TSアンドロイドメイドになったので異世界冒険します   作:Revak

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第6話

 

 夕方の五時頃。イナたちはダンジョンから出てギルドに入った。

 

「これが今日の稼ぎです!」

 

 ダンジョンから帰ったイナとプサイロンドの一行はギルドの換金所で大量のドロップアイテムの山を吐き出した。

 全てボロが収納していた物であり、軽く百は超えているだろう。

 

「いやー楽勝だったね」

 

 イナが笑顔でそう言った。

 

「お前はそれを言う立場にないだろ」

 

 マックスが渋い顔をし、イナも「はい……」としょんぼりした。

 

「おう、今鑑定するから待ってろ」

 

 イナの登録をした禿げたおっさんの受付が眼鏡をかける。

 この眼鏡は魔法道具(マジックアイテム)だ。鑑定魔法が込められている。

 

 この世界には魔法道具(マジックアイテム)という魔法を込めた道具が存在する。

 その中にも使い捨ての消耗品型などがあり、巻物(スクロール)などはその魔法が使えるクラスについている者ならば使えるアイテムで一度きりの使い捨て。短杖(ワンド)は一定回数まで使えるが回数を超えると壊れる。

 さらにポーションというHPや魔力を回復するアイテムも存在する。

 

 作るには込めたい魔法を習得し道具に専用の魔法を使う事で魔法道具(マジックアイテム)に出来る。

 

 魔法の習得は四種類ある。

 

 レベルアップによる自動習得。魔導書などの魔法道具(マジックアイテム)による習得。自己開発、他者からの伝授の四種だ。

 レベルアップ時に三つの魔法が選択肢に出る為そのうちの一つを選ぶことで魔法を習得できる。

 

 おっさんが鑑定をし、アバカスで計算していく。

 

 五分ほど待つと計算が終わる。

 

「よし。これが今回の報酬だ」

 

 おっさんは引き出しから五枚の万札を取り出した。

 

「さんきゅー、それじゃ分配すんぞー」

 

 マックスが仲間たちに一枚ずつ渡す。

 イナにも一枚渡した。

 

「あれ、俺にもくれるの?」

「そりゃそうだろ。報酬なきゃ生きていけないだろ」

「いや、ボーダーだからピンハネされるかなって」

「他だとあるかもしれないがうちは資金は仲間持ちだからな。消耗品もそこから出すことになっている。パーティ資産なんてものはねぇ」

「わかった」

 

「それじゃあ今日は一時解散だ。イナ、明日の八時にはギルドに来てくれ。それまでは自由時間だ」

「わかった。それじゃあ宿を探してくる」

 

 それじゃあなーとイナはプサイロンドと別れた。

 

 ギルドから出てイナはボロに問いかける。

 

「ボロ。この街のよさげな宿を探してくれ」

「了解」

 

 ボロの聴覚……と言っていいのかわからないが兎も角集音能力や探知能力は優れている。

 それらの情報をもとにマシな宿を探すぐらいはわけないのだ。

 

「目標地点をマップにマーク」

「さんきゅー」

 

 イナの視界の左下にはミニマップがある。表示のオンオフも当然可能だ。

 ミニマップの最短経路に従い歩いて行くと十分ほどで目的地の宿に着いた。

 三階建ての石性の建物だ。

 

 木のドアを開けて中に入る。

 

「いらっしゃい。暖かい飲み物に暖かい食べ物があるよ」

 

 入ってすぐは受付。左手側に食事処がありそこにはテーブルと椅子が複数ある。

 

「すみ……あー、一部屋借りたいんだけどいいかな」

「いいぞ。相部屋なら二千セラ、一人部屋なら四千セラだ」

「一人部屋で頼む」

「わかった……これが部屋の鍵だ。二階の一番手前の部屋を使え」

「ありがとう。飯も食べたいんだけどお勧めは何?」

「そりゃこの街ならダンジョンバッドのから揚げとパンのセットだ」

「わかった。じゃあそれも頼む」

「から揚げセットは八百セラな。ここで払え」

「わかった」

 

 イナはボロから財布を取り出し財布から四千八百セラ取り出して支払った。

 

「まいど。適当なとこに座って待ってろ」

「あいよー」

 

 イナは食事処の方に行き空いている一人席に座って待つ。

 待つ間暇なので地球の動画投稿サイトを開いてみる。音も画面もイナにしか認識されない。ボロを使えば他の人間にも見れるようにできるが。

 

 少し待つことでパンとから揚げセットがやってくる。

 

「いただきます」

 

 そう言って食べ始める。

 

(うん。美味い)

 

