TSアンドロイドメイドになったので異世界冒険します   作:Revak

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第3話

 

 翌日。朝の九時にイナとディは庭に立っていた。

 既に朝食も食べ終え運動にはちょうど良いころとなっている。

 

 イナは食事をしたが排泄をしていない事に気づいたがこの体すげぇと思考を停止していた。

 

 庭で二人が構える。

 

「行くよ」

「はいっ!」

 

 外にはどんな脅威があるかわからない。そのための戦闘訓練だ。

 まぁそのスペックだけで並大抵の敵は一撃死させれるので訓練は不要かもしれないがしないでおくよりましだろうといの事だ。

 

 ディが素手で殴りかかる。

 踏み込みからして技術のある攻撃だ。ディは基本刀を使った戦いをするが素手でも戦えるよう訓練を積んでいる。

 この世界には多種多様なモンスターが存在し中には斬撃を無効化する敵なんてものもいるからだ。そういった相手には打撃でしかダメージが入らない。

 

 ディの打撃をイナは見てから動いて回避するがその動きに無駄は多い。

 どうにか頑張ってディの三連撃を回避する。

 

 三連撃後にディがわざと隙を晒すとイナがチャンスとばかりに殴り掛かる。

 だがディはイナの腕をつかんで回し、腕固めを決めた。

 

「い、痛くはない!」

 

 見た目は痛そうだがアンドロイドなので痛覚が無いので痛くはないとイナは叫んだ。

 

「うーん。弱いね」

 

 そういうとディは腕を離した。

 

「もう一回やろうか」

「はいっ!」

 

 イナも今度は本気でやろうと構え、前インストールした戦闘プログラムを起動する。

 イナから突撃した。

 イナの目に相手の動きの行動予測が見え、自身の動きが最適化される。

 

 達人の動きを持ってイナはディに殴り掛かる。

 動きの無駄を極限まで削り最適化された行動。

 元のスペックの高さを生かした一撃一撃が即死級の殴打の連発。

 特殊能力(スキル)こそ習得できていないため使えないがそれでも強力な攻撃。

 

「うん。いいね」

 

 だが、相手も達人。余裕の笑みで対応される。

 イナの殴りを素手ではじく。

 イナの精密機械のような攻撃をディは淡々と捌いて行った。

 

 次に動いたのはディだ。足蹴りを放ってイナの体勢を崩そうとする。

 それを戦闘プログラムで先読みしたイナが同時に足蹴りを放ち相殺する。

 

 徒手空拳が交差する。

 

 イナが頭突きを放った。ディの頭に命中する。

 鋼鉄程度なら破砕する威力を持つ頭突きだ。人間が喰らえば頭蓋骨が破損して死ぬ威力である。

 だがディもレベル百の超越者の頂の存在。へこむことすらなく耐えた。

 お返しとばかりにディは右手から血の刃を生成した。

 掌から刃渡り九十センチほどの刀のような刃だ。赤黒い刃である。

 

 それを持ってイナに斬りかかるもイナはバックジャンプで回避した。

 

「うん。動きはいいね。けど、イナの本領はそこじゃない」

 

 ディはそういうと血の刃を消した。

 

「というと?」

「君の能力構成はガンナー……銃使いの構成だ。それに、奥の手としての機能が二つある。まずは銃から行こう。ちょうどコレも来たし」

「?」

 

 イナが疑問に頭をひねるとふわふわと箱が飛んできた。

 バスケットボールより二回りほど大きい程度の四角い白い箱だ。

 箱の正面にはカメラのレンズがついている。

 下部には黒いロボットアームが二つ付いているが間に板が一枚入っている。

 上部の真上から見て左下には小さいパラボラアンテナがついている。

 

「これはオートマトン。能力は幾つかあるが、まぁ便利な箱だと思ってくれればいい」

「随行支援ロボット。個体名は無し。よろしくお願いします。マイマスターイナ」

 

 箱型のロボットは渋い男の声でそう言い、箱を少し曲げた。

 

「よ、よろしく。個体名がないって、名前がないのか?」

「肯定。随行支援ロボットゼロゼロイチを管理番号としてあるが人間の常識ではこれは個体名とは呼ばない」

「そうか……それじゃあなんだし、名前つけようか?」

「肯定。推奨」

「いいってことかな……じゃあロボットからとってロボ……だとあれだから、ボロはどうかな」

「感謝。ありがとうございます。これより当機体はボロを称します」

「うん。よろしく、ボロ。それでディ、銃から行くって言ったけど銃はどこに?」

「そいつ……ボロが持ってるよ。ボロはこの世界の魔法技術と科学技術を合わせて作った最新のオートマトンでね。異空間に物資をしまうことが出来るんだ。ボロ。サブマシンガンを二丁出してやってくれ」

「了解」

 

 ボロは虚空からサブマシンガンを二丁出した。

 白い輪が銃に着いて行檻それで浮遊させている。

 イナは恐る恐るサブマシンガンを手に取る。

 

