魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?   作:南亭骨帯

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 Q.これB組どうやったら勝てたの?
 A.さあ?

 Q.A組で厨パ作るとどうなるの?
 A.森岸と八百万と耳郎。後は爆豪か轟のどっちか。万能×2に索敵担当と中距離アタッカーで隙もなければ強みしかないパーティ。

 Q.森岸いる時点で勝ち目ないのでは?
 A.小森の【キノコ】か心操の【洗脳】で初見殺しできれば勝てる。尚、それで倒しきれなかったら回復してしまう上に二度と同じ手に引っかかってくれなくなる。






96.蹂躙の第四試合

 

 

 

 4-0の上にB組全員ノックアウトと言い訳のしようもない大敗。負傷の回復はしたものの気絶したところを無理やり起こすのも憚られる為、反省会はカット。

 

 A組は無傷だったのでそのまま反省会を始めたのだが、欠点らしい欠点がなかった以上無理やり絞り出した所で難癖にしかならない。相澤は特に何を言うでもなく『精進しろ』とだけ言って終わった。

 

 

「……これでもうB組勝てなくなっちゃった」

「しかも今んとこ全部ストレート負け……ウラメシい……」

「ね……」

 

 

 B組とて成長している。成長しているのだが、その上から叩き潰されている。

 

 第一、第二試合まではまだ受け入れられた。第一試合では塩崎との連携ができていなかったからという明確な理由があった。第二試合では読み合いに負けたという言い訳ができた。

 

 そして第三試合。鉄哲がやらかしたのはそうだが、それ以上に何ひとつできないままやられたというのがあまりにも堪えた。それもB組でも上位の実力を持っていた骨抜と鉄哲がいた上でだ。

 

 大差はないはずのA組との差をこれでもかと見せつけられたB組の雰囲気は非常に暗い。スタートラインは同じだったはずなのにどうして、という言葉すら漏れている。

 

 

「……第四試合の準備を始める! スタート位置に向かえ!」

 

 

 おそらく今は何を言っても焼け石に水。ともすればこの後の二試合で更に心を折られるかもしれないのだから。

 

 ブラドキングは込み上げてくるものをグッと堪え、どうにか第四試合のセッティングを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 第四試合。A組からは爆豪、砂藤、瀬呂、耳郎。B組からは凡戸、泡瀬、鎌切、取蔭の組み合わせ。

 

 注目すべきカードはA組の爆豪、そしてB組の取蔭の二名。

 

 爆豪は言うまでもなく戦闘能力に秀でた実力者。【爆破】というシンプルな個性を誰よりも上手く使いこなし、優れたセンスと積み上げてきた努力によって高い実力を有している。

 

 対する取蔭。彼女は骨抜と同じく推薦入学者であり、物間をして『とってもやらしいぞ!!』と言わしめる程策謀に長けた人物。

 

 

 この二人の違いは偏に協調性。片や暴君を通り越して人類と相性が悪いのではとすら思われる爆豪、片やコミュニケーションをしっかりとって味方と共に策謀を張り巡らせる取蔭。あまりにも対極的過ぎる。

 

 今までの試合でA組の実力が高いのは十分に伝わったが、チームを率いる者が爆豪というだけでB組は僅かながらにでも連係失敗からの崩壊を期待してしまう程だ。

 

 そんな爆豪が通達した作戦はというと……

 

 

「いいかテメェら! とりあえず俺についてこい! 俺が先頭で上を進む! テメェら俺をサポートできるようにしとけ! 耳は常に音で雑魚共の位置探っとけ!」

 

 

 ある意味ではいつもの事。第三試合の森岸とはまるきり正反対なようでどこか似たような手法。仲間の適性を判断しつつ爆豪が十全に動けるようにしろ、と指示を出していた。

 

 三人の対応も慣れたもの。だろうね、という顔をしながらも疑問や意見があれば臆することなく口に出している。

 

 

