Q.耳郎ちゃん魔改造されてね?
A.どっかの魔法野郎に追いつく為に必死で頑張った結果強くなった。プレゼントマイクには全然及ばないけどその分応用が効く形になってる。
Q.何か新技いっぱい増えた?
A.雑に作ったオリジナル技です。以下ざっくり性能語り。
・ハートビートバズーカ
篭手に仕込んだ音波増幅スピーカーから心音を放ち全方位に音の衝撃波をぶちまける技。ぶっちゃけサウ〇ドバズーカ。
・ハートビートキャノン
音の衝撃波に指向性を持たせて放つ技。見えない上に音速で飛んでくるのでほぼ防御不可。ぶっちゃけド〇オーラ。
・シュガークラッシュ
ほんの一瞬だけ消耗が激しくなる代わりに威力が上がったパンチ。現状連発はできないが【ワン・フォー・オール:フルカウル】の20%くらいのパワーがある。
・
収束を緩めて射程を短くした代わりに連射性と威力を上げたA.Pショット。普通に【爆破】を叩き込むより低燃費で威力が高い。
A組対B組。現在の戦績は4-0であり16-0と目を背けたくなるような差がつけられている。
第四試合でのB組の落ち度はほとんどない。何せ落ち度を確かめる前に全員倒されてしまったのだから。
無理やり挙げるとすれば『相手が悪かった』等の余計に心を折るような言葉が出てしまうくらいにはブラドキングも困っていた。
一方相澤は手放しで賞賛している。誰の目から見てもチームワークとは程遠かった爆豪が正しく味方を頼り、味方もまた爆豪をサポートしつつ出る所では前に出てしっかりと相手を撃破していた。
「これは……本当にウラメシい……」
「ね」
「どうあたれば良いものか……僕の実力でどこまで食い下がれるだろうか……」
第五試合……最終戦のメンバーは柳、小大、庄田、そしてA組を目の敵にしてきた物間と普通科の心操。心操が入る都合上A組も五人になっている。
ここまでの四試合を見ていれば彼らの反応も当然だろう。自信喪失を通り越して最早どこまでやれるか、と同級生を相手にするはずの所を格上と戦うような覚悟を滲ませている。
しかし不安なのは心操と物間の二人だ。
聞いた話に寄ると心操は放課後に相澤や森岸といった者達と共にトレーニングを積んでいたというが、それでもやはり体づくりや経験値という点ではB組にも劣ってしまう。
その分個性は破格と言っていいほどに強く、切り方によっては戦況をまるごとひっくり返すジョーカーになりうる。ジャイアントキリングを成し遂げるのならば心操の活躍は必須とすら言える。
で、問題の物間。第三試合あたりから……いや元からと言われてしまえばその通りなのだが、三度目の4-0を突きつけられたあたりから情緒不安定になっている。
それまでは『次の試合ではどうかな!?』だの『彼は推薦入学者なんだ!』と元気いっぱいにA組を煽り散らかしていたのに、今となっては喧しい口を真一文字に結んだままスンッ……と大人しくなってしまっている。
普段が普段なだけに却って怖い。これならいっそ感情のままに色々諸々ぶち撒けてくれていた方がまだホッとする。
「……? 物間がどうかしたのか?」
「あ、ちょっ……」
しかしその普段とやらを知らぬ心操はこの神妙な空気の理由を把握できておらず、誰もが慎重に対応しようとしていた中でそこそこ普通の声量で喋ってしまった。
慌てて柳が止めるがもう遅い。声より早く動くことなどできるはずもなく、当の本人である物間の耳にまで届いてしまう。
こうなってしまえば誤魔化しようもない。覚悟を決めた柳は恐る恐る物間へと話しかけた。
「あー……物間? 今回はまあ、ウラメシい結果に終わりそうだけど……」
「…………う」
「うん?」
しかし反応はない。いや、あるにはあったが柳に向けられたものではない。よく聞き取れなかった柳が聞き返すと、物間はゾッとするような無表情でもう一度同じことを呟いた。
「僕達と、A組……何が違う?」
「…………!?」
いつものような妬み嫉みではない。憎悪も雑念も感じられない、ただただギラギラとした目を輝かせながら物間は思考を続けていた。
「もの、ま?」
「……ん、ああ失礼。考え事をしていてね」
「いや……うん……それはいいんだけど……違いって?」
