魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.アイエエエ!? フレクト・ターン!? フレクト・ターンナンデ!?
 A.ざっくり言うと画面外で酷い目にあって日本に来てる。なので映画でやってた個性因子誘発爆弾(トリガー・ボム)とかは持っていない。

 Q.他の劇場版キャラも出てきたりする?
 A.ダークマイト以外は出す予定。ダークマイトだけは出す方法が思いつかなかったので前作同様ナレ死するかも。

 Q.森岸って歳上に好かれるタイプなん?
 A.個性とかイカれてる部分を除けばただの将来有望で素直な後輩なのでまあまあ可愛がられる事が多い。教師ウケがいいとも言う。






69.衝撃的事実

 

 

 

 目的は定まった。個性破壊弾の確保、及び製造法の破棄。そして材料にされていた娘、エリの保護。

 

 後は行動に移すだけ……かと言うとそうではない。

 

 ナイトアイも想定していなかったイレギュラー、緑谷とミリオの両名がエリと接触してしまった件がある。

 

 

「……推測通りだとして、若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった"核"なんだろ? それがガキンチョヒーローに見られちまってんだ、素直に本拠地に置いとくか?」

「確かに……攻め入るにしてもその子がいなかったらまずいわ。どこにいるか特定できてるの?」

 

 

 最も避けるべき事態は『エリの保護が叶わなかった』という結末。極端な話、死穢八斎會の構成員全員を投獄できたとしてもエリを保護できなかった時点で敗北と同義である。

 

 何せどのような手段なのかは不明だが、オーバーホールはエリを材料に個性破壊弾を作り上げている。ならば他の敵でも同じことをやろうと思えばできてしまう。

 

 やるならば一度でケリをつける必要がある。最悪オーバーホールは取り逃したとしてもエリの保護は最優先事項だ。

 

 

「そこで八斎會と接点のある組織やグループ、及び八斎會の持つ土地! 可能な限り洗い出しリストアップしました!」

「なるほど、それで俺達のようなマイナーヒーローが……」

 

 

 世間一般のイメージとはかけ離れた地道な捜査。一つずつ穴を潰していくような慎重さにファットガムが抗議の声を上げた。

 

 

「オールマイトの元サイドキックな割に随分慎重やな! 回りくどいわ! こうしてる間にもエリちゃんいう子泣いてるかもしれへんのやぞ!!」

「……我々はオールマイトにはなれない。だからこそ分析と予測を重ね、救けられる可能性を100%に近づけなければ!」

 

 

 対するナイトアイの態度は冷静。できない事をきっぱりと断るようにファットガムの言葉を否定した。

 

 それにグラントリノも同調し、ファットガムを窘める。

 何せヒーローは良くも悪くも注目が集まる職業だ。マイナーだろうがトップだろうがヒーローが動けばどうしても悟られる可能性が高くなる。

 

 下手に大きく動いてしまえば尚のことバレやすい。そうなってしまえば火種は更に大きく燃え広がり、より巨大なものへと変じてしまいかねない。

 

 だが、それで引き下がれる程度の善性であればこの場にはいない。年端もいかない子供に危険が迫っているのであれば尚更黙ってはいられない。

 

 紛糾する会議の中、リューキュウが静かに手を挙げてナイトアイに尋ねた。

 

 

「ねえ、一ついいかしら?」

「どうぞ」

「どういうものかは知らないのだけれど、貴方の【予知】で私達の未来を見れば何か分かったりはしないの?」

 

 

 それはヒーロー達の頭から抜け落ちていた手段の提案だった。詳細は不明なれど未来を知る事ができる個性だとは聞き及んでいる。ならばそれを使って確認すればいいのでは? とリューキュウは尋ねていた。

 

 名案だと誰もが頷く中、ナイトアイとイレイザーヘッド、そして森岸(レックス)の三人は気まずそうにしていた。

 

 それからどこか言い訳のように語り出した。

 

 

「……不可能です」

「何故?」

「今回の件において私の【予知】はほぼ……いえ、全くと言っていいほど機能しません」

「…………はい?」

 

 

 ナイトアイの【予知】は発動してから24時間のインターバルを要する。一日一時間、一人しか見ることができない。

 

 そしてフラッシュバックのように一コマ一コマが映し出される。例えるならば個人の人生を収めた一本の動画。一時間の間コマ送りで任意の時間を見ることができる。

 

 ただしその視点は対象の人物本人のものではなく、対象の人物のすぐ側からのもの。見えるのは個人の行動と僅かな周辺状況のみだ。

 

 聞けば聞くほど使わない理由がない個性。しかし機能しないとはどういうことなのか。

 

 

