『虚飾』から始めるヒーローアカデミア   作:百合カプはいいぞ

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なんて名前なんだろうね、これ。私は勝手に『二日目のカレー現象』と呼んでいます。

パンドラの権能などについて独自設定があります、注意。



誤字報告・感想ありがとうございます。致命的な誤字もあったようで、誤字報告にはいつも助けられています。感想はほんとにモチベに直結するから、もっと欲しいです(強欲)。

あと、どうやら総合評価が1,000を超えたらしいです。雰囲気でハーメルンをやっているので、正直これがどのくらい凄いことなのかはわかりませんが、多分初心者にしては良い方なんじゃないかなとは思う。感謝感謝。


書いてる時は「これ面白くないかも、後で書き直すか」って思ってても、少し経ってから読み返すと意外とありかもと思ってしまう現象の名前が気になる日々

 オールマイトの戦闘訓練から一日が経ち、次の日。雄英高校の校門には、マスコミが押し寄せており、いつもの朝からは考えられないほどの喧騒に満ちていた。

 

「オールマイトの授業はどんな感じですか!?」

 

 そして私の目の前には、アニメでも見たことがある女性記者がいる。マイクを持ち、こちらに迫る姿には敵に勝るとも劣らない気迫すらあった。それに私の美貌は絵になるのか、カメラも大多数がこちらを向いている。

 

「急いでいるので、失礼します」

「あなた、ヒーロー科よね!平和の象徴が教壇に立っている様子について、聞かせてくれる?」

 

 私はそこまでカメラが得意ではない。体育祭とかの仕方ない場合許容するけど、ヒーローになるとしたら相澤先生のようなアングラ系ヒーローになりたいのだ。それにほら、パンドラが誰にでも知られてる状態って、なんか解釈違いだし。パンドラには暗躍が似合ってるからね、できるだけ目立ちたくない。

 

「一言だけでも、お願いします!」

 

 というか……原作を見てる時から思ってたことだけどさ、ここのマスコミ強引過ぎじゃない?校門前を大勢で囲んで待ち伏せて、不可抗力とはいえこの後壊れたセキュリティゲートから雄英に侵入するし。それが仕事とはいえ、最低限のマナーというのは守ってほしいものだ。

 

 ……仕方がない、か。

 

「もし……強引な取材は、マナー違反ですよ」

「…………!」

 

 普段『見間違え』にしている魅了の力を、元に戻す。変にことを荒立てたくはないが、私の顔がメディアに切り抜かれて話題になるよりはマシだろう。

 迫って来る記者に声を掛ければ、彼女は恍惚に頬を赤らめた。こういう時、女性にも効くのは便利だなと思う。行動が自分に向けられるだけで死んでもいいと思えるほどの多幸感が全身を支配する、だったっけ?生憎私には効かないからわからないんだよね。パンドラのことは綺麗だとは思うけど、それだけだ。

 

「あまり、人に迷惑をかけてはいけません。節度を持った取材を、お願いいたします」

 

 私に迫ってきた女性の記者だけでなく、全員に聞こえるように言葉を紡ぐ。先ほどまでの喧騒が嘘のように辺りは静まり返っており、皆が私の声に耳を傾けていることは明白だった。

 

「それでは、私はこれで失礼します。……あぁそれと、『今日の雄英の取材の記憶及び記録は全て、私の存在を除いて完結する』こと。ご自由に補完していただいて構いませんが、私の言葉は忘れないでいただけると、嬉しく思います」

 

 過度な魅了の力と、映像に映った、取材されたという事実を『見間違え』にしながら、私は校門を潜り雄英の敷地へと入って行く。今度は誰にも止められることなく、スムーズに入ることができた。

 

 

 

 

 

「末恐ろしいね、パンドラの魅了の力は」

「……見ていたのですか、エキドナ」

 

