暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

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台無しの時間

修学旅行1日目は移動で終わり、今は2日目。

殺せんせーが合流するのは午後からなので、午前は皆でただの観光である。

 

「でもさぁ、京都に来た時くらい暗殺の事忘れたかったよなー。いい景色じゃん、暗殺なんて縁の無い場所でさ。」

 

「そうでもないよ杉野。」

 

「そうそう、すぐそこに目的地があるぜ。」

 

近くのコンビニを中継点に進むと、そこには坂本龍馬と書かれた石碑があった。

 

「坂本龍馬ってことは…ここは!」

 

「1867年龍馬暗殺、『近江屋』の跡地だね。」

 

「それにここから少し歩けば…」

 

 

 

「当時と場所は少しズレてるけど、本能寺もある!」

 

「1582年の織田信長も暗殺の一種だな。」

 

「そうそう、このわずか1kmぐらいの範囲の中でもものすごいビッグネームが暗殺されてる。知名度の低い暗殺も含めればまさに数知れず。ずっと日本の中心だったこの街は…暗殺の聖地でもあるんだ。」

 

「人ある所に暗殺あり、だな。」

 

「なるほどな〜言われてみればこりゃ立派な暗殺旅行だ。」

 

日本の中心となったこの街は血に塗れた歴史がある。

そしてその血を流して来たのは日本に、世界に重大な影響を与える人物ばかりだろう。

そう考えると殺せんせーは典型的な暗殺対象(ターゲット)だ。

 

「次、八坂神社ねー!」

 

「えー、休もうぜ。京都の甘ったるいコーヒー飲みたいよ。」

 

このメンツでどうなるかと思ったが、案外いい感じなのかも知れない。

 

 

 

 

 

「へー祇園って奥に入るとこんなに人気無いんだ。」

 

白利達が訪れたのは祇園の奥の通り道、茅野の言う通り辺りには白利達以外の人は見当たらない。

 

「一見さんお断りの店ばかりだから目的もなくフラッと来る人もいないし、見通しが良い必要もない。だから私の希望コースにしてみたの、暗殺にピッタリなんじゃないかって。」

 

「さすが神崎さん、下調べカンペキ!」

 

「人気の無い道で暗殺…まさしく歴史に残る暗殺っぽいな。」

 

「じゃ、ここで決行に決めよっか。」

 

と、殺せんせーの暗殺地点を決めた時

 

「ホントうってつけだ、なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ。」

 

ガラの悪い、おそらく高校生3人が現れた。

 

「…何お兄さん等?観光が目的っぽくないんだけど。」

 

「…こんなわかりやすくガラ悪い奴っているんだな。」

 

「男に用はねー、女置いておうち帰っ!?」

 

「ギャァ!?」

 

「ギュッ!?」

 

カルマが喋っていた男の顎をかち上げそのまま顔面を掴み電柱に後頭部を叩きつけ、白利は横にいた別の男の股間を蹴り上げ、もう1人の頭を掴みを壁と熱いキスさせてやる。

 

「ふぃ〜」

 

「ホラね渚君、目撃者いないとこならケンカしても問題ないっしょ。」

 

「そーだねぇ。」

 

「…ッカルマ!」

 

隠れていた仲間にカルマが後頭部を鉄パイプで殴られダウンする。

 

「ホント隠れやすいなココ、おい女さらえ。」

  

「ちょ、何…ムググ…!」

 

「おい何すん…がぁ!」

 

カルマに頭部をやられた高校生に膝蹴りを喰らう杉野

 

「ぐぁ…!」

 

壁に熱いキスをした高校生に殴られる渚

 

「チッ…神崎さんと茅野が…!とりあえずアンタ等はサッサと退場してろ!!」

 

「「ギョッ!?」」

 

もう立ち上がらないように、ダウンしたままの男同様股間を蹴り上げる。

2人がダウンしたのを見て、すぐさま道路に飛び出るが時すでに遅し、ナンバープレートを隠した車は遠くへ走り去っていた。

 

「…クソッ!おいお前等…って気ぃ失ってやがる、使えねぇな。」

 

「み、皆!!大丈夫ですか!?」

 

どうやらいち早く隠れていたらしい奥田が飛び出してくる。

 

「奥田さん…!無事だったんだね…!」

 

「…ごめんなさい、思いっきり隠れてました。」

 

「いや…正しい判断だ。」

 

「…あ〜クソ。」

 

「カルマ、平気か?」

 

後頭部を殴られたカルマがヨロヨロと立ち上がる。

 

「…車のナンバー隠してやがった。多分盗車だしどこにでもある車種だし、犯罪慣れしてやがるよあいつ等。」

 

カルマの額には血管が浮き出て目が吊り上がっている、まさしくブチギレている状態だ。

 

「通報してもすぐ解決しないだろうね。…ていうか、俺に直接処刑させて欲しいんだけど。」

 

