折角ロボがあるので原作フルシカトしてロマンを追い求めます。 作:ロマンチスト
必要な物、不要な物。
この世の中の物は大きくその2種類に分けられる。その中でまたあったら嬉しい物、なきゃ無いで良い物にも分けられる。
厄介なのは、その必要、不要が人にとって大きく変わってしまう事だ。自分にとってなににも譲れないほど大事なものが、人にはつまらない物だったり、自分にとって当たり前な事が人には当たり前じゃなかったり。
どうやら俺が何よりも大事にしたい事は、この世界の多くの人にとって下らなかったり、意味のなかったりする……不要な物、らしい。
だが、それでも俺はどうしても、俺にとって譲れないほどの、その必要な物を追い続けたいと思えるようになった。巨大な機械に俺の夢と俺の希望と俺の格好良いを詰め込み、普遍的説得力を持たせぶつける!そう!人、それをロマンと言うッ!!!
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ロボット作品には大きく分けで2種類がある。所謂リアル系とスーパー系と言う奴だ。勿論、この2種類に明確な差も隔たりもある訳じゃ無い。どちらも最高にロマン溢れる最高に格好良い誇るべき作品達ばかりだ。
俺が訳あって転生してしまったのは、そのリアル系……前に居た世界では『鬱ロボゲー』と称されていたゲーム作品「アバランチ・メタリカ」の世界だった。
まぁ、SFのロボット作品といえば大抵が碌でもない世界と言うのが定番だが、この世界も例に漏れず…………完全な宇宙進出を遂げ、各地に人工惑星であるコロニーが浮かぶ世界。
そんな世界では、日夜……所謂『怪獣』と呼ばれる謎の宇宙生物と生存競争を続け、その中でもさらに各コロニー軍で小競り合いをやっていると言う戦乱ド真ん中な世界だ。
ポンポンキャラが死ぬし、悪趣味に片足突っ込んでるほど嫌な死に方するキャラも出てくる。それが途中までヒロインレースを走っていた女の子も含まれるのが本当に胃に来る。
そして結末も……世界終焉みたいなどう足掻いても絶望とはまた違う後味の悪さなエンディングで、ネットでは鬱ロボゲーの枠に入れられていた。
「……ここのケーブルを合わせて、コイツのパワーラインと繋げれば………っし、動くな。」
さて、そんな世界に俺こと、カズヤ・フヨウは産まれた。親父も母さんも技術屋、爺ちゃんも技術屋、そのまた爺ちゃんも技術屋の代々メカニック一家。
今は火星の外れた所にある宙域のコロニー残骸……厳密に言えばコロニー残骸を修理した場所に不法占拠……他所からは『スラムコロニー』呼ばれる場所でのジャンク屋兼生活だ。
この辺りじゃ戦闘が絶えないし、残骸の回収も行われないからな。落ちてる残骸拾って直して民間に売ったり個人で使ったりもしてる。
前の世界基準なら、なかなかに碌でもない事をやっているんだが………この世界ではもう人類の敵は人類だけじゃない。怪獣なんてどっからか来る害獣もいるんだから、民間どころか一市民でも武器を持っていたいってのが本音なんだ。
もちろんジャンク屋から買うよりも正規品を買うのが一番だが、大抵民間で手が届く範囲の代物は碌でもない品物ばっか、同じ当たり外れがあるなら安い方で済ませたいって思うのも自然って訳で…………
「おぉい!カズヤ!」
すると、俺の作業場兼住処の倉庫の上から俺を呼ぶ声が聞こえる……そっちを振り返ればタブレットを持った赤髪のウルフカットの少女が嬉しげに口角を上げて見下ろしてきていた。
彼女の名前はレニ・レザー。俺と同じくこのスラムコロニーの住民で、ボディガード兼ネゴシエーターをしてもらってる。
「おぉ、レニ!どうだった!?なんか売れたか!?」
「えぇっとね……ロボット用の武装が幾つか売れてる!」
「まじか!?」
販売……っていうのは、俺の直したりレストアした機械やロボット、その他諸々の販売だ。
「それで!?何が売れた!?」
「ロボット用SMG『エンドリケリー』が5個!」