「端的に言いますと、彼……レックスが関わる未来の光景は私の【予知】と異なる結果になります」

「はあ!? 何でだよ!」

「ここからは俺が話しましょう。何故そうなるのかについてですが、彼の個性【魔法】によるものです」

 

 

 その理由こそが森岸。彼の【パルプンテ】が原因だった。

 

 【パルプンテ】とは森岸が使える【魔法】全てを混ぜ合わせた結果編み出された予測不可能理解不可能回避不可能な代物。使用した後の結果は森岸自身にさえ分からない。

 

 

「【パルプンテ】は10回やれば10回違う結果になるようなもので、これの存在が【予知】を乱してしまうそうです」

「……だったらそのガキを関わらせなきゃいいんじゃねえの?」

「そうね。戦力としては頼もしいけれど……確実性を高めるのならその方が合理的なんじゃない?」

 

 

 ならば森岸を外して【予知】を使えばいいのでは? とロックロック、次いでリューキュウが提案する。

 

 しかしイレイザーヘッドはやや躊躇いがちにこう返した。

 

 

「お言葉ですが……レックスはこの場にいるヒーローの誰よりも強い(・・・・・・)ですよ」

「「は?」」

 

 

 今度こそ空気が凍りついた。

 

 言うに事欠いて雄英の教師をやっているヒーローが、自分の所の学生がこの場で一番強いと口にした。

 

 今年の体育祭を見ていれば多少なりともそう言えるだけの実力があるとは思うけれど、この場にはオールマイトの元サイドキックやNo.9ヒーローのリューキュウだっている。

 そんな彼らを抑えてまで森岸が強いと言われても到底信じられるはずもなかった。

 

 

「おいおい……いくらなんでもそりゃ無理があるだろ。まだガキだろ?」

「コイツ……失礼、レックスはその気になればオールマイトと同等のパワーになれますよ」

「…………ホンマか?」

「え? あ、はい。オール・フォー・ワンに一発食らわせました」

「マジでか……」

 

 

 が、当の本人もこの態度。それも胸を張って自慢するようなものではなく『ああ、アレの事?』みたいな気軽さで答えるものだからゾッとさせられる。

 

 更に言えばオールマイトクラスのパワーですら実力の一部分でしかなく、そこに防御力や回復と多くの手札を抱えている。雑に言うと『オールマイトに色々足した化け物』にすらなれるのが森岸だ。

 

 

「もっと言えばコイツはそのパワーを他の人間にも与えられます。パワー、防御、スピード……コイツ一人いるだけで全員が強くなれます」

「ええ……?」

「先生もうコイツって言ってません? 隠そうとするの諦めてません?」

 

 

 何より強力なのがそれだけの強化を他人にも付与できる事。例え未来が見えなくとも森岸一人が参戦する方が余程可能性が高くなるとナイトアイは判断した。

 

 冗談だろう? と誰も口にできなかった。本人やイレイザーヘッドは勿論のこと、雄英生の誰もその言葉を否定しなかったからだ。

 

 流石にそれを無視してまで反対する者はおらず、それ以上【予知】や【魔法】について追求するものはいなかった。

 

 

「……娘の居場所の特定、そして保護。可能な限り確度を高め早期解決を目指しますので、ご協力の程よろしくお願いします」

 

 

 どこか冷え冷えとした空気の中、ナイトアイの言葉で会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 会議終了後、雄英生達は事務所1階のエントランスにて待機を命じられた。招集されたヒーロー達には個別に詳細な資料を配布されており、あくまでもインターン生である彼らは各自インターン先の対応次第となった。

 

 ビッグ3とA組5名。8人でテーブルを囲むように席に着いた彼らの視線は2人に……エリと遭遇した緑谷とミリオに注がれていた。

 

 

「そうか……そんな事が……」

「デクくん……」

 

 

 沈痛な面持ちの二人にどう声をかければいいのか、誰も二の句を継げずにいる。

 

 ヒーローを志す者として二人の気持ちが痛いほど分かるのだ。あの時、あの場においては正しい判断をしたと思っていても、今日の話を聞いて全てが後悔に覆った。

 

 目に涙を浮かべ恐怖に震えながら助けを求める幼い子供の姿が瞼に焼き付いて離れない。手足に巻かれた包帯の向こう側に隠されていた痛みがそっくりそのまま突き刺さるような気分だ。

 

 

 痛いほどの沈黙が充満する中、事務所のエレベーターが到着のベルを響かせた。

 

 

「……通夜でもしてんのか」

「先生!」

「あ、学外ではイレイザーヘッドで通せ」

 

 

 エレベーターから出てきたのはイレイザーヘッド。他の事務所と違い教職である彼には調査を任されておらず、他のヒーローよりも一足先に解放されたようだった。

 

 沈んだ空気の彼らに歩み寄ると、どうしたものかと考えているような表情のまま言葉を続けた。

 

