ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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お待たせしました!
しばらくテストで離れている間にお気に入りや感想をたくさんいただいてとても嬉しいです!
更新遅れてすみませんでした!(汗)
これからまた更新を再開していきたいと思いますので、応援よろしくお願いしますm(._.)m

最近ペルソナ4ダンシングオールナイト買いました!
面白いです♪( ´▽`)


第20話

「いつまで寝てるのよ。」

 

 

「いてっ!」

 

 

いつの間にか気絶していたキリトはどうやらシノンにビンタで起こされたらしい。

このまま寝て過ごしてもいいくらい寝心地はよかった。

それもそのはずだった。

頭の柔らかい感触、それはアイズのふとももであったからだ。

 

 

「なっ?!」

 

 

キリトは反射的に体を起こして、アイズとの距離を離す。

その光景を見ていたシノンとユウキはニヤニヤとこっちを見てくるのだ。

キリトは一度「こほん」という咳払いをしてから二人に尋ねる。

 

 

 

「二人はいつからここに来たんだ。」

 

 

「10分まえくらいかしら?」

 

シノンが時計台を見ながら答える。

そして二人の身なりを観察していると、ユウキの髪が少し跳ねていた。

なるほど、

 

 

「ユウキがまた寝坊したのか。」

 

 

「な、なんのことかな?」

 

 

「寝癖、ついてるぞ?」

 

 

「はわわわあわわ!」

 

 

慌ててユウキがシノンに聞いて寝癖の位置を教えてもらい、頑張って手で直そうとするがなかなか直らない。

もうあきらめたのか、少しふくれっ面になりながら寝癖を手で押さえるという形で治ったらしい。

 

 

「それじゃあ、再開しますか。」

 

 

「そのまえに。」

 

 

始めようとするキリトをシノンが止める。

そして、先ほど気づいたことを指摘する。

 

 

「つまり、俺が相手を目で追いすぎてるって言うのか?」

 

 

「そうだね。僕も昔キリトと同じことをしていたからわかるけど、目で追えるということはそれだけ反応に優れているってこと。今のアイズは本気を出していないとはいえ、それでもレベル1の冒険者からしたらまず経験しない速さだ。それを目で追えているキリトは凄いんだよ。でもね、目で追いすぎているいるんだよ。だから反応するのにワンテンポ遅れるんだ。」

 

 

 

「なるほどな。言われてみればそうかってなるけど、あの早い剣戟なかで意識してやるとなると…。」

 

 

「そこはキリトががんばるしかないね!」

 

 

「うっ…」

 

 

さらっとユウキに言われると、やらざるを得ないだろう。

確かにここで変な癖を直さずに下の階層向かうわけにはいかない。

今よりもっと強くなるためだ。なんだってやってやる覚悟で挑むしかない。

 

 

「改善点はわかった。さっそく後は実戦で修正していくしかない。アイズ頼めるか?」

 

 

「もちろん。」

 

 

キリトとアイズは再び剣と鞘を打ち合うのだった。

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「キリトさん?最近ダンジョンに入る前からなんでぼろぼろなんですか?」

 

 

「秘密の特訓のせい…かな?」

 

 

「?」

 

 

キリトの曖昧な答えにリリは首を傾げる。

ここ数日キリトはダンジョンに来る前からすでにボロボロなのだ。

一体なにをしているのだろうか?

そんなやり取りをしていると、周りにはモンスターが現れていた。

 

 

「リリは下がって。」

 

 

「はい!」

 

 

キリトはリリを下がらせると、新たにダンジョンから生まれたのかキリトを囲むようにさらにモンスターが現れる。

キリトはゆっくりと背中から剣を抜く。

 

 

視界を広く持つ。

それはアイズとの特訓で毎回意識していること。

右斜め後ろの奴が襲ってくるのをしゃがんで躱すと、さらに左から別のモンスターが襲ってくる。

しゃがんでいることを利用して、剣を右下から左上に切り上げる。

一体を屠ると、モンスターたちの動きがさらに活発となり、次々と襲ってきた。

キリトはそれに対して、あくまで特訓でのことを復習するように冷静にその攻撃を防ぎ、倒していく。

すると、

 

 

「キリトさん!前方に新たにオークが!」

 

 

ここでオークが現れた。

それも3体は視認出来るが、霧の奥にはもう2体はいそうだな。

 

 

「一度撤退をしたほうがいいかと。」

 

 

「このくらいなら問題ないよ。もう少し待っててくれる。」

 

 

「なっ!ちょっと、キリトさん!?」

 

 

オークに合流した他のモンスターが徒党を組んで襲ってくる。

しかし、キリトに焦りなどはない。

右手に持っている剣をもういちど強く握りなおして、モンスターの群れに向かっていった。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「す…すごい…」

 

 

「ん?」

 

 

あれから10分程度でモンスターが魔石へと変貌していた。

その戦闘を後から見ていたリリは驚いていた。

ここ数日でキリトが急速に強くなっているのだ。

それはステータスだけの話ではなく、技術の上でも当てはまっていた。

一体なにをすればここまで急激に向上したのか?

