暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

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支配者の時間とくるくるの時間とテストの時間全部混ぜでございます。


中間テストの時間

「「「さて、始めましょうか」」」

 

(((…何を?)))

 

目の前の殺せんせーは分身により増えており、額に『国』『数』『英』『理』『社』と書かれたハチマキを巻いている。

 

「学校の中間テストが迫って来ました。」

 

「そうそう。」

 

「そんなわけでこの時間は。」

 

「高速強化テスト勉強をおこないます。」

 

分身した殺せんせー達が会話をする、一体どうやっているのかちゃんと喋っている分身から声が聞こえている。 

 

(…というか高速移動してるだけなのにどうやってハチマキ維持してるんだ?)

 

いちいち取り替えているのだろうかと考えていると白利の前に殺せんせーの分身が現れた。

 

「先生の分身が1人ずつマンツーマンでそれぞれの苦手科目を徹底して復習します。」

 

「下らね…ご丁寧に教科別にハチマキとか…」

 

悪態をつく寺坂の前にも殺せんせーの分身が現れるが額には木の葉の里のマークが書かれているハチマキが

 

「なんで俺だけNARUTOなんだよ!!」

 

「寺坂君は特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ。」

 

何故自分から労力を増やしていくのだろうと思いながら、白利も目の前にいる殺せんせーに向き合うと

 

MASKED RIDER DECADE COMPLETE FORM

 

と書かれたライダーカードが額に貼り付けてられていた。

 

「…ん〜?なんでディケイド?しかもコンプリート(遺影)フォーム?」

 

「月乃君は成績優秀ですから全ての教科を底上げしていきましょう。てんこ盛りフォームってヤツです。」

 

「嬉しくねぇてんこ盛りフォームだ…」

 

「ベルトも巻こうと思ったんですが、流石に子供用のベルト帯はキツかったですね。」

 

「巻かんでいい!」

 

『ちゃんとコンプリートフォームらしく他のライダーの最強フォームのカードもあるのですが…』とライドブッカーからライダーカードを取り出す殺せんせーを無視して教科書とノートに向かう。

おもちゃ持って来てんじゃないよ。

 

(しかし凄いな…殺せんせーどんどん速くなってないか?)

 

教科書とノートを見比べてアドバイスをしている殺せんせーを見て思う。

 

国語6人、数学8人、社会3人、理科4人、英語4人、NARUTO1人、仮面ライダー1人。

 

クラス全員分の分身など出来ず、少し前までは精々3人程が限界だったはずだ。

地球を滅ぼす為の準備なのか…と思考していたら突如目の前の分身の顔が

 

ぐにゃん

 

と何かを避けるように三日月型に歪んだ。

 

「うおわぁ!?」

 

「急に暗殺しないで下さいカルマ君!!それ避けると残像が全部乱れるんです!!」

 

「クラス全員分の勉強見つつアドバイスできる技術があるのに避けるのはダメなんだ…変に繊細だなこの分身…」

 

カルマの方を向くと、そっぽ向きながら対先生ナイフを突き出していた。

 

「…なぁ殺せんせー、こんなに分身してて体力は大丈夫なのか?」

 

「そこはご心配無く。」

 

殺せんせーは指を立て、窓の外に向け

 

「1体外で休憩させていますから。」

 

「余計に疲れねぇかなぁそれ!?」

 

外にはビーチチェアに座って本を手に、ドリンクを飲んで休んでいるハチマキを巻いていない殺せんせーがいた。

休めてるのか…それは…

 

 

 

「しかし月乃君。」

 

「どしたの?」

 

「速水さんに苦手な理科を教えているのですが、しっかりと解けていますね。月乃君との勉強のおかげですかねぇ。」

 

殺せんせーがニヤニヤしながら問いかけて来た。

なんとも器用な事だが、その顔にイラッと来たのでナイフで一突きしてやる。

 

「にゅや!?残像が乱れるからやめてくださいって言いましたよね!?」

 

「やられたく無いならそんな顔するなよ!はぁ…約束だからな、速水に射撃訓練を頼って、俺は勉強を教えるって。」

 

