魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.エンデヴァーの送金は家族も把握してる?
 A.事後報告して怒られた。お前そういう所やぞ。

 Q.【パルプンテ】の効果って元ネタと違ったりする?
 A.ほぼ別物。どこかで書いた通り森岸の【パルプンテ】は5種類しか効果がない。

 Q.爆発オチなんてサイテー!
 A.空に向けて放ってたからセーフ。尚、余波だけでガラスがだいぶ割れた模様。校舎にぶち込んでたら半壊してた。





68.弾丸会議

 

 

 

 相澤……否、イレイザーヘッドのインターンに誘われた数日後。森岸はイレイザーヘッドと共にとある事務所へと向かっていた。

 

 

 イレイザーヘッドとは、低い知名度とは裏腹にこの超常社会における圧倒的切り札と言っても過言では無い個性の持ち主だ。

 

 敵味方を問わず力の中心に据えられる個性を一時的とはいえ【抹消】する唯一無二の個性。教師として見た場合どんな生徒でも確実に黙らせられるという利点になる。

 

 ではヒーローとして活動する場合はどうか。【抹消】という替えのきかない能力の持ち主ではあるが、今は雄英高校の教師。余程の事でもなければ雄英と無関係の事件に関わることはない。

 

 

「その余程の事、って認識であってます?」

「あってるよ。本当なら生徒を引っ張り出すような真似はしたくなかったんだが……確実を期す為にも、と言われてな」

 

 

 そのイレイザーヘッドが力を借りたいという案件とは一体どれ程の事件なのか。森岸は静かに気を引き締めていた。

 

 電車に揺られること数分。どこか見慣れた通りを歩いた先に待っていたのはサー・ナイトアイの事務所。数日前に森岸も尋ねた緑谷のインターン先だ。

 

 

「あれ、またサー・ナイトアイですか?」

「あれとは理由が違う。全員揃うまでは待機だ」

「はい」

 

 

 まさかまた【予知】についての話があるのか? と身構えたがどうやら違う様子。イレイザーヘッドに続いて事務所へと入ると、そこには大勢のヒーローが既に待機していた。

 

 前ビルボードチャートNo.9のリューキュウファットガムといった有名ヒーロー、そしてマイナーな地方ヒーローが複数人とこの時点で只事ではないと察せられる。

 

 ドアの音に一度全員の視線が森岸達へと向けられ、何人かはその一瞥で済ませて各々の会話へと戻っていく。

 しかしリューキュウやファットガムといった一部は逆に森岸を見て興味深そうに頷いていた。

 

 

「イレイザーヘッド。その子が?」

「ええ。多人数戦なら連れてきて損はない奴です」

「ほーん? 言うやないか。あ、ファットガムいいます。よろしゅう」

「ど、どうも。コードネーム・レックスです。よろしくお願いします」

 

 

 どうもイレイザーヘッド直々に声をかけたというのが尾ひれになっているのか、森岸に興味を持ったリューキュウとファットガムが話しかけてきた。

 

 それを何人かのヒーローは訝しむような視線を投げかけていたがそれもそのはず、世間に知られている森岸の個性は謎が多すぎて全体像が不明瞭なのだ。

 

 雄英体育祭で様々な手札を公開していたものの、あれから成長した森岸は最早別人と言っていい程強い。多少雰囲気が変わった程度では理解できるはずもないので当然と言えば当然だ。

 

 そんな人物にこの中でも上位にあるリューキュウやファットガムが興味を持ったのだから自ずと興味も湧いてくる。探るような視線が増え始めた所で森岸の背後から声が響いた。

 

 

「森岸くん!?」

「お? 緑谷……だけじゃないな。切島に梅雨ちゃんに麗日さん……ビッグ3も来てるのか」

 

 

 入り口の方を振り返ってみると、そこに居たのはインターンに参加していた同級生達とビッグ3だった。

 

 緑谷はサー・ナイトアイに、切島はファットガム。麗日と梅雨ちゃんはリューキュウ……と、この場にいるヒーローの元でインターンを行っていた為にこの場に来ている。

 

 彼らからすれば見知った担任と同級生が先に来ていた事に驚いているのだが、生憎森岸もまだ事情を把握していない。

 

 学生達が顔を合わせて首を傾げていると、この事務所の主サー・ナイトアイが全体に向けて話し始めた。

 

 

 

「『死穢八斎會』という小さな組織が何を企んでいるのか。知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます」

