魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 ちょっぴり感想・質問・疑問にお答えします。


 Q.ドラクエ以外からも出る?
 A.おそらく出ない。FFあたりからも出そうかと思ったけどヒロアカ世界に落とし込むと効果がダダ被りであんまり意味が無さそうだし。

 Q.閃華裂光拳とか過剰回復を攻撃転用したりは?
 A.やろうと思えば多分できるが、ヒロアカ世界で使うとスプラッタなオーバーキルになってしまうので余程のことがない限り使わない。

 Q.五感強化したら峰田が暴走しない?
 A.した。すぐに【魔法】を解除された。

 Q.マホトーン強くね?
 A.少なくともプレゼントマイク、口田、心操、吹出、トランペットを完封できるイカレポンチ魔法になってるので普通に強い。耳郎の【イヤホンジャック】なんかは対象外。声限定。





 Q.コイツオールマイト治せたりしない?
 A.実際にやってみた。




USJ
7.えっ!? 治しちゃっていいんですか!?


 

 

 それは突然の出来事だった。

 

 

 雄英の敷地内にある訓練施設。先生と生徒、それ以外の何者も存在しないはずだった空間。

 

 先生の話を終えた瞬間にそれは現れた。何もなかった虚空に黒いモヤのようなものが滲んだかと思えば、闇を掻き分けるように這い出る者達がいた。

 

 

 思えば、俺達はどこか舐めていた。

 

 いつかは対峙すべき存在の事を。憧れにだけ目を向け、それがどれほど強大なのかを忘れるように。

 

 

 相澤先生の声も、13号先生の言葉ももう耳には届かない。俺達は見てしまった。知ってしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとやり過ぎちゃったかな……?」

 

「おいどうなってんだ!? オールマイトは弱ってたんじゃないのか!? アイツ俺に嘘を……っ!? 不良品まで掴ませやがって!!」

 

 

 

 No.1ヒーロー強すぎない???

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 マスゴミ共の侵入事件があった放課後。

 

 相澤先生に諸々の写真を渡したり、緑谷が飯田に学級委員長の座を託したりと色々あったが……その後に緑谷から頼みたいことがあると呼び止められてしまった。

 

 響香も待たせてるし早くして欲しいんだが、緑谷も難しそうな顔で言葉を選びながら説明していたあたり思ってたより深刻な話だったりするのだろうか。

 

 教室で話すより当人がいる場所で、と言うので緑谷に着いていくとどう見ても教員の方々じゃないと使えなさそうな応接室に連れてこられた。勝手に入っていいの? 先に来て待ってる人がいるから大丈夫? そっか。

 

 

「オーr……八木先生!」

「やあ、よく来てくれたね」

「初めまして」

 

 

 八木先生? 初めて見る人だな。緑谷の知り合いなのか?

 

 

 それでどういった要件なのかを尋ねてみると、正にこの八木先生についての話らしい。

 

 何でも八木先生は昔からプロヒーローをやっているのだが、五年ほど前にヴィランとの戦いで酷い怪我を負ってしまったのだという。

 

 何とかして治す方法はないのかと色々調べていたところ、緑谷が俺の【回復魔法】ならもしかして! と思ったそうだ。

 

 

「……怪我はどの程度のものです?」

「少し見苦しいかもしれないが……こんな具合でね」

「おおう……痛々しい……手術で色々取ったりしてます?」

「……呼吸器官半壊、胃袋全摘した後だよ」

 

 

 あー……そりゃ普通の治療じゃどうしようもないわな。

 

 治療系の個性ってのはだいたいちゃんとした仕組みが存在している。

 

 雄英のリカバリーガールという方は対象者の治癒力……自然治癒力を活性化させることでどんな重傷もたちまちのうちに治してしまう。

 しかし自然治癒力を利用するので治癒には治癒される対象者の体力を消費する。体力によってはどうしても治癒を途中で止める必要もある。

 

 対する俺の【魔法】はどうなのかというと、ぶっちゃけ半分くらい概念系に足を突っ込んでいる。

 

 言ってしまえば『回復する』という現象そのものを引き起こすので対象がどれだけ弱っていようが死んでさえいなければ回復させることができる。

 

 多分個性研究者とかが俺の個性調べたら研究資料数束くらい放り投げたくなるんじゃなかろうか。

 

 

「なので治療……というか回復自体はできると思います」

「ほ、本当かい!?」

「ただ……おそらくそれだけの重傷かつ、時間が経っていることも考えると間違いなく一回で回復させられないので少し時間がかかると思います」

 

 

 なので響香に先に帰ってていいよってチャット送っていいですか? あざっす。あ、スタンプだけ返ってきた。待つの? そっか。

 

 

 それじゃ回復のお時間だ。

 