「別にそれは良いがまずは攫われた2人がどこに向かったかだ。コイツらは伸びちまって役に立たない。」

 

地面に転がった高校生3人を指す。

股間を蹴られたせいで泡を吐き、意識を飛ばしているようだ。

 

「どこに向かったかって…どうする月乃?」

 

「待ってろ杉野、今考えてる…」

 

腕を組み、指をトントンと動かして思考を巡らせる。

何か良い方法は無いか、この近くに車で向かって身を隠せる人気の無い場所はあるか、何か…何かが思いつけば…

 

 

 

『それにこれ『クラスメイトが拉致られた時』って…』

 

『試しに見てみるか?…あ、拉致実行犯潜伏対策マップってのがあるぞ。』

 

 

 

「あ…」

 

あった、京都へ向かう電車の中で速水と読んだ『修学旅行のしおり』その中に『クラスメイトが拉致られた時』という項目があったはず。

 

「渚!修学旅行のしおりの『困った時の対処法17』開いてくれ!!」

 

「え…?」

 

「良いから早く!」

 

「わ、わかった!」

 

渚は地面に落ちたバッグからしおりを取り出し、『困った時の対処法17』が書いてあるページを開く。

 

「あった!『クラスメイトが拉致られた時』1243Pへ…」

 

「班員が拉致られた時って…普通ここまで想定したしおりなんて見た事ねーよ。」

 

「殺せんせー恐ろしくマメだから…じゃあ読むよ、班員が何者かに拉致られた時の対処法。」

 

犯人の手がかりが無い場合、まず会話の内容や訛りなどから地元の者かそうでないかを判断しましょう。

地元民ではなく更に学生服を着ていた場合→1244P

 

考えられるのは相手も修学旅行生で旅先でオイタをする輩です。

土地勘のないその手の輩は拉致した後遠くへは逃げない、近場で人目につかない場所を探すでしょう。その場合は→付録134へ

 

「先生がマッハ20で下見した…拉致実行犯潜伏対策マップが役立つでしょう。」

 

「すごいなこの修学旅行のしおり!カンペキな拉致対策だ!!」

 

「いやーやっぱしおりは持っとくべきだわ。」

 

「マップを見るに…おそらくこの辺りだな。」

 

「多分大丈夫だ。皆、茅野と神崎さんを助けに行こう。」

 

「「「「しゃあ!/はい!/おっけー/おうよ」」」」

 

 

 

 

 

「ここかな…」

 

殺せんせーの拉致対策マップを見つつ辿り着いたのは閉店してからだいぶ経っているであろうボロボロのビリヤード場だった。

 

「入り口にさっきの不良共と同じ制服来てる奴らいるしビンゴだ。」

 

白利は手に持つ制服と入り口付近にいる人の服を見比べ、用済みとなったのでそこら辺に投げ捨てておく。

ちなみにこの制服は転がした3人から剥いだ物で、今頃3人はパンツ一丁で放置されている。

 

「じゃあ改めて作戦内容を伝えるね。俺と月乃君が斬り込むから3人は後ろで待機、出来るようなら茅野達を救出って感じで。…さーて処刑するかぁ。」

 

「程々にしとけよ…?」

 

「月乃はだいぶ冷静だな。」

 

「…杉野、実は俺も『あいつ等の人生どうやって終わらせてやろうかなぁ』とは考えてるぞ。」

 

「怖いよ!?」

 

「半分くらい冗談だ。さ…行くぞ。」

 

カルマと白利を先頭に歩む。

どうやら向こうも気づいたようで5人ほどこちらに詰め寄ってくる。

 

「テメーら、ここに一体何の…ッ!?」

 

「悪いけどお兄さん達、数日は病院送りね?」

 

「綺麗な顔でお家に帰りたいなら下手に抵抗しないで大人しくしててくれよ?」

 

「「「………」」」

 

カルマと白利の戦闘を見て3人は思わず絶句してしまった。

確かに2人は身体能力が高い。

片やフィジカルトップ、片やスピードトップ。が、それを暴力だけに集中させた場合こんなにも

 

「ゴバァッ!?」

 

「ガッ!?」

 

こんなにも酷い蹂躙になるとは思わず、高校生達が情け無い悲鳴をあげながら次々と倒れて行く様を見続けるしかなかった。

 

「不意打ちが無ければこんなもんか。」

 

「ちょっと力加減間違えてタマやっちまったかも…まぁ綺麗な顔だからセーフか。」

 

「ちょうど良いしコイツ見せしめに持っていこうよ。」

 

「それいいな。良しもうちょっと念入りにやっとこう、顔とか。」

 

倒れた1人を見せしめにしようと、良い感じに痛めつける2人を見て

 

「…なんであの2人が気が合ったのか今ならわかる気がする。」

 

「…私も何となくわかった気がします。」

 

「…月乃も自分からやりに行かないだけで、やる時はやる側の人間だって忘れてたよ。」

 

何となく似た所があって仲良いな〜と再認識した3人であった。

 

 

 

 

 

扉に耳を当てる白利、向こう側の話し声を聞く限りどうやらこの先に茅野達がいるようだ。

 

「この先から声が聞こえるな…皆、準備は良いか?」

 

白利の問いに全員がこくんと頷くのを見ると

 

バァンッ!