「えぇ……エンドリケリー?」
エンドリケリー、俺がジャンク品からレストアしたロボット用のコンパクトサブマシンガンだ。確かに正規品とまでは行かなくともオンボロ改修品としてなら性能で言えば悪くないが……なんだかなぁ……
「あの失敗作がかぁ……」
「失敗作?何言ってんの!手堅く纏って安価な良い品じゃない!整備性も良くしたんでしょう?」
「うーん……そりゃ品物として悪い物は売りつけてねぇけど……なんかなぁ……」
「何よ、何が問題なの?」
「……なんかぁ、ロマンが詰め込めなかった。」
うぅん……見た目的にも飾りっ気なくなってたし、特に度肝を抜けるギミックも仕込めなかったしなあ。せめてもう少しなんか……
「せめて見た目だけでも何か一捻り……P90をモデルにしてレストアした方が……」
「そんな大改造したらレストアどころか殆ど作り直しじゃん!?その材料で他の物直したりした方がよっぽど良いでしょうが!?採算を考えてよ採算を!」
「すんません……」
良い案だと思ったんだけどなあ。ロマンにあふれてて。
「大体あんな特徴的な形、慣れてなきゃ使えないじゃない!みんなアンタみたいなロマンに全身焼かれてアホになった奴とは違うの!」
「大丈夫だ!ロボットのCPの方にモーション組み込めば……」
「それが採算合わないって話してんの!?!?みんなお金払いたくないからアンタみたいなジャンク屋から品物買ってるのに、そんな高値つくやり方でやってける訳ないでしょ!」
……この様に立派に俺の手綱を握って来やがります。でもやっぱり男の子ならもっとロマンを詰めたく無いか?本当ならもっとこう……避けられないように追尾性のアンカーし込んだり、対になる剣武器とくっつけて出力上げたり!本体とジェネレータ直結させて威力上げたり!!
あぁ!色々良いアイディア思いついてきた!今度隠れて作ろ……バレたら念の為で押し通せばいけんだろ!……ほら、あれもやりたいし『こんな事もあろうかと』って奴も……!!
「……また変なこと考えてるなカズヤァ!?」
「えっ……いやぁ……」
「具体的には……『良いアイディア思いついてきた!隠れて作ろう!バレたら念の為で押し通そう』とか思ってる!?」
「ナチュラルに人の心読むなよお前!?ニュータイプかなんかか!?」
「なぁに言ってんのアンタ!?ニュータイプって何さ!?」
まぁそんな事はさておいて……色々思うことはあれど、ちゃんと品物が売れた、金が入った事は喜ぶべき事だ。俺らみたいなフリーでやってる奴らには、金は幾ら入っても困らない。
「……まぁ、俺の直した物が役に立ちそうなら良かった。俺はも少しこの辺のパーツ直してるから、お前はもう帰って良いぞ。」
「この辺って……どの辺よ、この工房パーツばっかだから何処のこと言ってんのか分かんないんだけど……」
レニはがっくりと肩を落とす……まぁ確かにこの辺どこ見渡しても拾ってきたパーツばっかだけど。最高だね、こんなパーツ群に囲まれて作業できるなんて。鉄の匂いもまたロマン……
「んっ?」
「あれっ、警報……!?」
工房、いや街中、いやコロニーの全体から警報と危険信号の赤ランプが鳴り響く。そっと、連絡用のタブレット端末を取り出すと『空震警報』の字が画面に広がるとともに、タブレットからも警報音が流れていた。
「おいでなすったか……!」
そっと指でなぞりタブレットの警報を切る。
空震警報とは、簡単に言えば宇宙空間に現れる歪みを警告する警報だ。もっと厳密に言えば、そこから現れる怪獣の出現を警告する代物だ。
怪獣……実に特撮的でロマン溢れる響きだが、あまり喜べる存在ではない。空間に歪みを起こし、その歪みからともなく現れて目につくもの手当たり次第に攻撃を仕掛ける。
人間が本格的に宇宙に生活の場を移して200年余り経つと言われているが……その200年間小競り合いを続け、人類がこの太陽系に停滞する理由の一つだ。