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「──俺の目的?」

『うむ。互いに信用はなくとも協力者じゃろう? それくらいは教えてくれてもいいじゃろ』

 

 

 人の姿は三人。オーバーホールとその護衛が二人で、話しているのは通信機の向こう側。

 

 企んでいる、というよりは興味がある程度の質問。ドクターの言葉にオーバーホールは少し考え込む素振りを見せた後、ペストマスクの中で呟くように話し始めた。

 

 

「……話してもいいが、邪魔はしないでもらおうか」

『今のワシに他所の邪魔をしている余裕があると思うか? これでもお前達が思っているよりずっと余裕がないんじゃ』

「……それもそうか」

 

 

 そうしてオーバーホールが口にしたのはあまりにもアッサリとした目的。聞く者によっては惚けてしまいそうなくらい単純な理由。

 

 

「俺の目的は極道の復権……死穢八斎會の再興だ」

『ほう?』

「今やっている事が成れば世間は確実に俺達を無視できなくなる。表裏を問わず、な……」

 

 

 最早天然記念物とさえ評される極道の……死穢八斎會の復権。オーバーホールはそう口にした。

 

 それから見えもしないはずのとある物を取り出し、今度はオーバーホールの方から尋ねる。

 

 

「どうせ調べているんだろう? これ(・・)が何なのかを」

『ほっほお! 例のブツじゃな!?』

 

 

 

個性を消失させる(・・・・・・・・)弾丸!』

 

 

 

 興奮のままに燥ぐドクターの声を、不快そうに聞いていた。

 

 

 オーバーホールが作り出したのはこの世にあってはならない武器。この世の理を壊せる力。

 

 それこそが特殊な弾丸……個性消失弾だ。

 

 一発撃ち込むだけでどんな個性であっても喪失し、二度と元には戻らない。この超常社会で人を無個性にしてしまう武器だ。

 

 どれほど強い個性を持ったヒーローだろうが、どれほど凶悪な個性を持った敵だろうが関係ない。超常以前の人類に巻き戻して(・・・・・)しまえる。

 

 

『それが実現できればなるほど、そりゃあ世間……いや、世界中の人間はお前達を放ってはおけんじゃろうな!』

「お前から見てもそう思うか」

『当たり前じゃわい! オール・フォー・ワンがいたら力づくで奪っている程にな!』

 

 

 オーバーホールが引いていた図面は端的に言えばマッチポンプ。しかしドクターの頭の中ではもっと壮大な何かが思い描かれているようだった。

 

 オーバーホールの手段は至ってシンプル。敵には弾丸を、ヒーローには弾丸の治療薬を売りつける。それだけだ。たったそれだけで表も裏もオーバーホール達を無視できなくなる。

 

 そうすれば自ずと死穢八斎會の名は知れ渡る。誰ももう彼らを化石のような存在だと見下すことはなくなる。

 

 

 だが、その考えをドクターは鼻で笑い飛ばした。

 

 

『そこまでやってやりたい事が名誉の回復とはな! 何とも謙虚なことじゃ!』

「……黙れ」

『何を言う! これは協力者としての忠告じゃ! それほどの力があるのならばもっと有効活用できると───』

 

 

 ブツリ、と通信が途絶える。これ以上は聞くに堪えないと顔を顰めたオーバーホールが強制的に通信機を停止させていた。

 

 分かっている。オーバーホールとて馬鹿では無い。今自分が作り上げている物がどれ程の影響力を持っているのか考えなかったわけではない。

 

 それを分かった上で、オーバーホールは今の道を選んでいる。ヒーロー風に言うならば譲れない原点(オリジン)の為にそうしている。

 

 

「……随分と苛立っているようだな」

「…………」

「アレに貴様を理解する気などない。考えるだけ無駄だ」

「……ああ、そうだな」

 

 

 故に、オーバーホールの目には思想犯の炎が燃えていた。揺らめく炎は人を惹きつけ、時に同志を生み出す。

 

 

 

「お前は違う……フレクト・ターン(・・・・・・・・)

「当然だ。我が同胞よ」

 

 

 

 死穢八斎會若頭オーバーホールともう一人の巨悪、国際テロ組織ヒューマライズ最高指導者のフレクト・ターン。

 

 魔王が消えた今、世界の悪意は合流しつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 サー・ナイトアイ主導の元、情報共有は丁寧に行われた。

