TSアンドロイドメイドになったので異世界冒険します   作:Revak

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第2話

 

「おや。いい格好になったじゃないか」

 

 二十分後。着替え部屋に戻ってきたディはそういった。

 

「に、似合ってるのか……?」

 

 イナはまだ男だった感覚が抜けておらずこの格好が合っているのかよくわからなかった。

 部屋に鏡があるので自分が美少女だとはわかるが鏡に映っているのが本当に自分なのか疑わしいのだ。

 

 イナはメイド服を着ていた。ミニスカメイド服である。

 黒いメイド服であり中には白いレオタードを着用し、靴は黒いサイハイブーツを採用している。

 非常に似合っていて美しいと言える格好をしていた。

 

「うん。よく似合っているよ」

 

 メイドたちとディに言われイナは照れながらも胸を張った。

 

「それじゃあ一週間君が暮らす家に行こう。ついておいで」

「わかった。ありがとう、メイドさんたち!」

 

 そうしてイナとディは部屋を出た。

 

 

 廊下に出て少し歩くとエレベーターに着く。エレベーターは四つあった。

 右端のエレベーターに乗り込む。

 

「そういやここはどんな国なんです?」

 

 イナが気になっていたことを問いかけた。

 

「国……ではないね。まぁアンドロイドが暮らす地下都市だよ。プッペという地下都市で、国名とかはない」

「へー……アンドロイドが暮らしてるんですか。やっぱSFの世界なんです?」

「いや。どちらかというと剣と魔法のファンタジー世界だよ。私は吸血鬼だしね」

「え、吸血鬼なんですかディさん」

「そうだよ。吸血鬼の神祖だ。これでも千年以上生きている」

 

 ディはそういうが正確には五千年以上である。吸血鬼に寿命の概念はなくディは不死なので死ぬことなく永遠を生きることが出来る。

 

「凄いな……魔法とか俺も使えますかね」

「無理じゃないかな。君アンドロイドで魔法とは無縁の体だし。既にイナはレベル上限マックスまでクラスと種族で埋まってるし」

「あ、レベルあるんですねこの世界」

「あるよ。一から百まで。私は百だけど基本英雄級が三十レベルだよ。君も百レベルはあるけどね」

「それ無双ゲーになりません?」

「なると思うよ。まぁ中には五十レベルとかの奴もいるけどね」

「へぇ……けどそんな世界で俺旅できますかね」

「そのための一週間だよ。一週間特訓しよう」

 

 そうして歩いていると都市長のビルを出る。

 

「……現代日本?」

 

 出た先はファンタジーの欠片もない風景だった。

 空は青く、下は現代建築やビルが立ち並ぶ。

 

「ここは地下にある。あの空は偽物だよ」

「え、あれが?」

 

 気になってイナは空を見上げ、じっと見つめる。

 するとイナのアンドロイドの体が持つズーム機能が発揮される。

 はっきりと目が近づき、モニターであると監察結果が出た。

 

「ほんとだ……てかこの体こんな技能もあるんだ……」

「その体のスペックも把握する必要があるね」

 

 そうして都市長のビルを出て歩道に出る。

 そこには一台のリムジンが止まっていた。

 

 リムジンが自動的に開いて行く。

 

「……靴のまま乗っていいのか?」

「いいよ」

 

 イナはリムジンなど乗るどころか現実で目にするのが初めての為そんなことを聞いてしまう。

 ディは慣れたもので気にせず乗り込み、遅れてイナも乗り込んだ。

 

「すげぇ……」

 

 イナはリムジンの内装に心底驚愕する。

 

「ムルト区スボラ二番地二の二に向かってくれ」

「ワカリマシタ」

 

 ディの言葉に運転手のオートマトンが返答した。

 

