を始めたりと色々あるだろうが、今は割愛する。
何が言いたいのかというと金銭的な流れとしてもヒーローが人を救けるのは当たり前と言えば当たり前なんだ。だってその給料は国から……国民の税金から出ているわけだから。
既に支払ってもらっているのに、そこから更に礼を貰うのは気が引けるだろう?
俺の場合は給料がないからその分の対価を支払いたいってんだろうけど、ヒーローを目指してる身としてはどうも受け取り難い。
まあ、それとは別としてだ。お礼は私の身体で……なんて一番受け取っちゃいけないだろ。ヒーローになる前からスキャンダル作ってどうすんだ。
というか俺への礼なんかよりもっと大事な事があるでしょうが。
「それに俺の事よりお母さんはいいんですか? 入院されてると聞きましたけど……」
「……ああ。俺が追い詰めたせいで、精神病棟に……」
「その……燈矢の事、話せるんですかね?」
聞いた話ではノイローゼ? で精神病を患ってしまったとか。間違いなくそこに燈矢のアレコレも原因となっているだろうし、何も考えずに伝えたらまた錯乱したりするんじゃなかろうか。
そこら辺は医者と相談しながら伝えるしかないんだろうけど、あんまり間が空くと『何で私には何も教えてくれなかったの』って方で一悶着になりそうだし。
その辺はどうなんです? と尋ねると答えたのはエンデヴァー……ではなく、轟だった。
「多分……大丈夫だと思う」
「焦凍……?」
「今のお母さんなら受け止められる……と思う」
轟は体育祭の後、入院してから一度も会っていなかったお母さんに会いにいったらしい。
会わなかった理由は『自分の存在がお母さんをまた追い詰めてしまうかもしれないから』だったそうで、緑谷との試合で色々と吹っ切れたから会いに行った、と。
「……謝ったらすんなり許してくれて、俺の好きな様に、なりたい自分になっていいんだって、言ってくれたんだ」
「お母さん……そんな風に言ってくれてたんだ……」
「…………」
「だから多分……大丈夫だと思う」
……そういえば体育祭が終わってから時々お見舞いに行くって言うことあったな。あれはお母さんに会いに行ってたのか。
にしても轟家……なんか、こう、No.1ヒーローの家としてはあまりにもスキャンダルの火種が多すぎやしないだろうか。個性婚だの虐待だの、どこかで変なタイミングで爆発しなきゃいいんだが。
それでお母さんについてはまずエンデヴァーと燈矢以外の三人で話をして、それで大丈夫なようなら燈矢本人が行く……ということで纏まった。
本当はそういう話こそエンデヴァーが行くべきなのだろうが、多分この中で一番会わせた時のリスクが高いのはエンデヴァーだろうし仕方ない。
燈矢についても同様。エンデヴァーのように燈矢の生存を信じて貰えなかった場合、錯乱しかねない。
「……いつか冷にも会って欲しい。きっと礼をしたがるはずだ」
「……お金とか払おうとしないなら、まあ」
「ああ……」
マジで勘弁してくれよ……あの金額は学生には刺激が強すぎるんだって。あと税金とか色々ヤベーだろどう考えても。
今はとりあえず轟家の方々と連絡先の交換だけして終わった。お母さんの事で話が進展したらまた連絡するから、と。
……薄ら堀を埋められつつあるような気がするのは気のせいだろうか。それがサイドキックとしてなのか冬美さん関連なのかはともかく。
◇
週明け。一足先にインターンを体験した緑谷と森岸も皆と同様普通に登校していた。
二人の様子は対照的。片やインターン中断に凹みこそしたものの面倒事が一つ片付いた事でスッキリとした顔をしており、片やモヤモヤを抱え込んでいるのかどこか上の空。ついでに何やら轟が申し訳なさそうにしている。
そして彼らと入れ替わるように麗日と梅雨ちゃん、切島の三名が公欠。インターンに出向していた。
インターンに出る同級生が増えると気になるもので、インターンを経験した二人に質問が来るのも当然だった。
「森岸さんはエンデヴァーの所に行ったとお伺いしましたが、どうでしたか?」
「ちょっとアクシデントがあって中断にはなったけど、色々話が聞けてよかったよ。トッププロ直々に教えてもらうだけでも結構違う」
