Q.砂藤が投げてたアメって手作り?
A.流石に時間がなかったので市販品。個包装のアメを小分けにして包装し直しただけ。
Q.森岸小さい頃から覚悟ガンギマリ過ぎない?
A.当時は軽い気持ちで言ってた。時間が経つに連れて言葉の重みが増してる。
Q.青山の個性制御上達してる?
A.腹痛対策で【リベホイミ】しながら個性伸ばしできてたからかなり上達してる。加えて原作より長く訓練を続けられている為か青山への負荷もかなり軽減されており、腹痛を起こす頻度も段々と下がっていっている。
空が泣いているような大雨──っぽい効果音を流しながら、幾多もの戦場を超えてきた勇者はあらん限りの力を込めて名乗りをあげる。
「我が名はロミオ!! アズカバンの亡霊、パリス伯爵よ! ジュリエットを返してもらおう!!」
剣──のレプリカを固く握りしめ、射殺さんばかりにローブの男を睨みつける。そしてその先、塔で待つ
「ロミオ……オビワンから父親の事、聞いているだろう……ゴンドール王国の王であったと……」
「っ……何故貴様がそれを!?」
「あれは嘘だ」
そうしてパリス伯爵はバサリとフードを取り払い、真実を口にした。
「
「
お前どの面下げて完全オリジナル脚本とか言えたんだ物間。
A組の後がB組の番だったということもあり、全力で片付けを急いでも見れたのは最終盤あたりだけだった。
アイツ何が完全オリジナル脚本だよ。よく知らん俺でも七個くらいパロディネタ見つけたぞ。何であのクソみてぇなパッチワーク劇で綺麗にまとまったエンディングになるんだよ。おかしいだろ。
まあ何はともあれ、A組B組共に何事もなく演し物は大成功で終了。会場を出てみると楽しそうに語っている人達ばかりで何よりだ。
それとやっぱり緑谷は何かやっていたらしく、人語を忘れかけたハウンドドッグから盛大に怒られていた。お前本当に何した。あ、ぶん投げられた。
「……何をしてるんだお前らは」
「あ、相澤先生と……エリちゃん」
呆れたような顔の相澤先生と、何か話したくて仕方がないといった様子のエリちゃん。その様子だと……大成功って事でいいのかな。
「あのね、最初は大きな音でこわくって、でもダンスでピョンピョンなってね!」
「うん」
「ピカって光って、ぶわって冷たくなってね。プカーって、グルグルーって光ってて……」
「うんうん」
「女の人の声とレックスさんの声でワーってなって私……」
「わああって言っちゃった!」
……やべ、泣きそう。ちっちゃい子に真っ直ぐに褒められるってこんなに嬉しいんだ。初めて知った。
緑谷も同じ気持ちなのか袖で目元をゴシゴシと擦った後、何とか「楽しんでくれて良かった」と絞り出していた。だよな。泣いちゃいそうになるよな。
あ、そうだ。響香ちょっとこっちこーい。ほらエリちゃん、歌ってたお姉さんだよ。
「何? どした……って、この子……」
「あ、えっと……エリ、です」
「……うん、初めまして。ウチは耳郎響香っていうの。よろしくね」
「……! うん!」
やっぱり。響香のこと話す時めっちゃ目を輝かせていたから会わせてみたんだが、尊敬の目というか憧れの目というか……とにかくキラキラした目で響香のことを見てる。
相澤先生によると一曲目のラスサビに入る頃に笑ってくれたらしく、それからはずっとニコニコとご機嫌に笑っていたそうだ。
「エリちゃん……お前達の歌を聴いて、自分も歌がしたいと言っていたぞ」
「……マジすか?」
「マジだ。よかったな」
マジかあ……憧れてくれたのか。何かすんごい照れくさいけど、すんごい嬉しい。響香も聞こえていたらしく耳の先が赤くなっているし滅茶苦茶嬉しそうにしている。
そのエリちゃんは何とかして楽しかったことを伝えようと身振り手振りまで加えてピョンピョンと跳ねながら話している。あら可愛い。
かと思ったら今度は俺の事を思い出したのかトテトテと駆け寄って来た。
「レックスさん!」
「どした?」
「レックスさんもお歌、教えてください!」
「そ、そうきたかぁ……」
"も"ってことは響香も言われてんなこれ。チラッと見てみると苦笑いを浮かべながら肩を竦めていた。
ぶっちゃけ歌う事に関しては俺よか響香とか響香のご両親のが適役なんだが……頼まれたら断れないよな。俺なんかで良ければ喜んで教えよう。けど……
「その前に、っと」
「わっ……」
ヒョイっとエリちゃんを抱えあげる。うーん、やっぱり軽い。同年代と比べるとどうしても痩せちゃってるよなあ。
「文化祭はまだ終わってないからね。まだまだ楽しまなきゃ」
「……うん!」
って事で響香さんや、エリちゃんも同行していい? 緑谷とか麗日さんも一緒に回る? そうしよっか。
ところでそっちで爆豪がザマミロみたいな顔してんのは何があった。え? 他科の奴らに勝った? 何の話?
