少し短いです
この作品は以前投稿していた『旧:学校に猫はダメだろ、常識的に』のフルリメイクとなります。
雨宮が猫だけでなく、“怪盗団”とかいう厄ネタまで抱えていると知ってしまった日から。
特に何事もなく、テスト期間は終わった。
テスト中、普通に猫が鳴いてたが、気にしない、気にしない。
ちなみに。
テスト後、周りのやつらにそれとなく「猫の鳴き声、しなかった?」と聞いてみたが。
誰一人として聞こえていなかったそうだ。
……。
今度、いい耳鼻科を紹介してやろう。
◇
そういえば。
テスト三日目に、丸喜とかいうカウンセラーが全校集会で挨拶していた。
どうやら11月くらいまでいるらしい。
……猫の件、相談してみるか?
いや、なんて言えばいいんだ。
「机の中に猫がいるんです」とか言ったら、病院に行くことををおすすめされそう。
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月が変わって、6月。
生徒会室での最近増えている“危ないバイト”とやらへの注意喚起ポスター作成や、細かい雑務など一通りの作業を終え、ぼーっとしていた俺は。
ふと、あのファミレスでの出来事を思い出していた。
──心の怪盗団。
つい先日も、斑目一流斎とかいう画家に予告状を送りつけ、その数日後に行われた号泣記者会見が印象に残っている。
ファミレスのでの日以降、雨宮達に関わるのはやめようと思っていたが、やはり気になる。
年齢が肉体に引っ張られている気もしなくないが、人間は好奇心には勝てないのだ。
バッグからメモ帳を取り出してペンを走らせ、今分かっている情報を整理する。
◇
まず、“心の怪盗団”のメンバーは
・雨宮蓮
・坂本竜司
・高巻杏
・喜多川祐介
この4人で、間違いないだろう。
なぜなら、雨宮と坂本、高巻さんは秀尽学園で鴨志田で。喜多川祐介に関しては、斑目の弟子だったということが判明している。
つまり、怪盗団により“改心”させられた被害者?たちと、全員が何らかの形で繋がっていたからだ!
ついでに、雨宮が授業中によくいじっていたスマホのグループチャット。
そのメンバーも、この四人だった。
アイコンは今回の予告状に描いてあった新しい怪盗団のマーク。
うーん、確定!
というか、いつも思っているが、何なんだあのチャットアプリ。なんで人のアイコンがモノクロの顔写真オンリーなんだよ。しかもなんか特定の角度じゃないとアイコンに使えないし……
まあグループチャットのアイコンを好きな画像にできるだけマシか……
考えがだいぶ逸れたところで怪盗団の話に戻す。
ん〜、ついでに三島由輝。
同じクラスの怪盗お願いチャンネルでやたら騒いでる人。
関係あるかは分からんが、一応メモ。
そして──
最大の謎。
「ペルソナ」
「あっち」
◇
一通り書き終えて、少し考える。
ほとんど真実にたどり着いたようなものだが……
「ペルソナ」「あっち」
この二つが、どうにもよく分からない。
……。
…………??
うん、無理。
分からないものは分からない。
これ以上考えるのはやめよう。
怪盗団の正体が分かっただけでも十分だ。
……問題は。
知ってしまった、ということだ。
怪盗団の正体を知っている一般人。
……これ、普通に考えてアウトじゃないか?
大丈夫? いつ消されてもおかしくないポジションになってない?
これからどーしよ
そんなことをぼんやりと考えながら、メモ帳を閉じる。バッグにしまい、帰る準備を始める。
生徒会室には、我らが生徒会長の新島先輩がまだ残っている。
作業を続ける新島先輩に軽く声をかけて、戸締りを任せる。
会室から出るときに背中に視線を感じたので、そそくさと扉を閉めた。
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──突然だが。
今、俺は生徒会室で新島先輩と二人きりで向かい合っている。
……何かやらかしたか? 最近の生徒会活動を振り返るが、特に心当たりがない。
俺が必死に考えていると、新島先輩が口を開く。
「突然呼び出してしまってごめんなさい」
落ち着いた声。
「単刀直入に聞くわ。怪盗団に、心当たりはないかしら」
心臓が、止まりかけた。
「っ!? な、なんのことでしょうか……ハハハ……」
「しらばっくれても無駄よ」
間髪入れずに、切り捨てられる。
「佐藤君。あなた、この前ここでメモ帳に熱心と書き込んでいたわよね?」
終わった。
完全に終わった。
「新島先輩、検察官みたいですn……」
「とぼけないで!」
「ハイスミマセン」
「知っていること、すべて話してもらうわ」
……ああ、なるほど。
そういうことか。
新島先輩も、怪盗団なんだな。
俺が嗅ぎ回ってるのがバレて、口封じに──
前世で聞いたことある言葉が脳内に浮かぶ。
観念した俺は、全部話した。
推測も、根拠も、洗いざらい。
どうせ消されるなら、隠しても意味はない。
◇
──で。
結論から言うと、俺は消されなかった。
新島先輩は怪盗団ではなかったのだ。
むしろその逆、校長からの依頼で怪盗団を調べていたのだ。
そんなときに、俺が怪盗団のことをメモ帳に書いているのを新島先輩は発見し、今回のようなことをしたと言う。
事情を聞き、ようやく緊張が解けた。心臓に悪いにも程がある。
メモ帳を貸してほしいと言われたので、素直に渡した。
どうやら先輩も、雨宮たちに目をつけていたらしい。
このメモと別の証拠を使って、雨宮を問い詰めるつもりだとか。
「俺も残った方がいいですか?」
なんとなくそう聞くと。
「これは私の仕事よ。後輩に迷惑はかけないわ」
と、チョー絶イケメンな回答が帰ってきた。
精神年齢がアラフォーじゃなかったら、普通に惚れていた。
◇
その後、新島先輩より先に生徒会室を出た俺は、肩の荷がおりた喜びで、少しだけ浮かれたステップを刻みながら帰路についた。
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それから、数日後。
渋谷中に、
メモ帳はまだ帰ってきてない。