 

 

「キリトさんはすでにレベル1の冒険者の中では群を抜いていますよ!一体特訓ってなにをしているんですか?」

 

 

「えっと、実は…」

 

 

キリトが早朝にアイズとの特訓をしていることを簡単に説明した。

始めはじと目でこちらを睨んでいたが、なにか諦めたかのように一度「はぁー…」とため息をつく。

 

 

「なるほど。キリトさんの最近の戦闘での向上の理由はわかりました。現にこうして目に見えて成果がでてる以上その特訓を全面的に否定することはしませんが、剣姫は《ロキ・ファミリア》の方です。しかも、ファミリアのなかで主要メンバーに位置していますからあんまりこのような接触は控えるべきではないでしょうか?」

 

 

リリが言っていることはもっともだ。

ここオラリオではファミリア同士での交流はあまり行われていない。

それはファミリアのメンバーでの問題や神様同士での問題もある。

今回の場合は《ロキ・ファミリア》という大御所のファミリア、片や二人だけのファミリアである。

《ヘスティア・ファミリア》に肩入れしているなどの噂がたてば、周りのファミリアから反感を買う可能性が高い。

さらには、神様二人ヘスティアとロキは犬猿の仲で有名だ。

どれくらい仲が悪いのかキリトにはまだ分からないが、あまり知られない方がいいだろう。

 

 

「ロキ・ファミリアは二日後に遠征らしいんだ。だから、それまでの特訓ってことになっているよ。」

 

 

「それならいいんですが…」

 

 

リリはそれっきりぶつぶついいながらなにか考え込んでいるみたいだ。

やはり、別のファミリアであるリリはリリで色々思う所があるのだろうか?

 

 

「そういえば、リリは明日お休みするんだっけ?」

 

 

「あ、はい。お世話になっている身なのでお手伝いをしたいと思いまして…。申し訳ございません。」

 

 

「いや、気にしないでいいよ。それじゃあ、次のダンジョン攻略は二日後で大丈夫?」

 

 

「はい。問題ないです。」

 

 

「おっけー!なら、今日は明日の分までもう少しダンジョン探索していいか?」

 

 

「はい、お伴します!」

 

 

キリトとリリはダンジョンを今いる所からさらに奥に進んで、ダンジョン攻略を続けていった。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ふっ!」

 

 

「ぐっ!」

 

 

キン!という金属音放ちながら今日もまたアイズとキリトとの剣戟音が響いている。

特訓を始めてから数日経っていたが、これも今日で終わりだ。

キリトは今日こそ彼女に一撃を入れようと気合を入れて臨んで来たが、さすがレベル6だ。

自分の攻撃がこうも簡単に防がれると少し自信を失いそうになるが、前より確実にこちらも向こうの動きに合わせられるようになってきている。

 

 

 

「…っ!」

 

 

その剣戟の最中、一瞬の隙を見つけた。

もうここしかない!

右手にある剣を後方に引き溜め、それを前方に向かって突き出す。

片手剣剣技重突進技《ヴォーパル・ストライク》。

通常のレベル1ではまずありえない身体の動きをスキルで可能にしている。

これ以上の動きをキリトには出来ない。

だが、その隙を突こうとしたのがそもそもアイズの罠だったようだ。

なぜなら、技の発動した瞬間に既に先ほどの隙など微塵も感じなかったからだ。

まずい、とキリトは感じる。

このまま彼女に攻撃を放っても自身のすきを生むだけだ。

だが、スキルを既に発動している以上ここでやめても隙が生まれるだけだ。

なら、ここで一か八か賭けるしかない。

 

 

「うおおおおおお!」

 

 

ギーン!

今までよりさらに鈍い金属音が鳴り響く。

そう、アイズがキリトの剣技をあっさりと防いだのだ。

突進したキリトがアイズの横を過ぎると、狙い澄ましたかのように追撃を行おうとするアイズ。

だが、キリトは諦めていない。

以前キラーアントとの戦闘でした技、剣技と剣技の連携だ。

 

 

「はっ!」

 

 

アイズの垂直からの斬撃をキリトが横薙ぎでパリィ出来る剣技《ホリゾンタル》を発動させる。

これにはアイズも驚いたようで、大きく目を見開いてキリトを見ている。

この技はタイミングがシビアで、繋げる剣技の発動モーションと発動している剣技のモーションを合わせなければならない。

故に発動剣技を途中でキャンセルして次の剣技のモーションを取らなくてはならなくなるのだが、キャンセルした場合の成功率は格段に下がる。

連撃数が多ければ多いほどキャンセルしなくては次の剣技に繋げにくいのだ。

よって、より上位の剣技をこの技での連携にどこに組み込むかが肝になる。

 

 

「まだまだ!」

 

 

ここで止まるわけにはいかない。

《ホリゾンタル》が終わった後、さらにそこからV字に2連撃斬り込む剣技《バーチカル・アーク》、そこから繋げやすい垂直4連撃剣技《バーチカル・スクエア》を放つ。

しかし、見事としか言いようがないくらい彼女は綺麗にパリィしていく。

連撃数が少ないものじゃダメだ。

今覚えてる剣技で最も剣撃数が多いものに賭ける。

この技は頭で次の技に切り替えようと頭のスイッチも切り替えるイメージがある。

それは全力疾走しているのかで急停止をしてまた全力疾走するような感じである。

今回既に4回も剣技を繋げているので頭がパンクしそうになるのを感じている。

半ばヤケクソ気味にこれが最後になる剣技を発動させる。

彼女に向けて胸から腹の範囲で5回剣を突き出す。

それもまた彼女は剣の鞘で受け流す。

だが、キリトの剣技はまだ終わらない。

突き終わった剣を振りかぶって垂直に下ろす、それを彼女が鞘を横にして防ぐと、キリトは振り下ろした剣を上に振り上げる。

その際にキリトは上に大きく跳躍する。

身体ごと大きく振り上げたためにアイズはタイミングをずらされ、身体が仰け反る。

これだけやって少し仰け反るだけなのかと、驚くことしか出来ないがラストの一撃を全身全霊をかけて上から叩き込む。

 

 

「もらった!」

 

 


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