 

 ナイトアイ事務所が死穢八斎會に目をつけた理由となる強盗事件から始まり、死穢八斎會の動きが活発化している事。そして敵連合が連れていた改造人間の脳無がオーバーホールと接触していた事を話した。

 

 敵連合……もといオール・フォー・ワンの残党が関わるのであれば、とグラントリノやイレイザーヘッドがこの場に来ている。

 

 しかしだ。いくらオール・フォー・ワンの残党が関わっていたとして、ここまで大規模かつ慎重な作戦を求められるような事だろうか。

 中々本題に到達しないことに痺れを切らしたヒーローの一人、ロックロックが嫌味のように尋ねた。

 

 

「それで? 雄英生とはいえガキがこの場にいる理由はなんだ? 一々ガキの疑問に応えてちゃ本題の企みに辿り着く頃にゃ日が暮れてるぜ」

「吐かせこの二人はスーパー重要参考人やぞ!」

「うおっ!? お、俺達ですか?」

 

 

 それに答えたのはファットガム。天喰と切島を指しながら立ち上がり、自己紹介を挟んだ後に先日の事件を語った。

 

 

 関西地方の江州羽市で起こった事件。事の発端は名も無きチンピラのケンカだった。

 

 逃げていた六人はファットガムと天喰によって即座に制圧された……が、問題はここから。

 

 野次馬の中に紛れていたもう一人の仲間が天喰を銃撃。致命傷どころか流血すらしない微弱な弾丸だったが、それから天喰に異変が起こった。

 

 

「環が撃ち込まれたんは個性を壊すクスリやった……」

「個性を壊す……!?」

 

 

 直後、反撃をしようとした環はそれまで万全に使えていたはずの個性が機能しなくなっていた。許容限界や疲労によるものなどではなく、弾丸を受けた直後からまるで無個性のように何もできなくなった。

 

 撃たれた直後に病院で見たところ、天喰の個性因子が傷つけられていたという。

 

 

「幸い今は自然治癒で元通りやけどな」

「その撃ち込まれたモノの解析は?」

「撃った連中はダンマリで銃もバラバラ。弾も撃ったっきりしか所持していなかった……が、切島くんが身を挺して弾いたお陰で中身の入った一発が手に入った」

 

 

 放たれた凶弾は二発。そのうち一発は天喰が受けてもう一発は切島の【硬化】に弾かれた。それによって中身の残った弾丸を手に入れることができていた。

 

 すぐに中身を調査。極小の注射器のような弾丸を解体し中を開いてみると──

 

 

「……人の血ィや細胞が入っとった」

「えええ……!?」

「別世界のお話のよう……」

 

 

 血や細胞……即ち誰かの個性によるものである事が判明した。

 

 ヒーロー達は顔を顰め、学生達は顔を青ざめさせる。その中で二人、緑谷とミリオは冷や汗を流しながら目を見開いていた。

 

 

「若頭、治崎の個性は【オーバーホール】……対象の分解・修復が可能という力です」

 

 

 治崎……オーバーホールには娘がいるという情報があった。出生届も出されておらず個性を筆頭に詳細は不明。

 

 緑谷とミリオはその娘と遭遇していた。手足に夥しく包帯が巻かれた(・・・・・・・・・・)彼女と。

 

 そしてオーバーホールの能力は分解……一度壊し、治す個性。そして個性を破壊する弾。この超人社会、過ぎった悍ましい可能性を誰も否定できなかった。

 

 

「……つまり、娘の身体を銃弾にして捌いてんのか」

「っ……!?」

 

 

 未だ死穢八斎會の野望は判明していない。しかしあの弾丸が本当に個性を永遠に消失させるものになった時、悪事のアイデアなぞいくらでも考えられる。

 

 故に、今回の目的は二つ。個性を攻撃する弾を製造したオーバーホールの確保と、弾の材料にされている娘……エリの保護。

 

 

「今度こそ必ずエリちゃんを……保護する!!」

 

 

 あの日取り損ねた手を今度こそ。緑谷とミリオは力強く決意した。

 

 

 

 

 







ファット「アメちゃんいるか?」
森岸「いただきます」
リューキュウ「飲み物欲しかったらこっちにあるからね」
森岸「あざっす」
相澤(後輩に構いたがる先輩か……?)



 劇場版キャラ出したはいいけどうろ覚えで怖え……何かおかしいところあったら指摘してください……



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