ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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電撃文庫祭に行ってきました!
生で見るステージに興奮がやまなく疲れました!


AWの新作アニメーション、SAOの新作ゲーム&映画化などビックニュースばかりでもう死ぬかと思いました!w
SAOの刻印PS4も予約してしまい、舞い上がっています^^


最後の一人
第24話


その日オラリオ中がある話で盛り上がった。

世界最速でのランクアップ。

僅かひと月でのランクアップはそれほどにも衝撃だったのだ。

なにせ、あの《剣姫》でさえ1年かけてランクアップしたらしく、キリトのアドバイザーであるエイナもあまりの衝撃の事実にギルド内で叫んでしまったくらいだ。

 

 

「なんだかいつも以上に視線を感じる気がする…。」

 

 

「その言い方ですと普段から視線を感じてるみたいな感じですね?」

 

 

「いや、あはは…って、いつの間に背後にいたんですかシルさん?」

 

 

「たった今ですよ♪」

 

 

あの青コートの男との戦いの後、妙に身体に重みを感じながらも豊穣の女主人でリリと今後について話し合うために集まったのだ。

そこにシルが時折入ってきて、なんとも話が進んでいない。

 

 

「お店でもキリトさんの話題で盛り上がっていますよ!《黒ずくめの男》こと《ブラッキー》って感じで♪」

 

 

「黒ずくめって…そんな黒ばっかりみたいに、」

 

 

「いいえ、キリトさんはいつも黒ばかりですよ。それはリリが保証できます。」

 

 

「むしろそれしかないのでは?」

 

 

リリとシルに二人でそう言われ、さすがにキリトもそんなことはない!と、否定したくなった。

けれど、今一度ホームのクローゼットを思い浮かべると黒もしくは黒が基調の服しかない。

おまけに剣まで黒いのだから言い返す言葉を失った。

先ほどシルに言われた《黒ずくめの男(ブラッキー)》とは神が行う集会、通称神会(デナトゥス)にてキリトが神様達につけられた二つ名だ。

ヘスティア曰く、かなり無難なのを勝ち取ってきたと胸をはって報告してくれたのだが、黒ずくめってなんだか悪者みたいで印象としてはあまり好ましくない。

だが、ブラッキーという響きは少し気に入っている。

どうにもキリト自身の情報が少なく、見た目でのネーミングになった為にこの二つ名なった経緯を言われて今後黒いのは控えようと心に決めたはずなんだが、今日もまた黒をきているキリトだった。

 

 

「それで、今後の予定なのですが…」

 

 

「俺は中層と呼ばれる13階層への攻略を今後していきたいと考えてる。」

 

 

「やはり、そうですか…。ですが、ここは厳しく言いますと今のままでは中層へのダンジョン攻略は厳しいと思われます。」

 

 

「え?どうして?」

 

 

キリトは単純に疑問を持った。

なぜなら、自分自身がランクアップしたことで中層域での適正レベルには到達している。

それなのに、一体なぜ?

 

 

「それは、中層と上層ではモンスターの出現率が急激に変化するからです。」

 

 

疑問に答えてくれたのはシルの後ろから現れたリューだった。

その答えを聞いたリリも頷いて補足していく。

 

 

「中層と呼ばれる13階層以降はモンスターの数が今までとは比べものになりません。加えて、リリのレベルとステイタスではキリトさんについていけません。また、いくらレベル2になったキリトさんでも中層で現れるモンスターの数を相手にしては現在のパーティーでは不十分としかいいようがありません。」

 

 

「つまり、現状必要なものは新たな戦力といううことです。」

 

 

リリとリューが言う戦力。

つまり、新たなるパーティーメンバーといううことだが、生憎そんな都合よくオラリオに今すぐ一緒にダンジョン攻略に行ってくれそうな人はいない。

シノンやユウキに頼むという手もないことにはないが、現状難しいだろう。

違うファミリアということもあるが、なによりレベルが離れすぎている。

あの二人に甘えるようなことになっては自身の成長に支障が出かねない。

さて、どうしたものか。

 

 

「なんだ?そこにいるのは最近噂の《ブラッキー》じゃねぇか?」

 

