折角ロボがあるので原作フルシカトしてロマンを追い求めます。 作:ロマンチスト
「アバランチ・メタリカ」……公式では鋼鉄の軍団とも訳されて居た、俺が今いる世界と良く似たゲーム作品だ。世界観的には良くありがちな人類VS宇宙生物のSF物で、宇宙進出がかなり進んでいる事以外は、突然怪物が人類を襲い始めてロボットで迎撃している所も含めて偉大な先人達の作品と似ている。
この世界の怪獣は、総じて宇宙空間を海のように潜行したり浮上したりする等、生命としては破格の力を持っている。
そして、言わば人の『生命エネルギー』と言うべき物を、その肉体ごと捕食する為にコロニーや人類を襲う。
だが、あくまでアバランチ・メタリカの世界では、怪獣はあくまで『そう言う生命体群』としか設定されておらず、そこに善悪は無いとされている。
言わば、現実のクマ問題と似た面がある……人類が
原作のゲームでは、主人公の所属する『地球統合軍』が本格的な怪獣の調査対策を進める所から始まる。主人公は軍内に新たに設立された『怪獣対策部』に所属し、怪獣の討伐や調査をしてその正体や真実に迫っていく……ってのが主なスト―リー。
もっとも、『怪獣が怪獣と言う生物であり、そこに何の思惑も意図も無い』と判明するのは物語ラスト付近。そこまでで怪獣との戦いでヒロインや仲間の多数が戦死したあとの話だ。
そこまでの流れが明らかに裏に何かしらの黒幕がいて「絶対にこの怪獣達の正体と黒幕を掴んでくれ!」みたいな流れだったのに、結論が『正体も黒幕も無くて地球人が宇宙怪獣のテリトリーに住み始めたから起こった生存競争やで。』と言うオチ。
厳密にはその怪獣が200年も断続的に現れるキッカケを作った怪獣が居て、ラスボス枠を務めるのだが、そいつもまた『そう言う生態の生命体』であり、言わば自然サイクルの一つでラスボス倒しても怪獣との生存競争は終わらないと言うエンディングだ。
なんと言うか、鬱というか、無常と言うか。ここまでの道のりも明るいノリじゃなかっただけにロボゲーって部分だけに惹かれてやってた俺にとんでもないしこりを残したゲームだ。
んで、俺の住む火星の……このスラムコロニーが原作でどのような役割を担っているかと言うと………
なんも担ってない!!名前すらテキストで1.2回でただけ!なんなら原作じゃ火星木星付近にすら怪獣討伐以外で寄らない!!
本編では、主人公達が地球圏から大凡金星の辺りで活動していて地球圏からでると大抵火星をすっ飛ばして木星や最先端の土星圏あたりで物語が進むため、ドンピシャで火星辺りは大して深掘りもされず、特にメインキャラが絡むわけでもなくストーリーが終わっていくのだ。
まぁ要するに原作と関われない場所で暮らしてるって訳だ……正味、さっきみたいな結局生存競争で世界は何も変わらない虚無なエンディングを知っていると、こう言う転生物でよくある『原作の運命を変えなければ!』とか逆に『原作を変えちゃいけない……!』みたいな葛藤に悩むのもアホらしくなってしまう。
そう、今の俺にはそんな事よりも重要なことがある……!!それこそがロマン!アバランチ・メタリカでは話の中心や目立つのがロボットではなく、どうしても敵の怪獣側にスポットが行っていた!勿論それもよい!それもまたロマンだ!!文句無い!
だけどそれはそれとしてロボゲーを名乗るには比較的ロボット要素が希薄と言わざるおえない面もあった!そして俺は幼い頃からの英才教育でメカニックの才能があった!
ならやるしかあるめぇ!?俺のロマンを使って『俺の考えた最高のロボット』作んだよ!?あくしろよ!!
ストレクスもその一環!アイツに装備したロケットパンチ用の外装もその為!確かに威力はともかく、腕を使い捨てにするくらいなら同威力の大砲持たせたほうが確実に良い!それも確かなロマンだ!!
「けど折角ならロケットパンチさせてぇよなぁ!?」
「何で自慢げだアンタァッ!?」
俺は工房でレニに正座させられながら抗議する。俺がストレクスのロケットパンチでトリガタの怪獣を爆裂させた後、ロボット様に仕込んだガンブレードで他の連中機体と大立ち回りをして帰還…………そしたらレニにレンチでぶん殴られて正座させられちまった。
「なにさあれ!?何あのロケットパンチって!?」
「俺のロマンですが?」
「なんで腕ぶっ飛ばして攻撃する訳!?なんで自分から腕を捨てちゃうの!?」
「馬鹿野郎!だからちゃんと予備の腕持ってきて接続できるように作ったんだろうが!!!」
「そんな事すんなら始めからあんなモン搭載しないでよ!?」
「正論!!だけどしょうがねぇだろ!?憧れとロマンは止められんねぇんだ!」
「自制しろぉっ!?あんな馬鹿武器ばっか作って装備して!?アンタホントにいつか死ぬよ!?」
別にあんな事しなくても死ぬ時は死ぬんだよ!だから……うん!セーフ!!
