Q.もしかしてA組全員こんな感じなの?
A.必要ならやるくらいにはそんな感じ。判断と見切りが原作より速く、森岸が治す前提で殴り合っているから耐久力も底上げされてる。
Q.虫さん放電で死んでない?
A.宍田達を倒した後に呼んだのでセーフ。鳥も同様。
Q.これよりB組のが成績いいってマジ?
A.あくまでも成績"は"B組が上というだけ。成績以外の部分だと……うん、まあ、はい。
想定外に始まり順当に詰め切られた第一試合。片や戻ってくるなり森岸に治療してもらい、片や喜びながらも微妙な顔をしていた。
上鳴の放電を受けた後も動き回ったせいか疲労を滲ませているが、やるだけやって後はお終い……とはならない。相澤は淡々と四人に反省点があれば言ってみろ、と促した。
「塩崎を警戒し過ぎて後手に回っちまった。真っ向勝負できる状態を作らねえと俺の個性は役に立たねえな」
「鳥達を動かした後は虫達も動かしておくべきだった……索敵が機能してたら最初の奇襲も防げた」
「俺は良かったっしょ!? バッて来たからサッと切り替えて迎撃できたもん! ホレるっしょ!?良いよホレて!」
「脅威を決めつけて動いちゃった事ね。茨ちゃんを警戒し過ぎて他の人達を甘く見てしまっていたわ」
四人……というか三人が語った反省点は概ね相澤と同意見だった。
B組の奇襲で崩れかけたのは塩崎
付け加えるのならば役割分担が足りていなかったとも言える。口田がより索敵を徹底し防御を切島が、攻撃を上鳴が受け持ち、全体の指揮とサポートを梅雨ちゃんに任せていればもっと安定した勝利が狙えたかもしれない。
「あと上鳴。思い切りのいい攻撃は良かったがもう少し前に出ろ。向こうが戸惑ったからよかったが、反応が早い相手だと範囲から逃れられかねないからな」
「うぇい……」
「他は自覚してる様だから言うことはない。改善できる所を意識していけ」
一方B組チーム。開幕から完全敗北をしてしまった為すっかり意気消沈なご様子。肩をガックリと落とし俯いたまま申し訳なさそうにしている。
ただ負けただけならばブラドキングもそこまで厳しく責め立てることはしない。しかしわかりやすい反省点がある場合はその限りでは無い。
「……もう自分達で分かってるな?」
「「「「…………」」」」
というのも塩崎は人を欺く事に強い抵抗があり、彼女に配慮した宍田達が塩崎に黙って行動してしまったのだ。
宍田達は塩崎には『索敵してくる』とだけ伝えて奇襲を仕掛けたものの、そのまま返り討ちに遭ってしまった為塩崎の知らぬ所で二人が脱落……と、彼女からすればどうしてそうなった案件でしかない。
上鳴を警戒するあまり勝負を急ぎ、塩崎を置き去りにした結果がこれだ。
もしも宍田と塩崎が正しく連携し、円場と鱗が妨害に徹底していれば少なくともここまで圧倒的な敗北を喫することはなかったはずだ。
「宍田と塩崎のどちらかを、或いは両方を軸にすると決めて統率ができていれば勝てない試合ではなかったぞ」
「はい……」
「返す言葉もありません……」
確かに思い切りのいい攻めだった。だが思い切りの良さはA組も同じで、そこから連携での差が出て負けてしまった。
珍しいブラドキングの静かな叱責にますます落ち込んでしまう。
だが下ばかり見ていても始まらない。まだ対抗戦は第一試合が終わったばかりなのだ。
「第二試合の準備を! まだ一敗だ!」
◇
「八百万さ、ミスコン何で出なかったの? 絶対出ると思ってた」
スタート地点への移動中、拳藤は八百万にそんな事を尋ねた。
それに八百万はこう返す。そもそもミスコンの存在自体を知らされていなかった、と。
「2曲分のバンド練習があったのでどの道出られませんでしたが……」
「ふーん……」
まああの先生ならそういう事もしそうだと思いつつ、拳藤は少しだけつまらなそうに相槌を返した。
「職場体験でCM出演しちゃって、なーんか私達同列に見られるんだよね。ハコ推しみたいな」
「箱おし?」