 最初は蝙蝠のから揚げと聞いて忌避していたが実物を食べると実にうまい。

 鶏のから揚げよりジューシーで旨味もある。

 これは白飯が欲しくなると思いながらパンをかじる。パンは少し硬かったがE7のあごの力なら問題なくかみちぎれた。

 今更だがE7の体にも味覚はある。やろうと思えば成分分析も可能だ。

 一人寂しくイナは食事をしたのだった。

 

 

 

 

 ■

 

「これが宿の部屋……」

 

 二階の借りた部屋に入ったイナはおぉ……と感嘆の息を漏らした。

 こうして宿に泊まるのは修学旅行以来である。しかも今度は一人。

 

「まずは風呂……だけど……」

「回答。この宿に風呂の設備はない。お湯で体を洗う事ならば可能」

「まぁ、異世界はそんなもんだよな……」

 

 プッペのディの館に居た頃は毎日風呂に入れたが他の宿に風呂はあまりない。

 あるとするならば高級宿であり今のイナが支払えるレベルの施設ではない。

 

 イナは服を脱いでからシャワールームに入る。

 中には下水道と魔法道具(マジックアイテム)であるお湯作成の蛇口(クリエイトホットウォーター・フォーセット)水作成の蛇口(クリエイトウォーター・フォーセット)がある。

 お湯作成の蛇口(クリエイトホットウォーター・フォーセット)は名の通りお湯を一日二百リットルまで生成可能で水作成の蛇口(クリエイトウォーター・フォーセット)は水を一日二百リットルまで生成可能だ。

 これらの魔法道具(マジックアイテム)があってもそも宿屋に風呂桶を置いておくスペースが無いという問題があるので風呂が無いのだ。

 因みに部屋にトイレもない。一階に共用のトイレがあるのみだ。ちなみに男女兼用。

 

 E7はトイレに行く必要がないのでトイレに行くことはないが風呂は必要ではある。

 老廃物はでないが外の砂や塵、埃で汚れるからだ。

 

 備え付けのタオルをお湯で濡らしてから体をごしごしと洗う。

 力強いが女の肌の用にやわではなく鋼鉄を優に超えた魔法の合金製の体なので傷などつきようがない。鉄のたわしで洗ったって傷がつかないのだ。

 それで体を洗った後、バスタオルで体を拭いてからバスルームを出て、全裸のままベッドに転がった。

 

「ボロー、明日の七時に起きるようセットしてー」

「了解」

「じゃあおやすみー」

 

 E7に睡眠機能はないがスリープモードはある。といっても一時的に意識を失うだけで夢を見るようなことはないが。

 そうして眠りに入るのだった、

 

 

 

 ■

 

 一週間が経った。その間、特に問題は起こらなかった。

 イナの監視も問題なく、まぁ問題起こすような人間ではないだろとマックスが判断したことでプサイロンドと離れても良いことになった。

 朝の八時頃。ギルドでマックスとイナが話していた。

 

「それじゃあ今日からソロ活動するらしいが……変なことすんなよ」

「そこは気をつけろよとか頑張れとかじゃないん?」

「お前クソ強いから心配する必要ないだろ」

「まぁそうだけどさ、そこはほら、先輩に心配してほしいっていうか……」

「変な奴だな……まぁあれだ、気をつけろ」

「おう! ありがとな!」

 

 イナは笑顔を浮かべた。

 その笑顔にマックスは少しくらっと来た。

 見た目だけは完璧美少女のイナである。女っ気のないマックスが惹かれるのも無理はなかった。

 

「おーいイナ、こっちこい」

 

 そうしていると受付から声がかかった。

 それにイナは返事をし受付に進む。

 

「よし。これが今日からのお前のランク、Eランクだ。前のプレートは返せ」

「あれ? もうランク上がるのか?」

「お前は実力も充分あるし変なことをしない、バックレや契約不履行もしないからな、Eランクには簡単に上がれるんだ」

「ほへーそうなんだ」

 

 イナは木のプレートを返し銅のプレートを受け取った。

 首から下げる。

 

「それじゃあ今日から依頼を受けることも可能だ。といってもEランクで受けれる依頼は少ないが、まぁ好きにしろ」

「さんきゅーおっさん!」

「おう、それじゃあな」

 

 イナはクエストボードを見に行く。

 Eランクで受けれる依頼は鉱夫ゴブリンのドロップアイテムや鉱石の採取などだ。

 一定数の入手が求められる。

 

 クエスト紙を幾つか持って受付に行く。

 

「なぁ、これらの依頼全部受けることは出来るか?」

「それはDランクから可能だ。Eランクなら一つの依頼だけにしろ。といってもドロップアイテムの買取はしてるから金が少し減るだけですむぞ」

「わかった。あ、それとボスモンスターって勝手に倒していいのか?」

 

 イナのその台詞に受付は鼻で笑った。

 

「倒せるもんなら倒してみな」

「おっけー、じゃあ倒してくる」

 

