ジム巡り?コンテスト?そんなことより観光だ!   作:そじゅ

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主人公の強さについてはまた今度


ORAS-03 バトルはしないって人

 

 また再び上空。

 その気配にとって、なぜか気になる存在だった。

 一目見た時からとても惹かれていた。

 優しそうな雰囲気が、楽しげな雰囲気が、なんとなく見てて心地よかった。

 その感覚は兄と一緒にいる時となんとなく似ている気がする。

 

 ――――――――――――――――――――

 

 旅は順調だ。といっても101番道路、コトキタウン、102番道路を抜けただけなので、まだまだ始まったばかりだ。

 

「ここを抜けるとトウカシティだよ」

「ハルカのお父さんのジムがある場所だよな?」

「……そうだね」

「どした?疲れた?」

「疲れたよ!主に君のせいでね!」

 

 はて?何かあったかな?

 

「その『何かあったかな?』的な反応やめてくれる!?」

「すごいなユウキ、俺の心が読めるのか」

「顔にはっきり書いてあったよ!」

 

 冗談は置いておいて、ユウキの言いたいことはだいたいわかる。

 ここまでくる道中の話……

 

 ――――――――――――――――――――

 

「視線があったな!バトルだ!」

「いや、結構です」

「結構ってなんだ!?」

 

 102番道路、短パンを履いている男の子に急に話しかけられた。というかそもそも視線があったわけじゃなく、横を通り過ぎようとしただけなんだけど?

 

「視線があったらバトルするのがポケモントレーナーのルールさ!いざ勝負!」

「誰がそんなこと決めたの?」

「へ?」

「そんなルール誰が決めてどこに書いてあるの?」

「え、いや、その、トレーナーの暗黙のルール的な……」

「そういって旅に出たばっかのトレーナーに自分の考えを押し付けてカモにしてるってこと?」

「ちょ、ちが……!」

「バトルしたいと思ってない人にも強制させてるってこと?」

「……」

 

 ついに男の子は涙ぐんで黙ってしまった。そこでようやく隣でずっと俺のことをジト目で見てたユウキが喋りだした。

 

「レイン……バトルしたくないからって泣かせちゃダメだよ……」

「……まぁ、そうだな。すまん少年、代わりのこいつが相手してくれるってよ」

「は?」

「……ああああ!もう誰でもいいよ!勝負だ!絶対勝ってやる!」

「……んん!?」

 

 俺の代わりにユウキがバトルしてくれることになり、もちろん育ちきってないジグザグマじゃあユウキのある程度育っているミズゴロウには勝てない。

 

「くそぉ!!覚えてろ〜!」

「なんで俺にヘイト向けられてんのさ!?」

「よくやったユウキ」

「君は何様なんだ!?」

 

 その後も……

 

「私が育てた可愛いポケモンと勝負よ!」

「ミニスカートの嬢ちゃん、あのな?(以下省略)」

 

「この辺虫ポケモン少ないな」

「虫取り頑張ってね。え?勝負?(以下省略)」

 

「山がないのに山男登場!」

「どうぞ山へお帰りください(以下省略)」

 

 歩けば歩いただけバトルを申し込まれる。なに?バトルジャンキーばっかなの?毎回戦わなきゃいけないの面倒なんだけど。

 

「戦ってるのは俺なんだけど!?」

「さすがユウキ、そのミズゴロウよく育てられてるね」

「嬉しいけど別の言葉が欲しかったなぁ!!」

「……おつかれさま?」

「そうじゃない!」

 

 ――――――――――――――――――――

 

「結局君は1回も戦ってないじゃないか!」

「え?だって、視線があったらバトルとか意味わからなくない?」

「言いたいことはわからなくはないけど、この状況は理不尽に感じないのかい……?」

 

 まぁユウキなら大丈夫だと思ってたし〜。

 

「あー!もう!レイン!俺と勝負だ!」

「えーやだー」

「つべこべ言わずほい!」

 

 道中のバトルを避けてたら1番強い人とバトルすることになりました。

 

 ――――――――――――――――――――

 

 102番道路、急遽ユウキとバトルすることになり対面している。

 