 

キリトが頭を悩ませていると、不意に隣のテーブル客から話しかけらた。

どうやら、むこうも冒険者らしい。

 

 

「随分とかわいいウエイトレスを囲ってるじゃねぇか。どうだ?俺たちがパーティーを組んでやる。その代わり、この娘たちを分けてくれねぇか?」

 

 

随分と分かりやすい下心がみえみえのやつらだな、と思うキリト。

今の彼らの言葉にシルやリュー、リリに至ってはもはやゴミを見る目で彼らを見る。

キリト自身も彼等の誘いに乗るつもりもなく、

 

 

「その提案には乗れないな。彼女たちはこのお店の店員であって、俺がどうこうできるわけじゃない。そして、そんな下心丸出しの奴らに背中を預けるなんてことできないしな。」

 

 

「なんだと?!」

 

 

キリトのその飄々とした態度が気に入らなかったのか、彼等は一斉に立ち上がってキリト達に近づいてくる。

お店で騒ぎを起こすのはまずいな、思うキリト。

その主たる理由としては、

 

 

「なんの騒ぎだい?」

 

 

彼女だ。

豊穣の女主人の店長、ミアさん。

正直これからランクアップをしていって、どんなに強くなっても彼女には頭が上がらないだろうなと思う。

加えて、

 

 

「失せなさい。この下衆どもが。」

 

 

リューもまた以前は冒険者である。

レベルはわからないが、今のキリトより上であることは間違いない。

彼等はリューによって店の外まで吹っ飛ばされ、加えて支払いをミアに取り立てられて散々な目に遭う彼等をキリトは心の中で手を合わせることしかできなかった。

 

 

★☆★☆★

 

 

あの後、話合う雰囲気にならなかったんでキリトは中層に行くのはもう少し先にすることにしてしばらくは上層で様子を見ることにした。

その原因はパーティーメンバーのこともあるが、ミノタウロスの戦いで防具や戦闘服(黒のロングコート)がボロボロになったので新しく新調しなくてはならない。

よって、キリトは先日エイナに紹介してくれたバベルの中にある《ヘファイストス・ファミリア》のお店に行くことにした。

店に入って早速目に入るのは、黒のロングコートだった。

それにしても、

 

 

「なんか…前より種類が多くなったような?」

 

 

確かに最近ここでロングコート、主に黒いものを購入していたが明らかに前より種類が増えている。

 

 

 

「おい、また来たぜ。」

 

 

「あれだろ?噂の《ブラッキー》っていう冒険者。」

 

 

「まさか、あの黒のロングコートばっかり買っていくやつがこんなに話題を呼ぶとはな。」

 

 

「おかげで最近売り上げいいぜ。」

 

 

 

などなどと、ランクアップしてよくなった聴覚から聴こえてくる言葉はどれもなんとも言えない気持ちにさせた。

だが、やはり他のものに今さら移るのもどうかと思ったので結局ここにある黒のロングコートを買った。

それと、いつものとおり胸防具も買っておかないと。

前に使っていた《ヴェルフ・クロッゾ》の防具。

この辺りの防具ではかなり頑丈で、加えて付けていてもあまり重荷にならないあの軽量さはとても魅力的だった。

キリトは以前に見つけた場所を探してみたのだが、なかなかみつからない。

キリト的には店員に聞くなどという行為は苦手なのだが、見つからない以上を店に置いていない可能性があるので聞いて確かめる必要があると感じ探してみると、店員となにやら揉めている現場に遭遇した。

 

 

「あのー…」

 

 

「だから、なんで俺の作ったものを置いてくれねぇんだよ!」

 

 

「あー、はいはい。なにをお探しですか?冒険者さん?」

 

 

「無視すんなや!」

 

 

この店員普通にスルーしてるけど、大丈夫かな?