未だに奴らが本当にただの所謂宇宙生物なのか、あるいは何らかの意志が介在した……突拍子もないが、異星人の侵略兵器と呼べる物なのかすらも、今の人類には分かっていない。
元のゲームをクリアした俺と言うイレギュラーなら知らないことも無いが、正味信じてもらえないし、正体を語った所でまだ何も好転しないのが事実だ。
タブレットを操作して、少しいじってやればこのスラムコロニーのある宙域の映像を見れる。
本来は報道機関や各コロニーの政府が動く案件だが、このスラムコロニーみたいなならず者の寄せ集めところではそんな物はない。こうして電波ジャックじみた方法で外の様子を確認方が手っ取り早いのだ。
「っし、映った。」
「また怪獣……?」
「ん……
映像を見てみれば、まるで海から飛び上がる様に何もない場所から……もっと正しく言うと、水面の波紋の様な物が映る場所から、トリ……の様に見える全身を黒曜石の様な鱗で覆われた翼とくちばしの様な器官のある怪獣が複数体現れる。
と同時に、外から空をきり裂くようなエンジン音が響いていた……そっと窓から外を見ると、青空(厳密には青空を映したスクリーンなのだが……)を裂くように幾つかの機影が宇宙へと繋がるコロニーのハッチへと向かっていた。
恐らくは殆どがどっかのならず者の機体だろうが……不法占拠され半ば見捨てられたコロニー故に正規の軍がこの場所を守りにくる事はない。ならば、このスラムコロニーに住む者が自衛しなければならないのだ。
……少なくとも、このままではあのトリにコロニーを突かれるのが目に見えている。
それを避けたいと思うのは、ボロボロでもこのスラムコロニーに住む者なら当然だ。少なくとも、他のコロニーに行き場がないからこんな所でくすぶってる訳だしな。
「っし、俺も行くか!」
「はぁっ!?ちょっと待ってよ、この間怪獣が出た時もアンタ出撃したじゃん!?その前もその前の前も!?」
「マシンの方は万全なんだ、問題ないだろ?」
「修理費!補給費!そうポンポン出撃してドンパチやるから直ぐにお金が尽きるんだよ!!」
お母さんかな!?まぁ、こればっかりは止められない。俺はポケットに突っ込んだリモコンを押して操作すると、倉庫の天井がゆっくりと空いていく。
その間に近くに置いておいた大きさの15Mにもなる白い布をどかす……すると、布の下に置かれた15m級の人型ロボットが姿を現す。白を基調に赤を差し色にしたロボットが姿を現す。
全体的にシャープで流線型な素体に、鋭角化した鎧をまとった印象を持たせた。腕部は特に頑強な大型甲手のようなパーツがかぶせられている。
頭部にはズラッと伸びるV字の大型アンテナ。造形の盛り込んだヒロイックな見た目だ。ともすれば兵器としての機能美や合理性は皆無に等しい。正に俺のロマンをぶち込んだ機体だ。
「よっと!」
機体に乗り込み、各種システムを立ち上げて機体を起動させる……モニターに映るのは『WELCOME to
操縦桿を握り締め軽く動かすと、ゆっくりと起き上がる……点を見上げれば天井は開かれて、何時でも飛べそうだ。俺は通信機をつなげて下のレニに声をかける。
「んじゃ行って来る!吹き飛ばされるなよ!?」
『弾の無駄遣いはしないでね!?』
その言葉に返事はできず、そのままストレクスを操り大きく飛び上がる……マシンの表面を包む風が、まるで自分の肌に当たるように感じられた。
「いよっしゃ、いよっしゃ、いよっしゃ……」
静かな言葉が3回漏れる。機体の加速に乗って、コロニーの外壁がぐんぐんと近くに寄ってくる。
やがてコロニー側面のゲートにたどり着くと、門の奥の宇宙で光が瞬いているのが見えた。そっと操縦桿を握り直すと、ゲートからストレクスが飛び出した。
すでにスラムコロニーの他の連中のロボットは、辺りを飛び回るトリガタの怪獣との戦闘を始めていた。すると、無線に声が響く。同じくたかっているスラムコロニーの住民……目の前の黒い機体からの様だ。あれはどこぞの半グレの機体かな?
