魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.小森強めにしばかれたの大丈夫なの?
 A.確実に意識を奪う為にぶっ叩かれただけなのでセーフ。致命傷には程遠いので無問題。ちょっとだけ怒られた。

 Q.森岸って自力でOFAに辿り着けるの?
 A.ぶっちゃけると無理。そもそも【魔法】がなんでもできるからこの後色々増えても『まあそういう事もあるか』くらいで済ませちゃう。

 Q.耳郎以外に聞いてた人いる?
 A.いない。聞こうとしてたら多分障子とかも聞けた。





95.必然の第三試合

 

 

 

 え……いや、え? 何か聞いちゃいけない事聞いちゃった……?

 

 待って待って待って。【ワン・フォー・オール】? オールマイトが内臓取るくらいの重傷だった? 歴代継承者? どういう事?

 

 頭の中を溢れんばかりのハテナマークに埋め尽くされる。疑問が連鎖して思考が追いつかない。何よりそこに詠士の名前が出てきた事が分からない。

 

 ちょっと盤外戦術を仕掛けただけなのにどうしてこうなった。B組の作戦会議を少しくらい聞けないかなって思っただけなのに。

 

 

 一旦整理しよう。聞こえた話からまとめよう。

 

 まず緑谷の個性は【ワン・フォー・オール】で、歴代継承者がいる……つまり人から人へと渡って来た個性。入学当初に制御が不安定だったのは他人から貰ったばかりだったからの可能性がある。

 

 そしてその成り立ちは神野の敵……オール・フォー・ワンが関わっていて、オールマイトはそのオール・フォー・ワンと因縁があった。オールマイトは【ワン・フォー・オール】の前任者?

 

 ……そうなると急に筋が通る。緑谷が個性の制御が不安定だったのも、オールマイトからやたら目をかけられていたのも、全部。

 

 

(詠士はまだこの事を全部は把握してないとも言ってたし……どうしよう)

 

 

 一瞬、全部話すべきだとも思ったけど迷った。詠士に話したらまた詠士がオール・フォー・ワンとの戦いに巻き込まれてしまうんじゃないかと思ったから。

 

 ……オールマイトが話さないという判断をしているんだからそれでいいのかもしれない。少なくともオール・フォー・ワンはとっくに檻の向こう側にいるんだから。

 

 

(それはそれとして後で文句言いに行こう)

 

 

 勝手に聞き耳を立てていたウチが悪いのかもしれないけど、今回は爆豪が正しいとすら思う。

 

 だってウチだけじゃなくて障子もいるし、B組にも耳がいいやついるかもしれないのに。何でそんな場所で内緒話ができると思ってるのさ。無理でしょ。

 

 下手すると葉隠あたりがイタズラで近寄ろうとしててうっかり聞いちゃう可能性だってあるのに。

 

 

「あ! そろそろ始まるよ!」

「うん……」

 

 

 ああ、胃が痛いというか頭が痛いというか……これでウチの試合が来た時にグッダグダになったらオールマイト達のせいだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 やってきました第三試合。味方は飯田と轟と障子。相手は鉄哲に骨抜に回原に角取。うーん、戦力過多。

 

 

「それで、どうする? 索敵は俺が担うとして……誰を軸にする」

「多数相手だから初手は轟でよくね? 拘束狙いなら氷、ダメージ目的なら炎で」

 

 

 索敵ができて殴り合いもいける障子。炎と氷による広範囲攻撃が可能な轟。機動力トップクラスで肉弾戦も強い飯田。そんで全員を強化できる俺。うーんオーバーキル。

 

 対する向こうは搦手も索敵もできそうにないメンバー。真っ向勝負になれば鉄哲の耐久力と骨抜による足場崩しは警戒すべきだろうが……逆に言えばそれくらい。

 

 接敵するまでの時間もあるから全体化させなくとも一人ずつ強化できるし、これは勝ったなガハハ。

 

 

「って油断してたら負けるからな。初撃は轟の炎でやって飯田は確実に一人……鉄哲以外なら誰でもいいから落としに行ってくれ。できれば骨抜」

「氷じゃなくていいのか?」

「氷だと骨抜に柔くされた時が面倒くさい。初手でレシプロ切って地面無視して飛びかかってくれ」

「承知! インゲニウムの名(兄さん)を背負う身として応えよう!」

 