「意外と軽いな」

「それはイナの筋力値が高いからだ。それ二十キロあるからね」

「えっ怖い」

「まぁ自動リロードとか組み込んだらそれぐらいいったらしいよ。じゃあそれ使って弾当てしようか」

「弾当て?」

「うん。私を的にして撃つんだ。百発百中とはいかなくとも命中精度八割は行ってほしいな」

「それ的のディは大丈夫なのか?」

「不死だから大丈夫。再生するから」

「痛くはないので?」

「痛みを感じる瞬間が生を実感できるから大丈夫」

「それは大丈夫と言わないやつでは……?」

「いいから、やろうか」

 

 二人はある程度の距離をとる。ボロがイナの斜め左上に浮いた。

 

「じゃ、行くぞ」

 

 イナが右手にサブマシンガンを持ち撃った。

 ディは走ることで回避する。

 イナはこれならいいやとバカすか撃ちまくるが一発とてかすらない。

 ならばと左手のサブマシンガンでも打ち始める。

 銃の反動が来るが体勢は崩れない。イナ自身二百キロあるからだ。

 だが、それでも弾は当たらない。

 

 ディは跳躍しイナの後ろに着地した。

 それを追いながら撃っていたが一発も当たらぬことにイナは顔をしかめた。

 

「君、命中補正のプログラムとか使ってないの?」

「あ、忘れてた」

「じゃあそれインストールしてからもっかいやろうか」

「はい。待っててくださいね」

 

 イナは掲示板にアクセスする。

 そこで射撃補正のプログラムを聞き作ってもらいインストールした。

 

「ダウンロード完了です。もっかいやりましょう!」

「よし。やろうか」

 

 再び距離をとる。

 

 おもむろにイナはサブマシンガンを放った。

 先ほどは単に銃口をディに向けただけのそれがきちんと弾道を予測し構えた。

 ディの体に十数発命中する。もちろんディは回避行動をしている。本気ではないが。

 

「やるね」

 

 ディはそういうと右手から血の刃を形成。それを特殊能力(スキル)で強化する。

 この世界には特殊能力(スキル)がある。

 レベルアップや他者からの伝授、自力での開発などで会得できる。

 レベル割る五分発動可能で<肉体向上>などのステータス上昇や<斬撃>などの攻撃力上昇がある。

 ディが使ったのは<魔化>という特殊能力(スキル)で使用している武器を一時的に魔法武器化するというものだ。これで血の刃が強固になる。

 それ以外にも常時発動型(パッシブ)特殊能力(スキル)という常に発動する特殊能力(スキル)がある。これは使用可能数に入らない。

 剣攻撃力上昇や銃威力上昇などがある。イナは銃系統の威力上昇や命中率上昇の常時発動型(パッシブ)特殊能力(スキル)を持っている。

 

 ディは血の刃を使い弾丸を切り払う。

 並外れた人の域を超えた動体視力と反射神経があって成り立つ芸当だ。百レベルだからできる。最もただの弾丸を斬るぐらいならレベル十五ぐらいからできるが。

 だがイナの弾丸全てを斬り祓う事は出来ずに割ほど体に受ける。

 

 ディのドレスに穴が開いていく。

 体を貫通しダメージが蓄積する。

 

 ディは血の刃を消し背中から血で出来た翼を生やし空に飛んだ。

 それに臆することなくイナも銃口を向け放つ。

 空を飛んで逃げ回るディに対しイナはどんどん量で銃を放つ。

 

 ディも回避するが三割ほどは当たってダメージを負う。

 

 ディは飛んでイナの前に戻り着地する。

 

「銃撃はこれぐらいにしようか。他の銃も使ってみよう」

「わかった……これ、リロードとかしないでめちゃ撃てたけどどうなってるんだ?」

「ボロと連携することで自動リロードが可能になってる。弾は工場で生産したのを異空間経由で即補充。まぁ玉切れはないと思っていいよ」

「すげぇなファンタジー」

 

 イナはそういうとボロに思考で指示を出しサブマシンガンを仕舞う。

 次に出すのはハンドガンだ。

 

 ハンドガンを使い、そのあとまた別の銃を出すのを繰り返す。

 他にはショットガン、スナイパーライフル。ロケットランチャーにグレネードランチャーなどの重火器をディ相手に試し打ちする。

 

 それらが終わって昼飯の時間になったので昼食をとってまた庭に二人集まる。

 

「じゃあ、次はその機体のメインウェポンを試そうか」

「わかった。何が出来るんだ?」

「メイン機能は三つ。だけど三つ目を使うとまぁ大変なことになるから使わない方がいい。それ以外の二つの名は<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>と<左の赦免(アブソリューション・レフト)>だ。まずは<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>から試そうか」

「わかった……どうやるんだ?」

「……気合?」

「えぇ……」

 

 よくわからないが気合で起動しろとイナは念じる。

 

「えーじゃあ、右の断罪(ジャッジメント・ライト)、起動!」

 