『そのふざけた機体……カズヤか!?馬鹿野郎テメェは引っ込んでろ!』
「すんません。もうゲート閉じてるんで倒すまでは戻れないっすね!」
『じゃせめて隠れてろ!テメェのその玩具でやり合えるか!?もっと使える機体持ってこい!』
「生憎、俺の機体はこのストレクスだけなんで……ね!!」
そう言って俺は飛び掛かってくるトリガタを蹴りつけ、殴り飛ばしててやる……ジャンク屋の機体は荷運びや同業者とのケンカがメインの仕事、馬力が命で間接部はかなり頑強だ!
『お前なんでマニュピレーターでぶん殴ってんだ!?精密機械だぞ精密機械!?』
「こんなモンで壊れねぇですよ!」
『そんな問題じゃねぇわこの馬鹿!?』
しかし、レーダーで確認しても敵の数が多いな……やっぱりトリガタはこの数が厄介な所……纏めてぶっ飛ばさなきゃジリ貧だな……良しっ!!
「そこの黒い機体、もう少し右に寄ってくれ!その前の黄色いのは左に!」
『お、おいアンタ、何やろうとして……』
「右腕部ロック解錠、瞬発スラスター起動、ターゲットロックオン、目標は敵影中心部!」
モニターに映るターゲットを目標に、ロックオンサークルを中心に当てる……すると、ストレクスの右腕部の甲手パーツからスラスターが起動、さぁって!一発ぶちかましてやる!!!
『ちょっ、おまっ』
「ロォォォォォォケットォォォッッッ!!!!!パンッッッチィィィィィィ!!!!!!」
瞬間、ストレクスの右腕を振りかざせば、その腕は本体から飛び出し、機体の最高速度を遥かに超えまるでミサイルのように……いや、それ以上のスピードでぶっ飛んでいく。
道中を阻むあらゆる敵に風穴を開けて爆散させながら突き進み……やがてトリガタの怪獣の軍団に突入。数拍置いてから連鎖的な爆発が遠方で見え始める。
いやぁぁぁぁ!!やっぱ敵影に遠慮なくロケットパンチぶっ放せるのは気分が良い!!ぶっ放すとストレクスの片腕が無くなるのが問題だが……大丈夫!ちゃんとバックパックに予備の腕を搭載してある!
ストレクスを動かしてバックパックに取り付けた右前腕部を取り付けて、システムを戻せば……直ぐに取り付けられる!そう言う設計にしたからな!
「よっしゃッ!決まったッ!これこそが俺の求めたロマン!!……ロケットパンチ!!!!……さぁ!まだ敵は残ってる!ここからが勝負どころだ!!」
そう言って俺は機体の背から実体剣……それも、銃口も見当たらないのにシリンダーを取り付けた特別製品……所謂、ガンブレードを抜いて構えるのだった。
カズヤ・フヨウ:転生のショックと興奮で『俺のロマン』が溢れ出して脳のネジが3本ほど吹っ飛んだ。変態的な技術によりトンデモ武装を色々開発してきたが大抵が『それって凄いけど一発屋以外で搭載するメリットある?』的な物ばかりである。