暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

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どうも妄言第三弾です。

基本は原作沿いでたまにオリジナル話を混ぜる感じで行くと思います。


問答の時間

「……ふぁ…眠…」

 

まだ眠りたがる脳と身体を必死に起こしながら目を覚ます白利。

布団から出て、キッチンへ向かう。

 

「おはよう白利。」

 

「ん、おはようばーちゃん。」

 

先に起きて朝の仕込みをしていた祖父母に挨拶をし、冷蔵庫に手をかける。

白利はE組に落ちてから弁当を持参するのだが、基本は自分で作っている。

 

祖父母から教えて貰い、趣味になるくらいの料理好きなのだ。

 

白利が弁当を作る間に祖母が朝ごはんを作ってくれるので、一通り終わった後朝ごはんを食べる。

 

「…学校はどう?」

 

「別に普通だよ。友達も居るし、それなりに話せそうな奴もいる。」

 

「そう…良かった。」

 

流石に殺せんせーや暗殺の事を言う訳にも行かないので当たり障り無い返答をしつつ、食べ終わった食器をシンクに置いておく。

 

「洗い物はやっておくから、準備しちゃいなさい。」

 

「わかった、ありがと。」

 

席を立ち、今日もあの怪物が居る教室へ向かう準備をする。

 

 

 

「4月とはいえ…流石にまだ寒いな…」

 

冷える手をポケットに突っ込みつつ、足早に進む。

白利が家を出る時間はかなり早く、外には椚ヶ丘中学校に向かう生徒どころかその他の人達もまばらにしかいない。

 

A組にいた頃からの習慣ではあるが今日は別の目的もあった。

開門された校門を通り、1km先のE組校舎へ向かう。

 

 

 

E組校舎に着くと、黄色い異形『殺せんせー』が触手に箒を持ち、掃き掃除をしていた。

 

「おや、早いですね月乃君。」

 

「おはようございます殺せんせー。」

 

「はい、おはようございます。」

 

横向きになった三日月のような口の口角を若干上げる殺せんせー。

一応殺せんせーはE組の先生ではあるので、挨拶はしっかりとしておく。

 

「月乃君はいつもこの時間に?」

 

「あぁ、最近はここら辺ぶらついてるけど今日は殺せんせーに聞きたい事があって。」

 

「聞きたい事ですか。いいでしょう!ささ、外は少しばかり冷えますから教室でお話ししましょう。」

 

そう言って、殺せんせーは校舎の扉を開けてくれる。

殺せんせーの後ろを着いて行きつつ、上履きに履き替え教室に入る。

E組校舎は木造造りでだいぶオンボロだった印象だが、殺せんせーが来てからは彼自身が手入れをしているのかやたらと清潔だ。

 

「それで、私に聞きたい事とは?」

 

「殺せんせーの正体について聞きたくて。俺さ、ずっと考えてたんだ。烏間さんは話せないって言ってたけど、まぁ色々と勘繰っちゃうよな〜って。」

 

「ふ〜む…私からも詳しく話す事は出来ませんが…そうだ!」

 

殺せんせーが思いついたように触手をポンと叩くと、指を立てるように一本の触手を立てる。

 

「では月乃君に国語の問題です。先生に月乃君が考察する『先生の正体』について話してみて下さい。」

 

「…わかった。黒板借りていいか?」

 

『えぇどうぞ。』と許可を貰ったので教卓にカバンを置いてチョークを持ち、黒板に書き込んで行く。

 

「俺はまず、3つの説を考えたんだ。」

 

殺せんせー宇宙人説

 

殺せんせー自然発生説

 

殺せんせー人工生命体説

 

「最初に宇宙人説だが、これはまず無いだろうな。」

 

「初めて会った時に生まれも育ちも地球だと言いましたしねぇ。」

 

「それが嘘って事もあるかも知れないが、無いと思った理由は言語だ。俺個人としては、日本語はトップクラスでわかりにくい言語だと思っている。だが殺せんせーは至って普通に使いこなしていて、たった一年の為だけに宇宙人が違和感の無い日本語を覚えてくる事は無いだろうって考えだ。」

 