 

と扉を蹴破り、カルマが見せしめとして持ってきた高校生を地面に投げ捨てる。

 

「皆!!」

 

「なっ…てめぇら、なんでココがわかった…!?」

 

「修学旅行のしおりのおかげだよ。拉致実行犯潜伏対策マップがあって良かった。」

 

(((ねーよそんなしおり!!)))

 

高校生(アホ共)の驚いた顔には一切反応せず額に血管を浮かべているカルマが続ける。

 

「…で、どーすんの?お兄さん等。こんだけのことしてくれたんだ、アンタ等の修学旅行はこの後全部入院だよ。」

 

「………フン、中学生(チューボー)がイキがんな。」

 

すると背後からドカドカと聞こえてくる。

 

「呼んどいた友達(ツレ)共だ、これでこっちは10人。」

 

「10人か…いけるかカルマ?」

 

「ん〜?俺と月乃君なら余裕でしょ、なんならもっと呼んでいいよ。」

 

「…言ってろ、おまえらみたいな良い子ちゃんはな、見た事も無い不良共だ。」

 

そうして蹴破られた扉から現れたのは

 

「不良などいませんねぇ、先生が手入れしてしまったので。」

 

「殺せんせー!!」

 

坊主頭の丸眼鏡をかけた5人の男と白利達が剥いた3人の男を持った殺せんせーだった。

この場所に来る前に渚が電話で呼んでいたのだが、無事来てくれたようだ。

 

「遅くなってすみません。この場合は君達に任せて…他の場所からしらみ潰しに探していたので。」

 

不良共を投げ捨てる殺せんせー、来てくれたのは嬉しいが…

 

「…で、何その黒子みたいな顔隠しは?」

 

「暴力沙汰ですので、この顔が暴力教師と覚えられるのが怖いのです。」

 

「アンタの正体バレる方がまずいだろ。」

 

              

 

   殺せんせーの弱点

 

   世間体を気にする

              

 

殺せんせーはどこから取り出したのか、修学旅行のしおりを渚以外全員分を手渡してくる。

 

「渚君がしおりを持っていたから先生にも迅速に連絡出来たのです。この機会に全員ちゃんと持ちましょう。」

 

「……せ、先公だとォ!?ふざけんな!!ナメたカッコしやがって!!」

 

「ふざけるな?」

 

殺せんせーの言葉と同時に、触手が不良達全員の顎を的確に捉え脳を揺らし膝をつかせる。

 

(速い…!それになんて的確な…!)

 

「先生のセリフです。ハエが止まるようなスピードと汚い手で…うちの生徒に触れるなどふざけふんじゃない。」

 

「……ケ、エリート共は先公まで特別製かよ。テメーも肩書きで見下してんだろ?バカ高校と思ってナメやがって。」

 

「エリートではありませんよ。確かに彼等は名門校の生徒ですが、学校内では落ちこぼれ呼ばわりされ、クラスの名前は差別の対象になっています。ですが、彼等はそこで()()()()に実に前向きに取り組んでいます。君達のように他人を水の底に引っ張るようなマネはしません。」

 

「………」

 

全員が殺せんせーの言葉に聞き入ってしまう。

 

「学校や肩書きなど関係ない。清流に棲もうがドブ川に棲もうが、前に泳げば魚は美しく育つのです。」

 

(美しく…か)

 

「…さて、私の生徒達よ、彼等を手入れしてあげましょう。修学旅行の基礎知識を身体に教えてあげるのです!」

 

殺せんせーが話している間に不良達の背後に回り込んだ5人はその手に『修学旅行のしおり』を持ち

 

(ま、俺には無理な話か…)

 

ゴッ

 

とその後頭部にお見舞いしてやった。

 

 

 

 

 

「なーんだ、月乃君とどっちが多く倒せるか競おうと思ったのに殺せんせーに全部盗られちゃった。」

 

「ヌルフフフ、先生的にも許せなかったのでつい…ところで神崎さん、あなたは迷いが吹っ切れた顔をしていますね?」

 

「…とくに何も、殺せんせー。ありがとうございました。それに…皆もありがとう。」

 

「私も!皆助けに来てくれてありがとう!」

 

「元より俺達が油断したのがいけなかったからさ、お互いさまだ。」

 

「皆さんの仲が深まったなら良い経験になりましたかね?では、旅を続けましょう!」

 

「「「「「「「はーい!」」」」」」」

 

なんとも困った事に、彼等の暗殺対象(ターゲット)は限りなく頼れる先生のようだ。




ご覧頂きありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

やる時はやるタイプ
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