TSアンドロイドメイドになったので異世界冒険します   作:Revak

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第8話

 

「サラマンダーよりはやーい」

 

 荒野を進む馬車の上でイナはそう呟いた。

 この世界のサラマンダーは時速三十キロほどなのでイナが乗っている馬車の時速六十キロには届かない程度なので実際サラマンダーより速かったりはする。

 太陽が斜めに登った朝と昼の中間。イナはアニメを垂れ流しつつスナイパーライフルを持ってボロに探知させていた。

 スナイパーライフルは特注品で最大射程二十キロを誇る代物だ。更に威力もバカ高くアダマンタイトどころかヒヒイロカネすら貫く火力を持つ。

 人体に当てれば吹っ飛ぶこと間違いなしの砲台であった。

 

「報告。西方一キロにオーガ発見。推奨。殺害」

「おっけー」

 

 イナはボロの力でマークされたオーガを発見する。

 スナイパーライフルを構える。

 ボロの力はモンスターや人を発見しマーキングすることも可能だ。一度ロックオンした対象は百キロ離れてても探知出来る。

 

 スナイパーライフルを使うがスコープは使わない。素の目の力で標的を見れる。

 

 オーガは二メートルから三メートルほどの人型のモンスターだ。茶色い肌に牙がついた口が特徴的なモンスターだ。

 服は来ておらず獣の皮をなめした腰みのを付けている。右手には丸太を雑に削っただけの棍棒を持っている。

 雑食性のモンスターで人間を食らうモンスターだ。性的な意味ではない。ゴブリンだって食べることもある。

 

 イナはスナイパーライフルの銃口をオーガに向ける。

 命中補正のプログラムを実行し一キロ離れた地点への狙撃を放つ。

 ドン、という音と共に弾頭が放たれ、オーガの頭が消し飛んだ。

 

「mission complete」

 

 無駄に発音の言い台詞と共に銃口にふっと息をかける。別に煙は出てなかった。

 

 さてアニメの続きを見ようとイナはアニメを再生した。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 一日かけて一行は山賊の村、というか砦まで来ていた。

 道中問題は特にはなかった。しいて言えばモンスターの団体が居たぐらいでイナが四、五体ほど狙撃で消し飛ばしたら逃げ出した程度のものだった。

 一泊野営することになったが問題ない。イナは食事も睡眠も呼吸も不要の存在なので眠気に襲われることなく夜の見張りをこなした。

 というかボロに探知させておけばほぼ問題なかったので殆どアニメ見ていた。

 

「でっけー」

 

 イナは思ったよりもでかいと山賊の砦を見ながらつぶやいた。

 

 広さは東京ドーム一個分ほどだろうか。覆うように三メートルほどの石の壁がある。

 中には家々が立ち並んでいる。壁の合間には櫓があり櫓の中には山賊が居る。

 

 イナの隣にジェスロが立ってくる。

 

「あくまで今回の目的は敵の殲滅であって砦の破壊じゃない。大規模破壊系の特殊能力(スキル)や魔法を使って砦を壊すなんてことはするなよ」

「りょーかい」

 

 となると<左の赦免(アブソリューション・レフト)>は絶対使えないだろう。下手に使えばこの砦が消し飛ぶ。

 ロケランも使えないなとイナは作戦を考える。

 

「それじゃあ俺たちは包囲するからここで少し待機。あとで<念話>(テレパシー)送るからそれを合図に攻撃を開始しろ」

「わかった」

 

 じゃあな、とジェスロと冒険者たちは去っていった。

 

 連絡が来るまでに地理と敵を確認しておこうとイナはボロに指示を出す。

 

「ボロ。ホログラムでマップと敵を表示してくれ」

「了解」

 

 ボロが3Dのホログラムを展開する。

 ロボットアニメに出てくるような立体映像だ。

 

 立体映像はこの山賊の手に落ちた砦と敵を事細かに表示している。

 

「敵の数は?」

「表側に四十三名。全員人間。平均レベルは五。砦内部には二十名存在。こちらも平均レベルは五。ただし一名だけレベル十五の者が存在する」

「数多いな……どうやって倒すのがいいと思う?」

「包囲自体は他冒険者たちの協力によって成り立つ。故にE7のステータスならば真正面から挑むのが最善」

「ん、わかった」

 

 そうして話していると<念話>(テレパシー)の魔法が飛んでくる。

 この魔法は遠くにいる相手と思念で会話できる魔法だ。届く距離と効果時間は術者の技量に依存する。

 

『はーい。こっちの準備終わったから始めていいよー』

 

 念話の主はアンナだ。念話の魔法を使えてイナと顔見知りがアンナしかいなかったのでお鉢が回ったのである。

 

「よし、じゃあ行くか」

 

 イナはボロからハンドガンを二丁取り出す。

 サブマシンガンやロケットランチャーは使わないし使えない。威力が高くて被害が大きくなるからだ。

 あくまで目的は砦の奪還と山賊の殲滅であり砦の破壊ではない。

 そのためにロケランなどは使えない。

 

 門の方へとイナは歩いて行く。

 荒野なので当然その姿は砦側からよく見える。

 

 何の警告もなくイナに向かって矢が放たれた。

 それをイナは避けずに受ける。

 