 この世界にはオートマトンとアンドロイドで二種類いる。

 アンドロイドは思考能力が人間以上でありあらゆる能力が人間を超えており人間が出来ることは魔法を除きすべて出来る存在だ。

 オートマトンはあえて思考能力を落とし特定の技能にのみ特化させ他存在で個体によってできないことも多いという違いがある。

 このリムジンの運転手はオートマトンだ。人型であり体は銀色ででこぼこのないつるぺたな体にのっぺらぼうの顔である。

 

 暫くリムジンが走る。

 

「……なんか、外歩いている人少なくないです?」

 

 イナが気になった事を問いかけた。

 外を見れば歩いているのはアンドロイドが数人だけ。それ以外にはオートマトンが数十体ほどであった。

 

「そりゃ、この都市の人口は百人だからね」

「百人?! 少なすぎません?!」

「まぁ、私との戦争で生き残ったのがそれだけだからね……まぁボディを作ってないだけでサーバーには多数のアンドロイドの自我データが残っているけど」

「へぇ……データがあれば復活できるんすね」

「ああ。イナもアクセスしようとすればアクセスできるはずだよ」

「マジすか。試してみます」

 

 そうしてイナはアクセスを試みた。

 

「うわっ……」

 

 瞬間襲い掛かるのは情報の濁流だ。

 多数の人間の言葉を一気に浴びせられたかのように頭が混乱する。

 イナはどうにか自分が処理しやすい形に演算し、少しすると落ち着く。

 

20:イナ

 初めまして、イナです。何もわからない新人ですがよろしくお願いします。

 

21:名無しのアンドロイド

 新人キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 

 

22:名無しのアンドロイド

 中身人間とはマザーも思い切ったことをする。ようこそ、アンドロイドスレへ

 

23:名無しのアンドロイド

 何かわからんことあったらうちらに聞きなー

 

24:イナ

 落ち着いたらまた質問に来ると思います。それではまた! 

 

 

 

 それだけ言ってスレを出た。

 イナの分かりやすい形である掲示板形式にしてもらったがこれでアンドロイドたちからあらゆる情報を得られるだろう。

 

「ネットの掲示板にアクセスしたみたいになりました」

「そうなのか……あぁ、それと。地球……元居た世界のネットにも繋げられるよ」

「マジすか?!」

 

 慌ててイナはネットに繋げようと己の機能を行使する。

 すぐに繋がり、世界定期に有名な検索ページが開かれた。

 そこから更にSNSやアニメ配信サイトに繋がった。

 

「おぉ……ネット万歳……」

「オタクにとってネットは無くてはならないものだからね。ただ今のところは向こう側に書き込みするのは制限あるから気を付けてね」

「わかりました! ネットが転生しても使えるだけ最高っす!」

 

 そうして話していると目的地にたどり着く。

 リムジンが止まり、ドアが開く。

 イナとディが降りると着いた先は豪邸だ。

 

「でっか」

 

 イナは家を見上げ呟いた。

 三階建ての大きな建物だ。庭が学校の運動場ぐらい広い。

 

「ここが私の家だよ」

「ディさんの家なんですか?」

「ああ。といってもこの都市での別荘に過ぎないけどね」

「別荘ってことは、他に家持ってるんです?」

「ああ。ここの外の別の大陸に城を持ってる。一国一城の主さ」

「え、てことは女王様?」

「そうともいうね」

「……もっとうやまった方がいいすか?」

「別にしなくていいよ。それに何なら敬語も使わなくていい。この世界、敬語を使うやつは舐められるから外でも格式ばった場じゃない限り使わない方がいいよ」

「わ、わかりまし……わかった」

「それでよし。中に入ろう」

 

 庭を通って 屋敷の中に入る。中は玄関ホールになっている。

 

 玄関の二階に上がる階段前にメイドが居た。

 金髪碧眼の整った容姿をしたアンドロイドのメイドだ。もちろんメイド服を着ているがイナのようにミニスカメイドではなくきちんとしたメイド服を着ている。

 

