ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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投稿が遅れて大変申し訳ありません。
不定期ではありますが今後ともよろしくお願いします。
そして今回から少しだけ本編とは別の外伝から話を持って来ました。


予期せぬコンビ
第30話


(む〜〜〜〜〜〜〜)

 

 

ある少女は唸っていた。

ロキ・ファミリアの一員であるエルフの少女、レフィーヤ・ウィリディスはこのキャンプに一緒にいる黒いコートの男を睨んでいた。

この男はあろうことか彼女の尊敬するアイズと秘密裏に特訓をしていたという情報を入手してからレフィーやは怒りを抑えられていない。

 

 

(私だってまだアイズさんと特訓なんてしたことないのに〜〜!!!フィルヴィスさんとの特訓は確かにためになりましたが…)

 

 

【ディオニュソス・ファミリア】のフィルヴィスとの特訓をしている中での出来事だったらしく全く把握していなかった事実を知ってしまったことで、彼女にとってこの黒い野郎は完全に敵と認識したレフィーヤはひたすら睨みつける。

他に何か行動しようとはしないのかと思うところだが、アマゾネス姉妹やシノンなどと仲良くしているところを見るとさすがに物理的なアクションを起こす勇気が持てない。

睨みつけるという行動は彼女が起こせる最大限の抵抗なのである。

先ほど彼の主神と他の冒険者たちが共に来てより一層このキャンプ場も賑わいを見せはじめた。

特に神ヘルメスとそしてその眷属【万能者】と呼ばれるアスフィ・アル・アンドロメダさんも一緒に来た時は大いに驚いた。

そして、フードとマスクをしていてよく見えなかったが同族のエルフも見かけたが、いまはどこかに移動したようだ。

色々な方向に視点を移動させていると、いつの間にかあの真っ黒男が森の中に歩いていく。

この時間に一体どこへ?

しかし、これはチャンスなのでは?

今まで何かと他の人たちが彼の周りにいたが、一人になった今なら彼と直接話せる。

レフィーヤは彼の後を追うことにした。

 

 

⭐︎★☆★☆☆☆☆☆

 

 

 

彼は一体どこまでいくのだろう?

気づくとあたりは森ばかりになっており、キャンプ地から遠く離れてしまった。

装備がない状態でモンスターと遭遇した場合非常に面倒だ。

レフィーヤ自身は能力的に問題ないが、彼は流石に装備がないと危ないし、この状況ではもしもの時は自分が彼を守らないといけない。

彼のことは嫌いだが、それでも自分のファミリアの仲間の同郷とあってはみすみす見放しては気分が悪い。

そうこう考えていると、

 

 

「なぁ、あんたいつまでついて来るんだ?」

 

 

「へ?」

 

 

突然話しかけれとっさに反応ができなかった。

相手はそもそも自分に気づいていないと思ってたのでなおさらだ。

 

 

 

「あんた確かキャンプ場でずっと俺を睨みつけてた人だよな?俺、何か気分を悪くさせちゃったか?」

 

 

「そ、それは…」

 

 

一緒ん言い淀んだが、気づかれていた以上勇気を持って言うしかない。

 

 

「あ、あなたがうちのファミリアのアイズさんと秘密裏に特訓してたのが気に入らなかったんです!」

 

 

半ばヤケクソ気味に言い放ったその言葉。

彼はなぜか「そっちかー」てきな顔をして視線を外す。

一転して状況が有利になったレフィーヤはここぞとばかりに攻め始める。

 

 

「だいたいですね!あなたは他のファミリアであるくせにうちのキャンプに転がり込んだり、アイズさんとた、楽しい特訓するなんて図々しいんです!」

 

 

楽しい?と頭にハテナマークを浮かべながらも、彼は非常に気まずそうな顔をしていた。

 

 

 

「あー…えっと、その、ごめんなさい。」

 

 

自分が強くなるためとはいえ、確かに他のファミリアの人たちにお世話になりっぱなしだと自覚しているキリトは彼女の言葉に何も言い返せずただ謝るしかなかった。

そんな彼の本当に申し訳ないと感じる態度に自分も少し言いすぎたとような気がして来た。

何より、今回のキャンプは団長のフィンが決めた以上彼に文句を言うのはどうかと思って来たし、なぜか逆に申し訳なくなって来たあたり彼女の人の良さが見える。

 

 

「と、とにかく!これからアイズさんと勝手に行動しないこと!いいですか?」

 

 

「ああ、わかったよ。」

 

 

そんなやり取りを終えると、何やら森の奥から音が聞こえて来た。

 

 

 

「今の…聞こえたか?」

 

 

どうやら彼にも聞こえたようでレフィーヤもそれに頷く。

 

 

「この階層ではこんな音よく聞こえるのか?」

 

 

「いいえ、そんなことはありません。確かにモンスターは現れますがこんな音は初めて聞きます。」

 

 

彼にそう伝えたが、彼女にはこの音に聞き覚えがあった。

しかも、ごく最近。

嫌な予感がする。

一度キャンプに戻って報告をするか?

しかし、もし予想したものであったならばここで見失っては手がかりが失ってします。

ここはできる限り情報を手に入れてから戻る方がいいだろう。

 

 

「すみません。この音の調査をします。あなたは早くキャンプ場に戻ってください。」

 

 

「いや、俺も手伝うよ。あんた見たところ近接で戦うって感じではなさそうだし、魔導師か?なら、壁役がいないと満足に戦えないだろ。何、肉壁程度にはなるさ。」

 

 

確かに自分一人では魔法を撃つのに無防備になるので不安だったが、レベル2の彼に果たして壁役が務まるのかどうか。

しかし、ここで言い争っている時間はない。

ここはもう着いて来てもらうしかない。

 

 

 

「わかりました。それでは私から離れないようについて来てください。」

 

 

「了解!」

 

 

こうして、即席のコンビを組むことになった。


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