「なあ緑谷インターンどうだった!? ドスケベエロコス女ヒーローがいたかどうか詳しく!」
「んあ、うん……」
この日、緑谷はずっと考え事をしていた。
授業中は突然当てられて慌てたり、USJでの訓練中に溺れかけたりと誰がどう見ても集中できていなかった。
その理由は【ワン・フォー・オール】の後継者候補の事やそれをオールマイトが教えてくれていなかった事、そしてインターン中に出会ったエリと呼ばれていた少女の事……既に感情の許容範囲を超えていた。
このままではよくない。モヤモヤを抱え込んでいてもどうにもならない。緑谷は直接オールマイトに尋ねることにした。
神野で引退を発表したオールマイトは、家庭訪問を終えてから再び自分を鍛えるようになっていた。
かつて森岸に治してもらえるまではトレーニングどころか日常生活さえ負担となっていたけれど、身体が治ってからは健康的な中年男性でしかない。
そこそこのハイペースでジョギングをしていると、不意に背後から足音が続いた。
「オールマイトォォオオ!!」
「うわっ!? み、緑谷少年が来た!? 何故私がここにいると!?」
普段の三割増の鬼気迫る弟子の勢いにギョッとさせられる。なんかそのまま殴りかかって来るんじゃなかろうかとすら思わされる迫力だった。
当然ながら殴りかかることなどなく、追いかけて来て乱れた呼吸を整えてから緑谷はこう切り出した。
「全部、知ってたんですか?」
「…………」
緑谷はオールマイトに何も知らされていなかった。
サー・ナイトアイが【ワン・フォー・オール】の事を知っていると、通形ミリオが後継者としての候補だったと。全てを知っていたはずのオールマイトは何も教えてはくれなかった。
聞かれなかったから、は通じない。後継者だと言うのならインターンに行きたいと相談していた時にでもオールマイトの方から話しておくべきだった。
何故言ってくれなかったのか。緑谷の不安そうな問いにオールマイトは前を向いたまま答えた。
「言う必要……あったかな」
「っ、あるでしょ!!」
それは緑谷にとってあまりにも不誠実な言葉。後継者として選んでくれたはずなのに、その当人からは何一つ教えて貰えないなんて。
その理由がオールマイト独断での判断によるもの。結果緑谷は何一つ分からないままナイトアイから否定され、反論しようにもオールマイトの意図が分からないから何も言えなかった。
自分は【ワン・フォー・オール】の、平和の象徴としての後継者として選ばれたはずなんだと、努力の理由すら揺らいでしまった。
「秘密にする意図も分からないからモヤモヤする! 何で教えてくれないんですか!?」
「……この話は、君の為にならないと思った。本当に聞きたいのか?」
「このまま秘密にされるよりはいいです! あなたのファンとしてじゃなくて、後継者として全部知りたい!」
「後悔するなよ」
そしてオールマイトの口から語られたのはナイトアイをサイドキックに迎え入れた時からの話だった。
元々はオールマイトの大ファンだったナイトアイ。サイドキックを取らない主義だったオールマイトを根負けさせてまでサポート役を拝命し、ブレーンとして五年間オールマイトを支え続けていた。
二人の間に亀裂が入ったのは六年前。オール・フォー・ワンとの戦いで負傷した時のことだった。
今でこそ治ったものの呼吸器官をやられ胃に関しては全摘。ヒーローとしてどころか人間として致命的なダメージを残していた。
その身体でヒーローを続けるべきではない、引退して後継者を探そうとナイトアイは言った。
オールマイトの答えはNo。その後継者が見つかるまでの間、誰が平和の象徴をやるのか。オール・フォー・ワンが消えてもまたすぐに次のオール・フォー・ワンが現れるだろうと。
『貴方が引退しても次のNo.1は現れる! 少しの間荒れるかもしれないが……
『その少しの間にどれだけの人が脅えなければならない……それに、君の【予知】が外れたことはないだろう?』
ナイトアイはオールマイトの未来を見ていた。だからこそ誰よりもオールマイトを止めようとした。何故なら──
『このままいけば、貴方は敵と対峙し……言い表せようもない程…………凄惨な死を迎える!!』
