『虚飾』から始めるヒーローアカデミア   作:百合カプはいいぞ

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全体的にお粗末な出来なので注意。



続きました。
書き溜めもなくなったし学校も再開するので、短編はしばらく解きません。続きそうだったら連載に切り替えます。


憑依元の印象深い台詞は使いたくなる。汎用性が高いなら猶更

「誰か虚少女に挑戦したいやつはいるか!」

「はい!」

「はい!」

 

戦闘訓練最後の試合――つまるところ、私との試合だ。もしかしたら誰も手を挙げないかもな、なんて思っていたが、すぐさま手を挙げてくれた人が二人いた。

 

「なにもできず負けてしまったので、もう一度俺にやらせてください」

「私もです!私にもやらせてください!」

 

Iチーム……轟君に何もさせてもらえなかった葉隠さんと尾白君である。しかし、他にも手を挙げる者がいた。

 

「オールマイト先生。私にも、挑戦させていただけないでしょうか?」

「俺も頼みます。去年の主席入学者には興味がある」

 

うへぇ……推薦入学者コンビの轟君とヤオモモかぁ……。二人とも頭良いし個性も強いから面倒だな……。特にヤオモモが何してくるかわからん。

 

「むっ、轟少年と八百万少女もか……しかし四人は些か……」

「私は何人相手でも構いませんよ、先生」

「虚少女がそういうなら……では、今手を挙げた四人が虚少女に挑戦するということで決まりだな!」

 

そう言うとオールマイトは私にくじを引かせた。ヒーローと敵を決めるくじみたいで、取り出したボールには『Virann』と書かれており、私が敵、相手四人がヒーロー側に決定する。

 

「それでは、各自準備を始めてくれ!」

 

敵でよかったぁ……敵は捕縛されないことと核を守ることだけを考えていればいいからヒーロー側より楽だ。考えることも少ない。いやまぁヒーロー側でも全員捕縛すればいいだけなんだけど、こちらから行くのとあちらから来るのでは楽さが段違いなのだ。将来は不労所得を得るのが目標です。

 

冗談はさておき、時間がないのでサクサクと核に細工をしていく。何をしたのかは後で話そう。

 

今回のビルは演習場にあるビルの中でも相当狭い部類に入る。高さも三階程度、隠すにしても工夫がいるだろう。私には関係ないことだが。

 

「よし……このくらいでいいですかね」

 

仕込みを終え、後はヒーロー達が来るのを待つだけだ。

 

それにしても敵役……もしかしたら合法的に原作のパンドラムーブができるかもしれない!あの怪しさとか、出会った時の絶望感とか、上手く演出できたらいいなぁ。

 

『では、屋外戦闘訓練最終試合!スタートォ~~~!!!』

 

耳に付けたインカムから、オールマイトのスタートの合図がする。その次の瞬間、私のいるビルは氷で包まれた。足までもが氷で覆われ、動けなくなる。人によっては強引に壊すこともできるだろうが、少なくとも私の貧弱な身体ではビクともしない。

 

……轟君の個性って強くない?というか調整上手だね。ヒューマじゃここまで細かい調整は簡単にはできないから羨ましいや。

 

「……ゴーア」

 

とはいえ、この程度では私を止めることはできない。というかパンドラはエリオール大森林の永久凍土で布一枚で平気だったのだ。今考えてもあの寒そうな景色で布一枚はおかしいと思うよ、パンドラ……。

 

「さぁ、おいでなさい……ヒーロー。私は……『虚飾の魔女』パンドラは、ここにいますよ」

 

それはそれとして、生粋のパンドラムーブができることを楽しんでいる自分がいた。

 

 

 

 

 

%%%%%%%%%%%%%%%

 

 

 

 

 

「……一応凍らせたが、多分効いてねえぞ」

「構いませんわ。むしろ溶かされるのは想定内……虚さんがどれほどの実力を持っているかわからない以上、試せる手は試しておくべきです」

 

屋外演習最終戦に立候補した四人はビルの外でビルが氷漬けになっていく姿を目にしていた。轟焦凍の個性『半冷半燃』によりビル全体が凍りはしたが、虚飾の個性の前では無駄だろうなと、その場にいる誰もが考えている。

 

「……もう溶かされたな。三階の手前側、階段から最も遠い部屋だ」

 

ビルを完全に凍らせてから数秒後、外からでも見えるほどに部屋の一つが明るく光り輝いた。虚が氷を溶かすために生み出した炎だ。

 

「では作戦通り……尾白さんの近接戦闘を主軸にいきましょう」

 