 校門から校舎へと続く道を歩いていると、先ほどの様子をどこからか見ていたらしく、エキドナからそう声をかけられる。というか、どこから現れたんだ。さっきまではいなかったと思うけど……。

 

「偶然、居合わせてね。あの数のメディアを相手にはしたくないから、陰魔法で姿を隠していたんだが、中々通れそうになくてどうしようか困っていたところなんだ」

「あぁ、そういうことですか」

 

 エキドナは普段、家から車で登校しているらしいが、雄英のセキュリティの都合上敷地内に入るには校門前までのどこかで必ず降りなければならない。エキドナのクソ雑魚身体能力であの人込みに入ってしまったら、怪我をすることは避けられないだろう。魔法で治癒はできるが面倒だし、なにより彼女のマナは私と違って無尽蔵ではない。膨大とはいえ余計な消費は避けたいのが本音といったところか。そういえば、私のあの様子を見ていたというのにエキドナの様子は平気そうだが、私の魅了は効いたのだろうか?

 

「気になったのですが、私の魅了は貴女に効果があったのですか?」

「いいや、なかった。作中で言われていたような多幸感は微塵も感じなかったね」

 

 見える限り異変は見受けられなかったから素直に聞けば、エキドナから出た回答はまさかの否定。

 

「……魔女因子の影響でしょうか?」

「恐らくは。ただそれだとレグルス・コルニアスにパンドラの魅了が効いていた説明がつかない。魔女因子だけが理由ではないと思うのだが……こればっかりは、色々試してみるしかないだろう。そもそも魔女因子がお互いにどう影響を及ぼすのかという話になってくる。ナツキ・スバルが魔女因子を持っていたと仮定して、その影響で『見えざる手』が見えていたり、『暴食』の権能の影響を受けていないと仮定しても、明らかにおかしいことがあるんだ。レグルス・コルニアスは明らかに『見えざる手』が見えていないような描写だったし、魔女因子同士が互いに効力を及ぼせないなら、パンドラの権能がレグルスやペテルギウスに効いていたことが矛盾する。相性があるのか、持つ者によって影響の有無が変化するのか、あるいは――」

 

 エキドナの考察を聞きながら、私も頭の片隅で思考をする。少なくとも、私の魅了が効かないというのは初めてのことだ。老人だろうが幼女だろうが、個人によって差はあれど多かれ少なかれ魅了の影響は受けていた。動物には効いているかわからないが、動物系の個性の人には効いていたし、今まで生きてきて完全に効力がなかったのはエキドナだけ。魔女因子があるからと言われれば納得はできるが、確かにエキドナの言う通りそれだけでは矛盾が生じる。まぁ、魔女因子は判明していない情報が多いし、私の頭では考察のしようもない。そもそも、原作の描写からして個人差がありそうなんだよな、魅了の力。フォルトナとかは、多分パンドラに対して抱く感情として、憎悪が物凄く大きかったからだと思う。つまりは感情次第では抗うのもそう難しい話ではないということ。しかしエキドナが何も感じないというのもまたおかしな話ではある。

 

「ひとまず、魔女因子が関係していそうなことは事実ですかね」

「『魔女因子があって、且つ相性か適合率が良い場合は相手の権能に抵抗できることがある』というのが、現状でのボクの仮説だ。最も、証明は難しいがね」

「私達以外に、魔女因子を持つ者が現れれば色々試せるかもしれないのですが……」

「少なくとも、ボク達から能動的に見つけることは不可能だろう。魔女の匂いがわかるわけでもないのだし」

 

 ……むぅ、難しいな。

 私の権能にも一応制限はあって、カペラの権能のように著しく私や他人の身体を変化させることはできない。例えば原作でもパンドラがジュースに対して行っていたように、相手から自分や他人を全く異なる人物に見せかけることはできるが、それはあくまでも見せかけで原理としては幻影に近いのだ。認識は変えられても、カペラのように身体そのものまで変化するわけではない。だから私達の身体を魔女の匂いを嗅ぎ取れるように変えるのは無理だ。それに曖昧な条件で改変することもできないから、『誰かも知らない魔女因子の持ち主を目の前に呼び出す』といったような改変をするっていうのも無理で、意外と融通が利かない時は利かない権能だったりする。今回みたいなケースが稀だから普段は気にならないけどさ。