「うん? あ、口に出ていたのか」
まるで別人のようにいつもの態度に戻った物間。動揺を隠せないまま物間が呟いていた事について尋ねると、キョトンとした後に独り言になっていた事を自覚したらしく、苦笑した後にこう切り出した。
「そのままの意味だよ。B組とA組……どこでこれ程の差がついたのかと思ってね」
「……普段から物間が言ってるトラブルの遭遇が原因じゃなくて?」
「あれはただの言いがかりさ。本当にそう思ってるわけじゃない」
物間曰く、確かにA組はトラブルとの遭遇率がB組よりも高い。しかしそれだけだと言う。
そもそもA組全体で括るとそうでもなかったりする。ネームド敵と遭遇した場面は職場体験やヒーローインターンと個人での活動中がほとんどだ。
唯一A組全体で敵と戦うことになった事があるとすれば入学したばかりの頃のUSJと夏休みの林間合宿くらい。
USJはともかくとして合宿ではB組も戦っている。何もA組に限った話ではない。
「これといって取り上げられそうなのはほんの一部だけ。それ以外は僕達とスタートラインもカリキュラムも大して変わらないはずなんだよ」
「言われてみれば……?」
もし本当にトラブルが、試練が彼らを強くしたというのならばそれは森岸を始めとした一部の生徒に限られる。それ以外はB組と同等……とまではいかずともこれ程の差がつくことにはならないはずだ。
雄英入学までの才能や努力、環境の差を除外すればA組とB組に大きな差はないはずなのに。こうしてぶつかってみれば惨敗としか言いようのない結果になっている。
「だから僕は何が違うのかを考えていたんだ。A組にあって僕達に無いもの……この差を生み出したのは何なのかを」
「……とは言ってもAもBも大して変わらないよ? 相澤先生とブラキン先生で教育方針の違いはあるだろうけど……」
「ね」
「少なくとも先生方や雄英は僕達を公平に扱っていると思われるが」
やる前から言うのも癪だがおそらく自分達もA組には勝てない。だが何もせず諦めるつもりもなく、せめて一矢報いたい。それには情報が足りていない。
真っ先に考えたのは森岸がコッソリ【魔法】を使って全員を強化しているのでは? という疑念。
しかし第三試合で確実に強化を受け取っていた者の動きを見てそれはすぐに否定された。もし森岸が強化していたのであればあんなものではなかったと物間自身が切り捨てた。
それに相澤とブラドキング、ミッドナイトやオールマイトまでいて気づけないはずがない。この仮説はすぐに否定された。
次に考えたのは単純なトレーニングによる成長。この実力差はトレーニングの量や質の違い、何より伸び率の違いではないか、と。
だがこれも怪しい。A組もB組も時間は平等。同じ時間授業と訓練を受けて、放課後にトレーニングをしたとしてもここまでの差が生まれるとは考え難い。もしこれが真実ならば才能の差という壁を突きつけられる事になる。
何かしらの突破口になるかもしれないと信じて頭を悩ませる四人。すると心操がこれまた不思議そうな顔をしてこう述べた。
「……? アイツら森岸の回復前提で死ぬ寸前まで追い込んでるからだろ?」
「は?」
「え?」
違うの? とでも言いたげな心操の様子に物間達は目を丸くした。
そもそも心操だって似たようなことを体験している。最近の放課後トレーニングでは『森岸が治してくれるから死ぬ気でやれ』と言われてバカ正直に死ぬ寸前まで追い込むくらいにトレーニングに励んでいた。
足がつるとか筋肉痛とかそんなレベルではない。文字通り足が折れるまで走ったり拳が砕けるまで殴ったりが日常茶飯事だった。
それに第一試合の時にも相澤が言っていた。A組は訓練や自主練でも容赦がないと。
「それは……同士討ちに躊躇いがない理由じゃ……?」
「いや? この前緑谷と切島と尾白が放課後に組手してたんだが……最後の方なんか色々折れたり潰れたりしてたのに殴りあってたぞ」
「……………………マジで?」
ようやくB組は理解した。いや、理解させられた。
A組とB組の違いは森岸という回復役の存在であり、狂気的なハードワークができなかった事が理由であると。