 

 

「《ヴェルフ・クロッゾ》の防具を探しているんですが、置いていないんですか?」

 

 

キリトのその言葉に店員と揉めていた人が急に動きを止める。

数秒の沈黙のあとに、揉めていた赤髪の青年が店員に向けて言い放つ。

 

 

「ほら、見ろ!俺にもこうしてリピートで買ってくれる顧客がいるんだよ!」

 

 

「ちっ!」

 

 

「?」

 

 

キリトが頭にハテナマーク浮かべてみると、青年が自分を指差してこう名乗る。

 

 

「俺が、ヴェルフ・クロッゾだ。よろしくな、黒いの。」

 

 

なんだか、長い付き合いになりそうなそんな予感をキリトは感じていたのだった。

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

あの後、場所を変えてヴェルフと話すことにしたキリト。

まさかあの防具の作成者本人と出会うとは思いもしなかった。

鍛治師とこうして話すこともなかなかないので、少し楽しみだ。

 

 

「いやー、まさか今話題の《ブラッキー》に買われているとは鼻が高いぜ。」

 

 

「そう言ってもらえてこっちこそ光栄だよ。それよりも、クロッゾさんはどうして店員と揉めていたんだ?」

 

 

「あー…まぁ、いろいろだな。あと、そのクロッゾって呼ぶのとかしこまるのはなしだ。」

 

 

「そうか?なら、ヴェルフって呼ばせてもらうよ。」

 

 

ヴェルフはキリトにとって話しやすい存在だった。

がさつなところがあるものの兄貴風な雰囲気がキリトにとって新鮮だった。

ここオラリオに来てから、同性の知り合いがいなかったことから色々なはなしをした。

そうしていると、いつのまにか時間が経過をしており、ヴェルフは本題に入ってきた。

 

 

「ところで、キリトに折り入ってお願いしたいことがあってよ。俺を、お前の専属鍛治師にしてくれないか?」

 

 

「専属鍛治師?」

 

 

「なんだそんなことも知らないのか?」

 

 

そこでヴェルフが説明をしてくれた。

鍛治師が一人の冒険者と契約して専属になることでその冒険者の装備を整えたり開発していってくれるらしい。

そのかわり、鍛治師のメリットとしては冒険者が鍛治師の装備を使って活躍することでの宣伝効果を期待しているのだ。

キリトは世界最速ランクアップの記録保持者だ。

宣伝効果は十分らしい。

なんにせよ今のキリトにとってはこれ以上ない提案だった。

 

 

「俺でよければ契約してほしい。」

 

 

「おいおい、頼んでるはこっちだ。それは俺の台詞だぜ!」

 

 

笑いながら答えるヴェルフ。

もしかしたら、彼なら冒険の頼もしい仲間になってくれるかもしれない。

 

 

「それで俺も頼みが…」

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

「それで…」

 

 

「よっ!ヴェルフ・クロッゾだ。家名で呼ばれるは好きじゃないから、ヴェルフって呼んでくれ。」

 

 

次の日から早速ヴェルフとダンジョンに来ていた。

なんでもヴェルフもランクアップ後に取れる上鍛治師(ハイスミス)と呼ばれる発展アビリティの取得がしたいらしく、しばらくはパーティーメンバーとして同行してくれるみたいだ。

だが、同じパーティーメンバーのリリの反応はというと、

 

 

「そういう大事な事はリリにも相談していただかないと困ります!」

 

 

「ご、ごめん。」

 

 

どうやら、彼の加入の独断は芳しくなかったようだ。

そう言えばリリは冒険者嫌いの気があるのをすっかり忘れていた。

けれど、キリトはリリもヴェルフとは仲良くなれると信じて疑わない。

彼には冒険者特有の傲慢さがさほど強くないと感じたからだ。、

しばらく行動を共にすれば気にならなくなるだろう。

 

 

「とりあえず、ダンジョンの探索を進めよう。パーティーメンバーが必要なのは絶対なんだし、一度一緒に冒険してから判断しても遅くはないしな。」

 

 

「そういうことだ、チビ助。よろしくな、」

 

 

「チビ助てはありません!リリはリリルカ・アーデという名前があります!」

 

 

 

「なら、リリ助だな。」

 

 

「いちいち助を付けないと呼べないんですか…?」

 

 

 

なにはともあれ、三人での初のダンジョン探索が始まった。

果たして、彼の加入はリリに認められるのだろうか?


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