 

 まぁ、それはまた後で考えればいいことか。それよりも、今の話で思い出したが、今日は敵連合の雄英侵入がある。大体お昼時、混乱は避けられない。

 

 つまり……場合によっては、エキドナの身体能力ではその騒動だけで怪我をする可能性があるのだ。先ほども言ったが、別に怪我をしても治癒魔法があるから問題はない。とは言え、知っていることを話さないのは違うだろう。しかし学食でないなら混乱も少ない可能性が高い。エキドナの昼食が学食でないのなら……。

 

「……そういえば、エキドナは昼食はどこで食べているのですか?」

「普通に学食だけど、それがどうかしたのかい?」

 

 …………ふぅ……マジか。

 

「学食なのですか……てっきり、毎日庶民には手が出せないような豪華なお弁当を食べているのかと思いましたが」

「君のお金持ちへの偏見が酷いな。学生っぽくていいじゃないか、学食。それに母様がランチラッシュのファンでね……学食の件は、随分羨ましがられたよ」

 

 だって、お金持ちってそういうイメージあるじゃん。毎日フルコース食べてそうな感じ。青山君だってやってたんだし、エキドナもそうなのかと思うじゃん。

 

「…………今日は、私とお弁当を食べませんか?恋人らしく、どこか二人きりで」

「それは別に構わないが……ボクは生憎弁当を持ってきていないよ。ランチラッシュの学食にテイクアウトや弁当はないし……」

「問題ありません。貴女の分も作ってきましたから」

 

 本当は一つしかないけど、まぁもう一つ複製するくらいなら権能でどうとでもなる。普段ご飯なんて食べないけどカモフラージュでお弁当持ってきてて良かった。

 

「そうなのか……すまないね、わざわざ」

「いえ、私が勝手にしたことですし……それに、今日は騒動が起こるので、学食にはあまり行かない方がいいでしょう」

「ほう?原作の……」

「貴女の体では、生徒達の押し合いに耐えられないでしょうし」

「それはナチュラルにボクのことを馬鹿にしているよね!?」

「いいえ、事実を述べたまでです」

 

 弱いのは事実だし、馬鹿になんてしてないよ。本当だよ?

 

 エキドナから非難の目を向けられながら、私達は雄英の校舎へと入って行くのだった。

 

 

 

 

 

+++++++++++++++

 

 

 

 

 

 朝から大変な目にあった。まさかただのマスコミに権能を使う日が来るとは。いや予想はできたのだから、対策を怠った私が悪いのだけれど。

 

「昨日の戦闘訓練、お疲れ。VTRと成績見させてもらった」

 

 相澤先生は、相も変わらず怠そうにHRを始める。

 

「爆豪、お前もうガキみてえな真似すんなよ。能力あるんだから」

「……わかってる」

「んで緑谷は、まーた腕ぶっ壊して一件落着か。『個性の制御』……いつまでもできないから仕方ないじゃ、通させねえぞ。それさえクリアできれば、やれることは多い。焦れよ、緑谷」

「はいっ!」

 

 持ってきた紙束に目を通しながら、かっちゃんと緑谷君にそう叱咤する。言い方はちょっと強いけど、どちらにも期待しているとわかる言葉だ。相澤先生のそういう所良いよね。

 

「あと虚……お前もいい加減、手を抜く癖直せ。俺は何度も同じことを言うのが嫌いだ」

「…………彼らはまだ入学したばかりです。ほどほどに手加減をしなければ、訓練にはならないのではと思ったのですが」

「その驕りを失くせって言ってんだ。手加減をするなとは言ってない、相手を下に見て手を抜くのをやめろと言っている。取り返しがつかなくなってからでは遅いぞ」

「……善処しましょう」

 

 だって仕方がないではないか。本気でやってしまえば、相手を殺すことになる。それに多分、「最悪権能があるからどうとでもなる」っていう意識がどこかにあるんだろうな。それを相澤先生は知らないから、こちらを想ってそう言っているんだろうけど。

 

「……まぁいい、HRの本題だ。今日は君らに」

((((また臨時テスト……!?))))

