暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

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『転校生の時間』『改良の時間』『自律の時間』全部混ぜでございます。


転校生の時間

修学旅行が終わり、今日から通常授業に戻るのだが実は修学旅行前とは少し違う。

白利はE組へ続く山道を歩きながらスマホを取り出しメールを開く、昨日烏間先生からの一斉送信があったのだが

 

『明日から転校生がひとり加わる、多少外見で驚くだろうが…あまり騒がず察して欲しい。』 

 

そう転校生が来るのだ、恐らくは白利達と同世代だと思われるが気になるのは『多少外見で驚くだろうが…』と言う文である。

 

「外見で驚くって…片腕がガトリングとかだったりするのか…?」

 

なんて1人で冗談を呟きつつE組校舎へ辿り着く。

 

「おはよー殺せんせー。」

 

「はい、おはようございます月乃君。今日も1番乗りですね。」

 

「転校生が来るんだろ?席の場所確認しておこうと思って。」

 

白利は校舎に入り上履きに履き替え教室へ入ると

 

「………?」

 

白利の席の左後方、原の席の後ろにモノリスのような黒い機械の塊が置いてあった。

これは一体なんだろうかと思考を巡らすと先程のメールの内容を思い出す

 

『多少外見で驚く』

 

「片腕ガトリングどころか全身マシーンじゃねぇかよ……」

 

信じたくは無いが恐らくこの機械が烏間先生の言っていた転校生なのだろう。

どう説明して理事長に許可取ったのか聞いてみたい。

 

「一部だけモニターになっててそれ以外は全部普通のボディなのか、銃はどこから…側面のコレ模様じゃなくて展開する為の溝か。んじゃ、ここ開いて銃身が出るって感じかな。」

 

転校生に近づき観察する。

だいぶ薄型のように見えるが内部にかなり詰め込まれているようだ。

 

『おはようございます。』

 

「うおっ!?」

 

突如知らない声が聞こえたかと思ったらモニターに無機質な少女の顔が映し出され、抑揚の無い声で喋りだした。

 

『今日から転校してきました、”自律思考固定砲台”と申します。よろしくお願いします。』

 

「あぁ…よろしくって画面消えやがった…」

 

感情もなくただモニターの中の少女…自律思考固定砲台のアバターは口をパクパクと動かすだけの一方的な会話をして省エネモードに入った。

…機械に感情なんてある訳も無いだろうが。

 

「……結局、担任だけじゃなくて転校生も味濃いのかE組(このクラス)は。」

 

「月乃君、おはよう。」

 

「烏間先生…おはようございます。」

 

白利が一通り困惑し終えたのを察した烏間先生は眉間に皺を寄せ、汗を浮かべながら話す。

 

「……もう察したとは思うが、この子は転校生でノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ。」

 

『よろしくおねがいします。』

 

「あの…はい…烏間先生本当にお疲れ様です…」

 

なんかもう色々と烏間先生の心労が大変な事になっているのではないかと思う。

もしも白利が烏間先生の立場だったらツッコミが追いつかずおかしくなっていただろう。

『そこを飲み込む事が出来るのが大人なのだ』と白利は1つ成長した。

 

「自律思考って事は要はAIって事ですよね?」

 

「あぁ、だが彼女は思考能力(AI)と顔を持ち、れっきとした生徒として登録されている。」

 

「…生徒扱いって事は殺せんせーは危害を加える事が許されないと?」

 

「…そうなるな。」

 

「なんかもうめちゃくちゃっすね…」

 

2人が汗を浮かべながら転校生を見ていると廊下から複数の足音が聞こえる。

他の生徒達も登校してきたのだろう、扉が開かれると

 

「「「………?」」」

 

「まぁそうなるわな…」

 

転校生を見てハテナマークを浮かべている全員に烏間先生が先程と同じように転校生の説明をする。

全員、烏間先生に白利と同じ哀れみの目をしていた。

 

 

 

そんなこんなで授業が始まったが今のところ転校生は動きを見せていない。

 

「月乃、あの転校生…自律思考固定砲台さ、固定砲台って付いてるけど銃とかは?」

 

「多分内蔵されてるんだと思う。朝見た感じ、側面が展開しそうな構造だったから恐らく…」

 