◇
そうしてエリちゃんを含んだA組達が最初に向かったのはミスコン会場。やけに片付けを張り切って終わらせた峰田が行きたがっていた事もあり、何となくA組全員で会場へと来ていた。
ステージに立っているのは自分達と同じ一年生。B組の委員長を務める拳藤一佳がスリットの入った華麗なドレスで着飾っていた。
八百万と並んで体育祭後の職場体験でCM出演を果たし、それ以来『シュシュッと一吹きケンドー』という宣伝用のフレーズごと名前が知れ渡っていたこともあって声援が飛び交っている。
男子達が鼻の下を伸ばして綺麗だなーなんて思っていた次の瞬間、拳藤は思い切りドレスの一部を引き裂いた。
「ええ……?」
「凄いとは思うけど……ミスコン用のパフォーマンスかなあこれ」
どうもパフォーマンスの為に動きにくくなるのを嫌ったのか、長いスカートを短くする為に引き裂くと分厚い木の板を手刀でベキバキとへし折っていった。
エリちゃんはよく分かっていないのかポカンとしており、エリちゃんを抱えた森岸も凄いとは思うが方向性が違うのではと首を傾げている。
だが着飾って綺麗になっていたのは確かだし、拳藤一佳の魅力を引き出すならそれが最善なのだろうと無理やりに納得していたところで前年度王者の番が来た。
「(地味!! 何もわかっていないようですね……その程度で私と張り合おうだなんて!!)絢爛豪華こそが"美"の終着点!!」
『三年サポート科ミスコン女王! 高い技術で顔面力をアピール! 圧巻のパフォーマンス!』
絢爛崎美々美が自身の顔面を模した機関車トー〇スのようなキャタピラに乗って現れた。これもう何を競ってるのかわかんないんですが。
オマケにランウェイを走りながら変型を始め、キャタピラ走行する人型ロボットになりながらその上で絢爛崎は高笑いを響かせている。本当に何これ?
「これは何する出しもの?」
「……さあ?」
「ウチもわかんない」
ミスコンですよね? と問いかけたいが答えてくれそうな人は近くにいない。お目付け役の相澤ですら背景に宇宙を背負った猫のような顔でポカーンとしていた。
そして再び三年生。雄英ビッグ3の一人である波動ねじれの番がやってくる。
雄英生最後のミスコン。どうせやるなら優勝したいという想いで臨んでいるねじれはランウェイを歩き、フワリと飛び始めた。
「きれい……」
「妖精さんみたいだね」
かつて森岸が言っていたようにねじれにもミスコン女王に輝けるだけのポテンシャルはあった。では何故去年のミスコンで2位に終わったのか。
それはあの派手も派手、ド派手な絢爛崎に対して同じく派手さで勝負を挑んだ事が理由だった。
絢爛崎には絢爛崎の良さがあるように、ねじれにはねじれの良さがある。無理に競わずに持ち味を活かすべきだった。
故に同級生の女子が選んだコンセプトは『妖精』。ねじれの子供のような純真無垢な雰囲気を最大限に際立たせる方向を取った。
まるで妖精のように空を舞い、幻想的に微笑みながら戻っていくねじれに誰もが視線を奪われていた。
「
「拳藤さんに対抗させるなら知名度的にヤオモモじゃね? 一緒にCM出てたし」
「そこは耳郎ちゃん推薦せんの?」
「嫌がるのが目に見えてる」
「よく分かってるじゃん」
ミスコン会場を後にした森岸達が向かったのは経営科の区画。経営科というだけあって飲食系の出し物が多く、ランチラッシュの監修もあり好きなものを買っては食べながら休憩していた。
緑谷と麗日と梅雨ちゃんはクレープを。森岸と耳郎はセメントスを模した容器のジュースと焼きそばを買っていた。
エリちゃんはというと歩き回って疲れた事もあってか何が食べたいとは言わず、時折森岸の分の焼きそばからお裾分けを食べるくらいだ。
「美味しい?」
「おいしい……!」
「ちょっと詠士、エリちゃんの口の周りにソース着いちゃってるよ。ほら、拭いてあげる」
「ん……」
森岸や緑谷だけでなく、耳郎や麗日に梅雨ちゃん……エリちゃんと共に文化祭を回っていた生徒達ともすっかり打ち解けたらしく、怯える素振りを見せることもなく楽しそうにしている。
中でも歌っていた姿に憧れた耳郎に懐いたようで、移動する時は森岸か緑谷のどちらかに加えて耳郎とも手を繋いで歩くようになった。
耳郎も小さい子に慕われるのは嬉しいもので、数時間もしないうちに慣れた手つきでエリちゃんの面倒を見ている。ウェットティッシュを取り出してエリちゃんの口周りを優しく拭き取っていた。
「……何か、親子みたいやね」
「そうね。二人には特に心を開いているし、少し妬けちゃうわね」
その様子はどう見ても親子。慣れた様子でエリちゃんの面倒を見ていたり会話していたり、森岸と耳郎の二人が息ぴったりということもあってますますそう見えてしまう。
当人達はキョトンとした後、ケラケラと笑いながら「確かにそう見えるな」と微笑みながら言った。
「そういや緑谷、そのクレープ美味かった?」
「うん。ランチラッシュに教わっただけあって凄く美味しいよ」
「マジ? 俺も買ってこよ。エリちゃんも食べる?」
「くれーぷ……?」
「フルーツとクリームを薄い生地……甘いので包んだ食べ物だよ」
「微塵も動じひんの凄ない?」
「照れもしないわね」
ちょっとあまりにも強すぎる二人に戦慄すら覚える。もっとこう、照れ隠しとかなさらないんですか?