八百万達の作戦は至ってシンプルである。尾白、轟を中心に虚の気を引き時間稼ぎ、その間に透明人間である葉隠が核を確保するというものだ。

 

「…………」

 

道中、彼らに会話はない。不意打ちの可能性も捨てきれない以上、警戒することに越したことはないからだ。最も、当の本人はロールプレイに夢中であるのだが。

 

「……この部屋だ」

 

数分もすれば、虚が待つであろう部屋に到着する。制限時間は15分、10分以上の猶予があり、ギャラリーであるA組の生徒も流石にヒーロー側が優勢だと考えていた。……オールマイト、唯一人を除いて。

 

(……虚少女、個性『魔女』。去年の主席入学者であり、唯一相澤君の除籍から逃れた人物。以降は相澤君に師事していたみたいだが……戦闘訓練では雄英教師を相手に()()()()()()()()。個性を使わない近接戦闘も、相澤君が認めるほどの腕前)

 

明らかに優秀なその成績を見て、オールマイトは一抹の不安を抱いていた。それは、生徒達が折れてしまわないかという不安であった。

 

事実、当時の入試では虚が個人で試験会場の九割のロボを破壊。その姿に雄英ヒーロー科に入る前に心が折れた者は多かった。故に虚の代のヒーロー科はA組のみだったのだ。

 

(折れるなよ、少年少女達……目の前にいるのは、私や()()に並ぶ生粋の強者だ……!)

 

「おや、ようやく来ましたか」

 

部屋に入り、挑戦者四人を待ち構えていたのは、拍子抜けするほどにただのビルの一室だった。彼女の背後に核のハリボテは置いてあるが、それ以外には木箱であったり、椅子などが散乱しているだけであり、何か罠を仕掛けている様子もない。

 

「……随分と余裕みてえだな。罠とか、何も仕掛けなかったのか?」

「必要ないと感じましたので……もう少し人数が来るなら、何かしらの罠を用意したかもしれませんね」

 

轟の会話に、虚はきちんと返事をする。これにより轟達は会話による時間稼ぎを決行することを決めた。

 

「必要ない?こっちは四人だぞ……傲慢なんじゃねえか?」

「そのようなことはありませんよ。『傲慢』などではなく……純然たる『事実』ですから」

 

煽るような物言いに、轟の顔に僅かな苛立ちが見える。その瞬間を狙い、虚は一つの魔法を発動させた。

 

「フーラ」

 

柔らかく、決して傷つけない……しかし人体を吹き飛ばすには十分な風が、轟達を襲った。

 

「きゃっ!」

「ぐっ……これは!」

「……っ」

 

轟は咄嗟に背後に氷の壁を作り、距離が離されるのを阻止する。そんな轟の姿を見て、虚は手を叩いた。

 

「素晴らしい……流石は轟さんです。良い反応速度でした。私の予想では、少なくとも部屋の外までは飛ばすつもりだったのですが」

「そりゃどうも……あんまり嬉しくねえけど、なっ!」

 

虚の言葉に答えつつ、氷を生成し攻撃する。最も、雄英の教師に鍛えられた虚がそれをくらうはずもなく。

 

「ゴーア」

 

ビルを凍らせた時と同様に、簡単に対処された。そして虚は、おもむろに捕縛布を取り出し、氷と共に向かってきていた尾白へと投げかける。ものの見事に捕縛布に抑えられ、尾白は行動を起こすことが不可能になった。

 

「うおっ!これは……相澤先生の」

「去年相澤先生に直接ご指導いただきました……あの方ほど、上手く扱えるわけではありませんが、貴方方を捕らえるには十分です」

 

その言葉に偽りがないように、尾白の手にはいつのまにか捕獲テープが巻かれている。

 

「なっ……いつの間に」

「轟さん!」

 

驚く間もなく、虚は轟へと接近した。轟も咄嗟の接近に拳で反撃するも、容易く抑えられ、尾白同様に捕獲テープを巻かれてしまう。ここまで、尾白が捕縛されてから僅か十秒のできごとである。

 

(こいつ、近接もいけるのか……!)

