一応タグ付けしてますが本作のヒロインは速水さんです。
ビッチ先生がまだいないので髪を結んで無い時ですね。
「
「…き、起立!!」
どこの学校でも行われる朝の号令。
「気をつけ!!」
E組においても例外は無い。だが2つ、他とは違う所。
「…れーーーーい!!」
号令と共に教室に凄まじい音が響く。
皆が手に銃を持ち、教師へ一斉射を浴びせているのだ。
普通の人間が浴びたらひとたまりもない。
そう、普通の人間ならば。
「おはようございます、発砲したままで結構ですので出席を取ります。磯貝君。」
「……!」
「すいませんが銃声の中なのでもっと大きな声で」
「は、はい!!」
雨の様な弾幕の中を高速で避けながら出欠を取る黄色い異形。
異形の顔には危機感などは無く、余裕そうに三日月を横にした様な口をニヤニヤさせている。
「月乃君。」
「はい!」
白利も皆と同じようにハンドガンを持ち、異形に向け発砲を続ける。
あまりの弾幕量に自分の撃った弾は飲み込まれ、着弾位置など見えはしない。
「遅刻無し…と、素晴らしい!先生とても嬉しいです!」
E組は殺し屋、
(速すぎんだろ…)
足元に転がった弾を拾う。
ピンク色のBB弾、曰く先生を殺す弾丸らしい。
「残念ですねぇ今日も命中弾ゼロです。…特に月乃君!君の弾は一体どこへ飛んでるんですか!?」
「んな事言われてもなぁ…」
「…ちょっと
「ん?分かった。」
声をかけてきた相手にハンドガンを手渡す。
声の正体は隣の席の『速水凛香』ツンとした表情をしており、やや薄い朱色の様な髪で、肩にかかるくらいまで伸びている。
「……」
先生に向け速水は一発発砲すると、至極当然真っ直ぐと飛んで行き『カンッ』と黒板にぶつかり小気味の良い音を鳴らして床に落ちる。
先生は何事もなく避けていた。
それを見届けた速水は銃を白利に返す、と同時に白利は先生に銃口を向け引き金を引くと
「イテッ!?」
弾に意思があるかのように途中で軌道を変え、教卓の前の席にいる磯貝の後頭部を撃ち抜く。
「すまん磯貝!……あれぇ?なんでだ?」
「どうしたら弾が曲がるの…?」
「月乃のまさかの苦手分野発見だね…」
「渚…弾が曲がる事は苦手と言うのか…?」
銃を机に置き、散らばったBB弾の掃除を始める。と
「本当に全部避けてんのかよ先生!どう見てもこれただのBB弾だろ?」
「…では、弾をこめて渡しなさい。」
最前列の前原が声を上げる。
『ガマンしてるだけなのでは?』と言う疑問に先生は岡野から銃を受け取ると
「言ったでしょう、この弾は君達にとっては無害ですが…」
自身の
ブチュ!と言う音を立て、BB弾が当たっただけとは思えない触手の千切れ方をする。
が、すぐさま千切れた触手は再生して生えてくる。
「先生の細胞を豆腐のように破壊できる、もちろん数秒あれば再生しますが。」
『目に入ると危険なので先生を殺す以外では室内で発砲しないように』と釘を刺し
「殺せるといいですねぇ卒業までに」
緑色の横縞模様を浮かべる先生を見ながら、何故こんな事になったのかと白利は思い返す。
時間は3年生の初めまで戻る。
「初めまして、私が月を
(((まず5・6ヶ所ツッコませろ!!)))
銃を持った黒服の大人達に囲まれたタコの様な黄色い異形は淡々と喋る。
E組全員があまりの情報量にツッコミあぐねていると1人の男が前に進み出た。
「防衛省の烏間という者だ。まずはここからの話は国家機密だと理解頂きたい。」
(頂けねぇよ…)
白利の心のツッコミはいざ知らず、烏間と名乗った男は説明を続ける。
E組にこの怪物を殺して欲しい。
怪物は生まれも育ちも地球であり、詳しくは話せないが来年の3月に地球を破壊する。
この事を知っているのは各国首脳のみで、世界がパニックになる前に殺す努力をしている事
「つまり…暗殺だ。」
懐から目にも止まらぬ速さでナイフを抜き、怪物に切りかかる。
だが怪物はそれよりも速く動き、殺されるどころか烏間の眉毛の手入れを丁寧にしている。
怪物の最高速度はマッハ20、本気で逃げれば手も足も出ないだろう。
「ま、それでは面白くないのでね…私から国に提案したのです。殺されるのはゴメンですが…椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやってもいいと。」
(((何で!?)))
「こいつの狙いはわからん。だが政府は君達生徒に絶対に危害を加えない事が条件でやむなく承諾した。」
理解は2つ、
教師として毎日来るなら監視ができる事
30人もの人間が至近距離から殺すチャンスを得る事
(とは言え…いきなりやれと言われてもな…)
「成功報酬は百億円!」
「ひゃ!?」
「当然の額だ、暗殺の成功は冗談抜きで地球を救う事なのだから。」
怪物は烏間の横で白利達を舐めてるらしい顔、緑の縞々模様を浮かべている。
国ですら殺せない自分をE組が殺せる訳がないと言う事らしい。
「最新鋭の戦闘機に襲われた時も、逆に空中でワックスをかけてやりましたよ。」
(だからなぜ手入れを…?)
「君達にはコイツに効く弾とナイフを支給する。君達の家族や友人には絶対に秘密だ。とにかく時間がない、地球が消えれば逃げる場所などどこにも無い!」
「そういう事です。さぁ皆さん、残された一年を有意義に過ごしましょう!」
昼休みになり、持って来た弁当を出す。
先生は麻婆豆腐を食べに中国へ飛んで行った。
(しかし先生も器用だよな…飛行中にテストの採点したり、妙に教えるの上手いし何者なんだあのタコ。…渚?)