宇宙人説に素早くカカッと上から×を書く。

 

「そんで次は自然発生説だが、これも無いな。」

 

「ほぅ?バッサリ言い切りますねぇ月乃君。」

 

「これは宇宙人説にも言えるんだが…コレだ。」

 

白利はチョークを置き、教卓に置いたカバンから取り出したのは

 

「…対先生ナイフですか?」

 

「ナイフ…と言うよりかは素材だな。」

 

手に持ったナイフの先端を指で弾く。

 

「何で先生に効く物質なんて物があるんだ?殺せんせーが月を爆破したのは4月、その後すぐに殺せんせーはE組に来た。爆破からE組赴任までの期間で殺せんせーに効く物質を発見する事は難しいだろう。…まさかアンタが開発を手伝ったって訳でもないだろう?」

 

「ヌルフフフ…どうでしょうねぇ?」

 

「まぁ仮に手伝っていたとしても生産が間に合わないだろうさ。」

 

自然発生説にも×をつける。

 

「で、残ったのは人工生命体説だが…俺はコレが1番可能性が高いと思ってる。」

 

「………」

 

「コレなら殺せんせーに効く物質…対先生物質とでも言うか。対先生物質が開発されてる事にも理由づけが出来るんだ。」

 

黒板に3つの建物を描き、それぞれに『研究所』『国』『E組』と書く。

 

「なぁ殺せんせー、殺せんせーって普通の銃弾とは効くの?」

 

「いいえ、先生に鉛の銃弾などは通用しません、溶かしてしまいますから。」

 

「OK大体予想通りだ。まずこの『研究所』で理由は分からないが殺せんせーを…或いはそのプロトタイプや類似品を造る研究・実験をしていたんだろう。だが研究過程で危険性が確認され、対策も同時に行われる事になり造り出されたのがこの『対先生物質』でそれを国に寄越したって訳なんだろう。そして、研究と実験の果てに生まれ『研究所』を抜け出したのが殺せんせー…だと思うが……」

 

「おや?どうしました月乃君。」

 

自身の顎に指を添えながら、何とも歯切れの悪い呟きを漏らす白利。

殺せんせーの声に唸りながら『国』から『E組』へと矢印を引き横にハテナマークをつける。

 

「殺せんせーが造られたと仮定して、『研究所』を抜け出したのはまだわかる。だが、そしたら何故殺せんせーは何故月を破壊したのか、何故地球を破壊するのか……何故国と交渉してまでE組の担任になったのか。Whydunit…動機が見当もつかない。」

 

「Whydunit…ミステリー作品において、誰が犯行を行った(Whodunit)よりも何故犯行を行ったか、に重きを置く作風でしたか。」

 

「まぁそこら辺は後でもいいか、どうだ殺せんせー人工生命体説は?」

 

「ヌルフフフ…では採点と行きましょう!殺せんせー人工生命体説の点数は〜?」

 

顔を様々な色に変えながら『ドゥルルル!』と口でドラムロールをする殺せんせー。

 

「ジャン!残念!惜しい!80点!」

 

「結構良い線行ってたか。」

 

「正直な所、ここまで当てられるとは思っていませんでした。ですが…足りない部分や違う部分もありますねぇ。」

 

殺せんせーは触手を伸ばしてチョークを取り、黒板に『惜しい!』と言っているタコのイラストを描く。

イラストは妙に上手かった。

 

「…ちなみに答え合わせや動機については?」

 

「今は教えません。が、月乃君に宿題として出しておきましょう。卒業までに提出してくれると先生嬉しいです!誰かに手伝って貰うのも良いですよ!」

 

「いや、俺が1人で答えを見つける…よっ!」

 

ナイフを殺せんせーの顔に向け突き出す。

 

「だから、サッサと死なないでくれよ?」

 

「それは君達の努力次第ですかねぇ。」

 

突き出したナイフは呆気なく避けられ、取り上げられる。

『こんなおざなりな攻撃で死ぬ訳もないか』と返されたナイフを受け取りながら自嘲した。

 

 

 

「ちなみに先生からも月乃君に話したい事があるのですが…良いですか?」

 

「ん?良いけど…」

 

