折角ロボがあるので原作フルシカトしてロマンを追い求めます。   作:ロマンチスト

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価値観独特すぎる奴とは距離を置け。

 

 月の向こうに地球の見える方角から、宇宙を進む一つの船影……全体のフォルムは、海の生き物であるマンタの様にも見える宇宙船。名前は『ビッグフィン号』、宇宙のあっちこっちでジャンク品を集める俺らみたいなジャンク屋には、必ず必要な宇宙を移動する足であり、第二の家だ。

 

 勿論、このビッグフィン号も俺が作った!!!……と言いたいところだが、コイツは俺の祖父が作ったロートル品、一応親父の代でも使ってて、俺の受け取った時にその時大幅に改修したがそれも随分前だ。

 

 だが、古いだけに頑強だし祖父の代からフルスペックで使えてる機体だ。見劣りすることはあっても、置いていかれることはない、良い船だ。

 

 こう言う実在の生物をモチーフにした宇宙船、さらにロートルな機体を頑張って直して使う!そして、古い機体ゆえの頑強さと言う取り柄!……これもまたロマンの一つだ!!……若干小さくて狭いが、どーせ二人しか乗らんからよし!

 

「んじゃ()()()。航路確認頼むよ。何かあったら知らせろ。」

『了解しました。』

 

 コントロール室の端末から指示を飛ばしたのは、ビッグフィン号に搭載された補助AI『タンマ』だ。

 

 こちらも祖父の代に作られた人工頭脳だが、流石に今の物と比べると会話にぎこちなさを感じるところはあれど、その豊富な学習経験からほぼオートでの宇宙航行が可能だ。もっとも、何が起こるか分からないゆえに計器のチェックは怠れないが。

 

 余談も余談だけど、俺はストレクスの操縦や設計とかにもタンマの……厳密には、タンマト繋がってるサポートシステムの力を大きく借りている。

 

 細かな微調整や姿勢維持、必要なパーツ類の選定等等……何から何まで一人でやるっていうのは、難しいと言うか、普通にしんどいし無理だしな。

 

 しかし、もうそろそろ目的地周辺か……モニター映像からは、遠方に青い星、地球が見える。前世では当たり前に地面にあった星だが、今はもう懐かしいとしか思えなくなってしまった。

 

「取り敢えず先に戦闘のあったラグランジュ2に向かう、ある程度回収したら選別しつつ寄り道がてら月面都市に行こう。」

「よしゃっ!」

 

 因みに面月面都市とはその名の通り、月面に置かれたドーム状の居住区画で、一部ではジャンクパーツの市場がある。

 

 他のコロニーにも、なんならスラムコロニーにもポツポツそんなのはあるが、言わば月を含めたこの地球圏は都心。

 品揃えが段違いだ。レジャー施設やショッピング施設も豊富で、地球圏に行くなら寄って損はない場所だ。

 

「んー、折角だし火星が買えないものを買って行きたいなあ。カズヤ、アンタ何が欲しい。」

「んー、なんだろうな。大気圏突入用の追加オプションとか?バルーンを機体に取り付けたり、機体の盾にできる大型の自動操縦船とか?」

 

 バリュートとか、ウェイブライダー的なね。まぁ、地球にそんな切羽詰まって降りることなんてないから、無用かもしれないが……大気圏突入もまたロマンだからな……!!

 

「そんかもんあったって使わないでしょ?……全く……タンマ?月面で生物食べられるお店ってない?」

『検索中……月面での鮮魚養殖に成功したS8区画なら複数店舗確認。予算の都合上、推奨はしかねます。』

「んがぁ……一回ナマのサカナってやつも食べてみたいだけどなぁ……カズヤはあるの?」

「……大昔に少しな。」

 

 前の世界では回転寿司とかは結構言ってたな。なんやかんやで値段相応だからただ漠然と寿司が食いたい時には言ってたな。

 

 昔は高い高いって喚いてたが、宇宙だと地球の何十倍の値がついたりするのを見ると、なんやかんやで安い気もしてきた。

 こっちの世界に来てからは生魚は愚か生の食材にもなかなか出会えないが…………っと、そろそろ目標ポイントか。

 

「……んじゃ、そろそろストレクスに乗るから、レニ。念の為残っててくれよ。」

「あぁい。」

 

 レニはタブレットでネットを読み漁りながらそう生返事をする……まぁ、良いか。そんな気持ちで俺はその場をあとにした…………

 

 

 

 

 

 ビッグフィン号のハッチに佇むストレクスは、バックパックや一部装備を換装しデブリ回収用にサブアームに瓦礫撤去用のチェーンソーやドリル等を装備した機体だ。

 