 

「今日は君達の……森岸以外のインターン中止を提言する予定だったんだがなあ……」

「ええ!? 今更何で!? てか森岸は別なんスか!?」

「残党とはいえオール・フォー・ワンが関わってる可能性が高いからだよ。コイツは前線に出なくとも後方支援として必要不可欠だ」

 

 

 元々イレイザーヘッドがここにいるのはオール・フォー・ワンが関わっているから、という理由がほとんどだ。

 かつては都市伝説でしかなかった魔王の存在が神野で真実であると明かされ、またその被害の大きさも鑑みた結果ヒーロー達はオール・フォー・ワンが関わる場合は持ちうる戦力をなるべく出し渋らないようにしている。

 

 そして雄英が出すべきだと判断する人材はイレイザーヘッドと森岸の二人。【抹消】と【魔法】はオールマイトやエンデヴァーですら果たせない役割を担う事ができる。

 

 それに、とイレイザーは顔を顰めてもう一つの理由を明かした。

 

 

「……ヒューマライズ(・・・・・・・)が関わってる可能性も出てきた」

「? ひゅー……何です? それ」

「ヒューマライズ。海外に拠点を置くカルト教団の特定敵組織だ」

 

 

 ヒューマライズとは個性終末論の下で『無個性こそが真の人間であり、個性所持者は撲滅すべき』というこの超常社会にあるまじき過激な思想を掲げている組織だ。

 

 その規模は世界中に支部を持っているほどであり、規模だけで言えば死穢八斎會の何十、何百倍もの構成員を抱えている。

 

 

「……あれ? 確かヒューマライズって少し前に潰されませんでした(・・・・・・・・・)?」

「ああ、オール・フォー・ワンが消えたと分かった直後に動こうとしていたらしくてな。引退発表して仕事を控えてたオールマイトさんが出て幹部達は捕まえられた」

 

 

 しかしそれも過去の話。オール・フォー・ワンが消えたのをいい事に大きく動こうとしていた所をオールマイトを筆頭に世界中のプロヒーローが参戦し、事を起こす前にケリをつけられた。

 

 だったらそれで話はお終い……と、言いたいところだがそうもいかない。

 

 

「連中の企みを阻止はできたんだが……よりにもよって最高指導者に逃げられたらしくてな」

「えっ……」

「その最高指導者が日本に来ているかもしれないって話が出ているんだ。オール・フォー・ワンの残党が手引きしたとかでな」

 

 

 ヒューマライズの最高指導者であるフレクト・ターンを取り逃してしまい、その後は行方知れず。最後に確認されたのは空港内の監視カメラだった。

 

 最悪とは連鎖するもので、死穢八斎會の流通経路の中に隣国支部のヒューマライズも含まれていた事が判明。件の弾の事もありフレクト・ターンが次の手段を考えていた場合、今回の作戦で出てくる可能性があると言われていた。

 

 死穢八斎會だけならまだしも、オール・フォー・ワンとヒューマライズの残党。ここまで重なると流石のイレイザーヘッドでも経験より危険を考慮する。

 

 

「ただなあ……緑谷、お前はまだ俺の信頼を取り戻せてないんだよ」

「あ……」

「合宿ん時も結局森岸の制止を振り切ってるし、喧嘩もしたしな」

 

 

 それでもイレイザーヘッドは『インターン中止を提言する予定だった(・・・)』と言っていた。つまり中止させるつもりだったがそうしなくなったという事だ。

 

 その理由は単純。緑谷は普段の態度とは裏腹に一度救けたいと思うと誰の言葉も聞かず止められなくなるからだ。

 

 合宿で襲撃を受けた時もそうだった。伝言のみを頼んだはずがお目付け役だった森岸の言うことを聞かずに駆け出し、爆豪を救けたい一心で突っ走ってしまった。

 

 

「残念なことに……ここで止めたらお前はまた飛び出してしまうと俺は確信してしまった」

「…………」

「だから、俺が見ておく。するなら正規の活躍をしよう、緑谷」

「っ……!」

 

 

 だからこそ、目を離さない。勝手に動かれるくらいなら目の届く所で動かせる。誰かが手綱を握れる場所に置いておくべきだとイレイザーヘッドは判断した。

 

 

「気休めを言うが、掴み損ねたその手はエリちゃんにとって必ずしも絶望だったとは限らない」

「はい……」

「前向いていこう」

「はいっ!!」

 

 

 次は必ず助ける。決意を新たに緑谷は力強く返した。

 

 

 

 







ヒューマライズ「AFO消えたしやってやらァ!」
オールマイト「私が来た!」
ヒューマライズ「」

 ──ヒューマライズのネームド敵、画面外でオールマイト達により再起不能(リタイア)



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