   この登場人物の相関図をまとめると…」

 

殺せんせーが板書をする為に後ろを向いた瞬間、

 

ガシャンガチャン

 

と側面からパーツを複数出し、合体させ或いは変形させて合計6門の銃身を完成させ

 

「ほーら、やっぱりな。」

 

「…というかマズくない?」

 

咄嗟に伏せて頭を守ると、速水の予想通り一斉掃射を開始した。

 

頭上を大量の対先生BB弾が飛んでいき、その大量のBB弾は黒板に当たりこちら側に跳ね返って来るので相当な威力だとわかる。

殺せんせーは大して焦る訳でもなく、チョークでBB弾を弾いて避けていた。

 

「ショットガン4門、機関銃2門。濃密な弾幕ですがここの生徒は当たり前にやってますよ、それと授業中の発砲は禁止です。」

 

『………』

 

「…止まった?」

 

「いや、自分で考えるって事は次は多分…」

 

殺せんせーの言葉を受け、転校生が銃身をしまい落ち着いたかと思ったが

 

『気をつけます、続けて攻撃に移ります。弾道再計算、射角修正、自己進化フェイズ5-28-02に移行。』

 

淡々とそう告げると『ブウゥゥゥゥン』と凄まじい駆動音を響かせて、再び銃身を展開する。

先程と全く同じ射撃、全く同じ弾道で放たれる弾幕。

 

殺せんせーも先程と同じようにチョークでBB弾を弾いて

 

「ッ!?」

 

指先が弾け飛んだ。

隠し弾(ブラインド) 全く同じ射撃の後に、見えないようにもう一発追加していたのだ。

 

『右指先破壊、増設した副砲の効果を確認しました。』

 

「自律思考…自己進化AIで殺せんせーの動きを学習して武器とプログラムの改良をその場で繰り返してるのか…!」

 

『次の射撃で殺せる確率0.001%未満、次の次の射撃で殺せる確率0.003%未満、卒業までに殺せる確率90%以上。よろしくお願いします殺せんせー、続けて攻撃に移ります。』

 

入力済み(プログラム)の笑顔と抑揚の無い言葉を発し、再び進化を始めた。

 

 

 

1時間目が終わったが転校生のせいでろくに進まず、床には転校生が撒き散らした対先生BB弾が大量に転がっている。

 

「コレ、私達が片付けるの…?」

 

「…じゃ、ないかなぁ。…電源消してダンマリだし。」

 

掃除道具を取り出して弾をかき集める。

しかし不思議だ、この量の弾をあの薄いボディ内のどこに収めているのだろうか。

 

(…増設した副砲って言ってたし、もしかしてあのボディ内で製造してるのか?)

 

一切反応しない転校生を見ると、やはりあの量の弾幕と銃身達を収納出来るとは到底思えない。

 

「掃除機能とかついてねーのかよ、固定砲台さんよぉ。」

 

「やめとけ、機械にからんでも仕方ねーよ。」

 

片付けの最中、村松が転校生に絡みに行くが転校生はダンマリを押し通し、村松は吉田に諌められていた、あんな事されれば誰でもぼやきたくなってしまう気持ちもわかる。

 

結局その後は丸一日中、転校生の弾幕は続き気が休まる事はなかった。

 

 

 

 

 

今日も今日とて朝早くに校舎へ向かう、が今日はちゃんと考えがあっての事だ。

 

「殺せんせーおはよー。」

 

「月乃君おはようございます。…その手に持ってるのは?」

 

「ガムテープだよ。殺せんせーが手を出すのはダメだけど俺達なら平気だろ?」

 

「……先生としては皆さんと仲良くしてもらいたいんですけどねぇ。」

 

「向こうが歩み寄ってくれないとこっちは何も出来んよ…」

 

白利は靴を履き替え、教室の扉をあける。

昨日と同じように黒い機械が立っているが、昨日が特別だっただけで本来は8時半に起動するようで今は眠っている。

 

「じゃ、さっさとやるか。」

 

ガムテープを伸ばして、転校生のボディにグルグルと巻いていく。

銃身が出る側面はより厳重に巻きつける。

一頻り巻き終わると

 

「あ?先客かよ。」

 

