学校に猫はダメだろ、常識的に   作:Kaitei

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この作品は以前投稿していた『旧:学校に猫はダメだろ、常識的に』のフルリメイクとなります。


それってさぁ!

 

 数日後。

 

 アゴ(鴨志田)が全校集会に乱入し、DO☆GE☆ZAをかまし、色々と情報をぶちまけて、そのまま警察に連れていかれるというとんでもイベントが発生した。

 

 アゴの自白によれば、なんと彼は真っ黒、自分が顧問をしていたバレー部の部員に対して暴力を振るったり、手を出したりする変態暴力教師だったわけだ。他にも、アゴと噂になっていた高巻さんにも関係を迫っていたりしていた、等々。去年の陸部のことも含めて、まだまだ余罪があるみたいだ。

 

 前世ではニュースでしか見なかったような犯罪者が、今世では自分の通う学校にいたと考えるとなんだか無性に怖くなってしまった。

 

 まぁそれ以外は特に何事もなく、ゴールデンウィーク最終日。

 

 俺の誕生日を迎えた。

 

 そんな本日の主役である俺は今、ビュッフェで雨宮を監視している。

 

 ◇

 

 経緯を説明しよう!!

 

 俺の誕生日に、家族でビュッフェを予約

 ↓

 当日、親に外せない仕事が入る

 ↓

 仕方なく一人で来る

 ↓

 周囲の視線に耐えながら食事

 ↓

 おかわりを取りに席を立つ

 ↓

 天パ猫背+猫を発見

 ↓

 尾行開始ィィイ! ←イマココ

 

 ……いや、なんでだよ。

 

 なんで当たり前みたいにバッグに猫入れてんだよォ! ここペットの持ち込み禁止のお店だぞ……

 

 怖いよォ……。

 

 ……よし、声かけるか。(錯乱)

 

 ◇

 

「もしかして、雨宮さん?」

 

「……?」

 

「ニャー」

 

(今、絶対鳴いたよな……)

 

「あー、後ろの席の佐藤だ。こうやって話すの初めてだな。よろしく」

 

「よろしく」

 

「えーっと……あのアゴの件、大変だったな」

 

「ニャフw」

 

(今笑った!?)

 

「あぁ」

 

「そ、そういえばさ、雨宮さんは誰かと来たの?」

 

「友達とだ。そっちは?」

 

「俺は……まぁ、色々あって一人で」

 

「そうか。頑張れ……?」

 

「ニャー」

 

(また鳴いたな……今だァ!)

 

「そういえばさっきから猫の鳴き声しない?」

 

「ニャッ!」

 

「いや、気のせいじゃ──」

 

「おーい、蓮ー! 何やってんだー!」

 

「すまない、連れが呼んでいる。また学校で」

 

「お、おう……」

 

 ◇

 

 ……フッ。

 

 完璧なコミュニケーションだったな。(錯乱)

 

 ◇

 

 その夜。

 

 同じクラスの人間に“ほぼ認識されていなかった”という事実に、ほんの少しだけ枕を濡らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は、怪盗団の初仕事の打ち上げでビュッフェに来ていた。

 

 竜司と杏と一緒だ。

 

 料理を取りに席を立ち、ビュッフェコーナーへ向かっていると──

 

「もしかして雨宮さん?」

 

 声をかけられた。

 

 名前を呼ばれ、警戒しながら振り向く。

 

 そこには、見覚えのある男子生徒がいた。

 

 ……誰だ?

