スーザン・ケイン
異世界転生・転移にはラノベとかでよくあるトラックに轢かれたり*1だとか、魔法陣で召喚されたりだとか、はたまた最近ではゲームの世界に転生だとか様々なジャンルが昨今存在する。
なんなら二次創作と呼ばれるもので、『呪◯廻戦』だったり、最近流行りの『超か◯や姫』などの有名作品に転生するものだっていっぱいある。(二次創作増えてくれると助かるねんけどな)
かくいう俺もその異世界転生系に夢見る一人の男子高校生であった、のだが……
「キミはよう実に転生な、ほい決定」
「ゑ?」
「あ、運悪かったらホワイトルーム行きだから頑張ってね♡」
「あ゛?」
「まあ二次創作でも基本ヒロインいるし、多分キミにもできるじゃろ!ほな頑張るんやで〜」
「ちょい待って!そこ嫌y」
「あ!暴れられると……ってもう聞こえてないか。たはー」
そこで神との会話は終わっている。最後になんか言ってたような気もするが多分気のせいだ。
いやなんか交通事故で死んだからさ、(ワンチャンあるんじゃね?異世界転生ハーレムきたああ!)みたいな感じで舞い上がってた訳ですよ。
ところが蓋を開けてみればどっこい、転生したのはよう実でした!
笑っちゃうよね〜たはー
とまあそんな感じで人の心がない神によって転生させられた世界の名前は
ようこそ実力至上主義の教室へ──先ほどから連呼していたのは略称である『よう実』
タイトルからもなんとなく察せるように”実力”を重視する高校に主人公が通うお話だ。
それだけ見たら主人公が頑張って実力者になっていく王道ファンタジーっぽさがある。
それにこの高校に通う生徒は大抵顔面偏差値が高い!可愛い子も、イケメンもたくさんいる!
目の保養に素晴らしくいいのだ。ただまあ薔薇には棘があるとも言うように、大抵の生徒は性格が悪いし捻くれてる。
というかそもそもよう実の舞台である”高度育成高等学校”のカリキュラムにだったり、そこで行われる”特別試験”だったりが性格の悪い奴しか勝てないような、そんな感じの学校なのだ。
正直”高度犯罪者育成高等学校”に改名した方がいいんじゃないかな、と思うほどにはそういうグレーな行動が黙認されているような学校である。
そんな学校に通いたいと思いますか?まあ確かに可愛い子は多いし、行ってみたくもあるのだが……行きたくないです。
はい、ものすごーく行きたくないです。というかそもそも”希望する進路に100%応える”とか謳っておきながら”Aクラスしかそれは叶えられませーんwww”と後出しで言ってくるのは卑怯ではなかろうか。
いやまあ”全員の”とは言ってないから微妙に引っ掛からないラインを見極めてやってるのだろうが、いざ言われてみれば釈然としないだろう。
実際原作を読めば分かるように、言われた後のDクラスの荒れようは見てられないものであった。
阿鼻叫喚という四字熟語がまさにピッタリと言わんばかりの様子には流石に同情する。
ただまあこの辺りは正直上手くやればなんとかなるレベルなので、原作知識があれば正直そこまで辛くはない、と思う。
少なくとも真面目に授業を受けて、特別試験に対する対策を立てておけば退学*2の心配はない。
まあ何が言いたいのかっていうと、ちょっと触れたけどそこで登場する人物が兎にも角にもやばいのだ。
特に要注意なのが、主人公である”綾小路清隆”──彼はまあ、先ほど述べた性格云々というよりは人間性の欠如と言った方が正しいのかもしれないが、その主人公が特にやばい。
正直「実はラスボスでした〜、頭パカっ」ってされても納得がいくレベルにはイカれてるのだ。
まあ彼以外にもいっぱいやばい人は居るのだが……ドラゴンボーイとか、リトルガールとか、金髪オールバックとか、腹黒天使とか、その辺りはまあおいおい話すとしよう。
さて、βカリキュラムβカリキュラム……と。
ああ、本当……
なんでこんなクソッタレな世界に生まれてきたんだろうか。
◆◆
「はぁ……」
「どうしたの直樹。なんか元気ないじゃん」
「いや、なんでもない」
「そう?あ!さては
ニヒヒ、と小悪魔のような笑いを浮かべて自身満々に語る彼女──”天沢一夏”の顔は確かに美少女だ。
整った顔立ちもそうだが、丁寧に手入れされている綺麗な赤髪のツインテールは彼女にとてもよく似合っている。
きっとこの可愛さはツインテールだからこそ出るもので、ストレートに下ろした時はまた違った雰囲気になるんだろうな、とそんなことを考えた。
「拓也は先に行ったんだっけ?」
「うん。直樹が起きるの遅いから先に行くって言ってたよ〜あと遅刻するなよって」
お寝坊さんなんだから〜と、一夏は俺の頬を突きながらそう言う。
「まるで保護者だな拓也は」
あの世話焼きのことだ、きっとギリギリまで俺が起きるのを待ってくれていたのだろう。
相変わらずだなあと、乾いた笑みを溢しながらボーっと窓の外を眺める。
何せ今世で生まれて初めての外だ。できる限り目に焼き付けておきたいと思うのは自然なことだろう。
前世の記憶はもう朧げで、自分の名前や顔も
それに今世はそういった娯楽を嗜む機会がほとんどなかった。強いて言えばカリキュラムでやったチェスや囲碁といったものか。まあそれも文字通り”脱落”を賭けて取り組んでいたため、楽しむ余地なんてものは一切なかったのだが。
ふと視線を感じて横に顔を向けると、一夏がこちらをじーっと見つめていた。
「どうした?」
俺がそう聞くと一夏はにへら、と笑いながら「なんでもない」とそっぽを向く。
何か嬉しいことでもあったのだろうか。
そう思いながら俺は再び窓の外へ目を向けた。
『高度育成高等学校〜』
バスのアナウンスが流れる。どうやら目的地に着いたようだ。
「行こっ、直樹」
「ちょっと待て。今行くから」
一夏が俺の手を急かすようにグイグイと引っ張る。
そのまま手を引かれながら、バスの出口まで進み、運転手に御礼を言ってバスを降りた。
大理石で出来た大きな門が真正面に大きく聳え立っている。
「ねえ直樹」
「ん?」
一夏がそう俺のことを呼んで、振り向いた。
「一緒に
拓也も私も居るから、と付け加えて一夏は前を向いて歩き出す。
その言葉に俺はそうだな、と返して同じように歩みを進めた。
桜の花びらが風に吹かれて飛び散り、ヒラヒラと舞う。
その景色はまるで俺達の新しい門出を祝うかのようで、とても美しいと感じた。
なんとなくやってみたかった。本当にそれだけです
拙い文章ですが、どうぞよろしくお願いします
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