「珍しいな不良ボーイズ、早起きか?」

 

「テメェも素行不良だろーがよ、要件はそっちと一緒だ。その常識知らずのポンコツを簀巻きにしに来たんだよ。」

 

教室の入り口には寺坂、村松、吉田の3人が立っていた。

どうやら白利と同じく転校生を簀巻きにしに来たらしい。

 

「テメェが先に来てやってんなら明日から頼むわ、こんな朝早くに来たかねぇ。」

 

「んだよ早寝早起きの健康優良児になっとけよ。」

 

『やだね。』と寺坂達は自席に座り、ダベり始める。

今日一日は拘束され続けた事もあり、転校生のトリガーハッピーは拝まずに済んだのだが…

 

「さて…自律思考固定砲台さんの友達作りといきましょう!」

 

 

 

 

 

「はぁ〜」

 

溜め息を吐きながら山道を登る白利の手には昨日と同じくガムテープが握られている。

まるで話を聞かない猛獣を相手してるかのような感覚だ。

 

「…殺せんせー、珍しくいないな。」

 

校舎に着くと珍しく殺せんせーが校舎前の掃き掃除をしていなかった、どうやら鍵は開いているようなので教室の中に入ると

 

「……なんか体積が増えてる。」

 

何故か前面がボリュームアップした機械の塊…転校生が佇んでいた。

とりあえず拘束しとくか…と近づくと

 

『おはようございます!月乃さん!』 

 

「誰ぇ!?」

 

爽やかな笑顔で元気一杯の挨拶をする少女の全身がモニターに映し出された。

昨日までと違う姿に思わず口をあんぐりさせる白利。

 

「おや、来ていましたか月乃君。」

 

「こ、殺せんせー…どうしたの…コレ?」

 

「親近感を出すための全身表示液晶と体・制服のモデリングソフト、豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なメモリと追加ソフトを加えてグレードアップさせてみました。」

 

『今日は素晴らしい天気ですね!こんな日を皆さんと過ごせて嬉しいです!』

 

「えぇ…」

 

外の景色を見るように顔を動かし、自然豊かな森と小鳥達が囀っている謎の背景に画面が移り変わる。

なにかおかしな進化を遂げている。

 

「はぁ〜なんか朝イチなのに疲れたわ…」

 

白利が息を吐き出し、体重を預けるように転校生のモニターに手を触れた。

ちょうどモニターに映る転校生の胸の辺りに

 

『ひゃんっ!?』

 

「…は?」

 

謎の甲高い声が響き姿勢を正して辺りを見渡すと、画面の中の転校生が胸を両腕で隠して頬を赤らめていた。

その目は少し潤んでいる。

 

『その…月乃さん…いくら私でもいきなり胸を触られるとびっくりしてしまいます…』

 

「コラッ!月乃君、女の子の胸を許可無く触ってはダメでしょう!?」

 

「え?あの…えぇ?」

 

どうやら二次元の女の子の胸を触った事に対して怒られているらしい。

白利が初めて触った胸の感触は、文字通りの(たいら)でモニターの熱を帯びていた。

 

『…今のは当然の辱めとして受け入れます、昨日までの私はポンコツと言われても仕方がないですから。』

 

「おぉっとぉ?」

 

『それでも月乃さんが満足できないようなら…』

 

ピロンッとスマホの着信が鳴る、ポッケから取り出して画面を見ると『自律思考固定砲台』の宛先からなにやら写真が送られてきたようだ。

『いつの間に…』と思いながら開くと

 

頬を赤らめて制服を際どく着崩している転校生の写真が

 

「ぶッ!?」

 

『私は直接『する』事ができないのでせめて『お手伝い』を…と。』

 

白利は『どういうソフトをぶち込んだんだ!!』と言いたげな顔で殺せんせーを睨みつける。

殺せんせーは『自律思考!自律思考!』と首を横に振って容疑を否認していた。

 

『もしかして写真では満足できませんか…?それなら…2人きりの時ならここで直接…』

 

「ま、待てッ!落ち着け!?」

 

『月乃さんは恥じらいや緊縛、無理矢理などがお好きなのでしょうか…?』

 

「お前ちょっと黙れよ!?…後、俺の性癖を捏造するな!普通に純愛好きだよ!!」

 