「とても良い事です。他者に勉強を教えられるという事は、自身の中で教えられるほどその教科を理解し、身についている証拠ですから。」

 

チラッと横の速水を見ると、詰まりながらではあるが確かにペンを進めていた。

 

(前の俺だったら想像できなかったな…誰かに頼って誰かに勉強を教えるなんて…)

 

「さぁ月乃君、次はここの問題を解いてみましょう!」

 

「あぁ、わかっ……ん?」

 

殺せんせーが指差した教科の問題を解こうとペンを持って気づく。

 

「ここ、テスト範囲外じゃないか?しかも応用問題だし。」

 

「君のレベルならここまで行っても問題ないはずです。先んじて覚えておけば、速水さん達に教える際に役に立ちますから。」

 

「わかったよ、やってやる。」

 

ペンを持ち直し、ノートへ問題を書き込んだ。

 

 

 

 

 

放課後までみっちりとマンツーマンのテスト勉強は行われ、チャイムが鳴ると多くの生徒が疲労で机や背もたれにもたれかかった。

 

「やっと終わった…」

 

「お疲れ、速水。」

 

「うん…こんなに詰め込んだの初めてかも…」

 

速水も授業が終わるなり、机に突っ伏して頭から煙を吹き出している。

それを見ている白利によたよたと近づく人物

 

「…月乃。」

 

「よう千葉、お疲れ。」

 

「すまない、今日の勉強会はキャンセルでも良いか…?流石にちょっと…疲れた…」

 

「別に構わないよ。今日がテスト勉強だとは知らなかったからな、俺からも言おうと思ってたんだ。」

 

「すまない…」

 

千葉も煙を吹きながら白利の机に倒れ込む。

勉強を教えた2人がここまで頑張ってくれるとは、なんとも嬉しい事だ。

 

「じゃ、俺は先に帰るわ。また明日な。」

 

「じゃあね…月乃…」

 

「また明日…月乃…」

 

バッグを持ち、教室を出ると同時に教員室の扉が開き1人の男性が現れた。

 

「…!やぁどうも月乃君。」

 

「…お久しぶりです、理事長先生。」

 

『浅野學峯』浅野学秀の父であり私立椚ヶ丘学園の理事長、この学校の支配者だ。

こんな大物が本校舎から遠く離れたE組に何の用だろうか。

 

「どうして理事長先生はE組校舎に?」

 

「少し君達の担任、殺せんせーにお話があってね。私の方から足を運ばせて貰ったんだ。」

 

チラッと理事長が教員室の方を見たのに釣られ、白利も教員室の中を見るとそこには

 

「………」

 

「なんてザマだ…」

 

知恵の輪に絡まった殺せんせーが床に転がっていた。

 

              

 

   殺せんせーの弱点

 

   知恵の輪でテンパる

              

 

なんか見ていられなかったので絡まった触手と知恵の輪を解いてやる。

 

「噂通りスピードはすごいですね。でもね殺せんせー、この世の中には…スピードで解決出来ない問題もあるんですよ。…では私はこの辺で。」

 

「理事長先生、ちょっと待って下さい。」

 

再び出て行こうとする理事長を呼び止める。

 

「どうしたんだい月乃君?」

 

「コレ、忘れ物です。」

 

「コレは…」

 

手の中にあるものを理事長先生の手に渡す。

そこには全て分解された知恵の輪が置かれていた。

 

「…なるほど、中間テスト期待しているよ月乃君、頑張りなさい。」

 

「えぇ、ご期待に添えるように頑張ります。」

 

手の中の知恵の輪を握り締めた理事長は、乾いた応援と笑顔を残して去って行った。

 

(目が笑って無さすぎるんだよな、あの人…こえーのなんの。)

 

理事長の事を見送った白利は、その後ろでメラメラと闘志を燃やす殺せんせーに気づいていなかった。

 

 

 

 

 

「「「「「さらに頑張って増えてみました、さぁ授業開始です。」」」」」

 