「学級委員長を決めてもらう」

「「「「「学校っぽいのきたー!!」」」」」

 

 その言葉を皮切りに、教室の中は一気に騒然とし始める。みんながそれぞれ自分がしたいということをアピールしているのだ。普通科なら雑務というイメージもあり誰もが押し付け合ったりしているが、ヒーロー科では違う。集団を導く素地を鍛えられるっていう理由から、委員長は人気が高い。特に、国内でも最高峰の雄英となれば、一層委員長になりたい人は多いだろう。

 ちなみに私は参加していないし、委員長になるつもりもない。面倒くさいし、多分やろうと思えば権能でも魅了でも使えば、いつでも集団を率いるくらいできる。原作でも魔女教を率いてたし。いやしないけどさ。だから私は静観の姿勢。投票は……飯田君に入れようかな、どうせ後で委員長になるんだし。

 

「時間内に決めりゃ何でもいいよ」

 

 相澤先生もそう言って寝袋に入って寝てしまい、本格的に委員長を決める投票が始まった。

 

 

 

 

 

「パンドラ、ボク達は今どこに向かっているのかな?」

「屋上です。意外と人が少ないので、この学校の穴場の一つだったりします」

「そうなのか……屋上には、大抵一人二人はいるものだと思っていたが」

「ほとんどの方は、教室か学食ですからね。お弁当を持って、わざわざ屋上に上がるという選択はあまりしないのでしょう」

 

 委員長決めのHRから数時間が過ぎ、お昼。私は約束通りエキドナと二人でご飯を食べるために屋上に向かっていた。ちなみに屋上は普段開放されていない。エキドナには言ってないが、本来この行為が先生にバレたら怒られる。権能を使うから、バレることはないけど。相澤先生の時代はどうだったんだろうか……問題児だったみたいだし、開放されてなくても普通に使ってそうな気がする。

 

 そういえば、委員長は原作通り緑谷君に決まった。副委員長もヤオモモだし、そこも原作通り。私と轟君とお茶子ちゃんは0票、他の人達はみんな自己推薦で一票ずつ入っている。緑谷君に投票した飯田君にも(私が入れた)票が入っていたため、飯田君は不思議そうにしていた。

 

「……ここが屋上か。初めて入ったが、風もあって随分と気持ちがいいものだね。開放感もあるし、嫌いじゃない」

「春先ですからね。夏や冬になれば、こうも心地良さは感じられません」

 

 屋上に着き、『たまたま鍵が開いていた』扉を開ける。天気は快晴と言っても差し支えないくらいに澄み渡った晴れ空をしており、エキドナの言う通り適度な風が吹いていてとても気持ちいい。この居心地が好きで、去年のこの季節はたまに屋上で過ごすこともあった。

 

「さて、食べましょうか。エキドナの分はこちらです。アレルギーなどがなければいいのですが……」

 

 隣で風を感じているエキドナに声を掛けつつ、塔屋やペントハウスと呼ばれる階段室のある小屋のようなものの日陰に座り、弁当を手渡す。弁当の中身はスタンダードなもので、白米にのりたまのようなふりかけ、玉子焼きにたこさんウインナー、ほうれん草のおひたしにミニハンバーグといった内容だ。そもそもカモフラージュ用として作った弁当なので、エキドナの好物のミートパイはない。

 