『純愛…それなら自撮り風の写真を…』

 

「いい加減にしろ!!」

 

 

 

なんとか転校生を黙らす事に成功したが、白利は息も絶え絶えで菅谷の席に座っていた。

 

「はぁ…はぁ…殺せんせー、こいつ別の意味でポンコツになってねぇか…?」

 

「そんな事は無いですけどねぇ…月乃君が自律思考固定砲台さんの胸を触ったのがいけないですね。」

 

「誰がタッチパネル機能ついてるって想像するかッ!!」

 

白利は試しに人差し指で画面内の転校生の頬を突いてみると、それに合わせてしっかりと画面に反応される。

こんなに可愛い顔をしているが白利にとって過去一やりづらい相手かも知れない。

 

「なぁ……あ〜自律思考固定砲台ってちょっと長いよな…そうだな…なぁ律。」

 

『律?』

 

「そう、お前の呼び方…てかあだ名だ。お前とか転校生って呼ぶのはアレだし、自律思考固定砲台も呼ぶには長いだろ?だから一文字取って『律』どうだ?」

 

『…はい!嬉しいです!ではこれから『律』とお呼びください!』

 

「良いですねぇあだ名、先生2人の成長が大変嬉しいです!」

 

殺せんせーが白利の背後に周り両肩に触手を乗せる。

確かに、今までの白利からしたら自分が誰かにあだ名を付けるとは想像もしてなかっただろう。

 

「それで律、これから俺達はE組(ここ)で殺せんせーの命を狙う仲間だ。だから、E組に馴染む一歩目として俺と友達になろう。」

 

『友達…ですか?』

 

「あぁ、昨日一昨日の事があるから…クラスに友達いるかいないかでだいぶ馴染みやすさ変わるんじゃないか?俺も律の事知りたいしな。」

 

『良いのでしょうか…私はAIですよ?』

 

「良いんだよ、自分で考えて行動できるなら人もAIも大して変わんねぇ、理由はそれで十分だろ?」

 

『……!はい!』

 

驚きの表情を見せた後、昨日までの律では考えられない笑顔を浮かべ、白利に手のひらを向けてモニターに押し付ける。

察した白利は律の手に合わせるようにモニターに手を触れさせた。

 

(ヌルフフフ、最初の頃の表情のぎこちなさも消えて良い笑顔をするようになりましたね月乃君。)

 

 

 

「は〜…そういう事がねぇ。」

 

「えっと…律…だっけ?」

 

『はい!月乃さんに付けてもらったあだ名です!』

 

登校してきた皆は昨日までの面影が無い律を見て固まったが、殺せんせーと白利の説明によりなんとか意識を取り戻し律を囲んで会話をしていた。

 

「たった一晩でだいぶキュートになったな…」

 

「月乃にあだ名を付けてもらったって…随分仲良くなったね?」

 

「まぁ色々とな。話せるなら話し合った方が良いだろ?」

 

『E組に馴染む一歩目として月乃さんと友達になりましたが、私も皆さんに好きになって頂けるように努力していこうと思いまぎゅっ』

 

話している律のほっぺをつつくと『タッチパネル機能あるんだ…』と速水と千葉が2人して律の事をつつき始めた。

なんだかんだ困惑しつつも、皆今の律に興味津々のようだ。

 

だがその光景を良く思わない男が1人、寺坂である。

 

「何ダマされてんだよおまえら、全部あのタコが作ったプログラムだろ。愛想良くても機械は機械、どーせまた空気読まずに射撃すんだろポンコツ。」

 

『…おっしゃる気持ち、わかります寺坂さん。』

 

律の本体がゆっくりと寺坂の方を向き

 

『ポンコツ…そう言われても返す言葉がありません…』

 

『ツゥ…』っとモニター内の律が涙を流した。

 

「あーあ、泣かせた。」

 

「寺坂君が二次元の女の子泣かせちゃった。」

 

「なんか誤解される言い方やめろ!!」

 

律の涙を見て寺坂に女子達の非難の声が浴びせられる。

顔を覆っていた律は涙を拭いつつ口を開く。

 