現物を見せた方が早いか、と緑谷に頼みエリちゃんを連れてクレープ屋の方へと行ってしまった。勿論お目付け役の相澤も同行。
戻ってきた時には幸せそうにクレープを頬張るエリちゃんと二つクレープを持った森岸、そして何故かやけにデカいクレープを持たされた相澤がいた。
「何で!?」
「知らん……俺に聞くな」
「経営科の人が相澤先生を見るなり作り出してて……クレープ受け取る時に相澤先生呼んでニッコニコで渡してた」
「食べ切れます……?」
「……自信はないが食べるよ。食べ物を無駄にするのは忍びない」
ある意味醍醐味とも言える教師へのサービスだろうか。いっそ嫌がらせに見えるくらいのサイズのクレープを見つめながら相澤は無心でクレープに噛み付いた。
◇
いやあ……今まで雄英は体育祭の方しか見てなかったけど文化祭も凄かった。今年は生徒と一部の関係者だけでこれなんだから一般客がいる時はもっと人も多かったんだろうな。
まあ身内だけでやる事になってたからエリちゃんが来れたわけなんだが。スマホの写真も思い出だらけになったしな。
あ、そうそう。ミスコンは波動先輩が優勝していた。ミスコン女王だった絢爛崎さんを超えて最後の年に女王に輝き、通形先輩達も声を上げて喜んでいた。
色んな出し物を回って色んなものを食べて、エリちゃんにとっても楽しい一日になってくれた。
だからだろう。お別れの時間になるとエリちゃんは寂しそうに俯いている。
「大丈夫。また会いに行くよ」
「……うん」
うーん、こればっかりは仕方ないか。別れを惜しんでくれてること自体は喜ばしいことなんだけど、それはそれとしてこんなに分かりやすくションボリされるとこっちまで悲しくなってしまう。
どうしたらいいんだろうか……と思っていたら緑谷が何かを持っていた。あ、それ。
「エリちゃん顔を上げて」
「……?」
「サプライズ!」
「……リンゴアメ!」
そういえば病室で言ってたっけ。リンゴ好きって。話題にも出てたな。
でもリンゴアメ売ってたっけ? と首を傾げていると何と緑谷が自分で作っていたらしい。途中でちょっといなくなってたのはそれか。
買い出しの時に材料を買っていたらしく、食紅を砂藤から借りて作り方を調べて作っていたそうだ。ナイス緑谷。
目を見開いていたエリちゃんは恐る恐るといった様子でリンゴアメを齧り、ニッコリと笑っていた。
「フフ……さらに甘い」
「またつくるよ! 楽しみにしてて!」
「うん!」
こうして俺達の、エリちゃんの文化祭は幕を閉じた。
「……あ、そうだ」
「?」
「買い出しの時、お前がどこで何をしていたかキッチリ聞いとかないとなあ? 緑谷」
「うっ……その……皆には内緒でお願いします……」
「内容による」
このあと想定の斜め上の話が飛び出してひっくり返りそうになったのはまた別の話。
耳郎「詠士のそれ何味?」
森岸「塩バニラ。食ってみる?」
耳郎「食べる!……あ、これめっちゃ美味しい」
森岸「だろ? これ超大当たりだった」
緑谷(く、クレープ食べさせ合ってる……!)
エリ「?」
森岸「エリちゃんも食べてみる?」
エリ「うん」
緑谷「!!?!?」
耳郎「どうした緑谷」
相澤「……減らん」
蛙吹「いつもゼリーだものね」
麗日「手伝いましょうか?」
相澤「いやいい。責任持って食べるよ」