どうも二人の想定以上にあのCMは効果があったらしく、雄英内でも八百万と拳藤はセットのような扱いを受けていた。
実際に文化祭のライブやミスコンでも八百万と拳藤の名前を呼ぶ観客がいた。他の生徒達がほとんど呼ばれない中、二人だけは他科他学年からも名を呼ばれていたのだ。
それが拳藤は少し気に食わなかった。
「八百万の方が成績も個性も上なのにさ、一緒くたにされてんの地味に嫌だったんだ」
「それは……」
「だからこそ、個人的にちゃんと戦ってみたかったんだよね!」
「! ええ、誠心誠意お受けいたしましょう!」
片や副ではあるがどちらも学級委員長。似たような立場でセット扱いされているからこそ戦ってみたいという拳藤の闘志に八百万は笑顔で応えた。
「俺とお前は……宿命の存在」
「ホホウ……貴様も深淵の理解者」
「ヒヒ……常しえの黒に住む……」
「わぁー」
その横で何か厨二臭いやり取りを交わしていた常闇と黒色もいたりする。何してんだお前ら。
『それでは頑張れ拳藤! 第二試合スタート!』
「偏向報道☆」
「もうあのスタンスでいくのかなブラキン先生」
やはりというか己の担当するクラスが好きなのか、ちょっとB組寄りな実況解説があったがまさか開始のアナウンスまでそうなるとは。
青山がムッとしながら抗議の声を上げるが向こうには届かない。葉隠はいっそ感心すらしている。
まず今回のチームだが八百万に常闇、葉隠に青山と五感による索敵能力を持ち合わせた者はゼロ。B組側も拳藤に小森、黒色に吹出とこちらの位置を知る術を持つ者はいない。
第一試合とは異なり索敵の段階から慎重にならざるを得ない組み合わせだが、常闇が手を挙げた。
「待て。俺の【
「伸ばす?」
「ああ。【黒影】を遠くまで向かわせることができるようになってな。俺達が足で探すよりは早いだろう」
これまでは平常時であれば数メートルが限界だった【黒影】の行動範囲だが、短時間であれば遠くまで向かわせる事も可能となっていた。
光以外の弱点を持たず、余程強い攻撃力でもなければ撃退すら難しい【黒影】ならば偵察にはうってつけ。八百万は少し考えたあと常闇の提案に乗ることにした。
第一試合との違いは攻撃力の高さ。常闇の【黒影】は光という弱点がなければ止める手立てはなく、青山の【ネビルレーザー】は発動の早さと射程の長さが長所だ。
唯一攻撃力に繋がらない個性である葉隠がいるが、八百万が武器を【創造】して持たせれば隠密からの不意打ちが可能なユニットとなる。
真っ向勝負になれば攻撃力の差で押し切れる程度には強く、また八百万がいる為手段も豊富。問題はそこに至るまでをどう組み立てるかにかかっている。
「……む、見つけたようだ。あの一際高く聳える煙突の下手前だ」
「かなり遠くまで行かせられるようになってない? 君もインターンでレベルアップしてるのかい」
「どうかな。離れた分持続も短い。向か──……?」
伸ばしていた【黒影】がB組を捕捉したことを察知し急行する。が、常闇が顔を顰めていた。
伸びていた【黒影】が戻ってくる。しかし何やら様子がおかしい。
「皆散れ! 戻れ【黒──ぐっ!?」
「えっ!? って、中から黒色くんが!」
戻ってきた【黒影】がその勢いのまま主であるはずの常闇へと腕を振り抜いた。全力の一撃には程遠いものの、速度が乗った打撃は単純に痛い。
異変を察知していた為防御が間に合ったが、それでも【黒影】のパワーは強烈。常闇の体を殴り飛ばし、その瞬間に黒色が【黒影】の中から姿を現した。
黒色支配。彼の個性【黒】は黒に溶け込むことができる能力。そして個性伸ばしを経た事で動かせるもの限定だが溶け込んだ物を動かせるようになっている。
「成程宿敵……良いだろう。ホークスの元で編み出した技……【黒の堕天使】で受けて立つ」
「堕天使……!?」
……まあそのような個性を持っていればそういう趣味になるのもある意味では仕方ないのかもしれない。でもこれ訓練だからね? 良さげなワードにソワっとしないで?