 

 思い出そうとした、その時。

 

『コイツ、お前の後ろの席のヤツじゃなかったか? 名前は確か……』

 

 バッグの中から、モルガナの声がする。

 

 そうだ。

 

 同じクラスの──

 

「あー、後ろの席の佐藤だ。こうやって話すの初めてだな。よろしく」

 

 ……先に名乗られた。

 

 思い出すのが一歩遅かった。

 

 鴨志田に命令されて予告状を剥がしていたのも、確か彼だったはずだ。

 

「よろしく」

 

「えーっと……あのアゴの件、大変だったな」

 

『ククク……アゴだってさw』

 

 モルガナが笑っている。

 

 ……確かに、特徴的ではあるが。

 

「あぁ」

 

「そういえば、誰かと来たの?」

 

「友達とだ。そっちは?」

 

「俺は……まぁ、色々あって一人で」

 

 一人でビュッフェか。

 

 少し気まずそうに見える。

 

 何か事情があるのかもしれない。

 

「そうか。頑張れ……?」

 

『家族もいないのか、なんか寂しーやつだな』

 

 ……結構ひどいことを言っている。

 

 そんなことを考えていると──

 

「そういえばさっきから猫の鳴き声しない?」

 

『ヤベッ!』

 

 モルガナが動揺した。

 

 まずい。

 

「いや、気のせいじゃ──」

 

「おーい、蓮ー! 何やってんだー!」

 

 竜司の声だ。

 

 ……助かった。

 

 公共の場で名前を呼ぶのは本来良くないが、今回は例外だ。

 

「すまない、連れが呼んでいる。また学校で」

 

 少し早口になりながら、その場を離れる。

 

「お、おう……」

 

 彼は少し戸惑っているようだったが、仕方ない。

 

 席に戻ると、竜司が声を上げる。

 

「おい、おせーよ!」

 

「同じクラスのやつに話しかけられてな」

 

『危なかったぜー。あと少しでバレるとこだった』

 

「マジ!? 気をつけなよ〜」

 

 杏の言葉に頷く。

 

 確かに、少し油断していた。今後はもっと注意しよう。

 

 ◇

 

 ──そうして。

 

 少しのスリルと共に、食事は続き。

 

 この日。

 

 心の怪盗団『ザ・ファントム』が結成された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビュッフェで雨宮と猫にエンカウントし、パーフェクトコミュニケーションをかました翌日。

 

 俺は、ウキウキで登校していた。

 

 なぜかって?

 

 そりゃあ決まっている。

 

 あの時、俺は“猫の鳴き声”について言及したからだ。

 

 つまり。

 

 ──もう猫は来ない。

 

 勝ったッ!第3部完!

 

 そういえば最近、「怪盗お願いチャンネル」とかいう妙なサイトができていた。

 

 アゴが全部自白したのは、どうやら“怪盗団”とやらの仕業らしい。

 

 ……あー、そういえば予告状貼ってあったな。

 

 どれどれ。

 

 『正体を探ろうとすると、あることないこと自分の口から言わされて破滅する』

 

 ふーん……。

 

 ほどよく厨二臭くて、俺は好きよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そのときだった。

 

 牛丸先生が、昭和からタイムスリップしてきたかのようなチョークを投げが雨宮の顔面にクリーンヒットし、牛丸先生のエイム力と時代錯誤さに驚いたとき。

 

「ニャー」

 

 聞き覚えのある、しかしここで聞くのはおかしい音が聞こえてきた。

 

 どうして、まだ猫を連れてきているのですか???

 

 ……俺は、雨宮を舐めていたらしい。

 

 あれくらいのジャブで止まる相手ではなかった。

 

 ではどうするべきか。

 

 正直に言うと、あいつは異常だ。

 

 外出時、常に猫同伴とか意味が分からない。

 

 ここ数週間、校内での様子を軽く観察していたが、本当に前科持ちか疑うぐらいには真面目な生徒だ。

 

 だからこそ、おかしい。

 

 そんな人間が、なぜここまで猫に執着する?

 

 そこにはきっと、“何か”がある。……いや、あってくれ。逆に何もないと怖い。

 

 ── よし!アイツを尾行して、その“何か”を調べてしまおう!!

 

 完全に発想が精神年齢アラフォーのそれではないが、思いついてしまった以上仕方がない。

 

 最悪バレても、普段の行いでカバーできる。先生受けはいい。評定も安定している。「気の迷いでした」で押し通せるはずだ。

 

 ……多分。

 

 思い立ったら即行動! さっそく今日から尾行開始だ〜。

 

 予定を確認するため、牛丸先生にバレないようにカレンダーアプリを開く。

 

 ……ん?