「ポケモンは1匹、道具の使用はなし、使用技は各ポケモンごとに4つまで」

「あーい」

「いけミズゴロウ!」

「イーブイ、行っといで」

「ゴロ!」

「ブイブイ!」

 

 今日もうちのイーブイは愛らしい……バトルだと張り切って鼻息をフンスってやるところなんて至宝だと思う!しっぽもやる気に満ちて上に向けてピーンと張ってる姿も凛々しくて……

 

「レイン!イーブイを見て目をハートにしてる場合じゃないぞ!」

「わかってる!お前のミズゴロウも極めてキュートだ!水で湿ったツヤツヤの肌に、目元なんてクリクリしてて実にいい!さらには笑った時の顔!これがまたトレーナーを魅了する笑顔そのもの!素でメロメロ使ってるだろ!もうそいつの特性はメロメロボディならぬメロメロアイコンタクトだ!」

「もうお前のポケモン愛はわかったから止まれお前!というかミズゴロウ!お前も照れてる場合じゃないだろ!?」

「ゴロ〜♪」

「ブイブイ!!!」

「あー!ごめんよイーブイ!そんな可愛く嫉妬しないでくれ!俺はお前のこと大好きだ!」

「夫婦漫才してんじゃねぇ!」

 

 なんだよユウキ機嫌悪いな。

 

「じゃあ行くぞ!ミズゴロウ、みずでっぽう!」

「ゴロー!」

「イーブイ、しゃがんでー」

「ブイッ」

「は?」

 

 ポケモンへの指示出しは割と大雑把だったりする。今回は技の指示はありつつ相手のどこを狙うか指示がなかったため、ミズゴロウとイーブイの身長的に1番狙いやすい顔を狙ったわけだ。ミズゴロウがそれでいいと判断して撃ってる。間違ってるわけじゃない。

 でも、俯瞰してみてるトレーナーからは丸わかりだから簡単に躱す指示を出せる。

 

「イーブイ、でんこうせっかで回り込んでミズゴロウの後ろから接近」

「マズイ!ミズゴロウ!後ろに注意しろ!」

「ブイ!」

「ゴロー!?」

 

 まずは1回目の攻撃っと。

 

「イーブイ、そのまますなかけ」

「ブイブイブイブイ」

 

 地面を足で蹴ってミズゴロウにすなかけを行う。ミズゴロウも耐えられず目をつぶっちゃう。

 

「ミズゴロウ!くっ……守りの体勢だ!」

「イーブイ、しっぽをふる」

 

 相手が何もできないうちに耐性を減らす。

 

「裏目った……!ミズゴロウ!まだ見えないか!?」

「ゴ、ゴロ……」

「イーブイ、もう1回しっぽをふる」

「ブイ〜」

 

 これでミズゴロウの物理耐性はだいぶ落ちたな。

 

「ゴロー!」

「おし!行けるなミズゴロウ!?」

「ゴロゴロ!」

「みずでっぽう!」

「イーブイ、みきり」

「ゴロー!」

「ブイッ」

 

 ミズゴロウは今度は狙いを定めてみずでっぽうを放つが、イーブイのみきりにより完全に避けられる。

 

「しまっ……!」

「イーブイ、でんこうせっか」

「ブイ〜!」

「ゴロ〜!!」

 

 ミズゴロウは目を回して倒れてしまった。

 

「俺たちの勝ちだな」

「……負けたよ」

 

 なんで半笑いなんだよ。

 

「そんな強いならお前が戦えと思ったからだよ!」

「だから心読むなよ」

 

 ――――――――――――――――――――

 

 トウカシティのポケモンセンターに到着する。

 

「ジョーイさん、お願いします」

「はい、お預かりします♪」

「よく頑張ったなミズゴロウ。今はゆっくり休んでくれ」

「ゴロ~……」

「弱ってても主人を気遣うミズゴロウ……天使だ……」

「お前はブレないね」

「ブイブイ!」

「ごめんってイーブイ!お前もよく頑張ったな!抱きしめてあげるぞ!いや、抱きしめたい!」

「ブイ~」

 