「ありがとう。特にアレルギーは持っていないから、問題ないと思う……それにしても、これが全て、君の手作りなのかい?」

「弁当としては王道なものばかりですが」

「随分と上手なものだね……いただきます」

「えぇ、召し上がれ」

 

 そう言うと、エキドナは玉子焼きに手を付ける。所作が綺麗でつい見惚れてしまいそうになるが、それを何とか抑えて私も同じように玉子焼きを口に運んだ。

 

「ふむ……甘いね。弁当に入れることを見越した、少し濃い目の味付け。砂糖の量も焼き加減も絶妙で、美味しい。家で出る料理では感じられない、家庭的な料理特有の味わい深さがあるね」

「……ありがとうございます。随分と饒舌に褒めてくださるのですね」

「折角作ってくれたんだ、このくらいは当然のことさ。それにこういった家庭的な料理は、口にする機会があまりないからね。屋上の気持ち良さも相まって、存外気分が高揚しているのかもしれない」

 

 確かに私からすればこの料理は日常的に食べるものだが、エキドナからすればむしろ珍しものなのか。私からすればエキドナがいつも食べている料理とこれが匹敵するとは思えないが、隣の芝は青く見える的なものなのかもしれない。ここまで丁寧に褒められるとは思ってなかったから、少しだけ恥ずかしいな。

 

「ほう、これが噂のたこさんウインナーというやつかな。可愛らしい見た目だね……食べるのが惜しくなってくるよ」

 

「ハンバーグも美味しい。これは冷凍品のようだけど、それを感じないな。わざわざ焼いているのかい?そうか、それは凄いな……ソースも市販のものではないね。ご飯が進む味というのはこういう味なのか」

 

 こういう感じで一々褒めてくれるものだから、誤魔化すように黙々と箸を進めていれば、火災報知器のような『ジリリリィ』という音と、アナウンスが聞こえてくる。

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは、速やかに屋外へ避難してください』

「?……あぁ、これが君の言っていた『騒動』か。『セキュリティ3』……確か、雄英バリアと呼ばれているあの厚みのある防壁だったと記憶している。それが突破されたのか、それは騒動も随分大きくなるだろう。パンドラの言う通り、食堂に行っていては避難する生徒達に押されて怪我をしていたかもしれないね」

「えぇ、ですが私達が避難する必要はありません。侵入したのは、ただのマスコミですからね」

「ただのマスコミが、雄英に侵入できるわけないだろう。真犯人や目的はまた別にあって、君の言うマスコミはただの陽動ということかな?」

 

 ……流石エキドナ、鋭いな。普通は初見でそこまで思い至らないと思うけど……知識があるから、だろうか。

 

「貴女の言う通りです。今回防壁を破壊したのは、『死柄木弔』という崩壊の個性を持った敵です」

「崩壊……なるほど、確かにそれならあの程度の防壁を突破するくらいわけもないだろうね」

「目的は、雄英のカリキュラムを盗み出し、オールマイトを襲撃し殺害すること。最も、彼らの裏にいるAFOは、今回の襲撃を死柄木弔の経験を積む程度にしか思っていないでしょう」

 

 今回の件は失敗前提で動いてる節があるからね、AFO。というか、正直AFOは死柄木を新たな器としてしか見ていないと思う。あるいは、オールマイトへの嫌がらせとなる玩具か。

 

「襲撃は明日のヒーロー基礎学、私達A組の所に来ます」

「大丈夫なのかい?敵の襲撃、しかもその内の一人の個性が『崩壊』ということは、場合によっては死人が出るだろう」

「原作からの変化は積極的に私が対処します。仮免許も持っていますし、相澤先生も合理的な判断を下すでしょう。『崩壊』も現段階では大した殺害能力はないので死人は出ないとは思いますが、最悪の場合権能を行使します」

「……君の権能がバレたら厄介だ。そうなったとしてもどうにかできるとはいえ、そうならないように祈っているよ。折角個性も『魔女』で登録して隠れ蓑にしているのだし」

 