 

捕獲テープで捕らえられながら、轟はそう考える。見るからに華奢な体型に、『魔女』という遠距離に特化した個性。今回の作戦は、近接であれば十分な時間稼ぎができると踏んでのものだ。これでは、その前提から崩れ去っていたと言う他ないだろう。

 

「だが……」

「お二人とも、ありがとうございます。時間稼ぎは十分です」

 

しかし、『時間稼ぎ』という目的は望まぬ形であったとしても達せられた。八百万は『創造』で、自身の脂質を糧に閃光弾を作り出し、地面へと放る。八百万が目を閉じた直後、強い光が辺りを襲った。

 

「……なるほど。確かに、時間稼ぎにそれは有効です。……私相手でなければ、の話ですが」

 

八百万が閃光弾を自爆しないように閉じていた目を開けた先には、セメントで作られた壁のようなものがあった。セメントが元に戻っていく過程で見えた虚は、平気そうな顔をしており、八百万は上手く閃光弾を躱されたのだと察する。

 

「『ドーナ』……基礎的な土魔法で本来は土を操るために使うのですが……土にもセメントにも、いくつか共通する成分が含まれます。例えば、ケイ素や砂、アルミニウムなど……それらが含まれるセメントであれば、十分に『ドーナ』の適用範囲です」

 

最も、虚飾にとってはあまり使いたくない手ではある。未だにセメントなどを操るのは負担も大きく、土と勝手も違うため土を操る時ほど精密な操作はできない。しかし、今回はただ壁を作るだけで十分だった。

 

「……そんな」

「惜しかったですね。私でなければ、そのまま捕らえられていたかもしれません」

 

セメントの壁を元に戻し、虚は捕縛テープを巻き付けるために八百万へと近づく。八百万も打つ手は既にないのか、座り込んでいた。

 

「申し訳ありません、葉隠さn「大丈夫だよ!」……へ?」

 

八百万の謝罪の言葉を遮り、部屋に葉隠の声が響き渡る。その声は虚の背後……核の近くから放たれていた。

 

「虚さん、油断したね!私は既に核のすぐそばにいる!これで……」

 

虚が動くよりも前に、葉隠が核へと触れる。ガタンとわかりやすくハリボテが動き、誰の目から見ても、葉隠が核に触れたのは明らかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もし……『何かの見間違え』ではありませんか?」

「え!?」

「うそ……核が、木箱に……!?」

 

虚がそう呟いた瞬間、葉隠が触れていあはずの核は、唯の積み重なった木箱と化していた。

 

「素晴らしい隠密でした。注意を配ってはいたのですが、足音は小さい。その上会話や轟さんの攻撃の音で誤魔化されれば、見逃してしまうのも仕方がありません」

 

そう言いながら、虚は捕縛布を葉隠がいるであろう場所へと投げ込む。

 

「あっ」

「貴女方はよく頑張りました。入学して間もないこの時期に、これだけの実力……過去を見ても、これだけ優秀な代はそういないでしょう。将来的には、私も負けてしまうかもしれません」

 

その言葉を締めくくりに、葉隠と八百万は捕獲テープを巻かれ、ヒーローチームの敗北が決定したのだった。

 

 

 

 

 

%%%%%%%%%%%%%%%

 

 

 

 

 

「それじゃあ、講評していくぜ!」

 

同級生をボコボコにした私は、ボコボコにした四人と共にモニタールームに戻ってきていた。なお、戻る途中私達の間に会話が発生せず、非常に気まずかった……やり過ぎたかなと、少しは反省してる。

まぁ、手加減する方が良くないからね。仕方ないね。

 

「さて、今回のMVPは誰か、分かる人はいるか?」

「虚だろ」

「まぁ、虚しかねえよな」

「ヒーロー側何もできてなかったし」

「ンン!流石に分かりやすすぎたな!実際、虚少女の動きは完璧に近かった!」

 

そう言って、オールマイトは私の行動を分かりやすく説明し始めた。

 

「まず事前準備。幻影魔法で本物の核を誤認させ、別の場所に隠す!自身と核に見せかけた木箱を入口から最も遠い場所に配置し、更にその部屋から最も遠い部屋に本物の核を配置、単独犯でリソースが限られている中での最善の一手だった!更に本物が隠されている部屋も、内側からバリケードがされてあった!」

 

一番初めにやったのは、核とその辺の木箱の認識を入れ替えることだった。『虚飾』の権能で核を木箱に、木箱を核の見た目にしつつ、木箱にした核を入口から待機する部屋までの導線で一番見つかりにくい部屋に配置。後は待機していればヒーロー側が勝手に揃ってやってくる、というカラクリだ。

 

「単独犯であるなら、敵と核が一緒にいる可能性は高い、それは事実だ!だが今回は虚少女が一枚上手だったな!」

「………………」

 

作戦立案をしていたと思われるヤオモモの表情は、参加者の中でも一層悔しがっているように見える。まぁこの辺は経験がものを言うし、ヤオモモなら特にフォローしなくても立ち上がって来るでしょ。