「お帰りなさいませ、ディ様」

「ああ、ただいま。前言っていた客人だ」

「初めまして、イナ……だ」

「イナ様ですね。これからのご予定は?」

「まずは部屋に案内。その後イナは今日一日はゆっくりするといい。明日から本格的に動くことになるから、今日は英気を養うこと」

「わかりました」

「わかった」

 

 そうしてイナはメイドに案内され自分の部屋へと連れていかれた。

 

「ここが貴女の部屋になります。自宅だと思いおくつろぎください」

「ありがとう」

 

 イナはサイハイブーツを脱いで部屋に上がる。

 

「おぉ……」

 

 通された部屋は豪華な物だ。

 居間と寝室に別れており入ってすぐは居間、リビングになっている。

 ソファとテーブルがあり、壁側には薄型のテレビもあるし、パソコンもある。

 まるで現代の部屋のようだとイナは思った。

 

 なんとなくでテレビをつける。

 そこには地球の日本のニュース番組が流れていた。

 

「えぇ……?」

 

 ここは異世界ではなかったのかとイナは遠い目をし、テレビを消した。

 

 次にこの世界のアンドロイドのネットワークにアクセスする。

 

 

100:イナ

 この世界に来た転生憑依者のイナです! この世界について聞きたいんですがいいですか? 

 

101:名無しのアンドロイド

 おっさっき居た新人ネキじゃんおっすおっす

 

102:名無しのアンドロイド

 何が聞きたい? お姉さん(大事)たちが手鳥足取り教えてあげよう

 

103:イナ

 はい。まずこの世界剣と魔法のファンタジーって聞いたんですけどなんで機械文明のはずのアンドロイドがいるんですか? 

 

104:名無しのアンドロイド

 それはね、マザーが銀河の果てから来た機械生命体だからだよ。

 この星に着弾して侵略した結果機械文明が一部生えたのさ。

 

105:イナ

 へぇ。てことはここ以外は純粋な剣と魔法の世界って感じですか? 

 

106:名無しのアンドロイド

 そう言う事になるね。魔法とかあるしモンスターも多数いる。ダンジョンだってあるよ。

 

107:名無しのアンドロイド

 魔法は環魔法って呼ばれてて召喚魔法や信仰形魔法、魔力系魔法とか死霊系魔法とかある。

 一環から十環まであって外の平均は第三環魔法だね。その魔法から空とか飛べるよ

 

108:名無しのアンドロイド

 まぁうちらは一切使えない魔法技術なんですけどね。

 ただ魔法道具(マジックアイテム)ってのがあってそれならある程度誰でも使えて大量にあるよ。

 巻物(スクロール)とか短杖(ワンド)は使えないけどね。

 

109:名無しのアンドロイド

 魔法道具(マジックアイテム)は基本動力なしで動くとかいうトンチキアイテムで中には強力なのもあるから外に出るイナネキは気を付けた方がいい

 

110:イナ

 警告ありがとうございます! なんで私が外に出るって知ってるんです? 

 

111:名無しのアンドロイド

 そりゃマザーが大々的に宣伝してたから……

 

112:名無しのアンドロイド

 中身も人間とかいうやべーの作るって宣伝して制作過程も載せてるからな

 

113:名無しのアンドロイド

 カタログスペックだけなら星を焦土に出来るレベルのスペック持ってるからね君

 

114:イナ

 えっなにそれこわい

 

115:名無しのアンドロイド

 ま、それだけのスペックあればまず苦戦とかしないし無双ゲーになると思うから、気楽にするといい

 

116:名無しのアンドロイド

 目的おえたらこの都市でのんびり暮らせるだろうしな。日本のオタク文化はいいぞ^~これ

 

117:名無しのアンドロイド

 やりますねぇ

 

118:名無しのアンドロイド

 他に気になることはあるかい? あったら旅立つ前に聞いた方がいい

 

119:名無しのアンドロイド

 でしたらディ・フランケリヒさんについて聞きたいんですがいいですか? 