「アタッカーお前一人なの? 耳郎とか砂藤も攻撃力あるけど」

「殺れんなら殺れ。その前に俺が倒す方がはええってだけだ。それと耳に関しちゃ索敵に徹した方が役に立つだろうが」

「否定はしないけどちゃんと名前で呼んでくんない?」

 

 

 元々この四人なら爆豪を軸に据える事自体に異議はない。態度や言動は褒められたものではないが実力は文句なしなのだから。

 

 それ以上は特に反論するものもなく、第四試合開始の合図が響く。その瞬間全員の顔つきが変わり一斉に動き出した。

 

 

「爆豪! やれるんならやっていいんだよね!?」

「あ゙あ゙!? だからそう言ったろうが!」

「よし、聞こえたね二人とも! 爆豪だけに良いとこ取りさせないように頑張ろ!」

「「おう!!」」

「どこで団結しとんだテメェら!!」

 

 

 ついでに爆豪を一つ煽っておく。これだけで爆豪の実力が1.1倍くらいになるだろう、とは耳郎の談。

 

 

 そうして動き出して一分後。障害物も不安定な足場も気にせずに【爆破】で飛び回る爆豪と負けじと追いついてくる三人の行軍は耳郎の一言で足を止めた。

 

 

「っ、いる! 取蔭! 分割(・・)してる!」

「チッ……っぱそうくるか!」

 

 

 個性の副産物による秀でた聴覚に反応あり。その数は明らかに四人以上。地面を擦る音、壁を這う音、鉄パイプや壁を叩く音……そこら中から隠す気のない音が聞こえてくる。

 

 その正体は取蔭切奈。彼女の【トカゲのしっぽ切り】によるもの。

 

 全身をバラバラに切り離して行動できるという能力を伸ばした結果、今では最大で50までに分割することが可能。そうして増やした手数で音を鳴らし、耳郎の索敵を逆手に取ろうとしていた。

 

 

「耳塞いで! 一回ぶっぱなす(・・・・・)!」

「はよしろ!」

「言われなくても!【ハートビートバズーカ】!!

 

 

 誤算があったとすれば耳郎を索敵だけだと甘く見た事。耳郎の言葉に三人が耳を塞いだ瞬間、彼女の篭手に【イヤホンジャック】が接続され、両手を上に向けると爆音を360度全方位にぶち撒けた。

 

 当然爆豪達にも衝撃波が襲いかかるが、耳を塞ぎその場に伏せた彼らはほんの少し汚れた程度。だが分割させたパーツ全体に攻撃を受けた取蔭はどうなったかというと。

 

 

 

「ギャッ!? 何今の!?」

「! 爆豪!」

「わーっとるわ!!」

 

 

 全身を余すことなく音の衝撃波に殴られた以上無反応ではいられない。いくら的を小さくしようとも全方位に攻撃されては避けようがない。

 

 想定外の反撃を食らった事で思わず悲鳴をあげた瞬間を耳郎も爆豪も聞き逃さなかった。

 

 ダメージで悲鳴を上げていた取蔭のパーツを発見。口と思われるパーツへと一切の躊躇なく特大の【爆破】を叩き込む。

 

 

「あっぶな……!?」

「あ゙!? 避けやがった!」

 

 

 しかし既のところでこれを回避。紙一重のところで【爆破】の範囲から逃れた口が焦りを口にしながら逃げていく。

 

 取れそうだった獲物に逃げられた。それがどうしようもなく爆豪を苛立たせ──瀬呂が好機を見出していた。

 

 

「──アレ避けれるんならどっかで見てるとしか思えないでしょ」

「っ───!? 嘘!? もうバレ──」

「そういう時は大体高いところから見下ろしてるよなぁ!?」

 

 

 砂藤に己を上へと投げ飛ばさせて周囲を目視確認。何も無いところにポツンと浮かんでいる物体を取蔭の目と判断した瀬呂はあっという間に距離を詰めるとテープでぐるぐる巻きに絡めとってしまった。

 

 

(──いや、まだもう片目がある! 口さえ逃げられたらまだ指揮は取れる!)