 そういうと右手の掌が光る。

 黄色い光の粒子となって消え、手首の先から光の刃が出された。簡単に言えば黄色いライトセーバーだ。

 

「えっ凄いライトセーバーだ」

「君スターウォーズ見たことあるの?」

「ないっす」

「ないんかい」

 

 すげぇーとイナは刃渡り……刃が無いので正しい表現かわからないが兎も角百センチの刃の<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>を振り回す。

 

「じゃあそれで斬り合おうか」

「わかった! どんな敵でもかかってこぉい!」

 

 気合を込めてイナは突撃し、対応するようにディは右手の掌から血の刃を生成した。こちらは刃渡り九十センチだ。

 

 ディが地の刃で受けようとし──<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>によって簡単に斬られた。

 

「あぁ、まぁそうなるか」

 

 そのまま<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>がディの胸を斬り裂いた。

 

「うおっ大丈夫?!」

 

 イナは思ったより深く斬れてしまったと慌てて<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>を消した。

 

「大丈夫。すぐ治る」

 

 ディはそう言うと再生能力を活性化させすぐ治す。

 

 胸がころびでる。ドレスが斬られたからだ。

 ドレスも直っていく。ドレスはディの血で作ってあるから修復も容易だ。

 

「それ、基本何でも切れる剣だね。相手の防御行動は意味をなさない。強力なカードだ」

「ライトセーバーつえぇ」

「ライトセーバーじゃなくて<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>ね」

「じゃあ次……に行く前に外に出ようか」

「? ここは外だが」

「いや、地上の方さ。<転移門>(ゲート)

 

 ディがそう魔法を唱えると黒い渦が生じた。

 黒い靄が集まって生まれたゲートであり最上位の転移魔法だ。

 

「魔法だ! すげぇ!」

 

 生まれて初めて見る魔法にイナは興奮する。

 

「さ、ここを通るよ。ついておいで」

 

 そう言われイナはディに着いて行って<転移門>(ゲート)を潜る。その前に右手を元に戻しておいた。

 

「おぉ……」

 

 出た先は荒野だった。

 草も生えぬ荒野であり所々に枯れ木が残っている。

 大地は枯れ、死んだ土地である。遠くには富士山を超える標高を持つ山が見える。

 

 イナが外を見上げる。そこには青空が広がっていた。

 イナの強い視力で見れば青い月も見える。

 

「それじゃあ左の武装、<左の赦免(アブソリューション・レフト)>を使おうか」

「わかった……<左の赦免(アブソリューション・レフト)>、起動」

 

 そういうと左手の手首から先が消えた。

 光の粒子となって消え、光の輪に変わる。

 三つほどの輪が重なって左手首先に浮かぶ。

 

「じゃああの山に向かって撃ってみよう」

 

 ディが指さした先は巨大なはげ山だ。

 全高四千メートルほどの山である。

 

「わかった」

 

 左手首先を山に向ける。

 

「発射!」

 

 イナがそう叫ぶと小指ほどの小さな光の粒子が光の速さで放たれた。

 着弾と同時に大爆発を起こす。

 巨大な爆炎が上がる。爆炎が二人の立っている場所まで届く。

 

 巨大な、巨大すぎる大爆発。

 直径百キロにも及ぶ大爆発が起こった。

 

 煙が晴れた後、着弾地点の山は綺麗に消えてなくなり、巨大なクレーターが残っていた。

 クレーターも五十キロを超える巨大なへこみだ。降りたら登るのに丸一日以上かかりそうなクレーターである。

 

 二人は呆然と立ち尽くしていた。

 暫く経ってから、イナが正気を取り戻し叫んだ。

 

「……火力頭おかしくないこれ?!」

「うん。おかしいね」

 

 富士山以上の山を一発で消し飛ばすというヤバすぎる火力を前にイナは発狂した。

 

「いやぁ。うん。こんなの人の都市に向かって撃ったらまず消し飛ぶね」

「頭おかしいんとちゃうこれ作った人」

「作ったのは人じゃなくて機械だけどね。まぁ次から使用するときは出力抑えて使おうか」

「あ、そっか、何もフルパワーで常に使う必要ないもんな。それじゃあ……一パーセントで行こう」

「それでも半径一キロ消えるけど」

「あかん火力じゃねぇか。じゃあ0.1パーセントだ!」

「それでも百メートルとかいう頭おかしい火力だけどね」

「火力高すぎると使いにくいな……」

 

 取りあえず使ってみよう、とイナは今度は0.1パーセントの出力で適当に放った。

 

 今度は常識的な規模の爆炎が起こり百メートルほどのクレーターを残した。

 

「これ普段は<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>と銃だけでいいな」

「そうだね」

 

 取りあえず<左の赦免(アブソリューション・レフト)>は切り札として温存しよう。二人はそう決めた。

 

 

「ま、君には他にも機能あるから、一週間かけて把握するといい」

「わかった。よろしく頼む」

 

 

 こうしていろいろと機能を確認しながら一週間を過ごすのだった。

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