ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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今日やっとAmazonからロストソングが届く!
Amazonさん遅いっすよ!w

さて、そろそろダンまちもアニメ放送しますね!
今から楽しみで仕方ないです!(((o(*゚▽゚*)o)))


第10話

「神様、そろそろ人を探さないと。その人に財布預かっていて、ないと困るものだし。」

 

 

「むぅ…仕方ないな。」

 

 

店を回ってからは10分程度経過している。

一応店を回りながらもキリトは辺りを見渡して探してはいるのだが、未だ発見できない。

そろそろ探すことに専念すべきだと考えてヘスティアに提案してみたのだが、やはり少し機嫌が悪くなってきている。

 

 

「見つけたらまた回りましょう!今日はダンジョンに行く予定はないので。」

 

 

 

「ホントかい?よし、探そう!すぐ探そう!さっさと見つけてデートの続きだ!」

 

 

 

「え?デートって?って神様!一人でどんどん進まないで下さい!」

 

 

 

移動速度が上がったヘスティアについて行きながらシルを探す。

なかなかいっぺんにやることが多くてほとほと困る。

しばらく歩くと、そこは今日のメインイベントであるモンスターのテイム行う会場の付近に来ていた。

そこにはギルドの設営場所があり、中にはエイナの姿があった。

 

 

 

「エイナさん!こんにちは!」

 

 

「あら、キリト君!こんにちは。今日はモンスターフィリアを見に?」

 

 

「実は人を探しに来ていて。どこかに財布で困っている人見ませんでしたか?」

 

 

「さすがにそれはわからないかな?」

 

 

「ですよね。」

 

 

我ながら無茶な質問をしたものだ。

エイナさんも苦笑いしてるし、悪いことしたな。

 

 

キリトは反省しつつも、いよいよ手詰まりな感じになってきていた。

もしかしたら行き違いで豊穣の女主人に戻っているかもしれない。

 

 

ヘスティアはエイナに何か話しているようだったが何を話しているのかはわからない。

切りの良さそうなところでヘスティアに声をかけて一度豊穣の女主人に向かおうと促す。

ヘスティアもそれに同意して道を引き返す。

 

 

「さっきエイナさんと何を話していたんですか?」

 

 

「女の秘密ってやつだよ。」

 

 

「はぁー…」

 

 

どうやら教えるつもりはないということだけはわかったので、これ以上追求することはしなかった。

 

 

★☆★☆★☆★☆

 

 

エイナはモンスターフィリアでの運営で会場の運営で働いていると自分が担当しているキリトとその神ヘスティアに出会った。

キリトと少し話すと、続いてヘスティアに話しかけられた。

 

 

「君はギルドの者か。キリト君とはどういう関係だい?」

 

 

「初めまして、神ヘスティア。私はキリト君のアドバイザーをしております、エイナと申します。」

 

 

「そうか、いつもウチのキリト君がお世話になっているよ!」

 

 

「いえいえ、そんな。」

 

 

こうして彼の神様に会うのは初めてだ。

なんとも可愛らしい神様で優しそうである。

彼の神様が彼女でよかったと思っていると、

 

 

「ところで、君は彼に色目を使っていないかね?」

 

 

「へ?」

 

 

いきなりぶっつけの質問に面食らっってしまったエイナ。

 

 

「どうなんだい?」

 

 

しかも、それを大真面目に質問されているので答えないわけにはいかない。

 

 

「えっと…公私の分別はしているつもりです。」

 

 

「君のその言葉を信用したからね。」

 

 

ヘスティアはエイナの肩に手を置いてウンウン頷いている。

どうやら納得してもらったみたいだ。

 

 

「神様!そろそろ行きましょう!エイナさん、またギルドでお会いしましょう。」

 

 

「そうだね!行こうかキリト君!それじゃあ君、今後もよろしく頼むよ。」

 

 

「はい!」

 

 

ヘスティア達が離れていったあと、ふと今の会話を振り返ってみると

 

 

(あれ?もしかしてさっきのって私釘刺されてたの?)

 

 

彼もまた大変だなぁなんて呑気に考える。

大体彼と自分がそんなことあるわけがない。

あるわけがないと考えるのだが、かなりの頻度で彼のことを思っていることに気づく。

 

 

(違う違う!あの子がしょっちゅう危ないことやっているから、心配している時間が多いだけ!それだけ!)

 

 

首をぶんぶん横に振って考えをやめたとき、同僚が隣に来て話しかけられた。

 

 

「さっきのってエイナが担当してお気に入りの冒険者だよね?結構可愛い顔してるんだ!」

 

 

「こーら!からかうのはやめなさい!ほら、さっさと仕事に戻る!」

 

 

「はーい。」

 

 

どうにもまだからかい足りななさそうな顔をしている同僚だが、こちらとしては付き合うつもりは毛頭ない。

仕事に戻ろうとすると、

 

 

「大変だ!カゴに収容していた魔物が脱走した!」

 

 

「え?どういうことですか?ガネーシャ・ファミリアの人たちが管理しているはずじゃ…」

 

 

「何者かによって意識を奪われていたんだ!」

 

 

どうやら、何者かの犯行であるらしい。

でも、いったい誰が?