翌日、理事長に焚き付けられた殺せんせーは昨日よりもさらに多くの分身を作り出し、1人につき4人の分身を当てがってテスト勉強を進めていた。

 

「なぁ殺せんせー…4教科を一気に教えられてもわからないんだが?」

 

昨日と変わらず額にライダーカードを貼り付けた殺せんせーは4体の分身それぞれ別の教科を白利に教えている。

 

「…昨日の理事長先生の言葉か?」

 

「にゅや!?そ、そんな事ありませんよ!?昨日の言葉なんて全然効いてませんからね!?」

 

「めちゃくちゃ効いてるじゃねぇか。」

 

白利の言葉に動揺する殺せんせー。

動揺やさらに多く分身している影響からか、時折雑な分身が現れていた。

 

 

 

「ぜー…ぜー…」

 

「…流石に相当疲れたみたいだな。」

 

「なんでここまで一所懸命先生をすんのかね〜」

 

2時間も分身し続けたせいか、疲労し扇で涼む殺せんせーに近づく前原や岡島達に殺せんせーは口を開いた。

 

「全ては君達のテストの点を上げるためです。そうすれば…

 

『殺せんせ〜!!』

 

『おかげで良い点取れたよ!!』

 

『もう殺せんせーの授業無しじゃいられない!!』

 

『殺すなんて出来ないよ!!』

 

と生徒達の尊敬の眼差しを得られ…

 

『先生!!私たちにも勉強教えて♡』

 

と、評判を聞いた近所の巨乳女子大生に教えることになり先生には良い事ずくめです。」

 

「思考がだいぶおっさん寄りじゃないか?殺せんせー。」

 

「………」

 

隣の速水が殺せんせーの事をだいぶ汚物を見る目で見つめている。

その時気づいた、クラスの様子が何やらおかしい事に。

 

「…いや、勉強の方はそれなりでいいよな。」

 

「…うん、なんたって暗殺すれば賞金百億だし。」

 

「にゅやッ、そういう考えをしてきますか!!」

 

「……エンドのE組だからか?」

 

思わず白利は言葉を溢してしまった。

 

「『俺達には暗殺がある』…そう考えて勉強の目標を低くしてるのか?」

 

「ちょっと月乃…!」

 

速水に袖を引っ張られるが、白利は言葉を紡ぎ続ける。

 

「確かにE組は劣悪な環境だ、昔はな。でも今は殺せんせーがそれぞれにあった勉強方で授業をしてくれている、正直な話A組の授業の数倍進みが早いのに数倍わかりやすい。昨日と今日で付きっきりのテスト対策までしてくれる。……それなのにお前らは目を背け続けてる。」

 

捲し立てるように話し続ける白利に、もう誰も口を出す事が出来ない。

何故ならばわかっているからだ、心の奥底では気づいているからだ。

 

「もし、殺せんせーがここから逃げたら?イリーナ先生の様な別の殺し屋に殺されたら?お前達に何が残る。…劣等感だけだよ。暗殺って心の拠り所を無くしたお前達には『E組』って劣等感しか残らない。」

 

「「「……………」」」

 

「…なるほど、わかりました。」

 

「…?殺せんせー?」 

 

黙って白利の言葉を聞いていた殺せんせーが声を上げる、見上げると顔に×を浮かべた殺せんせーが少し不機嫌気味に

 

「今の君達には…暗殺者の資格がありませんねぇ。…全員校庭へ出なさい、烏間先生とイリーナ先生も呼んで下さい。」

 

そう言い残し教室から出て行った殺せんせーの背を追うように、白利も教室を出る。

やがて、校庭…運動場に着くと殺せんせーは置かれていたサッカーゴールを脇へどかし、ビッチ先生を指差す。

 

「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺いますがあなたはいつも仕事をする時…用意するプランは1つですか?」

 

「…いいえ、本命のプランなんて思った通り行く事の方が少ないわ。不測の事態に備えて…予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。」

 

その答えを聞いた殺せんせーは満足そうに頷き

 

「では次に烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時…重要なのは第一撃だけですか?」

 

「……第一撃はもちろん重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。その後の第二撃、第三撃を…いかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける。」

 

烏間先生の答えを聞き遂げた殺せんせーは運動場の中央で両腕を広げてクルクルと回転し、徐々にスピードを上げて行く。

 

「先生方のおっしゃるように、自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。対して君達はどうでしょう、月乃君が言ったように劣等感の原因から目を背けているだけです。」

 

凄まじい風が殺せんせーを中心に集まって行く。

 

「そんなとても危うい君達に、先生からの警告(アドバイス)です。」

 

第二の刃を持たざる者は…暗殺者を名乗る資格なし!!