 

120:名無しのアンドロイド

 ああ、あの吸血鬼ネキか

 

121:名無しのアンドロイド

 あの人は……うん……あの人は……ね

 

122:名無しのアンドロイド

((((;゚Д゚))))ガクガク

 

123:イナ

 えっなにかまずいこと聞いちゃいました? 

 

124:名無しのアンドロイド

 いや不味くはないんだけど、うちらディさんに一回ぶっ飛ばされてるのが大半だからね……

 

125:名無しのアンドロイド

 二百年前一つの大陸を九割支配していたときに突如現れてうちらの拠点破壊して回ったやべー女だ。面構えが違う

 

126:名無しのアンドロイド

 まず間違いなく神々を除けば最強の存在ではあるよな

 

127:イナ

 そんなに強いんですね……人格とかは聞いても? 

 

128:名無しのアンドロイド

 基本は穏やかな人だけど、一国の女王だから国の利益の為なら非情な決断や行動も問わない人だね。ただそういったことはまずしないけど

 

129:名無しのアンドロイド

 日向ぼっことか草原でティータイムするのが趣味の穏やかな人だよ。ただ戦闘になると苛烈になるけど

 

130:名無しのアンドロイド

 信頼できる人ではあるね。マザーが今生きてるのもあの人のおかげではあるし

 

131:イナ

 情報、ありがとうございます。

 

132:名無しのアンドロイド

 いいってことよ

 

133:イナ

 それで、私の目的である兵器工場の破壊ですがどうやって破壊すればいいとかわかります? 

 

134:名無しのアンドロイド

 んなもん爆撃で一発koよ

 

135:名無しのアンドロイド

 真面目に言うなら専用のオートマトンマザーが作ってくれるらしいからそいつにコアのハッキングとかしてもらって機能停止させる感じになるね

 

136:名無しのアンドロイド

 ただ戦闘はどうしても避けられないから戦闘訓練は真面目にこなしな

 

137:名無しのアンドロイド

 イナネキのスペックって通じるかわからんがうちらアンドロイド用の格闘戦闘プログラムうぷしとくわ

 ttps:battleprogram.

 

138:イナ

 ありがとうございます! インストールしておきます! 

 

139:名無しのアンドロイド

 他にも何かあったら聞くんやで

 

140:名無しのアンドロイド

 初心者は囲んで守らなくてはならぬからな

 

 

 その後も色々と話した後、イナは無料のアニメ配信サイトでアニメを見て過ごした。

 

 夕方になって部屋にノックがかかった。

 

「お食事の時間になりました。食堂でご夕食となります」

「わかった、すぐ行く」

 

 そういうとイナはソファから立ち上がり部屋を出る。

 廊下に居たのはメイドではなくオートマトンだ。

 銀色の体にのっぺらぼうの顔という少し怖いフォルムの機械だ。

 

「どうぞこちらへ」

 

 そう言われイナは着いて行く。

 二階のある部屋に入ると其処は長い机がある部屋だ。

 奥の椅子にはディが既に座っている。

 イナも向かい合うように椅子に座り、気になっていたことを問いかけた。

 

「晩御飯らしいけど、俺って飯食べれるのか?」

「食べれるよ。食べたものは全てエネルギーに変換できるからエコだね」

「エネルギー……この体って何で動いてるんだ?」

「空気中の水分を元にした超圧縮ブラックホール炉だね」

「ブラックホール? え、それがエネルギー源なのか?」

「そうらしいね。詳しくは私も知らないけど、まぁ事実上の永久機関と思ってくれればいい。自己修復機能もあるから壊れることなく永遠を過ごせる」

「すげぇな」

 

 そうして話しているとメイドが料理を持ってくる。

 パンとスープ、ステーキにサラダだ。

 

 いただきます、と二人は手を合わせて食事を始めた。

 

 

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