ふと、弁当を食べる白利の視界の端に、不良の寺坂達に連れて行かれるのが映った。
(イジメとかは無いはず…だが、嫌な予感がするな。…放課後に聞いてみるか。)
あっという間に昼休みの時間は過ぎていった。
5時間目は国語
ラスト7文字を『触手なりけり』で締める短歌を作れ、と言う内容だ。
出来た人から帰っていいらしいので真面目にやってみる。
「触手って季語?」
「…どうだかなぁ」
右隣の速水と相談していると
「先生しつもーん。」
「…何ですか茅野さん。」
白利の左斜め前の席の茅野が手を上げる。
どうやら先生の名前について聞いている様だ。
「名前…ですか、名乗るような名前はありませんねぇ。なんなら皆さんでつけて下さい、今は課題に集中ですよ。」
「はーい。」
2人の掛け合いを聞きつつ、右手に持つペンを置き席を立つと
「「あっ」」
白利と渚が互いの顔を見合う。
「お、もうできましたか月乃君、渚君。」
「あぁ、行こうぜ渚。」
「あ…うん。」
歯切れの悪い渚の肩を軽く叩き、教卓の先生に近づく。
「…月乃、先に僕から出していい?」
「別に良いけど…」
白利とE組の皆が気づく、提出する用紙に隠すようにナイフを携える渚を。
だが、白利は渚の顔に何か別の違和感を感じた。
(渚…一体…)
白利が考えている間に、先生のすぐそばまで近寄った渚は先生に向け、素早くナイフを構え突き出す。
「渚君、もっと工夫を…!?」
それはほんの一瞬の事だった。
ナイフを止められた渚はふわりと流れるような動きで先生へと抱きつく。
そして先生と白利の目に入った、渚の首にかけられた手榴弾が
「渚ッ!!」
声を出すよりも速く、白利は渚から手榴弾を左手でひったくり
「ッ!?」
凄まじい衝撃に襲われた。
(手榴弾が爆発して…一体どうなった…?)
少し揺れた脳を落ち着かせつつ、思考する。
どうやら自分は床に転がっている事は辛うじて分かった。
(左手に…痛みは無い…)
目を開き左手を見るとあの衝撃を喰らったとは思えない程ダメージを負ってなかった。
「というか、何だこの膜みたいなの?」
「う…」
「ッ渚!平気か!?」
同じく膜に包まれた渚が目を覚ます、どうやら包まれている膜は同一の物のようだ。
周りを見渡すと寺坂達がすぐそばに
そして
天井に
「寺坂、吉田、村松、首謀者は君達だな。」
(顔の色で感情がわかるらしいが…これは間違いなく…)
顔を真っ黒にした先生がいた。
その顔は見るからにド怒りの表情。
ふと、先生の姿が消えたかと思うとすぐさま教卓に戻ってくる。
その手に多くの物を抱えながら。
「これは…表札?」
「政府との契約ですから、先生は
抱えた表札をバラバラと地面に落とす。
「次にまた今の方法で暗殺に来たら
その言葉に白利達は気づいた、気づいてしまった。
(この先生からはどこにも逃げられない……もし逃げるのなら、殺すしか…ない…!)
「なっ…何なんだよテメェ…!いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか…迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよぉ!!」
先生のあまりの気迫に腰を抜かした寺坂が涙目ながら叫ぶ。
「迷惑?とんでもない君達のアイディア自体はすごく良かった。」
予想とは裏腹に先生は顔に朱色の◯を浮かべる。
「渚君、君の肉薄までの自然な体運びは百点です。先生は見事に隙を突かれました。」
「……!!」
「そして月乃君、君はグレネードに気づいてからの反応と動きの素速さはとても素晴らしかったです。ですが…何ですかこの『ぬるぬる触手なりけり』は!やり直しです!」
「…やっぱダメ?」
渚と白利は顔に◎を浮かべた先生に頭を撫でられる。
ついでに採点された短歌は返された。
「ただし!寺坂君達は渚君を、渚君は自分と近くにいた月乃君を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺する資格はありません!」
続けて顔に青い×を浮かべる先生。
「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員それが出来る力を秘めた有能な
(人に胸を張れる暗殺って何だよ。)
現代社会で聞くことの無いパワーワードに思わず心の中でツッコんでしまう。
「…さて、渚君と月乃君に問題です。先生は殺される気など微塵もない。皆さんと3月までエンジョイしてから地球を爆破です。それが嫌なら君達はどうしますか?」
「…どうするよ渚?」
「それはもう…」
「「…その前に先生を殺す/殺します」」
暗殺などした事はない、白利達にはやるべき事が沢山ある、だが白利と渚の2人は思う。
この先生なら…殺意すらも受け止めてくれると
「殺せない…先生…あ、名前『殺せんせー』は?」
茅野のつけた『殺せんせー』それがE組が狙う
「月乃、左手大丈夫?」
「あぁ先生のあの膜凄いな、傷どころか痛みすらも感じなかった。心配かけたな速水。」
「別に…」
速水とはまだまだ壁がありそうだ。
ご覧頂きありがとうございました!
白利の席は渚の後ろ、速水さんの左隣です。杉野くんと菅谷くんが一個ずつ後ろに下がってますね。
ちなみにE組が始まってから数日間で磯貝達の接触もあり一部の人には白利はそれなりに話せるようになってます。それでも怖い印象を持っている人もいそうですが…ここら辺も後々やって行きますかね…?