 

 

 だが捕縛されたのは片目だけ。もう片目があれば状況把握はできるし爆豪から逃れた口さえあれば伝達は可能。まだ負けていない。

 

 そうしている間にも凡戸と鎌切が動いている。耳郎の一撃で多少ダメージは受けたがまだ倒されていない。上から【セメダイン】の個性で接着剤をぶちまけて動きを封じようとしているのが見えた。

 

 しかし爆豪の【爆破】一発で散らされる。同じく鎌切が【セメダイン】に紛れて【刃鋭】で身体から伸ばした刃でパイプを切り落としてみるも結果は同じ。迎撃されてしまう。

 

 それを見た凡戸と鎌切はすぐに撤退。取蔭も分割していたパーツを退かせながら爆豪達から遠ざかっていく。

 

 

(あーもう、最初から想定外。あんな早く気づかれるとは思わなかったし、あんな攻撃されるとも思ってなかった)

 

 

 取蔭が立てた作戦は爆豪狙い。それも真っ向勝負を諦めた上での作戦だ。

 

 先の試合を見ても分かる通り、まともに戦えば自分達に勝ち目はないと判断。捕らえ損なった場合は即座に撤退するように決めている。

 

 方針は粘着。何度も待ち伏せと不意打ちを繰り返して優位を保ち続ける。

 

 それを繰り返すことでストレスを与え、爆豪のミスを誘発させる。A組はどう考えても爆豪を軸に据えてくると読んでの作戦だった。

 

 故に、想定外。まさか最初の攻撃を爆豪以外がしてくるとは。それも爆豪に負けず劣らずの範囲攻撃で。

 

 

(一瞬動揺したけどまだ何も変わっちゃいない。このまま待ち伏せを繰り返す。そうすればいつかはボロが出る!)

 

 

 だが、まだ誰一人として脱落していない。手痛い反撃こそもらったがそれだけだ。まだ動ける、戦える。

 

 そろそろ制限時間が来るパーツを戻しながら次の策を組み立てようと頭を回す取蔭。全体の位置取りを把握しようと上に上がろうとして──

 

 

「いた!」

「っ、はあ!? またかよ!?」

 

 

 再び発見される。今度は耳郎だ。

 

 耳郎は爆豪に言われた通りに索敵を続けていたのだが、ふとある違和感に気づいていた。

 

 

 ──いくつか音がいきなり途絶えた?

 

 

 あれだけこちらの耳を騙そうとしていた音がいくつか同時に途絶えた。撹乱が目的ならばそうおかしな話しではないのだが、同じ方向の音が一斉に消えれば違和感くらい覚える。

 

 待ち伏せでもしてるのかと思い爆豪に伝えてその場所まで向かってみると、どこかへと向かおうとしている取蔭のパーツを発見。何をするでもなく一目散にその場から離れようとしているのを見て何かを察した耳郎はパーツを追いかけていた。

 

 その先にあったのは取蔭の本体と思わしきパーツ。撹乱に使っていたものと違い左目以外の頭部が全て揃っていた。

 

 

「定期的に戻さなきゃいけないんでしょ、パーツ」

「別に戻さなくても再生できるよ! 消耗を避けたいだけさ!」

「そんな事だろうと思った。ここで落ちてもらうよ」

 

 

 何とか強がって見せるが既に手遅れ。耳郎が目の前まで来てしまった時点で取蔭に打つ手はなかった。

 

 再び【イヤホンジャック】を篭手に接続。両手の手首と親指、小指をくっつけた状態で手のひらを取蔭に見せつけるように開くと──

 

 

 

 

「【ハートビートキャノン】!!」

 

「がっ……ぁ……!?」

 

 

 