殺せんせーは二つの机を向かい合わせに置き、椅子を引く。

座れ、ということだろう。

 

「で、なんだ?」

 

「初日に見た時よりも随分と印象が違うな〜と思いまして。」

 

『先生、月乃君を初めて見た時無表情で言葉を発さず目付きが結構鋭くて、元々A組だった君が人を殴ってE組に来たと聞いていたのでかなりの不良(ワル)だと思ってましたもん。』と席に着くなり、話し始める殺せんせー。

 

「……まぁ渚にも言われてはいたけど、こう聞くと中々に酷いな俺。特に気にしては無いけども。…あと殴ったのちゃんと訳ありだ。」

 

(まぁ俺よりも不良してる奴いるけどなぁ…今現在も停学中だし…)と心の中で1人呟く白利。

 

「E組で過ごす君を見て、殴ったのには理由があると察しました。今は君が無闇矢鱈に人を殴るような人間では無いと確信しています。…話を戻しまして、最近の君は多少表情が表に出るようになり、こうして面と向かって話せている。このクラスには馴染めましたか?」

 

「馴染めた…か。素直に頷く事は出来ないな。」

 

「そうですか…では、話す人などは増えましたか?」

 

「話す奴はまぁ…渚の他にも、磯貝・片岡の学級委員2人と前原、後……速水と千葉くらいかな?長い事話すのは無理だけど、挨拶とか一言くらいなら何とか…ってレベルだけども。」

 

「それで大丈夫です。誰もが皆いきなり打ち解ける事は難しい、君なりのペースで歩み寄れば他の皆も月乃君の良さに気付いてくれるでしょう。…しかし、磯貝君や前原君、片岡さんのような積極性のある人達はわかりますが、速水さんや千葉君のような自分からあまり主張しない人達と話をしているのは意外ですね。」

 

「…正直初めてE組に来た時『速水とは仲良くなれないだろうなぁ』とはちょっと思ってたよ。速水ってツンとした表情してるだろ?話しかけづらいって言うか何と言うか…だから俺からも速水からも声をかけずに3年生が終わるんだろうなぁ、と。」

 

速水凛香と千葉龍之介、2人とも自身から目立つような事をしないが出来る事を見極める冷静さがありサポートに回る事が多い。

加えて、速水は表情をあまり表に出さず、千葉は前髪に目が隠れている為表情が上手く読み取れない。と、少しとっつき難い印象を受ける。

 

「でも殺せんせーが来てから…あの2人ってこのクラスの中ではトップクラスに射撃が上手いだろ?」

 

「えぇ、あの2人の射撃技術には目を見張る物がある。」

 

体育の時間に何度か行われた射撃練習で、最も的に当てていたのは速水と千葉の2人である。

なお、白利は一発も当たらなかった。

 

「だから体育の時間に話しかけたんだよ、俺に射撃のコツを教えてくれって。そしたら2人にギョッとした顔されたけど普通に教えて貰えて、そこから少し話すようになったかな。」

 

「そうですか、先生が来た事で月乃君の交友関係が広がったようで良かったです。」

 

「その代わり一年以内に殺せんせーの暗殺って重いもん背負わされたけどな。」

 

背もたれに体重をかけ、ギシリと音を鳴らす。

 

「んで他に話は?もう良いのか?」

 

「はい、満足です。朝早くから色々と聞いてしまい申し訳ない。」

 

「そもそも俺が聞きたくて朝早くに来て殺せんせーの時間貰ってるんだ、お互い様って事で。」

 

時計を見るとそろそろ他の生徒達も登校してくる時間になっていた。

殺せんせーは席を立つと

 

「では先生そろそろ日課の校舎裏でくつろぐ時間なのでちょっとハワイまで買い物に行ってきますね!!」

 

「は?」

 

窓から途轍もない速度で空へ飛び立ち、教室に残された白利は殺せんせーが起こした風圧で髪と制服がパタパタと揺れた。

 

「殺せるかなぁ…アイツの事…」

 

空に浮かぶ飛行機雲を見上げながら白利は1人呟いた。




ご覧頂きありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

射撃が絶望的にヘタクソ
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