 イナの体にはエネルギーシールドが張られている。

 これはTPRGで言う装甲のような物であり一定値までのダメージを完全に無効化する。

 例を挙げるならば百のダメージに対し強制的にマイナス二百するから無効化する、といった物だ。

 よくあるダメージ計算式のように装甲値による割合減算ではないので一定以上の攻撃力には無意味と化すが。

 エネルギー源は無限のエネルギーを持つブラックホール炉なので常時展開可能となっている。

 

 イナの胸に矢が当たったが力なく矢が弾かれた。

 

「いっくよー」

 

 イナは軽い調子でそう呟き銃口を山賊に向ける。

 この世界にも銃はある程度知られている為山賊は銃に恐怖する。

 即座にイナは銃弾を放ち山賊の胸を消し飛ばし風穴を開けた。

 イナのガンナーのレベルの高さと銃の威力の高さならば大砲クラスの威力を発揮する。

 のでぶっちゃけサブマシンガンよりはましな程度の破壊痕しか残さない。

 

 イナは門を前に跳躍することで門の向こう側に着地する。

 

「英雄気取りが! 死にな!」

「ばあさんの財布みたくビリビリにかっさばいてやる!」

 

 湧いて出てくる山賊相手にイナはヘッドショットを決めていく。

 威力が高すぎて頭部に当てても頭が全部はじけ飛んで脳みそと血が飛び散る。

 五人ほど殺したあたりで山賊たちもただものではないと警戒し距離をとろうとする。

 山賊の一人が中距離から矢を放つもエネルギーシールドに防がれる。

 

 撃って来た相手にイナは銃弾を放ち殺す。

 

「俺に任せろぉぉぉ」

 

 そう叫びながら出てきたのはこの中ではレベルが十と非常に高い者だ。

 両手剣を持ってイナに斬りかかる。

 その速度は武器を持っているとは思えないほどには速い。オリンピック選手顔負けだろう。

 だがその程度。音速にすら達していない速度ではイナの目にはハエが止まるほどに襲い。

 イナはその山賊の胸に銃弾を放ち殺した。胸に風穴があいた。

 

 銃弾を放って殺して回っているとついに山賊たちは逃げ出す。

 近づくことも出来ず遠距離攻撃も通じない相手となれば逃げるしかない。

 

「こら、逃げるな」

 

 イナは高速で走り出す。

 走った場合の最高速度はマッハ四にも上る。

 勿論こんな場所で最高速度は出さないがそれでも逃げる山賊よりも圧倒的に速い。

 全ての山賊を逃がす前に打ち殺した。

 

「よし、中行くぞ」

「了解」

 

 イナは砦の扉を開けて中に入る。

 

 中は単純な作りになっている。

 入ってすぐに山賊が居た。イナは銃を放って殺した。

 

「サクサク行こう」

 

 そうして進み山賊を殺して回る。

 奥の方へと進むと身なりの良い山賊が居た。

 その山賊頭はイナを見るなり舌なめずりをした。

 

「言い女じゃねぇか。俺の肉奴隷にしてやる」

「断る」

 

 山賊頭は両手剣を持ってイナに斬りかかる。

 それに対しイナは銃弾を放つ。

 だが、銃弾は当たる直前煙のように消えてしまった。

 

「は?」

「おらおらどうした!」

 

 山賊頭が両手剣で斬りかかりイナは訓練した動きで後ろに跳び回避する。

 

(なんで銃が効かない?)

 

「ボロ、解析」

「了解」

 

 イナは適当に銃を撃ちながら距離をとるもやはり銃弾は当たる前に消えてしまう。

 山賊頭の斬撃を避けつつボロの解析を待つ。

 

「解析完了。相手は固有(ユニーク)特殊技術(スキル)を保有している。特殊能力(スキル)名は<遠距離攻撃無効>あらゆる遠距離攻撃を無効化する」

「なにそれずっる!」

「よくわかったな小娘! お前の銃は効かんぞ!」

 

 固有(ユニーク)特殊能力(スキル)

 百人に一人の割合で持っていることがある特殊能力だ。

 自分の筋力を五十パーセント上昇する力や異空間に無限に物資を仕舞う能力、頭が吹き飛んでも再生できる能力など多岐に渡る。

 この山賊長も魔法効果の有無にかかわらず遠距離攻撃ならば無効化するという固有(ユニーク)特殊能力(スキル)を持っている。

 

「それがわかれば!」

 

 イナは銃を仕舞い右手の能力を解放する。

右の断罪(ジャッジメント・ライト)>を起動し右手が光り輝く剣に変わる。

 

「なんだそれ?!」

 

 山賊長は見たことない力に驚愕し引く。

 それよりも早くイナが動き<右の断罪(ジャッジメント・ライト)>で山賊長の首を斬り飛ばした。

右の断罪(ジャッジメント・ライト)>を解除し右腕を元に戻す。

 

「これでよし、と」

 

 こうしてイナは山賊の砦を奪還した。

 

 

 

 

 

 山賊の砦から出る。

 そうすると空からアンナが降りてくる。

 

「終わったの?」

「ああ、全員殺したぜ。これがボスの首」

 

 イナはボロから山賊長の首を取り出し見せる。

 

「見せなくていいわよ……これで試験クリアね」

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