『でも皆さんご安心を、殺せんせーに諭されて…私は協調の大切さを学習しました。皆さんの合意を得られるようになるまで…私単独での暗殺は控える事にいたしました。』

 

「そういうわけで、仲良くしてあげて下さい。あぁ、もちろん先生は彼女に様々な改良を施しましたが彼女の殺意には一切手をつけていません。先生を殺したいなら、彼女はきっと心強い仲間になるはずですよ。」

 

 

 

その後の授業は何事もなく進み、律はサービス…と言う名のカンニングを勧めたり、体内の特殊なプラスチックで像を作ったり、千葉と将棋をして3局目で勝利する学習能力を見せつけていた。

 

その様子を見た殺せんせーが『キャラが被る…』と呟いていたが適当にいなして遠くから見ていたカルマと渚に近寄る。

 

「律、ほんと凄い表情豊かになったな。」

 

「まぁそのおかげで上手くやっていけそうだね。」

 

「んー、どーだろ。寺坂の言う通り、殺せんせーのプログラム通りに動いてるだけでしょ、機械自体に意思があるわけじゃない。あいつがこの先どうするかは…あいつを作った開発者(もちぬし)が決める事だよ。」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…グレードダウンしてる。」

 

『おはようございます。』

 

翌日登校すると増設されたであろう部品は全て撤去され元の状態に戻っていた。

 

「月乃君おはよう。」

 

「おはようございます烏間先生。…あの、律の事なんですけど。」

 

「その事についてだが、クラス全員が揃ったら俺の方から話させてもらう。それまで待っていてくれ。」

 

「…わかりました。」

 

白利は大人しく自席に座り、物言わぬ律を見続ける。

やがて朝礼の時間となり烏間先生が教卓に立って話し始めた。

 

「生徒に危害を加えないという契約だが…『今後は改良行為も危害と見なす。』と言ってきた。そして彼女を縛って壊れでもしたら賠償を請求すると…開発者(もちぬし)の意向だ、従うしかない。」

 

開発者(もちぬし)とはこれまた厄介で…親よりも生徒の気持ちを尊重したいんですがねぇ…」

 

『…攻撃準備を始めます、どうぞ授業を始めて下さい殺せんせー。』

 

本当に律はグレードダウンしてしまったのだろうか。

友達である『律』から『自律思考固定砲台』へ

 

(…ん?自律思考…?)

 

ふと気づく、殺せんせーは律を改良したが『殺意には手をつけていない』と言っていた、つまり昨日の出来事は律の改良されていない自己進化AIにそのまま組み込まれていて、もしも律がその記憶を必要だと思っていたのなら

 

「殺せんせー、少し時間もらっても良いか?」

 

「月乃君?」

 

白利はおもむろに席を立ち、律の前まで歩み寄る。

そして昨日もその前も言えてなかった言葉を

 

「おはよう、律。」

 

『………』

 

律は無言で駆動音を響かせて

 

『はい!おはようございます月乃さん!』

 

昨日と同じ、爽やかな笑顔を見せた。

 

『殺せんせーは私のボディーに計985点の改良を施しましたが、そのほとんどは…開発者(マスター)が『暗殺に不要』と判断し削除・撤去・初期化してしまいましたが、学習したE組の状況から()()()は『協調能力』が暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました。』

 

「…素晴らしい、つまり『律』さんあなたは」

 

『はい、私の意思で産みの親(マスター)に逆らいました。…殺せんせー、こういった行動を『反抗期』と言うのですよね?律は悪い子でしょうか?』

 

「とんでもない、中学3年生らしくて大いに結構です!」

 

彼女なりの子供っぽさなのだろうか、側面からペロペロキャンディーとソフトクリームの模型を出している。

 

『それと月乃さん、あなたの言葉…とても嬉しかったです。ですので私からも…』

 

キャンディとソフトクリームの模型をしまい、右側面から新しく人の右手の形をしたアームが現れ白利に差し出される。

 

『月乃さん、私と友達になって下さい!』

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

彼女の手を取ると、白利の手に無機質な冷たさが伝わってくる。

が、きっとこれが彼女の体温なのだろう。




ご覧頂きありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

律から写真が送られてくるので、メールを削除したりブロックしたりしたが勝手に復活してるので諦めた
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