 今俺が使えるのは【ホイミ】と【ベホイミ】、それから【リホイミ】の三つ。【ベホマ】を完成させられてたらすぐ終わったんだけど……今は忘れよう。

 

 まずは【リホイミ】から。だいたい一時間は持続するからじわじわ回復させつつ【ベホイミ】を重ねがけし続けるのが一番手っ取り早いはずだ。

 

 

「……痛みとかないです?」

「ああ、うん。治療による痛みはないかな」

「変な感じしたらすぐ言ってくださいね。止めるんで」

 

 

 おー、効いてる効いてる……けど、これどんだけダメージ負ってたんだこの人。コップで汲んだ水で25メートルプールを満たそうとしてるような気分になる。

 

 これならいっそ【ベホイミ】から【ベホイム】に変えても大丈夫か?回復力が超過すると高揚感が強まってえらい事になるんだが……この様子だと変えてもいいかもしれん。

 

 

「む……?」

「あ、痛いです?」

「いや……急にじんわりと熱を感じたものだから……」

 

 

 効いてきた証拠ですね。やっぱ【ベホイム】にして正解だったか。

 

 ちなみに俺の個性は呪文を唱えないと発動しない。なので今この瞬間も滅茶苦茶小さい声で「ベホイムベホイムベホイムベホイム……」って呟き続けてる。

 

 必要なんだからドン引きしないでくれ緑谷。

 

 にしても本当に底なしだな。普通なら破裂しそうなくらい使ってるのにまだ足りないのか。初めて魔力が底を尽くかもしれん。

 

 

 

 ………………? 待て、何か八木先生、ちょっとずつパンプアップしてないか?

 

 気の所為、じゃねえな。なんかじわじわ膨らんできてるというか、よく見たらこの人筋肉凄いな。ダメージなかったら物凄いマッチョなんじゃ───

 

 

 

「ハックション!」

 

 

「───え」

「あ」

 

 

「うん? どうしたんだい森岸しょうね…………ん?」

 

 

 

 …………八木先生が、クシャミしたら、オールマイトになった……?

 

 

 

 

「ええええええええ!!?」

 

 

「あ、あれ!? 何で!?」

「ちょ、オールマイト!? 何やって……!」

 

 

 アイエエエ!!? オールマイト!? オールマイトナンデ!!? コワイ!!

 

 え、マジ? これ現実? あの大怪我してガリガリだった八木先生とオールマイトが同一人物? ウッソだろおい!

 

 明らかにサイズ感とか身長とか……っ、いや、そんな、ちょ、ええ!? 物理法則とかどうなってんの!? 俺が言えたことじゃないかもしれないけど!

 

 

「ももも、森岸少年! この事は内密に……!」

「いやあの、ちょっ……情報量が多いんで終わってからにしてくれます!?」

 

 

 手元が狂う! 何か変な笑い込み上げてきちゃうから! だからしばらく静かにしてもらえません!?

 

 

 

 

 

 

 

 ……ふう。10分ぐらい経ってようやく落ち着いた。ついでに回復も終わった。

 

 それでえーと、八木先生がオールマイトでオールマイトが八木先生で? 一体何がどうなってそうなるんです。

 

 

「……さっき話した通りさ。五年前、凶悪なヴィランとの戦いで後遺症が残るほどのダメージを負った」

「緑谷は……何故?」

「えっとそれは……」

「たまたま見られてしまったのさ。こんな事を世間に広められても困るからね……黙ってもらっていたんだ」

 

 

 へー……お前よく黙ってられたな。俺ならうっかり洩らしてたかもしれん。

 

 

 でもそうだよな。オールマイトは日本という一国の代表となる人物だ。それが実は引退を考えるレベルの負傷をして弱っていました、なんて公表できるはずもない。

 この人はそれを隠し通す為にあれだけの怪我を負った身体で戦い続けていたのか。

 

 それも俺が治しちまったから解決したけどな! 実際どうです? 身体の調子は。

 

 

「…………凄いね君。本当に治っちゃってるよ」

「そりゃ【魔法】ですから。どんな個性よりも物理法則に喧嘩売ってる能力ですよ」

「ははは……本当に、本当にありがとう……! まさかアレが治る日が来るなんて夢にも思わなかった……っ……!」

 

 

 そんな大袈裟……でもないか。オールマイト程重要な人物の負傷を周囲の人々が黙って見過ごせるはずもない。

 

 俺が治したこの怪我も、この五年の間になんとか手を尽くそうとしていた人達がいたはずだ。それでも尚、この瞬間まで治っていなかったということはそういう事なのだろう。

 

 

「…………あ」

「ん? どうかしました?」

「……二人とも、ランチラッシュって何時まで学校にいるか知ってたりする?」

「いや流石に……」

「どうしました?」

「胃腸が復活したからかな。急にお腹が空いちゃって……」

 