しかしこれは別の意味でも想定外だった。
何せ先の第一試合では宍田が単騎突撃をした事が敗因になっていた。それを踏まえた上で尚二度目の単騎突撃。裏の裏をかかれた。
更に言えばこの時点で黒色はもう一つ罠を仕掛けていた。
開始前の会話から常闇を意識しているような素振りを見せた事で狙いを誤解させ、常闇以外の誰かが油断した所を狙うつもりだった。
「させない☆」
「っ!? チッ……(やはり判断が早い! 第一試合でも思ったが対応に移るまでが早すぎる!)」
だがそう上手くはいかなかった。
黒色が移動しようとした瞬間、青山がそこら中に【ネビルレーザー】をばら撒いた。
文化祭のライブの演出でも見せていた単発のレーザーの乱射。それをコスチュームのサポートアイテムにより肩や膝からも射出される。
突如不規則にばら撒かれた光線によって影が動き、影に溶け込んでいた黒色が引きずり出される。
(まだ拳藤達は遠い! ここじゃあまだ包囲しきれない! 退くしか──)
「逃がさん!」
「! 来るか堕天使!!」
だが次に来るのが常闇ならば問題ない。たとえ【黒影】で攻撃してこようとも黒色ならば【黒影】の中に溶け込むことでやり過ごせる。何なら無理やり相討ちさせることだって可能だ。
プランAの失敗は"光"という形で拳藤達にも伝わった。ならばここは掻き乱すだけ掻き乱して逃げるのが吉……と考えたのだが。
「二度目はやらせん!」
「は?
『引ッカカッタナ馬鹿メ!!』
何故か出てきた【黒影】は名前に反して真っ白になっていた。黒でなければ黒色の個性で溶け込むことはできない。
完全に溶け込むつもりでいた黒色、防御も回避も間に合うはずもなく【黒影】……いや【白影】の打撃をマトモに食らってしまった。
「八百万に塗料を創ってもらった。黒くなければ溶け込めないのだろう?」
「……!」
『慣レネーケド勝テルナラ安イモンダゼ!』
常闇の言葉を聞いて黒色は目を見開いた。
【黒影】から滴るのは白い雫。よく見れば常闇と繋がってる部分は元の黒で、顔や腕の部分だけ真っ白な塗料を被っていた。黒色と接触する部分さえ黒じゃなくなればそれで十分だった。
第一試合と同じ展開にはさせないつもりのプランA。しかし皮肉な事に焼き直しのような結果となった。
多少鍛えた程度では【黒影】による拘束を振り払う事などできるはずもない。先の偵察の時と同様に【黒影】を伸ばし、そのまま黒色を『激カワ据置プリズン』へと放り込んだ。
「さて……これで【黒影】が十分に機能するようになったな」
「黒色くんさえ捕まえちゃえば【黒影】は無敵だもんね!」
「ですがまだ一人……先程の【ネビル・ビュッフェ】でこちらの場所もバレたと思いますし、気を引き締めてまいりましょう」
「ウィ☆…………ん?」
黒色が脱落すれば【黒影】が万全に動ける。このまま詰め切ってしまおうと意気込んでいると、青山がふと異変に気がついた。
何というわけではなく、ただの感覚。冬も近いというのに急にジメジメとした湿気塗れの風を感じていた。
「光ったら黒色失敗……うふふうふふ、プランB!」
「キノコまみれにしちゃいノコ!」
黒影『ベタベタシテ気持チ悪ィ!』
常闇「後で落としてやる」
八百万「こちらに洗浄剤を用意しておりますよ?」
常闇「すまん助かる」
葉隠「えー、もうちょっと見てたかったのに……白い【黒影】新鮮で可愛かったのになあ」
黒影『黒ハアイデンティティダカラ無理』
青山「それなら仕方ないね☆」