 

 鉄哲の防御力を切島と同じかちょい上くらいに見ておこう。さすがに【安無嶺過武瑠】並とまではいかないだろうが一撃では倒しきれないと見た方がいい。

 

 乱戦になると脅威になるのが骨抜。アイツの個性は【柔化】……地面やら壁やらも柔くされると一々考えることを増やされてしまう。

 

 だから考えることを一つずつ減らす。理想は初手で骨抜を脱落させて飯田に持って行かせる。残る三人を相手しつつ戻ってきた飯田にまた一人落としてもらって……を繰り返すのが最も理想的な勝ち方。

 

 ただそこまで上手くいくはずもない。向こうだって当然策を考えているはずだ。

 

 

「作戦通りにいかなかった時のマッチアップだが……どうすっかな。鉄哲か回原のどっちかは俺がやるとして……」

「なら骨抜を俺がやる。炎は柔くできねえだろ」

「それなら俺が角取君を相手しよう! 彼女の個性は遠距離型だったはずだ!」

「……じゃあ、俺は森岸が選ばなかった方だな」

 

 

 それが良さそうだ。あんだけ言っといて何だがこの中で一番殴り合いに強いのは俺だしな。

 

 無駄に緻密に作戦を立ててもその通りにいく可能性の方が低い。多少雑把に決めて味方の判断力やアドリブに任せた方が余程上手くいく。

 

 後は向こうの出方次第……なんだけども。

 

 

「……誘われてんな」

「真っ向勝負がお望みのようで」

 

 

 障子の索敵が無意味になっちまった。搦手や索敵を諦めたのか誘い出す為なのか……多分鉄哲がやったんだろう、周辺をぶっ壊して正面戦闘をしやすくしようとしている。

 

 であればこちらとしても動きやすい。飯田を待機させた状態で轟の炎で奇襲を仕掛けられ──……あ、そうだ。

 

 

「飯田」

「む?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「小細工無用! 来いや死ようぜ真っ向勝負!!」

「向こう轟いるんだぞ!?」

「相手が馬鹿ショージキに来テくれるハズナイデショ! トラップと思うヨ!」

「……いや、俺が向こうなら行くね。障子で状況把握して轟を軸に攻めるのが一番強い。一塊でこんな開けたところにいたら──っ!!?」

 

 

 

「【レシプロバースト】ォッ!!」

 

 

 

 やっぱちょっと読まれてたか。でもこれは想定外だったよな?【バーハ】で炎対策をした飯田が轟の炎と一緒に突っ込んで来るのは。

 

 これなら初手から骨抜を狙える上に向こうに骨抜がやられた事が一瞬だけバレなくなる。それに飯田の【レシプロバースト】の速度には対応できない。

 

 

「っ、炎の方向に轟! 他は!?」

 

 

 っし。案の定鉄哲は骨抜がやられた事に気づいてない。一直線に骨抜だけを狙った飯田の飛び膝蹴りだ、一撃でダウンしてる。

 

 

「クッソ……鉄哲お前後で覚えとけよ!?」

「アレはご愁傷さまだな、うん」

「だろ!? マジで──って森岸じゃねえか!」

 

 

 あ、気づいた? でももう手遅れだ。こちとらしっかり【スピオキルト】四回使ってるんでね。パワーもスピードももう着いてこれねえよ!

 

 【旋回】でドリルのようにした手足を構えて殴り掛かるが遅い。その手を振りかぶった時には俺の拳が回原の土手っ腹に突き刺さっている。

 

 

「ふざけんっ、なァ……! これ勝ち目ねェだろ……!?」

「多分な。寝とけ」

 

 

 ぶっちゃけこうなる事は相澤先生もブラドキング先生も想定済みだと思う。俺を含めたチーム戦なんて大体こうなるし。

 

 多分その上でどう対応するのかを見たがってる……『格上の相手に対してどうPlus ultraしてくれるか』って感じなんじゃないか?