なんて今はそんなことを考えている余裕はない。

至急ガネーシャ・ファミリアの冒険者に事態の収拾を依頼しないと…。

だが、今モンスターフィリアで活動している者が多いため事態の収拾に当たれる人が少ない。

 

 

「なんや?なんかトラブルかなんかか?」

 

 

話しかけてきたのは神であるロキ。

そして後ろには剣姫アイズもいた。

 

 

「神、ロキ様!いえ…どうやらモンスターフィリアで扱うモンスターが逃げ出してしまいました。」

 

 

事態の状況を伝えると、いつも薄目である彼女が一瞬目を見開いた。

なにやらこの事件について知っているのかもしれない。

 

 

「ロキ様、失礼ですが事態の収拾に力を貸していただけないでしょうか?」

 

 

「おい、エイナ!それは…」

 

 

「それはギルドからの正式なクエストってことでええんかな?」

 

 

「そう捉えてもらって構いません。責任は私が取ります。」

 

 

今は事態の収拾が第一。

その後の事はなんとかなるだろう。

 

 

「わかった。そのクエストをロキ・ファミリアが引き受けた。アイズ、いけるな?」

 

 

「はい。これから現場に向かいます。」

 

 

剣姫がいれば大方のモンスターは倒せるはず。

だが、どうにも嫌な予感が消えない。

それは、先ほど彼に会ったからかもしれない。

願わくば何も起こらないことを祈るしかエイナに出来ることはなかった。

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

「なんだか辺りが騒がしいですね。」

 

 

「祭りなんだから騒がしいのは当然じゃないか。」

 

 

「それとは少し違う騒がしさを感じるんです…。」

 

 

エイナと別れてからさほど時間は経ってはいないが、周りの様子がどうにもおかしい。

気になって少し見回してみるとそこには、

 

 

『ガアアアアアアアアアア!」

 

 

「なっ?!シルバーバック?なんでこんなところに?」

 

 

白い体毛に包まれ、ゴリラに似ているがそれよりも一層凶暴で爪なども凶悪な形状をしている。

奴は本来11層レベルのモンスターでミノタウロスなどと同様キリトにとって格上の敵だ。

 

 

「神様!今すぐここから離れます!」

 

 

そう口にした瞬間、シルバーバックはこちらに狙いを付けたように向かってきた。

 

 

「危ない!」

 

 

キリトがヘスティアを横に押して庇おうとする。

だが、シルバーバックはキリトではなくヘスティアの方に向かっていく。

 

 

「狙いは神様か?」

 

 

キリトはすぐさま走り出して、シルバーバックの横腹にタックルをする。

それで吹っ飛ぶことはなかったが、バランスを崩すことに成功した。

そして、神様の手をとって走り出す。

それをシルバーバックは追いかけてくる。

 

 

「神様、あのモンスターになんかしたんですか?!」

 

 

「知らないよ!初対面なはずだけど!」

 

 

正直今の能力値では勝てる見込みは低い。

敏捷はほぼ同等ではあるだろうが、力は足りない。

ヘスティアを連れているこの状況では逃げるしか彼女を守る手はない。

 

 

「おいおい!キリト君?!ここは一度入ったら二度と出れないともっぱらの噂の迷宮住宅街じゃないか?」

 

 

「そうですね!ここから離れて…ってうわっ!」

 

 

住宅街の前で足踏みしていると、既にシルバーバックが背後に接近していた。

もはや迷っている場合じゃない。

 

 

「神様いきますよ!」

 

 

「うわああ!もうどうにでもなれ!」

 

 

終わりの見えない逃亡劇が始まる。

この危機をどう乗り越えるか。

 

 

★☆★☆★☆★☆

 

 

その状況を遠目から眺めている神がいた。

 

 

「ごめんなさいねヘスティア。でも、どうしても見たいのよ。彼の輝きを…彼の勇姿をね。」

 

 

「なんであんな真似したんだ?」

 

 

その神の近くには青いローブを着た男もまた眺めながら神に話しかける。

 

 

「ふふふ。貴方も見たいでしょ?彼の戦ってるところ。」

 

 

「あんな程度じゃ、あいつの力はわからないよ。」

 

 

「あら?ふふふ、ますます楽しみだわ〜。」

 

 

まるで新しく玩具を買ってもらった子供のようだ。

こんな神に気に入られてしまった旧友を気にかけながらも、この出来事でまた一つ成長するであろう彼に対して自分も楽しみを感じていないわけではない。

今はただ、彼の成長を見守ろう。


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