 

 何ィ!? 中間テストだとォ!?

 

 うーん、完全に忘れていた。

 

 そういえば担任の川上先生が何か言っていた気がする。

 

 まあいい、これでも一応転生者だ。前世で大学受験をしたときの猛勉強のストックはまだ残っている。今回のテスト範囲なら、授業内容の軽い復習で80点台は固い。うちのテストの平均はだいたい60点だから評価は十分だ。

 

 では、なぜこんなに焦っているのか。

 

 それはバイトである。

 

 テスト期間中は学生が一斉に消える。結果、シフトはスカスカ。

 

 つまり。

 

 時給が、ちょっと上がる。

 

 ……入れるしかないだろう。

 

 テスト勉強は前日の午後からでも十分間に合うので、ギリギリまでシフトをぶち込んでいる。

 

 ちな、今日はファミレス。

 

 なんでそこまでして働くのかに対して特に理由はない。

 

 テスト期間中、ずっと家にいるのも暇だし。

 

 なんとなくで働いてるだけだ。

 

 でもそれじゃあダサいので、“人脈形成”ということにしておこう。実際、バ先の先輩とはそこそこ仲良くやれているし。今後どこで役に立つかも分からない。

 

 ──うん、そういうことにしておこう。

 

 

 そんなことを考えて授業が上の空になっていたら、俺も牛丸のチョーク投げを顔面にくらってしまった。

 

 教育委員会に訴えてやろうかコイツ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 

 渋谷のファミレスでバイト中。

 

 店のドアが開き、見覚えのある天パ猫背と、これまた見覚えのある、日本人離れした容姿の女子が入ってきた。

 

 雨宮と、高巻さんだ。

 

 ……おや?

 

 あいつら付き合ってたのか!?

 

 おいおい……やめろよそういうの。精神年齢アラフォーおじさんは、若者のキラキラした青春に目がないんだよ^^。

 

 ◇

 

 他の客の対応をしながら、二人の会話をそれとなく拾う。

 

 アゴや鈴井さんの話。

 

 内容が、重い。

 

 少なくとも、カップルがする会話ではない。

 

 まぁ、二人ともアゴの被害者だ。いくらアゴが捕まったとは言え、そうすぐ切り替えられることじゃ無いか。

 

 ◇ 

 

「ペルソナって……

 

 ペルソナ(仮面)? なんで急に仮面の話?

 

「……あっちでももっと……

 

 あっち? どっち?

 

 ……んぁ?

 

 いや、ほんとに何の話をして──

 

「鴨志田を改心させたみたいに……

 

 ──ゑ!?

 

 い、今なんて言った?

 

 “鴨志田を改心させた”?

 

 ……ちょっと待て。

 

 それって、それってさぁ!

 

 ◇

 

 予告状。

 

 怪盗団。

 

 “罪を告白させる”。

 

 ◇

 

 ……まさか。

 

 いや、でも。

 

 いやいやいやいや。

 

 え。

 

 じゃあ。

 

 つまり。

 

 あの二人が──

 

 あの“心の怪盗団”……ってコト!?

 

 あまりの衝撃で、手に持っていたコップを落とした。

 

 カラン、と軽い音が響く。

 

 脳裏に、今朝見た書き込みが蘇る。

 

 『正体を知ると、破滅する』

 

 あばばばばば

 

 急いでコップを拾い、調理場へ逃げ込む。

 

 調理担当の人に変な目で見られたが、気にしている場合じゃない。

 

 距離を取って、二人の様子を見る。

 

 どうやらバレてないようだ。

 

 ……よかった。

 

 本当によかった。

 

 二度目の人生だ。

 

 こんな理不尽な形で終わるのは、絶対に嫌だ。

 

 親にも迷惑がかかる。

 

 それだけは、避けたい。

 

 ……決めた。

 

 もう、深入りするのはやめよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういや猫いなかったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






Cat in the buffet

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