 

「そして戦闘についても見立てが甘かったな!個性が遠距離に特化したものだからと言って、近接ができないとは限らない!」

 

これは近接特化の個性にも言えることだ。例えばオールマイトなんかは拳の風圧だけでそこそこの距離離れていてもある程度ダメージを与えられるだろう。むしろそっちの方が理不尽だと思うんだ……権能をほとんど使ってない私くらいは倒せるようになってほしい所存。

 

「ま、虚少女は去年一年間訓練を積んできている。経験の差というのもあるだろう!大切なのは今回の演習の結果ではなく、今回の失敗をどう次に活かすかだ!」

「「「「…………はい!!!!」」」」

「それじゃあ私は、緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室に、お戻り!!」

 

そう言うと、オールマイトは凄い速さで演習場を後にした。……生で見たのは初めてだけど、ほんとに速いな。私がいた影響で授業が時間制限ぎりぎりだったようだし。

 

「…………『OFA』、ですか」

 

全容を見た訳ではないが、それでもわかることはある。…………想定よりも些か()()()()。私達がいる影響が、オールマイトの個性にまで及んでいる。もしこのままだったら、神野事変でAFOに負ける可能性も出てくるな……それは、少々面倒だ。

 

「無理をしてでも、神野事変には大きく関わる必要がありそうですね」

 

さてさて、どうなることやら。そんなことを思いながら、私は着替えるために更衣室へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

%%%%%%%%%%%%%%%

 

 

 

 

 

とある山奥にある、明かりも灯らない研究室の一角。そこに、一人の男が座っていた。

 

「ふむ、『魔女』の個性か……それも、二人」

 

いや、男と形容するには些かシルエットが異様だったか。顔の大半には治療痕が見て取れ、のっぺらぼうのようになっている。更に呼吸器系も損傷したため顔や首に生命維持の様なチューブが何本も繋がれていた。その姿は、SF映画に出てくるエイリアンと言われてもあまり違和感がない。

男が眺める先には、二人のカルテのようなものがある。名前の欄にはそれぞれ『虚飾』『神蛇望』と書かれていた。

 

「見ている限り、扱いは難しそうだ……少なくとも、僕好みではないね」

 

そう言うと、男は『神蛇望』のカルテらしきものをライターで燃やし、灰にした。

 

「だが、こちらは使えそうだ……彼女を仲間に引き入れるよう、弔を誘導するとしよう」

 

『虚飾』……かつてその容姿の美しさから、両親に人買いへと売り飛ばされそうになった経歴あり。両親は既に事故で他界しており、中学校までは親戚の女性と暮らしていた。雄英高校入学を期に、一人暮らしをしている。

カルテのようなものには確かにそう書かれており、男の顔は表情の変化など見て取れないはずなのに、何故か嬉しそうに歪んでいるのがはっきりとわかった。




・パンドラ成り主

訓練で同級生をボコボコにした人。合気道っぽいものを使えるが、動画で見たものの見様見真似なのでこれが合気道なのかよくわかっていない。ただ魔法で身体能力を強化できるからそれなりに近接は強い。権能ありならハンデなしでの雄英教師でも基本ボコボコにされるくらいには強い。
両親のことを殺してるが、どうしようもない屑だったので後悔はない。両親の死後引き取ってくれた親戚は放任主義だったので、割と自由にやらせてもらっている。
放課後にエキドナ成り主とのデートの予定が入っている。


・オールマイト

パンドラ成り主が個性について知っていることに微塵も気が付いていない人。
原作よりもほんのりと後遺症が大きく、ほんのりと弱体化されている。ほんのりと。ぶっちゃけ大して変わらない。


・AFO

全ての元凶。
パンドラ成り主を使って何かをしようとしているが、どうせ失敗に終わる(ネタバレ)。何ならパンドナの仲を深めるきっかけになってしまう(ネタバレ)。


・エキドナ成り主

個性把握テストで醜態を晒している。多分ソフトボールを投げると肩が脱臼するし、反復横跳びをするとすっ転ぶ。魔法の腕はパンドラ成り主よりも遥かに上だが、運動神経が悲惨すぎて個性把握テストの成績はパンドラ主には劣る。それでも一位だったらしい、なんだコイツ。
一応八百万家にも劣らないほど裕福な家出身だが、その設定が活かされる時が来るかは作者にもわからない。


もしも続くなら次回はパンドナのデート風景と、連合の雄英侵入だと思います。
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