 それこそ換装の影響で、以前の鋭角化したフォルムから一転、装甲の分厚い重騎兵の様な、或いは工事現場の重機の様なフォルムを感じられる。

 

 スタイリッシュなヒロイックなロボも好きだしロマンだが、こんな風に装甲をまとった重機じみたロボットもロマンだな。炎の匂いが染みついてむせそうだ。

 

 コクピットに乗り込んだ俺は、は格納しておいたサブのコントローラーを背面から引っ張り出す。

 

 これで副腕状態や特殊な操作が必要で、前面の通常のレバーやペダルの付いた操縦桿じゃ手の届かない部分を補うと言うわけだ。もっとも、そこそこオートでやってもらってる箇所は多いが。

 

「んじゃ、タンマ。ゲート空けてくれ。」

『了解しました。』

 

 俺の声に呼応するように、ビッグフィン号のゲートが開き目の前に宇宙空間が現れる。さぁて、お仕事お仕事……!!

 

「ふぅ……んじゃ、ストレクス・廃品回収用(リムーヴァル・カスタム)!出るぞ!」

 

 そして俺の機体は、撃墜され捨てられた機体の残骸が広がる宇宙へ入り出されるのだった…………バーニアを吹かせて、宇宙空間を進む、ぱっと見回しただけでもまだかなりの残骸が残ってる。

 

 ほかのジャンク屋に取られるのではと思っていたし、実際思ったよりは回収されてるが……使えるパーツはままだまだのこってる。俺はストレクスのバックパックからサブアームを展開させて、辺りの残骸を掴んだりして代物を確認する。

 

「えぇっと……おっ、統合軍の機体の腕か?けど初めて見るタイプだ……先行量産型かな?となると、持って帰ったのがバレたら面倒になりそうだな……まぁいいや、持って帰るか。」

『カズヤ・フヨウ様。一度退避を推奨します。』

「えっ、なんで!?」

 

 まだ漁り始めて十分経ってないんだけど!?

 するとタンマはモニターにこちらに接近する機影を映す……機影というよりも、一つの船を複数の機影が囲んで誘導してる感じだ。

 

『こちらへ接近する機影群を確認。』

「レニ、なんかあったのか?」

『宙賊がコンテナ積んだ輸送艦を襲ったんだってさ。バカな奴らだよ、よほど後がないんだな……』

 

 宙賊……読んで字の通り宇宙空間での海賊行為を行う略奪者集団だ。俺みたいなジャンク屋よ最大の敵でもある……持ち帰ろうとした品物を根こそぎ奪われるからだ。奴ら自分じゃ大して目利きもできねぇから分かる奴らにやらせて漁夫の利で奪うってのが常套手段だからな。

 

 しかし、そんか奴らがこんな場所で輸送船を襲うとは……よほどの馬鹿以外ならなんかの思想犯とかか?まぁ、どーでも良いや。こっちも下手に目をつけられると面倒だし、今掴んでるパーツだけでも回収して……

 

『しかし、珍しいなあ……あれ60年前のロートル機じゃない?しかもレーザー兵器内蔵の武器腕……出力はあるけど宇宙じゃさして使えないでしょ……』

 

 ……ロートルのレーザー兵器……?60年前と言えば、現存して真っ当に手に入れられるロボットの中じゃかなり古い部品だ。

 

 一部ではその構造のブラックボックスぶりから、オーパーツとまで言われる品物も存在するという…………しかも、その頃ならビーム兵器の機体内蔵はかなりの技術を要するはず……それを可能にするブラックボックス機体……

 

「……み、見てぇ…!!見てぇに決まってんだろそんなロマン!?!?そんなの……!!そんなの……!!ロマンにあふれてらぁっ!!!!!」

『えっ、あのっ、もしもぉ〜し?なんでビッグフィンから離れてんの……?……オイこらこのロマン馬鹿!?能無し!?アンタ本当に好奇心に殺されるよ!?』

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 突然だが、カルラ・アルトと言うパイロット候補生が居る。カズヤが前世でプレイしていたアバランチ・メタリカと言うゲームでは、所謂『サブヒロイン枠』であり、主人公の同僚で、おなじ怪獣対策部の一人と言う存在だ。

 

 パイロット能力としては中の上程度、けして悪くはないが飛び抜けては居ない……それどころか、シュミレーションの中ならば主人公の上を言っていたという記述もある。

 

 だが、彼女は作中ではライバルキャラの様な描かれ方をして居ない……かなり早い段階で作中の主人公とは違い、明確に実戦向きではないと烙印されている。

 