 バレたら厄介なのは、お互い様だと思うけど。『知識の創造』は、下手すれば私よりも厄介な可能性もある。エキドナが積極的に使わないからそこまで脅威は感じていないけど、積極的に使ったら世界も簡単に滅ぼせそうだ。

 

 そんなことを考えていれば、エキドナはいつの間にか弁当を食べ終えていたようで、弁当箱に蓋をしていた。顔を上げて私を見据えたその顔は、とても満足そうに微笑んでいる。

 

「ご馳走様、とても美味しかった」

「お粗末様でした。お口に合ったようで何よりです」

「あぁ、また作ってもらいたいものだ。もちろん、君が良ければの話だが」

「……そんなに、お気に召したのですか?」

 

 私が作ったものは、本当にただの弁当だ。高級な素材を使っているわけでもない、特殊な調理法をしているわけでも、プロのような腕前でもない。

 

「そうだね……こうして、二人きりで食べるのも楽しいものだった。君の料理が美味しかったのも事実だが、それ以上にこの時間をまた過ごしたいのかもしれない。どうやら、ボクは思っている以上に、君のことを好ましく思っているようだね」

 

 ………………。

 

「是非ともまた、君と二人きりでこういう時間を過ごしたいものだ」

「……ええ、また今日のように過ごしましょうか。次は、ミートパイでも作ってくるとします」

「本当かい!?それは楽しみだな」

 

 穏やかな時間が流れる屋上。エキドナのように、私もこの時間を楽しんでいるのかもしれない。




・パンドラ成り主

度が過ぎないと判断できる程度なら、改変も魅了も普通に使う。
カメラがあまり得意ではない。別に自分の美貌に自信がないというわけではなく(むしろ絶対の自信しかない)、撮られることによる問題を起こしたくないだけ。目指しているのはイレイザーのようなアングラ系ヒーローらしい。
料理が上手。しかし普段はご飯を食べていない。なんなら睡眠もとっていない。
意外と屋上を気に入っている。
高い実力や成功体験にかまけて舐めプをする癖があると相澤先生に思われている。実際は「余裕を持って、常に微笑みを絶やさない」パンドラムーブの弊害。それが悪癖と呼べるかどうかは……。



・エキドナ成り主

好きな食べ物はミートパイ。好きな言葉は『愛』『夢』『希望』。好きな色は銀。
知識量も多く頭の回転も速いため、少し情報を出すだけで真実に辿り着く。エキドナに成り代わった影響もあるが、そのほとんどは自前のもの。
意外とパンドラや、彼女と過ごす時間を好ましいと思っている。まだ恋愛よりも友愛に近しい感情。今後どうなるかはわからない。



・相澤先生

パンドラに手を抜く悪癖があると思ってる人。取り返しがつかない、ということを言う時脳裏に白雲の顔が浮かんでいる。正しいと言えば正しいけど、パンドラが本気を出したらどうなるか知らないため、なんとか悪癖を失くそうと努力している。その努力が報われることは、おそらくない。だって死んでも生き返るんだもん、そりゃ驕りもするよね。


・飯田天哉

何故か他の人に投票した自分に票が入っていて、不思議に思った人。自分に入れていれば三人同票になったので、惜しいことをしたと一瞬だけ思ってしまった。この後、ちゃんと委員長に就任した。


・記者達

原作よりも、少しだけ雄英に侵入する数が減った。パンドラのことは、何も覚えていない。




個人的に、魔女因子はお互いの権能に対して多少なりとも抵抗があると思ってます。適合率が高ければ高いほど、魔女因子持ちに対して権能を通しやすいし抵抗力を得る、みたいな。『虚飾』の魔女因子は聖女のためにチューニングされた因子ですし、適合率も高いから他の大罪司教に対しても問題なく権能を行使できているのでは……という妄想。正直あまり深く考えていません。何となく相性とか適合率ありそうだよなーってくらい浅い考えです。
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