魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.冷さんに諸々全部話したの?
 A.後で触れますが話しました。完全回復とはいかなかったけど色々考えて色々吹っ切れたのか時間が経てば前より強くなって戻ってくると思われる。

 Q.トガちゃんとか物間だとどうなるの?
 A.こちらも後々触れる予定ですが、結論だけ言うと【魔法】を使う事は可能。

 Q.【魔法】単体で脳無に移植したらどうなるの?
 A.【ホイミ】数回しか使えない脳無が生まれる。






90.A組 VS B組

 

 

 

 脳無によるエンデヴァーの襲撃に森岸の【魔法】を複製されたことが判明と、あまりにも濃い数日が経った。

 

 世間は新たなNo.1とNo.2初の大捕物を称賛し、不安を拭われた事にどこか安堵を覚えている。

 

 逆にヒーロー達は不安が残った。エンデヴァーに対してではなく、脈絡なく現れた脳無に対して。

 それに加えて森岸の事情を知った者達は己の無力さを嘆き、同時に未だ姿を見せないオール・フォー・ワンの残党に怒りを募らせている。

 

 

 だがそんな事で雄英のカリキュラムは乱れない。

 特に事件が起きていないのならいつも通りに授業と訓練が行われる。

 

 昼休みを終えて午後。冷たい風が吹き付ける中、A組はコスチュームに着替えて運動場γへと来ていた。

 

 

「葉隠寒くないの?」

「めっちゃ寒ーい! 根性で耐えてるだけ! どうしよう!」

「ええ……」

「私のはちゃんと冬仕様だもんねー! カッコイイでしょー!」

 

 

 季節が変われば服装も変わるもの。ヒーローが着るコスチュームも例に漏れず、入学当初に着ていた頃から厚着になっていたり袖が長くなっていたりする。

 

 余談だがヒーロースーツに拘った一年生は夏と冬のどちらかで後悔する事がある、というジンクスがあったり。夏の暑さと冬の寒さに慌てて色んなものを足したり引いたりするのだとか。

 

 それに気温に限った話ではなく、長く使っていれば欠点が見えてくる。余分な物は削って不足した部分を補うことを考える為、A組のほぼ全員が何かしらの改良が施されている。

 

 

「森岸は……何かガラッと変わった割には目新しいもんは増えてねえな」

「あくまで冬用コスだからな。前のは比較的薄手で通気性が良かったけど、こっちはそこそこ厚手だしあったけえぞ」

 

 

 森岸はというとほぼ丸ごと別物。サポートアイテム等の追加はないものの、イエローの上下はダークブラウンに変更していた。

 ブーツもファーが着いたものになっており、目を引く空色のチュニックから貴族のようなベストにベルトゴテゴテかつファー付きのダークグレーコートに変わっている。

 

 かつての明るさから一転、どちらかと言えば悪人よりなカラーリングのコスチュームだ。

 

 

「それほぼ二着目じゃね? 通ったの?」

「まあちょっとしたツテを頼って。見た目だけじゃなく防刃とか耐火とか色々乗っけてもらったよ」

「うわホントだ。これ滅茶苦茶重くない?」

「まあ飯田のアーマーとかに比べれば全然」

 

 

 ほとんど新しく作ったようにしか見えない劇的な変化。普通なら難色を示されそうなものだがそこは雄英。改善点が見つかったとゴリ押せば多少は通る。

 

 ついでに森岸はホークスやらナガンやらといったツテがある。そちらからの口添えまであれば多少どころかほとんどの無茶も通ってしまうのだ。

 

 まあ元々森岸本人が希望していたコスチュームは却下されたが。流石に金属製鎧一式は無理だった。

 

 

 他のメンバーもかなり様変わりしている。爆豪は防寒発熱機能付きのものに変更していたり、緑谷は【エアフォース】を安定させるグローブを追加していたりと成長や経験に合わせてしっかりと改良している。

 

 そうして互いのコスチュームの変化について雑談していると、聞き覚えのある小憎たらしい声が聞こえてきた。

 

 

「おいおい……随分と弛んだ空気じゃあないか……僕らを舐めているのかい?」

「お! 来たな! 舐めてねえよ、ワクワクしてんだよ!」

「フフ……そうかい。でも残念……波は今確実に僕らに来ているんだよ……」

 

 

 演技がかった仕草にわざとらしい話し方。まるでショーでもやっているかのような大袈裟な動作で高らかに宣言した。

 

 

 

「さあA組!! 今日こそシロクロつけようか!?」

 

 

 

 B組の中でも一際曲者。物間寧人が高笑いを響かせながら、B組を引き連れるように登場した。

 

 本日の演習はA組対B組。初の合同戦闘訓練である。

 

 元々A組を強烈にライバル視している物間。こんな機会があれば当然ここぞとばかりに張り切るもので。

 

 絶対余計なことを言うと思われたのかリーダーのような面をして出てきておきながら次の瞬間には拳藤からの首トンを食らって黙らされていた。残当。

 

 そんないつも通りのやり取りを呆れたように見ていたブラドキングと相澤。一度軽く咳払いをして注目を集めるとこう切り出した。

 

 

「今回、特別参加者(ゲスト)がいる」

「しょうもない姿はあまり見せないでくれ」

「「特別参加者?」」

 

 

 誰だろう? と首を傾げた時には既にそこにいた。

 ブラドキングの後ろに隠れていたらしいその人物がヒョコっと出てくると、何人かの生徒はあっ、と声を上げて驚かされた。

 

 コスチュームではなく体操服。首元には相澤が使っているものと同じ捕縛布が巻かれており、その上には黒い見慣れない形状のマスクのような装備を着けた男子生徒。

 