 理由は単純で、対G性能の差……と言うべきか。カルラはシュミレーションでは高機動を得意としていたが、彼女の身体の方がその機動時に掛かるGに耐えられない。

 

 かと言って完全に使えない訳ではなく、むしろ鈍重めな重装甲の機体ならそれなりに上手くやれるのが、本人の気質と合っていなかったのか満足げではなかった。

 

 それも時間が経ち慣れれば良いパイロットになると言われてはいたのだが……どんどん実力をつけていく主人公と自分の差に危機感を持ち、功を焦った事でミスを可笑しい序終盤で怪獣に撃墜されて死亡する。

 

 モブキャラというほどでもないが、メインとも言えない……そんな立ち位置のキャラだ。

 

 そんな彼女が、宙賊に囲われた輸送船に乗り込んだのは……本当に偶然だ。偶々月面都市に用があり、そこに向かう輸送船に搭乗し……それが偶々宙賊の襲撃を受けた。

 

 候補生とはいえ、パイロットとして彼女は運よくコンテナに積まれた機体で、身を守ろうと出撃したが……肝心の武装が殆ど無く、備え付けられた実体剣での輸送船を守りながらの戦闘……とても一人でさ耐えきれずに、今や機体の各所から電気がほとばしり、片足はすでに破損している。

 

(くそっ……)

 

 カルラは心のなかで毒づく……そばでは宙賊の黒いロボットが彼女の機体を囲い銃口を向けている。宙賊の一人の愚痴が無線越しに響く。

 

『ちっ……手間かけさせやがって、何機も落とされちまった。』

『けど、これで終わりだな……』

「そう……かな!?」

 

 瞬間、カルラはバーニアを吹かして高機動で一機に斬りかかる……が、宙賊の機体はそれを間一髪で回避……カルラは身にかかるGにゲロを吐きそうになりながら、動き続ける。

 

『ちっ!?ちょこまかすばしっこい……!』

「そりゃ動かないでどうすんの……!!」

『落ち着け……確実にさっきよりのろくなってる。』

 

 カルラも実感は持っていた……高機動の連続的な負荷により、体の節々が悲鳴を上げている。

 

 更に追い打ちをかけるように、宙賊の機体の中に一機……ボス機らしい武器の腕機体には、レーザー武器が搭載されている。

 

 見た所真新しい機体には見えないのに……それもまた、カルラの精神的な負荷を与えてあた。今のカルラの機体の装備にはレーザー武器を防ぐ手段がない。つまりは当たれば一発アウト。余計に胃から酸っぱいものがこみ上げる。

 

 今も断続的に動き続けているが、その機体の横を実弾に紛れてレーザーが飛んでくる。

 

(……あと少し……あと少し……!)

 

 そう言い聞かせる……予定コースからはだんだんと離れてあるが、もうそろそろ援軍が到着しても可笑しくない頃合いだ。だが、次の瞬間センサーに映る接近警報は、Unknown……未確認の物。

 

(!?宙賊(そっち)の援軍!?)

 

 カルラは嫌になってくる、ここまできて敵の方の援軍とは……だが、無線からの声はカルラの予想とは違う反応を見せる。

 

『接近警報……?おい、援軍か?』

『……いや、違う……一体何処の機体だ!?』

 

 その警報はだんだんと近づいてくると、スピーカーからもバーニアの噴く音が聞こえてくる。漸く機体が見えてくると……その機体の出で立ちに、カルラはぎょっとする。

 

「……何、あれ?」

 

 その機体は白を基調に、暗めな黄色とブラックの差し色の入った重機の様な配色の追加装備を装着している。バックパックから生える四本の副腕は、上二つがサブアーム、右下がチェーンソー、左下が謎のドリルと言うあまりに奇天烈な見た目をしていたからだ。

 

 高速で迫るその機体に、レーザー持ちの宙賊機体がその武器腕を向け、放つ…………その機体は、スラスターを付加してそのレーザーを避けると、そのままバーニア全開で突撃し……あっという間に宙賊の機体と肉薄する。

 

 そしてそのままサブアームのチェーンソーでその武器腕を切り落としまい、落ちた腕を回収する。すると、その奇天烈な機体から、男の声が聞こえる。

 

『成る程……この武器腕、地球の水中用機体のレーザー兵器か?ありゃ水冷式だが……それを宇宙に改造したか。つっても連続では撃てないみたいだな。』

『っ!?なんだこいつ!?』

 

 宙賊の疑問にも答えず……その男は楽しそうに答えた。

 

『武器腕か……コイツもまた良いロマンだな!!頂いていくぜ!』

 

 あろうことか、その奇天烈な機体の主は盗みを働く宙賊に向かっていたあろうことかそう言い放つのだった。

 

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