いや、もしB組に森岸がいても同じことになったとは考え難い。だって物間はゾッとしてしまった。狂ってるとすら思ってしまった。
まだ学生でトレーニング、それも体育祭だとか文化祭のように衆目に晒される訳でもない場所で自分の手足をへし折りながら食らいつく? 一体どんな目的があればそんな真似ができるというのか。
「俺達の相手にはその緑谷と尾白がいる。他の三人だって普段どんなトレーニングを詰んでるかなんて想像もつかない……確実に意識を落とすまで絶対油断しちゃダメだ」
「…………ああ、そうだね」
今の話を聞けばありありと想像できてしまう。こちらの策が全て上手く嵌ったとして、緑谷達に痛打を与えられたとしてもだ。
崩落した瓦礫の中から血塗れになって尚、眼光鋭い緑谷達が反撃しに来る光景が。
だからこそ、確実に行かねばならない。反撃を許さず、逆転の目を残さず……牢獄に放り込むその時まで。
背筋を伝う冷や汗を感じ取りながら物間は引きつった笑みを浮かべていた。
◇
「……で、どうしよっか」
一足早くスタート地点に着いた緑谷チーム。個性伸ばしによる成長といい普通科の心操といい、未知な部分が多い相手に対しどう動くべきか決めかねていた。
こちらのメンバーは緑谷、尾白、峰田、芦戸、麗日と索敵要員無し。相手チームにも索敵要員はおらず、どちらが先手を取れるかすら不確かだ。
真っ向勝負に持ち込めれば勝てるという自信はある。格闘戦なら緑谷と尾白がいて、拘束や妨害にも味方に優秀な個性が揃っている。
故に向こうは真っ向勝負を避けてくる。余程勝てる秘策でもない限りこちらの土俵で戦ってくれるはずがない。
「理想はさっきの試合のかっちゃん達みたいにできればいいんだけど……」
「難しいよあれは。索敵ができる人もいないし、そうなると緑谷に負担が集中する」
「せやね。でも軸に据えるのはデクくんでいい……よね?」
仕掛けるタイミングを選べないもどかしさがどうしても二の足を踏ませる。大量の不確定要素を前にして作戦が決まらない。
ならば決められる部分から決めていこうと芦戸の発案から始まった会議だが、前提としてこのチームで一番の実力を有しているのは緑谷だ。ならば自ずと軸になるのも緑谷になる。
理想は前の爆豪達の連携。無駄なく役割を分担し一人一人が己の役割を全うする。緑谷を軸とするならば爆豪のように確実かつ速攻で倒すことを要求される。
それはヒーローの理想像。相手の個性の分析などする必要がない程早く一方的に相手を倒し切る。
「流石にまだかっちゃんみたいにはできないし……向こうもさせてくれないと思う。それに……」
「心操の【洗脳】……だっけ?」
「それ。それが一番怖い」
緑谷達はまだ心操の個性を
放課後トレーニングで共に体を動かすことはあったが、そのときは大体個性無しでの組手や基礎トレだったりする場合がほとんど。話を聞くことができていない。
発動条件である『心操に返事をすると【洗脳】がかかる』事こそ把握しているが、やはり直接確かめないことには想像しにくい。
「……もしかしてあのマスク、変声機の機能があったりするんじゃ?」
「ありそうだな。オイラの声を真似て呼びかけたりとかするかもな」
「じゃあ何かしらハンドサインとか合図を作った方がいいかも。単純なイエスとノー、それから相手の位置を伝えるサインだけ……」
まさか自分達がトレーニング狂いだと思われているとも知らず、作戦会議は淡々と進行していった。
『本日最後! 第五試合スタートだ!』
そうして今、第五試合が幕を開ける。
心操「最初は痛くて苦しくてキツかったけどすぐ慣れた。一週間もすると爪が剥がれても『あ、剥がれたなー』くらいにしか思わなかったし、骨が折られたりすると折れた箇所が分かったりするようになったよ」
物間「ヒエッ……」
心操「森岸達はこの比じゃないくらいだってさ」
物間「」
柳「……それってどのくらい?」
心操「嘘かホントか知らないけど目が潰れたとか手足が取れたとかあったらしいよ」
柳「…………ウラメシい。聞かなきゃよかった」
ブラドキング「止めろよお前」
相澤「止めたんだけどな……」
ブラドキング「あっ……」
相澤「…………」
ブラドキング「……今度奢るから飲みに行こう」
相澤「ああ……」