「オールマイトが…………死んじゃう…………?」
見えてしまったナイトアイにとって最悪の未来は、緑谷にとっても最悪の未来だった。
いくら超人であってもオールマイトとて人間。そりゃあいつかは死を迎えるだろう。
だが、本人の口からハッキリと言われてしまえば、目の逸らしようがない現実として突きつけられてしまう。
「君と出会い、力の譲渡を決めた事……ナイトアイにも報告したんだ。けれどそこでも対立し、彼との溝は益々深まる結果となった」
「…………」
「馬鹿げていると一蹴し、彼は……真に相応しいと思う後継者候補を……通形少年を育成し始めたんだ」
最早後継者候補の話など緑谷にはどうでもよかった。そんな事よりも確認しなければならないことがあった。
「ナイトアイの【予知】は……いつの話なんですか? 【予知】はもう、変えられないんですか……?」
「6、7年後だって。遠い未来ほど時間に誤差が生じるらしいが……【予知】で見た光景を変えられたことはないそうだ」
「6、7年後って……じゃあ、今年か来年じゃないか……!?」
そんな事、認められない。認めたくない。まだ教えてもらいたいことだっていっぱいあるのに、見ててもらいたいのに。
震えた声で縋るように緑谷は叫んでいた。
「『僕が来た』って言うところ……生きて見ててよオールマイト!」
「……緑谷少年」
ようやく、オールマイトは振り返った。
「私ね……【予知】を聞いて割とすんなり受け入れたんだ。
「そんな……」
オールマイトは語る。あの日神野でオール・フォー・ワンが現れたと聞いた時、ここがゴールなんだろうと思っていたと。
だが蓋を開けてみればあの通り。オール・フォー・ワンは一方的に打ちのめされてオールマイトは健在だった。
故に、オールマイトはこう考えていた。
「運命などこの手で好きな形にねじ曲げてやろう……って思ってたんだけどね。 とっくにねじ曲がっていたんだろう」
「え……」
「こう言っちゃなんだけど、私まだそこそこ戦えるんだよね。オール・フォー・ワンが投獄された今、私が負けるほどの敵っているかなあ……って」
オールマイトとナイトアイの道が分かたれるまで【予知】の光景を避けられたことは一度もなかった。一度見た結末を変えることなど不可能だった。
それが今、現在進行形で【予知】で見た光景からズレているんじゃないかとオールマイトは言うのだ。
「だからまあ……安心してはいたんだけど……どこかで揺り戻しが来るのかもしれないと思うと、ね? 不安にさせてしまうかもしれなくてね……」
「……何で【予知】がズレたんですか?」
「さあ……それを聞きたくとも私にはその資格はないさ。彼の忠告を跳ね除けていたのだからね」
ナイトアイは【予知】で見た光景は変えられないと言っていた。おそらくナイトアイ自身も【予知】を変える方法を探っていたのだろう。
今この瞬間が【予知】で見た未来からねじ曲がった理由を誰も知らない。誰も把握できていない。
これを喜ぶべきなのか、それともギリギリのバランスで成り立っていると備えるべきなのか。それを思うと緑谷に話す事を躊躇していた。
「強くなろうと頑張っている君の足枷になりたくなかったんだ。やる事があるうちは私も死ぬつもりはないよ」
「っ……これから貴方に何があっても、僕も一緒にねじ曲げます!」
「そうだね……私もまだ君を見ていたいからね。【予知】通りにならないよう、私も頑張るよ」
その後継者は【予知】を聞いて尚諦めてはいなかった。ならば自分は師としての仕事を最期までやり遂げよう。オールマイトは決意を新たに緑谷とグータッチを交わした。
誰も知らない。誰も把握できていない。未来をねじ曲げた先を目指して。
耳郎「あ、帰ってきた」
森岸「ただいまー……」
轟「悪いな森岸」
耳郎「滅茶苦茶眠そうじゃん。大丈夫?」
森岸「【ザメハ】が切れた……もう無理……」
耳郎「夕飯の時間になったら起こしてあげるから一回寝なよ。疲れてるんでしょ?」
轟「……そういや森岸、彼女いるって言ってたけど耳郎のことか?」
森岸「そうだよ?」
耳郎「バラしちゃったの?」
森岸「バラしたというか思わず口に出たというか」
耳郎「?」