 

 じゃなきゃ何かしら制限を課してくるはずだろうし。そうじゃなかったら『それでもアイツらならやってくれる』って信頼か。

 

 さて、これで二人ダウン。【ピオラ】使ってコイツも檻に持って行くか。鉄哲と角取さんは……まあどうとでもなるか。特に鉄哲は脳筋っぽいしな。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 蹂躙。そう表現するしかない戦況だった。

 

 

 鉄哲の対応が間違いだったかと言われれば頷いてしまうが、まさかそれだけでここまで酷いことになるとは思いもしなかった。

 

 森岸がいる前提とはいえ、轟の炎と同時に突貫した飯田の一撃で骨抜が落とされ、どさくさに紛れて回原もダウン。残る鉄哲と角取は氷結に切り替えた轟によって掻き乱されている。

 

 

「ここまでとは……!」

 

 

 ブラドキングは戦慄した様子で声を漏らしていた。

 

 今回の対抗戦にあたって相澤とブラドキングは森岸の扱いを変えなかった。他の生徒達同様、特に制限を課す事もなくその力を十全に振るわせた。

 

 

 その理由は『不公平だから』の一言に尽きる。

 

 

 個性が強いのも本人が強いのも全て森岸の努力によるもの。それを戦力差だの実力差だのを理由に取り上げてしまって良いものかと相澤達は考えたのだ。

 

 個性の強さで言えば心操だって轟だって同じだ。その上で森岸は更に自力で鍛え続けてきただけで、それを教師側の理由でズル扱いしていいものではないだろう、と。

 

 

 その結果がこれだ。チーム全体の指揮を取って強化を与え、無慈悲なまでに合理的に戦場を支配している。

 

 

「……元々アイツは林間合宿から意識が変わっていた」

「む?」

「それまではどこか自分一人で全部できるようになればいいと、そう考えていた」

 

 

 元の森岸はそうではなかった。個人としての実力が高いだけであり、チームを組ませて強い理由も個性による他人への強化が理由だった。

 

 やっている事は爆豪とそう変わらない。最後に自分一人いれば勝てるという傲慢極まりない思考。

 

 それがどこでどう化けたらこうなるのか。強化を振りまくに留まらず的確な指示を出してB組にほとんど何もさせてくれない。

 

 

「【魔法】を多人数に同時に使えるようになった頃……森岸は目標を改めたそうだ」

「……それがアレか」

「ああ。自分一人最強になっても足りないんだと。随分と欲張ったものだ」

 

 

 轟は氷結の発生源を誤魔化すよう、迂回させるように氷の波を殺到させる。そんな事ができると知らない鉄哲は愚直に突き進み、そこに誰もいないことを知ると愕然としている。

 

 振り返った時にはもう遅い。戻ってきた飯田と森岸がおり、角取の姿はない。気絶させられた彼女は障子によって檻へと運ばれていた。

 

 いくら鉄哲の耐久力があっても強化された森岸と飯田の連撃をいつまでも耐えることはできない。金属らしい強固さを見せつけてしばらくは耐えていたものの、飯田の蹴りがトドメとなりノックアウト。B組全員が倒された。

 

 

 B組の落ち度など最初の鉄哲くらい。それも障子がいた以上は大して変わらない。すぐにバレるか後でバレるかの違いでしかない。

 

 B組が悪かったのではなくA組が強すぎた。反省会など鉄哲に『もう少し考えて動きましょう』と言うくらいしかない。

 

 

「……本当にB組には試練の日だな、これは」

 

 

 三度目の4-0。この後にもまだ暴君にして才能マンである爆豪、そして入学当初からメキメキと実力を身につけている緑谷が控えている。

 

 己の可愛い可愛い教え子達が折れぬ事を祈る事しかブラドキングにはできなかった。

 

 

 

 






耳郎(こんな情報どうしろと???)
爆豪(ンだあの耳。変な顔しやがっ……て……)
耳郎「……あ」
爆豪「」
耳郎(聞いてたこと気づかれた!?)
爆豪(そういや耳イイヤツいるじゃねえかオイ! てことはあのタコ野郎も……クソが!!)


骨抜「マジの厨パじゃんこれ」
回原「二度とやらんわこんなクソゲー」
角取「Shit!! ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(放送禁止の罵詈雑言)!!」
鉄哲「ち、違っ……俺はそんなつもりじゃ……」



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