 

 ……まあ、元気になったんなら何よりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その翌日。

 

 本日もヒーロー基礎学。その内容は人命救助(レスキュー)訓練だ。

 

 

 屋内での対人戦闘訓練はオールマイトしかいなかったが、今回は相澤先生とオールマイトにもう一人を足した三人体制で行うそうだ。

 

 とはいってもこの学校、プロヒーローが多いから誰が来るか想像もつかない。プレゼントマイクが英語の担当してたりするし。

 

 

 そんで人命救助訓練にあたって戦闘服(コスチューム)の着用は自由らしい。戦闘服の機能によっては状況設定に適さないものが足を引っ張る可能性もあるので、そこは自分で判断しろという事だろう。

 

 俺は勿論戦闘服。でも要望通りの鎧が届いてたら絶対着なかったな……そういう意味では要望を叶えてくれなくてありがとう、といったところか。

 

 

 現在はバスで移動中。オールマイトは先に向こうに行って待っているらしい。

 

 そして移動時間は暇になるので雑談が始まる。相澤先生もこの時間中は特に何も咎めたりはしないようだ。

 

 

「しかし増強型のシンプルな個性はいいな! 派手でできることが多い!」

「僕は切島くんの【硬化】凄くカッコイイと思うよ! プロにも十分通用する個性だ!」

「プロなー! でもやっぱヒーローも人気商売なとこあるぜ!?」

「派手で強いっつったら轟と爆豪だろ。そんで地味で強い代表森岸」

「ンだとコラ」

 

 

 急にこっちを刺すんじゃねえ上鳴。お前さては戦闘訓練のことちょっと根に持ってんだろ。

 

 

 しかし言いたいことは分かる。爆豪の【爆破】や轟の冷気と熱気を操る個性はもう見た目から強い。滅茶苦茶印象に残る。

 

 なのに見掛け倒しどころか見た目よりずっと強い実力を有しているのでもっとたちが悪い。油断とか慢心とかなさらないので?

 

 

「でも爆豪ちゃんキレてばっかだから人気でなさそ」

「ンだとコラ出すわ!!」

「ほら」

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってスゲェよ」

「急にスゲェ罵倒すんじゃん上鳴」

 

 

 お前後でシバかれるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水難事故、土砂災害、火事……etc」

 

「あらゆる事故や災害を想定して僕が作った演習場です。その名も……」

 

 

(U)(S)害や(J)故ルーム!!」

 

 

 

 あのそれ権利的に大丈夫です??

 

 

 今しがた施設の……USJの説明をしてくれたのは13号というヒーロー。まんま宇宙服のような戦闘服を着ているので素顔が見えないが、声からして多分女性。その隣にはいつも通りの(・・・・・・)オールマイトが。

 

 何やら確認事項でもあったのか、相澤先生は少し眉間に皺を寄せながらオールマイトと小声で話し始めた。二、三言ほど交わした後、俺の方を見て『マジで……?』みたいな顔をしていた。何? 何事?

 

 

「……まあいい。始めよう」

「はい。えー、では……始める前にお小言を──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……いるなァ……オールマイト……」

 

 

「っ、一塊になって動くな!」

 

 

「……え?」

 

 

「13号! 生徒を守れ!」

 

 

「あれは、ヴィランだ!!」

 

 

 

 

 

 

 ※シリアスな空気になってますが結末は冒頭時点でお察しです。

 

 






・ベホマ

 単体回復呪文の最上位。その効果は『対象のHPを最大まで回復する』というもの。
 仲間は4人いるので1人だけ完治させても……と思うだろうが、これに【仁王立ち】という1人で全ての攻撃を引き受ける特技を合わせると永久機関が完成してノーベル賞が貰える。
 本作品ではまだ未完成だが、完成したら原作通りの効果になるのでまあまあぶっ飛んだ魔法になる。


・ベホイム

 ベホイミより回復するけどベホマのように完全回復は確約されない回復呪文。ちょっと影が薄い。
 だいたいベホイミの倍の回復効果を持っていることが多いが、そもそも最近になってから出てきた呪文なので8で止まってる人だと知らないことが多い。
 本作品ではベホイミより回復量が多いが、そもそもベホイムが必要な状況は瀕死に近い状態になるのでほとんど使われてこなかったという設定。


八木「……回復力が超過するとどんな感じに?」
森岸「喧しい酔い方するオッサンみたいなテンションで騒ぎ始めます。下手すると他人にそのテンションで絡みに行きます」
緑谷「面倒くさそう!」
森岸「それでも続けてると破裂する」
八木「破裂」
森岸「パーンってなる」
緑谷「パーンて」

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