「まあま良いだろ!?コスパ的には大砲組んで装備させるのととコストそんな変わんねぇんだから!」
「そんだけのコストでほぼ使い捨てな事に文句言ってんだけど!?どーすんの!?アンタの安給でアンタのロマン追ってたら修理費補填諸々で財布に穴開くんだけど!?」
「分かった分かった!」
いやあ、手厳しい。まぁ結局なんとかなったので結果オーライと言う事で……やはりロマンだ。ロマンは理屈をぶっ飛ばして全てを解決してくれる。
「はぁ……なんでこんなのと組んじゃったのやら……」
そう言ってレニはため息をつく……いや、始め誘ったのはお前の方だったよな?……今から5年前、俺は今と変わらずこのスラムコロニーで今みたいなジャンク屋生活をしていた。
まぁ一人で切り盛りしてから当然上手くは行ってなかったが……ある日どっからか噂を聞きつけたレニが仲介業者として組もうと言ってきた。分前は5:5。
その日からレニと組んでロボットに限らずメカの修理や製作をするようになった……まぁ、お陰で俺のロマンを形にする機会は減ったんだけどな……その分明らかに金の入りは良くなったから我慢してる。いざとなったら勝手に作るしな!!
「……あぁそうだ。明日明後日くらいにはまた俺ジャンク漁りしてくるわ。」
「この前木星圏のデブリ回収してたじゃない?」
「今度は地球圏にな。またコロニー間でイザコザがあったらしい。」
「はぁ、地球も大変だねぇ……」
この世界は治安面もあまり良いとは言えない……おなじ惑星圏のコロニーでも対立が起こる事があるほどだ。それがたった200年足らずで土星まで進出して生息域を広げた弊害なのか、怪獣達との血を吐き続けるマラソンに苦しむ過程なのかは、まだ俺には分からないが。
まぁ、俺の仕事はそんな戦闘で散らばるロボットやメカのデブリを回収する火事場泥棒な面もある。もっとも、誰もその回収に乗り出さないだからしょうがない。
地球圏と言えば、主人公達の活動圏も地球だが……今は
「修理ついでにストレクスをジャンク回収用に換装しなくちゃな。」
「……もういっそ新しくもう一機ジャンク漁り様になんかつくったら?手間じゃないでしょ……」
「バックパックや一部装甲の組み換えで仕様変更する換装!!……それもまた、ロマンだろうが……!!」
「言うほどロマンかなぁっ!?絶対金貯めて新しく専用機作ったほうが良いと思うけどな!?」
「激しく正論だな。だがッ!それでも俺は換装のロマンを捨てきれて居ないんだ!!…………あとシンプルにスペース不足、今の工房じゃ二機纏めても満足に整備できないし。」
「それ始めに言いなよ!?なんで一回ロマンの話挟んだんだよ!?」
よぉしゃ!そうと決めたら早速準備始めなきゃなぁ!?
「レニ、お前はどうする?来るかぁ?」
「はぁ……まぁ、火星に残ってるのも暇だし付いてくわ。アンタなら隠れてパーツ買って無駄遣いしそうだし。」
「無駄遣いじゃねぇ!未来とロマンへの投資だ!」
「帰ってきたことがないんだけど!?」
――――――――――――
レニ・レザーから見たカズヤ・フヨウと言う男は、一言で表せば「気狂い」である。始めは、色々と面白いマシンを作っている男がいると聞いて、面白半分でカズヤの工房を覗き見た所から始まる。
工房の作業場には使えそうもないゴミの様なパーツばかりが転がっていたが、カズヤはそのパーツを切った貼ったして、噛み合わせ、時に新造し、様々なパーツやアイテムを作っていた。
無駄な変形合体機構がついてたり、明らかに意味のない装飾や、非効率な演出を持たせたハッタリの効いた物ばかりだ。
例えば、大剣型の武器を変形させてランチャーにしたり、シールドの中に機雷を仕込んで発射させたり、一周回ってシンプルな重量でぶん殴るハンマーや、鉄杭を撃ち込むパイルバンカー等等……彼の言うロマンに沿った代物ばかりだ。
当然ジャンク屋や一般の技術屋から買うのなら、もっと扱いやすい代物を強請るのが当然。カズヤの作る代物は品物の出来は確かだが、なかなか見向きもされなかった。
だが、それでもカズヤはロマンに拘ることをやめなかった。ジャンク漁りと家の往復じみた生活になりながら、ご飯と手洗い以外の全てを、カズヤは彼の言うロマンを形にすることに固執してきたのだ。
一度、レニはカズヤと接触し一つ問いかけた。
「なんでそんな浪漫に拘るんだ?」
カズヤはこう答えた。
「俺の考えた最高に格好良いロマンだぜ?良いだろ?」
正直、レニはドン引きした。
いくら自分の好きを積み込んでも誰にも見向きされない、何かしら弱音を吐いてもよいし、真面目な品を作れば売れるだろうに、それでも彼はロマンにこだわり続けた。自分にとって良い物を突き通していた。
工房に籠もっている彼はずっと、設計図を描いたりジャンクを弄ったりしながら、まるで仕上がりを楽しみにしている子供のように笑っていた。
……人は一直線を突き抜ける馬鹿を見ると、大抵苦笑し嘲笑う。だが逆にその馬鹿さに惹かれる事がある。レニは後者だった。
突き抜けたロマン馬鹿であるカズヤが、本当に彼の言うロマンを突き通せるのか、本当にやり切れるのか、これからどんなロマンを突き通すのか……見てみたくなったのだ。