 紫色の髪に不敵な目をした普通科の男子、心操人使がそこに立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 思ってたより遅かったというかなんと言うか。他の者達が捕縛布やマスクにざわめく中、日頃の訓練に付き合っていた森岸はそんな事を考えていた。

 

 心操人使。個性【洗脳】……声をかけられ返事をすると操られてしまう典型的な初見殺しの能力。

 

 そのシンプル過ぎる発動条件故に対策はほぼ不可能。一対一の状況であればただ黙るだけで実質無個性と変わらぬ状態にすることはできるものの、人数が増えるとその難易度は格段に上がる。

 

 

 では何故それ程の強個性がヒーロー科ではなく普通科にいるのかというと、試験との相性が悪かったの一言に尽きる。

 

 彼の個性は対人専用。試験で出てきた機械に何度話しかけても何度返事がきても乗っ取ることなどできるはずもなく、それこそ本当に無個性と何ら変わらない状態で臨む事になってしまった。

 

 

「……俺はもう、何十歩も出遅れてる。悪いけど必死です」

 

「立派なヒーローになって、俺の個性を人の為に使いたい」

 

「この場の皆が乗り越えるべき壁です。馴れ合うつもりはありません」

 

 

 だが心操は諦めなかった。体育祭では良い成績を残せばヒーロー科への編入を考えてくれるという噂に縋り、体育祭に一縷の望みを託すように臨んだ。

 

 それでも結果は第二種目で脱落。彼への印象は『普通科にしては頑張ったね』程度に終わった。

 

 しかし心操はその後相澤へと直談判し弟子入り。放課後にトレーニングを積み重ね時には相澤から捕縛布の扱い方を教わり、時には森岸を始めとしたA組の誰かと戦ってみたり……立ち止まることなく努力をしてきた。

 

 そうして今、彼はスタートラインに立とうとしている。かつて篩い落されたその先に行くためにここにいる。

 

 

「……負けねえからな」

「はっ、上等だ!」

 

 

 いつかの体育祭前の焼き直し。心操は不敵な笑みと共に宣戦布告をして見せた。

 

 

 

 ということで戦闘訓練の時間だ。

 今回はA組とB組の対抗戦。工業地帯を模した訓練場にて双方4人組をつくり、1チームずつ戦うというもの。

 

 ヒーロー科41名に心操を足して42名。どこかの試合はB組に心操を足した5対5になるとの事。

 

 しかし心操がどれほどトレーニングを積んでいても経験不足は否めない。少なくともヒーロー科で真っ当に訓練を受けてきた者と比較すれば多少なりとも劣る部分が目立つ。

 

 

「今回の状況設定は『敵グループを包囲し確保に動くヒーロー』……お互いがお互いを敵と認識しろ! 4人(・・)捕まえた方が勝利となる! ただし! 心操が入ったチームを相手するチームは5人全員捕まえてもらう!!」

 

 

 そこで5人チーム……心操の対戦相手に限ってはいくつかのルールが追加されることとなった。

 

 そのチームは他のチーム同様に4人が捕まえられた時点で敗北。心操のチームは5人全員を捕まえなくとも勝てるように。

 

 逆にA組の5人チームは勝利条件を少し厳しくされた。最低でも3人を捕まえなければタイムアップ時点で人数差で勝っていても負けとなる事に。

 

 

 チーム決めは恒例のクジ。A組は相澤の、B組はブラドキングが持つクジを引く。

 

 そうして決まったチームが以下の通りだ。

 

 

 

 

 


 

 

 第1試合

 

 A組……切島・上鳴・口田・蛙吹

 B組……塩崎・宍田・鱗・円場

 

 

 第2試合

 

 A組……常闇・葉隠・八百万・青山

 B組……小森・拳藤・黒色・吹出

 

 

 第3試合

 

 A組……森岸・轟・障子・飯田

 B組……角取・骨抜・回原・鉄哲

 

 

 第4試合

 

 A組……砂藤・瀬呂・耳郎・爆豪

 B組……鎌切・取蔭・泡瀬・凡戸

 

 

 第5試合

 

 A組……峰田・尾白・芦戸・麗日・緑谷

 B組……物間・小大・庄田・柳・心操

 

 


 

 

 

 

 

 スタートは自陣から。制限時間は20分。時間内に決着がつかない場合は残り人数が多い方が勝ちになる。

 

 説明や話し合いが行われている中、カツンカツンともう二人分の足音が聞こえてきた。

 

 

「オールマイトとミッドナイトが来たー! 熱愛?」

「年上管轄外なの。どっちが勝つと思います?」

「ふむ……どうだろうね。多くのピンチを乗り越えてきたA組は確かに強い。しかし……」

 

 

 オールマイトはそこで少し考えるような間を置くと、とある事実を口にした。

 

 

成績(データ)を見ると実はB組の方が伸びている。トラブルがない分着実に地力を上げている」

「え、そうなんです?」

「うん。特に個性伸ばしでの成長が凄まじいよ。だから簡単にこっちの方が強い、とは言いきれないかな」

 

 

 片や困難を乗り越える度に爆発的に成長してきたA組。片や何事もなく堅実に一歩ずつ全体の底上げをしてきたB組。

 

 どちらが強いかなどオールマイトでも断言できない。何よりそれは今から分かることだ。

 

 

 

「第1試合、スタート!!」

 

 

 A組とB組による対抗戦が幕を開ける。

 

 

 

 






 森岸のコスチュームはモンスターズ3のゴシックコートそのままです。モンスターズ4楽しみですね。


森岸「けどこんなにベルトいらなくね?」
常闇「いる」
黒色「超いる」
森岸「そうか?」



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