 

全てを巻き上げてしまうような巨大竜巻を発生させたかと思えば、すぐさま消滅し草木などが地面に落ちてゆく。

 

「…校庭に雑草や凸凹が多かったのでね、少し手入れしておきました。」

 

「「「!!」」」

 

竜巻が消滅すると、そこには地面が整備され雑草も抜かれた美しい校庭になっていた。

 

「先生は地球を消せる超生物、この一帯を平らにするなど容易い事です。」

 

「………」

 

「もしも君達が自信を持てる第二の刃を示さなければ、相手に価する暗殺者はこの教室にいないと見なし校舎ごと平らにして先生は去ります。」

 

「ちなみにいつまで?」

 

絶句している全員に代わり、白利が問う。

 

「決まっています、明日です。明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい。」

 

「「「!!?」」」

 

「君達の第二の刃は先生が既に育てています。本校舎の教師に劣るほど…先生はトロい教え方をしていません。自信を持ってその刃を振るって来なさい、後焚き付けた月乃君は、そうですね……5位以内を狙いましょう!」

 

「わかってる、焚き付けた責任はしっかりとるさ。」

 

こうして明日の中間テストで第二の刃を振るう事になったのだが…

 

 

 

「…先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。…君たちに顔向けできません。」

 

あまりにも酷いものだった。

テスト2日前、つまり理事長がE組を訪れていた日にテストの範囲が変更されていたのだ。

恐らくは理事長の思惑によって。

 

「………」

 

殺せんせーは黒板の方を向いたっきり、生徒達に顔を向けずに謝罪な言葉を紡いでいる。が、その後頭部に向かい2本の対先生ナイフが投げられた。

 

「にゅやッ!?」

 

「いいの〜?顔向けできなかったら俺が殺しに来んのも見えないよ。」

 

「別に殺せんせーが気にする事じゃないだろ。あの理事長だいぶアレだし…」

 

「カルマ君!月乃君!今先生は落ち込んで…!」

 

ナイフを投げた犯人、カルマと白利が教卓に近づきテスト用紙を目の前に置く。

 

「俺達問題変わっても関係無いし。」

 

「5位以内って言われてピッタリ5位は情け無いけどな。…3位は狙いたかった。」

 

カルマは494点で4位、白利は1点低い493点で5位だった。

 

「正直、テスト範囲外まで教えてくれたからこの点数を取れたよ。」

 

「『せっかくだからもうちょい先行ってみましょう』ってね。まぁでも俺はE組(このくみ)出る気は無いよ。月乃君は?」

 

「俺もカルマと同意だ、ここで暗殺やってる方が断然楽しい。で、どーするのそっちは?」

 

2人は落ちたナイフを拾い、イタズラモードに移行する。

 

「全員50位以内入んなかったから尻尾巻いて逃げるのか?」

 

「それって結局さぁ、殺されんのが怖いだけなんじゃないの?」

 

2人の煽りで顔に血管を浮かべる殺せんせーを尻目に、後ろにいる前原や片岡達にアイコンタクトを送ると全員が気づいたようで

 

「なーんだ殺せんせー怖かったのかぁ。」

 

「それなら正直に言えば良かったのに。」

 

「ねー『怖いから逃げたい』って。」

 

「にゅやーーーーーーッ!!逃げるわけありません!!期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」

 

中間テストではE組を取り囲む分厚い壁に阻まれこそしたが、全員が胸を張り、心の氷を溶かしたのだった。

 




ご覧頂きありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

実は仮面ライダーは今も見ている
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