 イナは鉱夫ゴブリン討伐の依頼だけ受けてギルドを出てダンジョンに向かった。

 

 

 

 

 ■

 

 ダンジョンに入ったイナは両手にハンドガンを握った。

 形としてはM1914に近い形の銃だがピンク色なうえ横にウサギのワッペンのようなものがついている。

 一応装弾数は七発だがボロの力で常時リロード状態なので無限に弾を撃てる。

 余談だが撃った後の弾やから薬莢はボロが回収しプッペの工場に送ることで再利用している。

 

 イナはダンジョンをBGMを流しながら進む。流すのはゲームのBGMだ。

 ミニマップに敵の位置を表示しする。小さく名前も表示することでどのモンスターかも判別可能だ。

 

 少し歩く事で鉱夫ゴブリンに遭遇する。

 

 ゴブリンはピッケルで襲い掛かってくる。それに対しイナはハンドガンの弾を放ち眉間を正確に打ち抜いた。

 ゴブリンがドロップアイテムに変わり、ボロが収納する。

 

「よし、この調子でいくぞ!」

「了解」

 

 

 

 

 

 二時間後。

 イナとボロはこのダンジョンの最終層の第六層に来ていた。

 

「邪魔するぞオラぁ!」

 

 イナはそう叫びながら第六層の二つの部屋の一つ、ボス部屋に入った。

 

 そこは円形上に広がった坑道内だ。

 中央には黒い球体がある。

 

 イナが少し近づくと球体からブー、ブーというブザー音がなる。

 音に警戒しイナが止まると球体が飛びあがる。

 球体の下部分から足が二つ生え、横から手が生え上部分から小さい球体が出て頭となる。

 このダンジョンのボス、スフィアゴーレムだ。レベルは二十。

 ドロップアイテムは多数の鉱石のインゴットとゴーレムコア。

 ゴーレムコアはゴーレム作成時に使用することでゴーレムのレベルを上げることが出来るというアイテムだ。スフィアゴーレムはプラス五レベル出来る。

 

「ボロ! ロケラン!」

「了解」

 

 ボロが異空間からロケットランチャーを取り出した。

 一発装填型のロケットランチャーだ。

 

 イナは肩に担ぎ構えると引き金を引いた。

 先端がとがったロケットランチャーのミサイルが放たれた。

 常時発動型(パッシブ)特殊能力(スキル)で強化されたミサイルだ。速度も威力もただのロケランとは桁が違う。

 回避も防御も出来ずボスはその体に受けてしまい爆発を起こす。

 爆発が消えた後、残ったのはドロップアイテムのみ。

 

「しゃあ! 勝利!」

 

 いえいとイナは左手でブイサインをし、ロケランを仕舞った。

 

「ボロ、回収」

「了解」

 

 ボロに頼みドロップアイテムを回収する。

 

「ん、なにこれ」

 

 イナはあるアイテムを拾う。

 赤い球体だ。手のひらサイズのソフトボールほどの大きさの球体である。

 

「解析完了。アイテム名ゴーレムコア。ゴーレム製造時使用することで最大レベルをプラス五出来るアイテム」

「へー。まぁゴーレムが落とすアイテムはそんなものか……回収しといて」

「了解」

 

 ボロがアイテムを収納する。

 ボスが倒されたことで障壁が消え進むことが出来るようになったのでイナとボロは奥へと進む。

 

 進んだ先には横に大きい宝箱が一つと魔法陣が一つ。

 宝箱はダンジョンに生成される魔法道具(マジックアイテム)やポーションが入った宝箱で魔法陣はダンジョンの外まで転移できる帰還の魔法陣だ。

 

「おったからおったから~」

 

 音符マークでもつけてそうな上機嫌で歌いながらイナは宝箱を開けた。

 

 中には金のインゴットが四つと禍々しい雰囲気の黒い斧が一つ入っていた。

 

「ん-、ボロ鑑定できる?」

「可能。斧を解析…………解析完了。アイテム名悪魔の斧。カルマ値がプラス以上の相手に追加ダメージを発生させる斧」

 

 カルマ値とは罪や善行によって変動する数値の事だ。

 最大値五百、最低値マイナス五百である。

 だいたいプラス三十ぐらいが正義感のある警察程度で百もあれば聖人レベルだ。

 五百もあればそれは菩薩か何かである。

 逆にマイナス十くらいは一般人でマイナス二十が犯罪者。マイナス五十にもなると思想犯クラス。六十を超えると歴史に名を遺す大犯罪者クラスだ。

 五百は世界を滅ぼしうる大魔王クラスである。

 

 

「ん-、売ればそこそこの値段にはなるかな。収納しといて」

「了解」

 

 こうしてイナの初めてのボス討伐は終わった。

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