 なんかイーブイからは嬉しいような呆れるような視線を送られてる気がするが、可愛いからいいんだ。

 

「君たち」

「ん?」

 

 イーブイを愛でていると、後ろからなんだか覇気のある男の人に話しかけられた。

 

「あ、センリさん?どうしてここに?」

「おや?ユウキ君だったか!久しぶりだね!いやいや、先ほど102番道路でバトルをしているところを偶然見かけてね。面白い対戦をしていたからつい声をかけさせてもらったのさ」

「センリさん?」

「あー、ほら、この人がさっき言ってた……」

「トウカジムのジムリーダー、センリだ。よろしくね」

「あなたがトウカジムのジムリーダーさんでしたか。俺はレイン。よろしくお願いします」

「……レイン?はて、どこかで……」

「ハルカのお父さんということで、一度挨拶に行こうと思っていたんですよ」

「ハルカの友達か!……ん?レイン?……君、いやお前、まさか」

「あ、まずい」

 

 ユウキは何かを察したのか少し後ずさる。え?なに?すっごい不穏なんだけど……?

 

「君がハルカを泣かしたという男だな!?いいバトルをするものだから話しかけたが、君がレインだというなら話は別だ!今すぐジムにきたまえ!」

「……え~?」

 

 ――――――――――――――――――――

 

「俺はミズゴロウのこと気になるからここにいるよ。じゃ、がんばって」

 

 と、ユウキには断られ、今にも頭から湯気が出そうなほど怒っているセンリさんのあとについてトウカジムに向かう。逃げていいかな?

 

「今逃げようと考えなかったかい?」

「……滅相もない」

 

 ホウエン地方の民は読心術が基本スペックなんですか?

 

「ここがウチのジム、トウカジムだ。入りたまえ」

「……はい……」

 

 言われるがままついていく。これから何が起こるって言うんですか……?

 

「……ふぅ、レイン」

「は、はい」

「いや、すまなかった」

「……へ?」

 

 今度は唐突に謝られてしまった。情緒不安定なの?

 

「確かに君はハルカを泣かせた。それは許せない気持ちでいっぱいだが、仕方ないことも理解している。うちの可愛い一人娘だ、あの子が選んだ男なら喜んで迎えようと思っていたが父親というのはやはり気になるものなのだ」

 

 全然話が見えませんが……

 

「先ほどは感情が抑えられず怒鳴ってしまってすまなかった。大人として恥ずかしい限りだが……」

「い、いやそれは構わないのですが、話が半分以上わからないんですけど……?」

「なに!?君はハルカを幸せにするつもりはないのか!?」

「え!?いや、なに!?怖い!?幸せって!そりゃあ一緒にいてハルカが困ってたら助けますし、悲しませるつもりは毛頭ありませんけど!?」

「……そうか、ならいいんだ。私はジムリーダーという仕事に就いたことであの子のそばにあまりいてあげられなかった。そのかわりというわけではないが、必ず幸せにしてあげてくれ」

「は、はい?あの……ん?ちょっと待ってください」

「なんだい?」

 

 話を整理しよう。

 俺が父さんの仕事の都合でホウエンを離れることになり、ハルカとユウキとは離れ離れになる。

 その後ハルカは塞ぎ込んでしまいずっと泣いていた。

 吹っ切れたと思ったら俺に会うためにバトルの勉強をしていた。

 うん、ここまでOK……ハルカは俺を()()()()()と思ってくれて、俺の会うために旅に出る決意までする。確かにあの子の目的が俺なのであれば、俺はハルカに会って目標を達成させることが幸せの一歩なのかもしれない。

 

「……そう、ですね。わかりました。俺はハルカが幸せになるよう努力します」

「そう言ってくれるか!うむ!これで安心だな!」

 

 そう言って俺の肩をバンバンと叩くセンリさん。なんだ、ユウキはやけにビビってたけどいい人じゃないか。

 

(頑張れよハルカ、これからはレイン君と共に歩んでいくんだ。父さんは見守っているからな)

 

 盛大な行き違いがあることにお互い気づかないまま邂逅を迎えるレインとセンリであった。




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