 ──真っ直ぐに放たれた爆音の衝撃波が取蔭の頭を思い切り殴り飛ばした。

 

 全方位にぶちまけて痺れるような痛みを与えていた音波を束ねて指向性を持たせた一撃。ガードも何もないまま受けて耐えられるはずもなく。

 

 一直線の音波に撃ち抜かれた取蔭の体から力が抜け、白目を剥いたままグラりと崩れ落ちていった。

 

 

 

 その頃爆豪。仕切り直す気満々で逃げていった凡戸と鎌切を追跡。【爆破】を滾らせながら障害物を器用にすり抜けていた。

 

 何度目かの【爆破】のタイミング。狙ったかのようにもの陰から泡瀬が飛び出した。

 

 

「【早業着工ウェルドクラフト】!」

「あ゙!?」

 

 

 爆豪の移動は【爆破】がある為すぐにバレる。音が近づいてきたタイミングで飛び出すと、すれ違い様に取り出した鉄の棒で爆豪を【溶接】し、周囲の柱やパイプに固定してしまった。

 

 どうしても機動力に劣る凡戸の撤退を援護する為のほんのいっしゅんの足止め。ついでにストレスを溜めてくれれば一石二鳥。

 

 ニヤリと笑いながら泡瀬も再び離脱を図る。

 

 

「行け!【シュガーラッシュ】!!」

「げっ!?」

「くっつけてんじゃねェぞゴラァ!!」

 

 

 が、遅い。逃げ出すよりも早く砂藤の拳が【溶接】された鉄棒を砕いた。

 

 開放された爆豪は怒り心頭。あれだけ真っ向勝負を避けるべきだと言われていた怒れる暴君を前に泡瀬の顔が青ざめる。

 

 機動力も攻撃力も勝てるはずがない。慌ててコスチュームのアーマーを展開するが爆豪の攻撃の方が早かった。

 

 

「遅ェンだよ雑魚!!」

「ぶゲッ!?」

 

 

 至近距離からの連続爆撃が叩き込まれる。ガチガチに固めた切島ですら長くは受け続けられない圧倒的な暴力が泡瀬を一瞬でボロ雑巾のようにしてしまう。

 

 気絶した者には用はないとばかりに爆豪は何も言わず最後の一人を追う。気絶した泡瀬はきっちり瀬呂が捕縛した。

 

 

「クッソが……!!」

「冬は調子がクソでよォ……やっとあったまってきた!」

 

 

 取蔭達がやられていたのは鎌切にも見えていた。こうなると最早ただ逃げ回っても勝ち目はない。

 

 覚悟を決めた鎌切は足を止めて迎撃の姿勢に移る。腕から生やした刃を愚直に振り抜くも、鎌切の目の前で【爆破】によって浮き上がった爆豪の体を捉えられない。爆煙を斬り裂いただけに終わる。

 

 

「ヤバ……!」

「させない!」

「あ゙!? そこにいたか雑魚!」

 

 

 敗北が頭を過ぎった瞬間に凡戸がギリギリで割り込んだ。爆豪目掛けて放たれた接着剤は【爆破】一発の前に散ったものの、その一瞬があれば立て直せる。

 

 振り抜いた腕を引き戻して体勢を立て直し、今度こそ逃がさんともう一度刃を構えた。そして──

 

 

 

「【シュガークラッシュ】!!」

 

「【徹甲弾(A.Pショット)散弾(スプレッド)】!!」

 

 

 ──その上から更なるパワーで捩じ伏せられた。

 

 

 対策も策謀も更に上から捩じ伏せた圧倒的な試合運び。四度目の完全勝利……それも四分足らずで全員の撃破というこれ以上ない結果で第四試合は終わりを迎えた。

 

 

 






物間「」

上鳴「とうとう物間が静かになっちまった」
切島「何か真っ白になってねえか?」
常闇「哀れな……」


ブラドキング「」
相澤「おいしっかりしろ。お前まで燃え尽きるな」


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