ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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ダンまち2期始まりましたね。
こうして超超不定期で更新していますが、たまにもらえる感想やメッセージが私のモチベとても上げていただいています。
メッセージや感想を書いていただいた方々ありがとうございま^^


第31話

音を頼りに暗い森の中を走る二人。

レフィーヤは今さながらキリトを連れてきてしまったことを後悔し始めている。

なぜなら、彼とは別のファミリアだ。

これでもし自分たちが追っている組織《闇派閥|イヴィルス》だとしたら自分一人で彼を守りきれる保証はない。

それどころか自分自身対処できるかも怪しい。

撤退の判断を自分だけではなく彼のことを含めて考えるべきだった。

二人は冒険者の恩恵で良くなった聴覚を頼りに走り続ける。

すると、18階層東端まで来てしまっていた。

 

 

「音はこの辺りだったよな?」

 

 

「ええ、、、」

 

 

 

今は聞こえなくなったが、確かにこの辺りから聞こえていた。

しかし辺りには何もない。

 

 

 

「どうする?一旦引き返すか?」

 

 

今更だがキリトの提案に乗るのが正解だと思う。

不確定な要素が大きく、リスクが高い選択をわざわざする必要がない。

むしろキャンプに戻ってファミリアのメンバーを連れてきたほうが安全である。

 

 

「そうですね、、、一度引き返して、」

 

 

するとその瞬間いきなり地面がパックリ開いたのだ。

 

 

「え?」

 

 

「くそっ!」

 

 

「きゃああああああ!」

 

 

キリトは慌てて走り出しレフィーヤの手を掴もうとした。

が、間に合わない。

咄嗟に開いた穴に飛び込んでレフィーヤを掴む。

そしてそのまま二人は穴に落ちていった。

 

 

****************

 

 

「んっ、、、」

 

 

落ちてすぐにレフィーヤは自分の下に何かいるのに気づいた。

それはキリトだった。

彼は咄嗟に自分の下になってかばってくれたのだ。

 

 

「だ、大丈夫ですか?!」

 

 

「っ、、、衝撃はな。ただ、、、っ!」

 

 

「どうしたんですか?わっ!」

 

 

レフィーヤはキリトから離れて気づいた。

この場所には何か液体が溜まっていた。

そしてそれは、

 

 

「溶解液?」

 

 

液体に触れている箇所が火傷のようにヒリヒリと痛む。

このままここに留まっているのは危険だ。

だが、落ちてきたは穴はすでに塞がっていた。

一体どうやってここから脱出すればいいのか。

脱出の方法を考えようとするレフィーヤの耳に突然何やら不穏な音が聞こえてきた。

 

 

「どうやら、ここはあいつの縄張りみたいだな。」

 

 

キリトの言葉を聞いて、彼が見ている方角を見てみる。

そこには、極彩色の上半身人型のモンスターが単眼でこちらを見つめていた。

腕はまるで鞭のような触手になっており、おぞましい姿をしていた。

よくみると辺りには冒険者の死骸がいくつも転がっており、考えるまでもなくやつにやられたのだろう。

二人は装備していた剣と杖を持って戦闘態勢に入る。

殺意を感じたのか、異形のモンスターは激しく動きを見せ、触手を二人に向かって振り下ろして来る。

 

 

「来るぞ!」

 

 

「はい!」

 

 

 

二人は向かって来る触手をかわそうと大きく跳躍する。

地面に叩きつけられた触手が下の溶解液をはね上げて体にかかる。

 

 

「くっ、、、」

 

 

普通の人間ならそう長くは持たないであろうこの溶解液に対して、恩恵を受けている二人は今だに溶けきることなくいるがいくら恩恵を受けているとはいえどそう長くは浴び続けることはできない。

さらに、相手はあの新種だ。

黙っていては確実にやられる。

だが、

 

 

 

『アアアアアアアアアアアアアアアアア』

 

 

なんども触手を叩きつけて来るこの状況で果たして詠唱をすることが叶うのか?

しかし、共にいるキリトはLV2。

彼に頼るのはおそらく難しいだろう。

 

 

(私がやらなきゃ!)

 

 

【解き放つ一条の光】

 

 

『アアアアアアアアアアアアアアアアアア』

 

 

レフィーヤが詠唱を始めると突然魔物が暴れ始め、レフィーヤに狙いを定め触手を振りかざして来る。

 

 

 

(やっぱり、このモンスターも魔力に反応してくる!)

 

 

以前対峙したものと同様に魔力を放つものに対して大きくヘイトを集めるようだ。

レフィーヤは詠唱を途中で止められ、回避する。

 

 

 

(このままじゃ、、、)

 

 

打つ手なし。

このままジリ貧で二人ともやられる。

そんな考えが脳裏によぎる。

レフィーヤは内心とても焦ってる。

しかし、LV2のキリトがいる前でとりみだすわけには行かない。

そんなことすればパニックを起こしあっという間に全滅だ。

何か、何かいい手はないのか。

一瞬の思考の耽りが隙を生み、レフィーヤにめがけて飛んできた触手が目の前に迫っていた。

 

 

(しまっ!)

 

 

 

やられる!

そう思い目を閉じると

 

 

ガンッ!と音を立てて触手が弾かれる。

触手を弾いたのは言うまでもなく彼だ。

つい先日ランクアップしたばかりの黒髪の少年。

 

 

「ボーッとするな!次来るぞ!」

 

 

彼の言葉にハッと意識を再び戦闘に向け、触手をかわし大きく飛び退いた。

 

 

 

「あの!ありがとうございました!」

 

 

「礼ならあとだ。それより、あのモンスター。君の魔法で倒せるか?」

 

 

「ええ、でも詠唱をする余裕が、、、」

 

 

「俺が君に飛んで来る攻撃を防いでみせる。それならどうだ?」

 

 

「え?」

 

 

「あのモンスターは魔力に反応して攻撃してた。なら、君が詠唱してる間の攻撃の方向は限られる。それなら攻撃を防げるはずだ。」

 

 

LV2の彼に攻撃の全てを防いでもらう。

しかし,100パーセント防げる保証はない。

なにせ彼女は今日初めて出会ったのだ。

信頼丸ごと預けられるはずがない。

けれども、それしかあのモンスターを倒す手立てがないのは事実だ。

このままジリ貧でやられるくらいなら、彼に賭けるべきだろう。

 

 

「、、、わかりました。あなたを信じます!」

 

 

 


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